特集 自転車の安全利用の促進について
第3章 自転車活用推進に向けた取組
第1節 自転車活用推進計画

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特集 自転車の安全利用の促進について

第3章 自転車活用推進に向けた取組

自転車は環境にやさしいモビリティであるとともに,サイクリングを通じた健康づくりや余暇の充実等,人々の行動を広げ,地域とのふれあいや仲間とのつながりを取り持つコミュニケーションツールでもある。

さらに,多様な者が安全かつ快適に利用できる自転車の普及を更に進めることが必要となっている。

自転車の活用の一層の推進を図るためには,自転車専用道路等の整備,自転車の活用による国民の健康の増進,自転車と公共交通機関との連携の促進,災害時における自転車の有効活用に資する体制の整備など,様々な分野における取組を総合的かつ計画的に進めることが必要であるとの観点から,平成28年12月に自転車活用推進法(平28法113)が成立し,同法第9条に基づいて自転車活用推進計画を定めている。

現在は,令和3年5月に閣議決定した第2次自転車活用推進計画に基づき,自転車の活用の推進を計画的に図っているところである。

以下,自転車の活用の推進について取り組んでいる内容について記載することとする。

第1節 自転車活用推進計画

1 第2次自転車活用推進計画

自転車活用推進法が成立した後,平成30年に第1次自転車活用推進計画が策定され,関係府省庁・官民が連携しながら,同計画に盛り込まれている施策に取り組んできたところ,今後の社会の動向を見据えつつ,持続可能な社会の実現に向けた自転車の活用の推進を一層図るため,令和3年5月28日に,第2次自転車活用推進計画が策定された。

第2次自転車活用推進計画では,①コロナ禍における通勤・配達目的での自転車利用ニーズの高まり,②情報通信技術の飛躍的発展,③高齢化社会の進展等の昨今の社会情勢の変化等を踏まえ,第1次自転車活用推進計画から取組を更に強化することとした。

また,計画の構成としては,第1次自転車活用推進計画における4つの目標(「自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成」,「サイクルスポーツの振興等による健康長寿社会の実現」,「サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現」,「自転車事故のない安全で安心な社会の実現」)を踏襲しつつ,新たな施策として,「多様な自転車の開発・普及」及び「損害賠償責任保険等への加入促進」を追加している。

なお,第2次自転車活用推進計画の内容については以下のURLを参照。

https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/torikumi.html

2 地域における自転車活用推進計画

全国の地方公共団体においては,地域の実情に応じた「地方版自転車活用推進計画」を策定している。現在,47の都道府県,168の市区町村が,自転車活用推進計画を策定し,それぞれの地域において,地域の実情に応じた自転車の活用を推進しているところである。

トピック
【事例】地域の特性を活かした自転車活用推進計画の事例(東京都荒川区)

安全で快適な自転車通行空間を効果的,効率的に整備することを目的として,地域の現状調査を十分に行い,パーソントリップ調査結果に加えて,ビッグデータ(スマートフォンの移動履歴座標データ)を利活用して自転車の通行ニーズを考慮した面的な自転車ネットワークを構成する路線(自転車ネットワーク路線)を選定している。また,その路線の整備形態等を示した自転車ネットワーク計画や,無電柱化の推進と合わせた自転車通行空間整備,シェアサイクル事業,公園等を活用した事業,災害時における自転車の活用などを位置付けた多岐にわたり充実した計画を策定している。

https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a040/zitensya/keikaku.html

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