特集 自転車の安全利用の促進について
第2章 自転車の安全利用の促進について(自転車安全利用五則)
第5節 ヘルメットを着用【第5則】
特集 自転車の安全利用の促進について
第2章 自転車の安全利用の促進について(自転車安全利用五則)
第5節 ヘルメットを着用【第5則】
1 第5則はヘルメット着用を定めたもの
令和4年4月,道路交通法が改正(令4法32)され,全ての年齢層の自転車利用者に対して,乗車用ヘルメットの着用の努力義務を課すこととされた(令和5年4月1日施行)。これに併せて,自転車安全利用五則の第5則についても,平成19年当時の「子どもはヘルメットを着用」から「ヘルメットを着用」に改正された。
2 交通事故統計から
(1)自転車乗用中の人身損傷部位
乗車用ヘルメットがいかに大切かという部分を交通事故統計から見てみることとする。
まず,自転車乗用中の死者・重傷者・負傷者の人身損傷主部位(損傷程度が最も重い部位(死亡の場合は致命傷の部位)をいう。平成30年~令和4年の合計)を見ると,死者の場合は頭部の損傷が致命傷となるケースが半数以上を占めている。重傷者の場合は脚部が約4分の1と一番高い割合になるものの,頭部も約2割弱を占める。負傷者の場合は脚部が最も多くなり,頭部は1割程度となっている(特集-第26図)。
また,65歳以上の高齢者,高校生,中学生,小学生の別で見ても,死者の半数程度は頭部の損傷が致命傷となっており,重傷者及び負傷者の場合は腕部,脚部の割合が高くなる(特集-第26図)。すなわち,どの年齢層であっても,自転車に乗る際は,頭部を守ることが重要であることが分かる。
(2)ヘルメット着用状況別
ヘルメット着用,非着用に分けて,自転車乗用中の死者の人身損傷主部位別を見ると,まず分かるのは,死者総数1,996人のうち,ヘルメット非着用が約95%とほとんどを占めており,また,死者重傷者の場合も,総数36,215人のうち,ヘルメット非着用が約91%を占めている。
また,頭部損傷で死亡している割合が,着用より非着用の方が高くなっている。死者重傷者で見た場合でも,死者の場合と同様に,着用より非着用が高くなっている(特集-第27図)。
自転車乗用中のヘルメット着用状況別の致死率(死傷者のうち死者の占める割合をいう。平成25年~令和4年の合計)は,着用と比較して非着用は約2.4倍となっている(特集-第28図)。