特集 自転車の安全利用の促進について
第1章 自転車の交通安全の現状とこれまでの経緯
第1節 自転車関連交通事故の現状
特集 自転車の安全利用の促進について
第1章 自転車の交通安全の現状とこれまでの経緯
第1節 自転車関連交通事故の現状
1 自転車関連事故の推移
自転車関連死亡重傷事故(第1・第2当事者※)件数の推移を見ると,平成25年と比較して令和4年は約3割減少している(特集-第1図)。一方,全ての死亡重傷事故件数は,平成25年と比較して約4割減少していることから,自転車関連死亡重傷事故(第1・第2当事者)の減少割合は比較的小さいものと分かる(特集-第1図,第2図)。全ての死亡重傷事故件数に占める自転車関連死亡重傷事故件数の割合で見ても,横ばいから微増となっていることが分かる(特集-第3図)。
(件) | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
H25 比較 |
|||||||||||
19歳以下 | 2,396 | 2,285 | 1,968 | 1,757 | 1,933 | 1,666 | 1,572 | 1,274 | 1,420 | 1,314 | -1,082 |
20代 | 833 | 892 | 758 | 714 | 758 | 734 | 735 | 625 | 658 | 615 | -218 |
30代 | 757 | 701 | 657 | 574 | 627 | 674 | 578 | 516 | 544 | 550 | -207 |
40代 | 841 | 864 | 815 | 780 | 842 | 799 | 803 | 696 | 734 | 714 | -127 |
50代 | 1,006 | 941 | 870 | 845 | 890 | 873 | 893 | 861 | 879 | 855 | -151 |
60~64歳 | 795 | 759 | 634 | 574 | 538 | 527 | 455 | 384 | 370 | 378 | -417 |
65歳以上 | 3,912 | 3,819 | 3,767 | 3,633 | 3,519 | 3,387 | 3,247 | 2,917 | 2,728 | 2,681 | -1,231 |
全体 | 10,540 | 10,261 | 9,469 | 8,877 | 9,107 | 8,660 | 8,283 | 7,273 | 7,333 | 7,107 | -3,433 |
※第1当事者
最初に交通事故に関与した事故当事者のうち,最も過失の重い者をいう。
第2当事者
最初に交通事故に関与した事故当事者のうち,第1当事者以外の者をいう。
自転車関連死亡重傷事故(第1・第2当事者)件数を年齢層で見ると,65歳以上の件数が一番多く,平成25年と比較した減少割合については,全年齢層とほぼ同じである。19歳以下は,65歳以上の件数に次いで多いが,平成25年と比較した減少割合については,全年齢層と比較して大きく減少している。以上から,自転車の安全対策では,件数が最も多い65歳以上の高齢者や,減少割合は全年齢層と比較して大きいものの,65歳以上の高齢者に次いで件数が多い19歳以下を中心に対策を講じることが望ましいものと考えられる(特集-第1図)。
2 相手当事者別
相手当事者別の自転車関連死亡重傷事故(第1・第2当事者)件数(平成30年~令和4年の合計)を見ると,対自動車が4分の3を占めている(特集-第4図)。
これを,第1当事者,第2当事者に分けて見ると,まず,第2当事者の場合では,対自動車が9割を超えており,自転車側が第2当事者になるケースでは圧倒的に自動車との事故であることが分かる。
第1当事者を見ると,約4割が対自動車となっている。自動車と自転車の事故であっても,自転車側に過失が大きいとされているケースも発生していることが分かる。
相手当事者が歩行者の事故は,ほぼ第1当事者となっていることが分かる(特集-第4図)。
自転車対歩行者の事故(自転車第1当事者)のうち,歩行者側が死亡・重傷を負った事故(平成30年~令和4年の合計。1,579件)の自転車運転者の年齢層の内訳では,20歳代以下が過半数を占めている。一方で,死亡又は重傷を負った歩行者は,65歳以上が過半数を占めている(特集-第5図)。
自転車対自動車の事故(自転車第2当事者)のうち,自転車側が死亡・重傷を負った事故(平成30年~令和4年の合計。24,559件)の自転車運転者の年齢層の内訳では,65歳以上が約4割を占めている(特集-第6図)。
3 違反別
自転車関連死亡重傷事故における自転車運転者(第1当事者,第2当事者の別)の法令違反状況(平成30年~令和4年の合計)を見ると,第1当事者の場合,安全運転義務違反が過半数を占めており,次いで一時不停止,信号無視の順に多くなっている(「その他」を除く。特集-第7図)。
第2当事者の場合,違反なしが約4割と一番多くなっているものの,第2当事者であっても,安全運転義務違反が約3分の1を占めているなど,約6割に一定の法令違反が認められるとの結果となった(特集-第7図)。
特集-第7図を年齢層別(65歳以上の高齢者,高校生,中学生,小学生)で見ると,第1当事者では,高校生,中学生,小学生の一時不停止の割合が,全年齢層と比較して高くなっている。一方,高校生,中学生,小学生の信号無視については,全年齢層と比較して低くなっている(特集-第8図)。
第2当事者では,全年齢層の違反なしの割合と比較して,小学生,中学生,高校生はその割合が低く(特に,小学生は違反なしの割合が3割を下回っている。),第2当事者であっても何かしらの違反が認められているケースが高いことが分かる。また,小学生では,交差点安全進行義務違反の割合が約2割を占めている(特集-第8図)。