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交通安全フォーラムの開催について
● 内閣府では交通安全意識の高揚を図るため,交通事情に詳しい学識経験者や交通安全に関わる方々をお招きし,地域における交通安全対策に関する講演やパネルディスカッションを行う「交通安全フォーラム」を開催している。
令和元年度は,10月29日に,佐賀県及び佐賀市との共催により,『追突事故と高齢者の交通事故防止を考える~すすめ、安全なミライへ~』をテーマに佐賀勤労者総合福祉センターで開催し,約430人の参加があった。
● この日のフォーラムでは,(一社)安全運転推進協会理事 九州大学名誉教授 松永勝也氏が「追突事故防止・高齢者の運転事故防止(4つの運転法の習慣化で効果的な事故防止が可能)」と題し基調講演を行った後,佐賀県警の担当者,損害保険会社の担当者,高齢運転者がパネリストとして加わり,コーディネーターのもと討論をしながら,各自の体験を踏まえた追突事故及び高齢者の交通事故防止に関する提言を行った。
○基調講演及びパネルディスカッションの提言内容
基調講演
(一社)安全運転推進協会理事 九州大学名誉教授 松永 勝也 氏
「追突事故防止・高齢者の運転事故防止(4つの運転法の習慣化で効果的な事故防止が可能)」
追突事故防止には,停止距離よりも長い車間距離を保持した走行習慣の形成が必要です。見え方での距離の見積もりの精度は低く,数え上げによる時間での見積もりを行うと,妥当な精度の見積もりが可能です。安全な車間時間としては,特に高齢者においては4秒以上が推奨されます。
高齢者には,出会い頭の衝突が多くなりますが,出会い頭の衝突事故防止のためには,道路の交差部の一時停止線では3秒間程度停止し,停止状態で安全を確認し,さらに,停止線での停止では交差道路の左右の確認ができない場合には,見える位置までゆっくり,あるいは多段階での停止を繰り返して進行し,再び停止し,左右それぞれ2秒以上の時間をかけて安全確認をすると,高い確率で見逃しを防止できます。
パネルディスカッション
佐賀県警察本部交通部首席参事官
川久保 正文 氏
追突事故防止のために,平成31年4月から道路情報版に「~「とっとっと!3秒間の車間距離」~」と表示し車間距離を取るよう呼び掛けています。高齢運転者の支援として,平成31年4月に「シルバードライバーズサポート室」を設置し,高齢運転者技能講習を行っています。さらに,「交通安全対策アドバイザー」として医療系の専門スタッフを配置して相談等に対応しています。また,自動車販売協会連合会佐賀県支部と県警で覚書を締結して,各地でサポカーの体験試乗会を開催しています。
あいおいニッセイ同和損害株式会社
自動車保険部 テレマティクス開発グループ長
梅田 傑 氏
インターネット技術が進み,運転者ごとの自動車のスピード,ブレーキ,アクセルの使い方等の走行データが取得できるようになりました。これらのデータを使った安全運転のためのサービスを「テレマティクス自動車保険」と呼んでいます。「テレマティクス」という言葉は,「テレコミュニケーション(通信)」と「インフォマティクス(情報工学)」の造語です。
サービスとしては,①カーナビと連携した行先の渋滞情報やゲリラ豪雨のような天候情報の提供,②運転者の急ブレーキ,急ハンドルが増えている状況では,事故防止のために音声で注意を促す,③自動車から大きな衝撃が通信で来た時には,事故を想定し,保険会社から運転者(保険契約者)に連絡をとり,事故後のきめ細かいサポートを行う,といったものがあります。
鹿島警察署中央交番連絡協議会会長
掛園 治司 氏
昭和29年に運転免許を取得し,65年間無事故でいます。米屋を営んでいる関係もあって月間1,500キロメートルくらい運転をしています。高齢ドライバーとして心構えとしては,人に迷惑をかけない運転を心がけています。先日,運転免許の更新がありました。あと3年間は運転したいと思います。私は,運転免許の返納には少々抵抗があります。免許を返納すると商売ができません。しかし,日頃の運転の状況を家族に見てもらいながら,運転を続けることが難しい状況になれば,自分としても考えなければならないと思っています。そのためにも,慎重に,緊張感をもちながら運転していかなければと思っております。
コーディネーター
学校法人佐賀清和学園理事長
富吉 賢太郎 氏
私は進行役でしたが,出演者の方々のお話をききながら,平成31年4月,東京の東池袋で起きた87歳の元官僚が運転していた暴走事故を思い出しました。この事故では多数の死傷者が出ましたが,この事故で妻と娘を亡くされた方が次のようなメッセージを出されています。「それぞれのご家庭で事情があることは重々承知しておりますが,少しでも運転に不安がある人は車を運転しないという選択肢を考えてほしい」いかがでしょうか。佐賀のいわゆる公共交通機関の事情からすれば,自動車はなかなか手放せません。免許証も返納できない。自動車が頼りなのです。でも,この呼びかけを私たちは今こそ自分のものとして,一人一人が受けとめる時ではないかということをお願いしまして,まとめとさせていただきたいと思います。