特集 通学路における交通安全の確保について
第1章 小学生の交通事故の状況
第2節 事故類型別等にみた小学生の交通事故の状況

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特集 通学路における交通安全の確保について

第1章 小学生の交通事故の状況

第2節 事故類型別等にみた小学生の交通事故の状況

1 事故類型別・道路形状別にみた交通事故の状況

歩行中の交通死亡事故・重傷事故件数(令和2年から6年までの合計)について、事故類型別・道路形状別にみると、交差点においては全年齢層で横断歩道横断中が最も多く、次いで横断歩道以外横断中が多くなっており、小学生においても横断歩道横断中、横断歩道以外横断中の順に多いが、全年齢層のような大きな差はみられない。また、単路においては、全年齢層で横断歩道以外横断中が最も多く、次に通行中が多くなっており(その他を除く。)、小学生においても横断歩道以外横断中、通行中の順に多いが(その他を除く。)、全年齢層に比べて小学生の方が大きな差がみられる(特集-第8図)。

また、交通事故による歩行中の死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、道路形状別にみると、全年齢層では交差点が1万9,613人で50.6%を占め過半数を超えており、小学生でも交差点が918人で49.2%を占め、交差点付近と合わせると5割を超えている(特集-第9図)。

小学生が歩行中の交通事故による道路形状別死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、学齢別にみると、学齢が上がるとともに死者・重傷者数自体は減少傾向にあり、特に小学3年生から大きく減少しているが、交差点、交差点付近、単路、その他の各割合は、学齢によって大きな差はみられない(特集-第10図)。

さらに、歩行中の交通死亡事故・重傷事故件数(令和2年から6年までの合計)について、道路形状別・車道幅員別にみると、全年齢層では、車道幅員5.5メートル以上の道路においては交差点が1万3,639件と最も多く、単路が9,256件と続いているほか、車道幅員5.5メートル未満の道路においても交差点が5,763件と最も多く、単路が2,796件と続いている。小学生では、車道幅員5.5メートル以上の道路においては単路が476件と最も多く、交差点が459件と続いているほか、車道幅員5.5メートル未満の道路においては交差点が440件と最も多く、単路が253件と続いており、全年齢層と比較すると車道幅員5.5メートル以上の道路において交差点よりも単路の方が多くなっている(特集-第11図)。

2 相手当事者別にみた交通事故の状況

歩行中の交通死亡事故・重傷事故件数(令和2年から6年までの合計)について、相手当事者別にみると、全年齢層及び小学生ともに自動車の割合が最も大きく、全年齢層では自動車が3万4,395件で89.4%、二輪車が1,807件で4.7%となっている。また、小学生では、自動車が1,679件で91.7%、自転車が72件で3.9%となっており、自動車が占める割合は全年齢層と同様で約9割となっている(特集-第12図)。

3 「ゾーン30」の整備有無別にみた交通事故の状況

ゾーン30については、警察と道路管理者が連携し、市街地等での通学路を含めた生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するため、最高速度30キロメートル毎時の区域規制等を実施するものとして、平成23年から整備を推進しており、令和6年度末までに4,410地区を整備している。

交通事故による歩行中の死者・重傷者数の推移について、ゾーン30の整備有無別にみると、令和6年は、全年齢層では、死者数がゾーン30整備地区で10人、未整備地区で955人であり、重傷者数がゾーン30整備地区で89人、未整備地区で7,033人であった。小学生では、死者数がゾーン30整備地区で0人、未整備地区で8人であり、重傷者数がゾーン30整備地区で9人、未整備地区で340人であった。ゾーン30整備地区における死者数や重傷者数が全体に占める割合について、全年齢層では死者数が約1.0%、重傷者数が約1.2%であったのに対し、小学生では死者はなく、重傷者数が約2.6%であった(特集-第13図)。

また、交通事故による歩行中の死者・重傷者数について、令和6年のゾーン30の整備有無別・年齢層別にみると、ゾーン30整備地区で7~12歳の死者はなかった。重傷者数については、ゾーン30整備地区における重傷者数が全体に占める割合を年齢層別に比較すると、7~12歳の割合は2.9%であり、他の年齢層よりも比較的高いことが分かる(特集-第14図)。

このほか、令和4年度末までに全国でゾーン30を整備した4,288地区において、整備前年度の1年間と整備翌年度の1年間における交通死亡事故・重傷事故件数を比較したところ、28.7%の減少となっており、そのうち、対歩行者・自転車の交通事故は26.2%の減少となっている(特集-第15図)。

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