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東京湾への湾外避難・入湾回避勧告の発出について
荒天時の走錨等に起因する船舶事故の防止対策
近年、台風等の異常気象が激甚化・頻発化する状況を踏まえ、更なる荒天時の走錨等に起因する船舶事故の防止対策の強化のため、令和3年に施行された海上交通安全法等の一部を改正する法律により、
・異常な気象・海象が予想される場合の勧告・命令制度
・海上交通センターによる情報提供、危険回避措置の勧告制度
等が創設された。
当該制度に基づき、特に勢力の強い台風等が東京湾、伊勢湾、瀬戸内海(大阪湾を含む。)を直撃すると予想される場合、大型船等の一定の船舶に対し、湾外等の安全な海域への避難や入湾の回避の勧告等が可能となり、令和5年度までの同勧告の運用実績は4年度に2件、5年度に1件であった。


東京湾を対象とした初めての湾外避難・入湾回避勧告の発出
令和6年8月には、日本の南を北上中の台風7号が、気象庁の発表している台風経路図(5日間予報)で東京湾に接近する予報であったため、東京湾の海事関係者等により構成される協議会において、湾外避難等勧告の発出について検討した結果、最大風速毎秒40メートル以上の勢力で東京湾に接近するおそれがあると判断されたため、海上保安庁は、同月14日午後3時、海上交通安全法に基づく湾外避難・入湾回避勧告を「東京湾」を対象として発出した。同勧告後、約40隻の大型船等の一定の船舶は東京湾外の安全な海域まで避難した。
これまで他の海域を対象とした勧告の発出はあったものの、後背地に首都圏を抱え、1日当たりの通航隻数が約400隻となる有数のふくそう海域である東京湾を対象とした勧告は今回が初めてであった。
当該勧告発出は、同月17日午前3時に解除したが、その間、走錨等に起因する船舶事故の発生はなかった。海上保安庁では、引き続き、上記制度を的確に運用し、台風等の異常気象時における船舶交通の安全確保に努めていく。