特集 「道路交通安全政策の新展開」―第11次交通安全基本計画による対策―
第2章 近年の道路交通事故の状況
第2節 高齢者と子供の交通事故の傾向
特集 「道路交通安全政策の新展開」―第11次交通安全基本計画による対策―
第2章 近年の道路交通事故の状況
第2節 高齢者と子供の交通事故の傾向
◇高齢者
65歳以上の高齢者の人口10万人当たりの交通事故死者数は,年々減少傾向である一方で,令和2年は,全年齢層の人口10万人当たりの交通事故死者数の約2倍,65歳未満の人口10万人当たりの交通事故死者数の約3倍であり,また,65歳以上の高齢者の交通事故死者数が,道路交通事故死者数全体の56.2%を占めるなど,いずれも引き続き高い水準となっている(特集-第14図,第4図)。
状態別・年齢層別交通事故死者の割合をみると,令和2年では,歩行中及び自転車乗用中の交通事故死者のうち,約7割を65歳以上の高齢者が占めている。また,75歳以上の高齢者は,歩行中の55.0%,自転車乗用中の46.5%を占めるなど,顕著な値を示している(特集-第15図)。
交通事故重傷者をみても,歩行中については,65歳以上の高齢者が57.4%,75歳以上の高齢者が38.0%を占めており,顕著な値を示している(特集-第16図)。
交通事故軽傷者については,歩行中の構成率はほぼ人口構成率と同様になっている(特集-第17図)。
◇子供
状態別に平成23年から令和2年までの間の交通事故死者・重傷者数をみると,未就学児及び小学生共に,「歩行中」が最も多く,未就学児については65.6%,小学生については56.5%を占める。
未就学児については,「自動車乗車中」がこれに続き26.9%を占めている。未就学児は,屋外において親等と共に行動することが大半であることから,このような特徴が見られるものと考えられる。
小学生については,「歩行中」に続き「自転車乗用中」が多く,34.9%を占めている。小学生になると,移動手段に自転車が新たに加わることから,このような特徴が見られるものと考えられる(特集-第18図)。
状態別にみて最も交通事故死者・重傷者数が多い「歩行中」について通行目的別にみると,未就学児については,買物や遊戯等「私用」の交通事故死者が最も多く(154人,90.6%),「通園等登下校」の交通事故死者も9人であった(5.3%)。一方,小学校低学年についても,「私用」の交通事故死者が多いものの,「通学等登下校」の交通事故死者が未就学児と比較して多くなる(特集-第19図)。
また,通行目的別の交通事故死者・重傷者数をみると,全体としては,未就園児よりも就園児の方が多く,小学生,中学生については,それぞれ学年が上がるとともに少なくなっている。
通行目的別にみると,未就学児については「私用」が大多数を占め,小学生については「私用」が半数以上を占めているが,学年が上がるとともに「私用」の交通事故死者・重傷者数は減少している。なお,中学生については,「通学等登下校」と「私用」は,ほぼ同程度となっている(特集-第20図)。
歩行中(第1・第2当事者)の交通事故死者・重傷者について,法令違反別に平成28年から令和2年までの間をみると,未就学児や小学生は,全年齢層と比較して,法令違反の割合が高い。特に,飛出しについては,未就学児,小学生共に3割を超えている(特集‐第21図)。