特集 通学路における交通安全の確保について
第2章 通学路における交通安全の確保に向けた取組
第1節 通学路点検の始まり
特集 通学路における交通安全の確保について
第2章 通学路における交通安全の確保に向けた取組
第1節 通学路点検の始まり
通学路における点検は、平成24年4月に京都府亀岡市において、登校中の小学生等の列に自動車が突入し、3人が死亡、7人が重軽傷を負う交通事故が発生するなど、登下校中の小学生等が巻き込まれる交通事故が相次いで発生したことを受け、文部科学省、国土交通省及び警察庁が連携して取り組んできた。
以下、通学路における点検が始まった経緯や主な取組について記載することとする。
1 通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検
上記の京都府亀岡市等における登下校中の小学生等が死傷する交通事故の相次ぐ発生を受けて、文部科学省、国土交通省及び警察庁が連携し、通学路における交通安全の確保に向けて、諸対策を推進した。
(1)関係省庁副大臣会議の開催
平成24年5月28日、文部科学省、国土交通省及び警察庁による関係省庁副大臣会議を開催し、通学路における交通安全の確保に向けて、以下の取組を決定した。
ア 国レベルの連携体制の強化
文部科学省、国土交通省及び警察庁における一層の連携強化
イ 地域レベルの関係機関による連携体制の整備
教育委員会、道路管理者、警察等の関係機関や保護者、地域住民等を交えた連携体制の整備
ウ 緊急合同点検の実施
関係機関の連携と保護者、地域住民等の協力による通学路の緊急合同点検の実施及び点検結果を受けた対策の検討
(2)通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検の実施
関係省庁副大臣会議における決定を受け、平成24年5月末から全国約2万の公立小学校等の通学路を対象に、教育委員会・学校、道路管理者、警察が連携し、保護者や地域住民等の協力を得て緊急合同点検を実施した。
その結果、対策が必要な箇所は7万4,483か所であり、これらの箇所について、教育委員会・学校、道路管理者、警察がそれぞれ必要な対策を実施可能なものから推進することとした。
(3)通学路の交通安全の確保に関する有識者懇談会
各地域における対策の検討に資するため、平成24年6月から7月にかけて3回にわたり、通学路の交通安全の確保に関する有識者懇談会を開催し、安全確保の対策を進める際の考え方や具体的な対策例等として、「道路交通環境の整備」や「関係機関等の連携・協力による地域全体の安全確保」、「交通安全教育の効果的な促進」等の観点から様々な意見が出された(特集-第16図)。
文部科学省、国土交通省及び警察庁では、有識者懇談会における主な意見を取りまとめて公表するとともに、各都道府県の関係機関に提供した。

2 通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進(「通学路交通安全プログラム」に基づく取組)
緊急合同点検の実施後、平成25年5月31日には、文部科学省、国土交通省及び警察庁による今後の取組に関する通知を発出し、緊急合同点検に基づく対策の実施後においても、各地域において定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等の取組を継続して推進することとした。
その取組を着実かつ効果的に実施するために必要と考える基本的な進め方を、同年12月に文部科学省、国土交通省及び警察庁で取りまとめ、地方公共団体等に通知した上で、引き続き通学路の交通安全の確保に取り組むこととした(特集-第17図)。

(1)推進体制の構築
地域ごとに通学路の交通安全の確保に向けた取組の基本的方針を策定するとともに、策定した基本的方針に基づく取組を継続して推進するため、関係者で構成し、定期的に開催する協議会を設置するなど推進体制を構築することとした。
推進体制の構成は、通学路における安全対策の関係機関となる、教育委員会・学校、PTA、警察、道路管理者を含めることを基本とし、必要に応じて自治会代表者や学識経験者等を加えることとした。
(2)基本的方針の策定
(1)で構築した推進体制においては、各地域の実情を踏まえた合同点検や対策の改善・充実等の取組を着実かつ効果的に実施するため、緊急合同点検の枠組みを活用するほか、以下の内容を含む取組の基本的方針を策定することとした。
ア 合同点検の実施方針
合同点検の実施時期、合同点検の体制、合同点検の実施方法等を定める。
合同点検の実施時期については、緊急合同点検の実施状況や周辺環境の変化等を踏まえ、毎年実施や複数年ごとの実施等、地域の実情に応じて適切に設定する。
合同点検の体制は、緊急合同点検と同様に教育委員会・学校、保護者、警察、道路管理者を含む体制とすることを基本とする。
イ 通学路安全確保のためのPDCAサイクルの実施方針
合同点検の実施・対策の検討、対策の実施、対策効果の把握、その結果を踏まえた対策の改善・充実を一連のサイクルとして繰り返し実施すること(PDCAサイクル)が継続的な安全性向上のために必要であるとの観点から、これらを取組の基本的な考え方として定める。
(3)公表等
推進体制の構成及び基本的方針をまとめたものを公表するとともに、合同点検によって抽出した対策必要箇所について、対策箇所図及び対策一覧表を作成し、公表することとした(特集-第18図)。
