特集 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について
第1章 子供(小学生)の交通事故の状況及び飲酒運転に関する交通事故の状況
第1節 子供(小学生)の交通事故の状況
特集 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について
第1章 子供(小学生)の交通事故の状況及び飲酒運転に関する交通事故の状況
第1節 子供(小学生)の交通事故の状況
1 小学生に係る状態別交通事故の状況
小学生の死者重傷者の総数は大きく減少傾向にある。状態別(歩行中,自転車乗用中等)でみてみた場合,平成24年から令和3年のいずれの年においても歩行中が半数以上を占めており,次に自転車乗用中が多くを占めている。また,その減少幅については,歩行中及び自転車乗用中いずれも,平成24年と比較して令和3年は約5割程度である(歩行中:49.0%減少,自転車乗用中:59.8%減少)(特集-第1図)。
小学生の状態別死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)は,歩行中が2,522人で全体の59.0%を占めて一番多く,次に自転車乗用中が1,382人で32.4%を占めており,歩行中及び自転車乗用中で全体の約9割を占めている(特集-第2図)。
小学生の学齢別状態別死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)をみると,歩行中は小学1年生が最多の627人となっており,学齢が上がるにつれて減少する。一方で,自転車乗用中は小学1年生から学齢が上がるにつれて増加し,小学4年生が最多の316人となり,小学5年生以降は減少に転ずる。割合では,小学3年生までは歩行中が半数以上を占めているが,小学4年生は歩行中が一番多いものの半数を下回る。小学5年生は自転車乗用中が一番多いものの半数を下回るが,小学6年生は自転車乗用中が半数以上を占める(特集-第3図)。
小学生の歩行中の死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)2,522人の通行目的別をみると,登下校中が878人で34.8%を占めている(特集-第4図)。
小学生の歩行中の死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)2,522人と小学生の自転車乗用中の死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)1,382人の時間帯別をみると,16時から17時台が共に最も多く,次に14時から15時台が多くなっている(特集-第5図)。
歩行中の発生月別死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)をみると,全年齢層では,4月から8月まではほぼ横ばい傾向にあるが,10月から12月にかけて大きく増加する(特集-第6図)。
一方で,小学生の歩行中の発生月別死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)をみると,1学期期間中である4月から6月,2学期期間中である10月から12月に多くなっている。特に小学1年生をみると,4月に49人であるのに対し,5月に63人と14人増加している(特集-第6図)。
歩行中(第1・第2当事者)の法令違反別死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)をみると,全年齢層では,違反なしが62.3%を占めているのに対し,小学生でも違反なしが38.3%と一番大きな割合を占めている。小学生は,約6割で法令違反があるが,その内訳をみると,飛出しが最も多く,次に横断違反,路上遊戯,信号無視の順となっている(特集-第7図)。
2 小学生に係る事故類型別交通事故の現状等
(1)事故類型別・道路形状別
事故類型別(通行中,横断歩道横断中等)・道路形状別(交差点,単路等)歩行者(第1・第2当事者)死亡事故件数(平成29年から令和3年までの合計)をみると,全年齢層では,交差点における「横断歩道横断中」,単路における「その他横断中」の順に多くなっている。単路における「横断歩道横断中」は79件であり,「その他横断中」と比較して大幅に少ない。小学生は,死亡事故件数自体少ないものの,交差点における「横断歩道横断中」が最多の15件となっており,単路よりも交差点の死亡事故件数が多くなっている(特集-第8図)。
死亡重傷事故件数(平成29年から令和3年までの合計)についてみると,全年齢層では,交差点における「横断歩道横断中」が最も多く,小学生は,単路における「その他横断中」,次に交差点における「横断歩道横断中」が多い(特集-第9図)。
全年齢層における道路形状別の歩行中の死者重傷者数(平成29年から令和3年までの合計)についてみると,交差点が48.5%を占めており,交差点付近と合わせると過半数を超える(特集-第10図)。
小学生は,学年が上がるにつれて,死者重傷者数自体は減少し,特に小学3年生から大きく減少しているが,交差点,交差点付近,単路,その他の各割合については,学年によって大きな差はみられない(特集-第11図)。
単路,交差点付近及び踏切における道路形状別道路幅員別歩行中(第1・第2当事者)死亡事故件数(平成29年から令和3年までの合計)をみると,小学生は,道路幅員が5.5メートル以上及び5.5メートル未満のいずれの道路にあっても,交差点付近で死亡事故の割合が全年齢層に比べ大きくなっている(特集-第12図)。
一方で,死亡重傷事故件数(平成29年から令和3年までの合計)でみた場合は,全年齢層及び小学生共に,交差点付近での死亡重傷事故件数の割合に大きな差はない(特集-第13図)。
(2)自動車の行動類型別
自動車の行動類型別(直進,右折等)歩行中(第1・第2当事者)死者数をみると,全年齢層では,直進が多く,次に右折の順に多くなる。一方で,小学生は,自動車の右折時も年によっては発生しているものの,直進が多くを占める(特集-第14図)。
自動車の行動類型別歩行中(第1・第2当事者)を死者重傷者数でみると,全年齢層の場合,死者数のみの場合と比較して,右折の割合が増加する。一方で,小学生は,全年齢層と比較して右折時の割合は低く,直進が占める割合が高い(特集-第15図)。
また,この直進における歩行者側の法令違反別をみると,飛出しが多いが,違反なしも約2~4割を占めている(特集-第16図)。
令和3年中の自動車の行動類型別運転者の人的要因別(前方不注意,安全不確認等)歩行中(第1・第2当事者)死者重傷者数をみると,歩行中の全年齢層では,直進時の前方不注意が最も多く,次に右折時の安全不確認,直進時の安全不確認の順に多くなっている。歩行中の小学生は,直進時が全体の約9割を占めている中,直進時の安全不確認が最も多くなっている(特集-第17図)。
(3)ゾーン30規制の有無別
ゾーン30の整備箇所については年々増加しており,令和3年度末現在で4,186か所となっている(特集-第18図)。
一方で,ゾーン30規制の有無別交通事故死者数についてみると,統計を取り始めた平成29年以降,おおむね減少傾向にあり,令和3年中は8人となった(特集-第19図)。ゾーン30規制の有無別交通事故重傷者数についても,おおむね減少傾向にあることは変わりがないが,重傷者全体に占める割合がおおむね1%前後であり,これは,死者数全体に占める割合より高い数値となっている(特集-第19図)。
令和3年中のゾーン30規制の有無別年齢層別の交通事故死者数をみると,ゾーン30規制有りの20歳未満の死者数は1人であり,ゾーン30規制有りのそれぞれの年齢層も4人以内となっている。一方で,ゾーン30規制の有無別年齢層別の交通事故重傷者数においては,20歳未満の重傷者数に占めるゾーン30規制有りの割合は,他の年齢層と比較して高くなっている(特集-第20図)。
また,令和元年度末までに全国で整備した3,864か所において,整備前年度の1年間と整備翌年度の1年間における死亡重傷事故発生件数を比較したところ,29.4%の減少となっており,そのうち,対歩行者・自転車事故も26.5%の減少となっている(特集-第21図)。