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降灰予報の高度化について

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火山が噴火すると,噴出した火山灰が上空の風に運ばれて広い範囲に降下する(これを「降灰」と呼ぶ)。この「降灰」は,喘息の症状悪化などの健康被害を始め,道路交通においても,視界不良や路面悪化をもたらすなど,社会生活に大きな影響を及ぼす。

この「降灰」について,気象庁では,平成20年3月から「降灰予報」を発表している。噴火のおそれがある場合には「降灰予報(定時)」を,また,噴火が発生した場合,即時的には「降灰予報(速報)」を,その後,噴火の観測情報を用いてより精度高く計算した「降灰予報(詳細)」を発表し,それぞれ,時間ごとの降灰の分布と量(社会的影響に応じた3段階の階級)の予想を地図上で分かりやすく示している。

降灰予報(詳細)(桜島)の例。03時までの降灰量、04時までの降灰量、05時までの降灰量、06時までの降灰量、07時までの降灰量、08時までの降灰量。桜島を中心にした地図に降灰の予測を重ねた図

降灰予報を噴火に備えた準備や噴火後の防災対応に活用することで,道路交通等における降灰による被害の軽減につなげることができる。降灰予報は,気象庁のホームページ(https://www.jma.go.jp/jp/ashfall/index.html)においても提供しているので,活用いただきたい。

降灰予報における「降灰量階級表」。名称として多量、やや多量、少量に分け、表現例(1mm以上、0.1mm≦厚さ<1mm、0.1mm未満)、影響と取るべき行動、その他の影響が示されている

この降灰予報について,気象庁では,平成30年(2018年)に発生した草津白根山(本白根山)の噴火災害を踏まえ,長期間噴火がなく常時監視していない火口で噴火が発生した場合も降灰予報を迅速に発表できるよう,処理技術及びシステムを高度化した。これにより,“いかなる火口から噴火が発生しても,降灰予報を迅速に発表することができる”ようになっている。

気象庁では,道路交通分野等における防災対応に降灰予報を一層活用いただけるよう,引き続き迅速かつ的確な発表に努めるとともに,降灰予測の技術の高度化にも取り組む計画である。

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