特集 「道路交通の安全確保に向けた新たな挑戦」―第12次交通安全基本計画の策定―
第3章 第12次交通安全基本計画の策定
第2節 第12次交通安全基本計画の施策の概要
特集 「道路交通の安全確保に向けた新たな挑戦」―第12次交通安全基本計画の策定―
第3章 第12次交通安全基本計画の策定
第2節 第12次交通安全基本計画の施策の概要
1 道路交通の安全
① 道路交通環境の整備
今後の道路交通環境の整備に当たっては、自動車交通を担う幹線道路等と歩行者中心の生活道路の機能分化を進め、身近な生活道路の安全の推進に取り組むこととする。
また、少子高齢化が一層進展する中で、こどもを交通事故から守り、高齢者や障害者が安全にかつ安心して外出できる交通社会の形成を図る観点から、安全・安心な歩行空間が確保された人優先の道路交通環境整備の強化を図っていくものとする。
そのほか、道路交通の円滑化を図ることによる交通安全の推進に資するため、交通需要マネジメント(TDM※)施策を総合的に推進するとともに、ICT等を用いて、人と道路と車とを一体のシステムとして構築し、安全性、輸送効率及び快適性の向上を実現するとともに、高度道路交通システム(ITS※)の開発・普及等を推進する。
※TDM:Transportation Demand Management
※ITS:Intelligent Transport Systems
○ 生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備
・ 「ゾーン30」や「ゾーン30プラス」の整備
・ 生活道路における法定速度の時速30キロメートル毎時への引下げに係る制度の円滑な施行
・ ETC2.0プローブデータ等の活用による効果的な交通安全対策の実施
・ 関係機関が連携して通学路等における交通安全対策を推進
・ 除雪や融雪設備の整備の際に、通学路に配慮して実施し、積雪地域の交通安全対策を推進
・ センサーによる注意喚起看板の設置等、学校等とも連携した中学生・高校生の通学中の自転車の交通安全対策を面的に推進
・ センサー付きスポットライトや二段階横断施設の設置等による高齢者の交通安全対策を推進

※一般道路
高速自動車国道の本線車道(道路交通法施行令第27条の2に規定する本線車道を除く。)並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路
○ 幹線道路における交通安全対策の推進
・ 高速自動車国道等における逆走対策として、逆走車に対し強く衝撃を与えるような段差や突起物を路面上に設ける物理的対策等の実施
・ 道路管理用カメラの画像からAI技術により逆走車両を検知し、逆走車及び周囲の順走車に対して逆走情報を通知する技術の開発等を推進
○ 交通安全施設等の整備事業の推進
・ 高齢運転者や外国人にも見やすく分かりやすい規制標識・道路標示・信号灯器等の整備を推進
○ 高齢者等の移動手段の確保・充実
・ 持続可能な地域交通の確保・充実を通じた公共交通機関の利用促進
・ 「交通空白」の解消に向け、公共・日本版ライドシェア等の普及等の取組を推進
○ 無電柱化の推進
・ 安全で快適な通行空間の確保等の観点から、無電柱化推進計画に基づく幅員が著しく狭い歩道等の新設電柱の占用禁止や既設電柱の占用制限等を推進
○ 自転車利用環境の総合的整備
・ 歩行者、自転車及び自動車が適切に分離された自転車通行空間の計画的な整備を推進
○ ITSの活用
・ ETC2.0等のインフラの整備を推進するとともに、インフラから提供される情報を補完するため、リアルタイムのプローブ情報※等の道路交通情報を集約・配信
※プローブ情報
カーナビゲーションシステム等に蓄積された走行履歴情報。
・ ETC2.0車載器で収集するデータについては、データの性質や利活用シーン等を踏まえ、オープン化を推進
○ 道路交通情報の充実
・ ルート番号等を用いた案内標識の設置、案内標識の英語表記改善、英語併記の規制標識の整備等により国際化への進展に対応
・ 外国人運転者の交通事故多発箇所等において、多言語の看板や路面標示等による注意喚起等の取組を強化
② 交通安全思想の普及徹底
交通安全意識を向上させ交通マナーを身に付けるためには、人間の成長過程に合わせ、生涯にわたる学習を通じて国民一人一人が交通安全の確保を自らの課題として捉えるよう意識の改革を促すことが重要である。
○ 段階的かつ体系的な交通安全教育の推進
・ こどもの成長過程に合わせた、家庭及び関係機関・団体等が連携・協力した交通安全教育の推進
・ 運転免許を持たない若者や成人が交通安全について学ぶ機会の設定
・ 高齢化の一層の進展に的確に対応し、高齢者が安全に、かつ、安心して外出できる交通社会を形成するため、高齢者自身の交通安全意識の向上、国民全体が高齢者を見守り、高齢者に配慮する意識の向上等の取組を推進
・ 外国人に対する日本の交通ルールの周知活動等の推進及び特定技能制度等により国内で働く外国人運転者に対する交通安全対策を充実

○ 交通安全に関する普及啓発活動の推進
・ 歩行者の安全確保
・ 「自転車の交通安全教育ガイドライン」を踏まえた交通安全教育の推進
・ 自転車の「ながらスマホ」の罰則強化、酒気帯び運転の罰則対象化に関する広報啓発の推進
・ 自転車利用者のヘルメット着用を始めとした交通ルール等の広報啓発等の充実
・ 児童を含むチャイルドシートの正しい使用の徹底
・ 特定小型原動機付自転車の安全利用やペダル付き電動バイクの安全対策の推進
○ 交通の安全に関する民間団体等の主体的活動の推進
・ 交通ボランティア等の高齢化が進展する中、幅広い年代の参画に努めるほか、継続的な活動を確保するために、国や地方公共団体からの支援を推進
③ 安全運転の確保
運転者の能力や資質の向上を図るため、運転者のみならず、これから運転免許を取得しようとする者までを含めた運転者教育等の充実に努める。
また、運転者に対して、運転者教育、安全運転管理者による指導、その他広報啓発等により、横断歩道においては歩行者が優先であることを含め、高齢者や障害者、こどもを始めとする歩行者や自転車に対する保護意識の向上を図る。
○ 高齢運転者対策の充実
・ 認知機能検査、安全運転相談等の機会を通じて、認知症の疑いがある運転者等の把握に努め、臨時適性検査等の確実な実施により、安全な運転に支障のある者については運転免許の取消し等の行政処分を実施
・ 75歳以上で一定の違反歴がある高齢運転者に対する運転技能検査の適切な実施
○ 外国人運転者対策の強化
・ いわゆる「外免切替」制度について、令和7年10月に改正された新たな制度の厳格な運用の徹底
○ 安全運転管理の推進
・ 安全運転管理者によるアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等の確実な履行のための指導
○ 事業用自動車の安全プラン等に基づく安全対策の推進
・ 事業用自動車総合安全プラン等に基づき、安全体質の確立、飲酒運転、迷惑運転等の根絶、ICT・自動運転等新技術の普及促進等について総合的な取組を推進
④ 車両の安全性の確保
従来取り組んできた衝突時の被害軽減対策の進化・成熟化を図ることに加え、交通事故を未然に防止する予防安全対策について、自動運転技術を含む先進安全技術のより一層の普及促進・高度化等により、更なる充実を図る。
また、発生してしまった交通事故についても、車両構造面からの被害軽減対策を拡充するとともに、交通事故発生後の車両火災防止や車両からの脱出容易性の確保等、被害拡大防止対策を併せて進める。
○ 車両の安全性に関する基準等の改善の推進
・ 車両の安全対策の基本である自動車の構造・装置等の安全要件を定める道路運送車両の保安基準(昭26運輸省令67)について、適切に拡充・強化を推進
・ 運転者の先進技術に対する過信・誤解による交通事故を防止するため、先進技術に関する理解醸成の取組を推進
・ 高齢運転者が自ら運転をする場合の安全対策として、ペダル踏み間違い時加速抑制装置やドライバー異常時対応システム等の性能向上・普及促進
○ 自動運転車の安全対策・活用の推進
・ より高度な自動運転機能についての基準策定を引き続き推進
・ 安全な無人自動運転移動サービスの普及・拡大に向けて、制度整備及び地方公共団体等の取組の支援を通じて事業化を推進
・ 運輸安全委員会における自動運転車に係る事故原因究明体制の構築について検討を実施
・ 型式指定申請に係る不正事案に対する再発防止策を講じ、認証審査に係る制度を的確に運用
○ 自動車アセスメントによる安全な自動車等の普及促進
・ 自動車の安全性に関する情報を自動車ユーザーに提供することにより、自動車ユーザーの選択を通じて、より安全な自動車の普及拡大を促進すると同時に、自動車製作者のより安全な自動車の研究開発を促進
○ 自転車の安全性の確保
・ 定期的に点検整備や正しい利用方法等の指導を受ける機運を醸成
・ 自転車が加害者となる交通事故に関し、賠償責任を負った際の支払い原資を担保し、被害者の救済の十全を図るため、損害賠償責任保険等への加入を促進
⑤ 道路交通秩序の維持
交通事故実態等を的確に分析し、死亡事故等重大事故に直結する悪質性・危険性の高い違反や、駐車違反等の迷惑性の高い違反に重点を置いた交通事故抑止に資する交通指導取締りを推進する。
また、交通事故事件の発生に際しては初動段階から組織的な捜査を行うとともに、危険運転致死傷罪の立件も視野に入れた捜査の徹底を図るほか、捜査力の強化や客観的な証拠に基づいた事故原因の究明等により適正かつ緻密な捜査の一層の推進を図る。
○ 交通指導取締りの強化等
・ 無免許運転、飲酒運転等の交通事故に直結する悪質性・危険性の高い違反、取締り要望の多い迷惑性の高い違反に重点を置いた交通指導取締りを推進
・ 「ながらスマホ」の交通指導取締りを強化
・ 交通指導取締りの実施状況について、交通事故の発生実態等を分析し、その結果を取締り計画の見直しに反映させる、PDCAサイクルを一層推進
・ 自転車利用者による無灯火、二人乗り、信号無視、一時不停止等に対して積極的に指導警告を行うとともに、自転車への交通反則通告制度の導入を踏まえ、事故抑止に資する取締りを推進
・ 特定小型原動機付自転車利用者やペダル付き電動バイク利用者に対する交通指導取締りを強化
・ いわゆる白タク・白トラ行為の抑止に向けた広報啓発活動を行うとともに、関連情報の収集・共有、取締り等を強化
○ 交通事故事件等に係る適正かつ緻密な捜査の一層の推進
・ 危険運転致死傷罪の立件を視野に入れた捜査の徹底
・ 交通事故事件等に係る科学的捜査の推進
⑥ 救助・救急活動の充実
交通事故による負傷者の救命を図り、また、被害を最小限にとどめるため、道路上の交通事故に即応できるよう、救急医療機関、消防機関等の関係機関における緊密な連携・協力関係を確保しつつ、救助・救急体制及び救急医療体制の整備を図る。特に、救急現場又は搬送途上において、医師、看護師、救急救命士、救急隊員等による一刻も早い救急医療、応急処置等を実施するための体制整備を図るほか、事故現場からの緊急通報体制の整備やバイスタンダー(現場に居合わせた人)による応急手当の普及等を推進する。
○ 救助・救急体制の整備
・ 交通事故の種類・内容の複雑多様化に対処するため、救助体制を整備拡充
・ 救助工作車や交通救助活動に必要な救助資機材を充実
・ 救急救命士等がより高度な救急救命処置を行うことができるよう、高規格救急自動車、高度救命処置用資機材等の整備を推進
○ 救急医療体制の整備
・ 地域の実情に応じた救急医療体制の整備を推進
・ 患者の救命率の向上や後遺症を軽減させるため、医師等が同乗し救命医療を行いながら搬送できるドクターヘリを配備し、地域の実情に応じた体制を整備
⑦ 被害者等支援の充実と推進
交通事故被害者等は、交通事故により多大な肉体的、精神的及び経済的打撃を受けたり、又はかけがえのない生命を絶たれたりするなど、深い悲しみやつらい体験をされており、このような交通事故被害者等を支援することは極めて重要であることから、犯罪被害者等基本法(平16法161)等の下、交通事故被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進する。
また、近年、自転車が加害者になる交通事故に関し、高額な賠償額となるケースもあり、こうした賠償責任を負った際の支払い原資を担保し、被害者の救済の十全を図るため、関係事業者の協力を得つつ、損害賠償責任保険等への加入を加速化する。
○ 自動車損害賠償保障制度の充実等
・ 自動車損害賠償責任保険(共済)による救済を受けられないひき逃げや無保険(無共済)車両による交通事故の被害者等への救済の観点から引き続き政府の自動車損害賠償保障事業を適正に運用
○ 損害賠償の請求についての援助等
○ 交通事故被害者等支援の充実強化
・ 交通事故被害者等の支援の充実を図るため、シンポジウムの開催や自助グループの活動の促進に資する施策を推進
・ 交通事故被害者等の希望に応じ、被害者等通知制度による情報の提供に加え、不起訴処分について、捜査への支障等を勘案しつつ、処分の内容及び理由を説明
⑧ 研究開発及び調査研究の充実
道路交通の安全に関する研究開発の推進を図るとともに、交通事故の分析を充実させるなど、引き続き、道路交通事故要因の総合的な調査研究の推進を図る。
研究開発及び調査研究の推進に当たっては、国及び独立行政法人の試験研究機関について、研究費の充実、研究設備の整備等を図るとともに、研究開発に関する総合調整の充実、試験研究機関相互の連絡協調の強化等を図る。さらに、研究開発を行っている大学、民間試験研究機関、学術団体等との緊密な連携を図る。
くわえて、研究開発の成果を交通安全施策に取り入れるとともに、地方公共団体に対する技術支援や、民間に対する技術指導、資料の提供等によりその成果の普及を図る。
○ 安全な自動運転の社会実装に向けた課題に関する調査研究
・ 自動運転車の実装に当たり課題となり得る道路交通法の規定の有無、対応方法及び自動運転車による道路交通法の具体的な遵守方法等について、技術開発等の動向を踏まえつつ検討
○ 道路交通事故原因の総合的な調査研究の充実強化
・ 救命救急医療機関等との医工連携による交通事故データベースの充実及びその活用を推進
2 鉄道交通の安全
① 鉄道交通環境の整備
鉄道施設の維持管理及び補修の実施、老朽化が進んでいる施設への長寿命化に資する補強・改良の推進、土砂災害への対策の強化、地下駅等の浸水対策の強化、主要駅や高架橋等の耐震対策を推進する。
また、ホームドアの整備を加速化するとともに、ホームドアがない駅での新技術等を活用した転落防止対策を推進する。
さらに、線路を横断しないよう注意喚起する看板の設置や侵入防止のための柵の設置等の対策に係る鉄道事業者等への情報共有等を図る。
② 鉄道交通の安全に関する知識の普及
学校、沿線住民、道路運送事業者等を対象として、関係機関等の協力の下、全国交通安全運動や踏切事故防止キャンペーンの実施、鉄道事業者・携帯電話業者等が一体となって、鉄道利用者にホームの「歩きスマホ」による危険性の周知や酔客に対する事故防止のための注意喚起を行うプラットホーム事故0(ゼロ)運動等の広報活動を積極的に行い、鉄道の安全に関する正しい知識を浸透させる。
③ 鉄道の安全な運行の確保
鉄道事業者に対し、計画的に保安監査を実施し、輸送の安全の確保に関する取組の状況等について適切な指導を行うとともに、過去の指導のフォローアップを実施する。また、計画的な保安監査のほか、重大な事故等の発生等の際にも臨時で保安監査を行うなど、メリハリの効いたより効果的な保安監査を実施するなどして、保安監査の充実を図る。
このほか、鉄道事業者に対し、気象状況により列車の運転に支障が生ずるおそれが予測されるときは、安全確保の観点から、路線の特性に応じて、前広に情報提供した上で計画的に列車の運転を休止するなど、安全の確保に努めるよう指導する。
④ 鉄道車両の安全性の確保
発生した事故や科学技術の進歩を踏まえつつ、適時・適切に鉄道車両の構造・装置に関する保安上の技術基準を見直す。
⑤ 救助・救急活動の充実
鉄道の重大事故等に備え、避難誘導、救助・救急活動を迅速かつ的確に行うため、訓練の充実や鉄道事業者と消防機関、医療機関その他の関係機関との連携・協力体制の強化を図る。
鉄道職員に対する、自動体外式除細動器(AED)の使用も含めた心肺蘇生法等の応急手当の普及啓発活動を推進する。
なお、住民に対する心肺蘇生法等の応急手当の普及啓発活動については、消防機関、保健所、医療機関、日本赤十字社等の関係機関において、引き続き実施していく。
⑥ 被害者支援の推進
関係者からの助言を頂きながら、外部の関係機関とのネットワークの構築、公共交通事故被害者等支援フォーラムの開催、公共交通事業者による被害者等支援計画作成の促進等、公共交通事故の被害者等への支援の取組を着実に進めていく。
⑦ 鉄道事故等の原因究明と事故等防止
鉄道事故及び鉄道事故の兆候(鉄道重大インシデント)の原因究明を更に迅速かつ的確に行うため、専門的な研修を充実させ、調査技術の向上を図るとともに、ドローン、3Dスキャン装置等を用いた3次元測量等の非破壊検査による科学的かつ客観的な調査を推進し、解析手法の高度化を図り、その成果を原因の究明に反映する。
事故等調査結果等に基づき、必要な施策又は措置の実施を求め、鉄道交通の安全に寄与する。
⑧ 研究及び技術開発の充実
自動運転等の運行制御に関わる安全性に関して的確な評価を行うための研究等を行うとともに、線路内の支障物検知手法等の安全性向上に資する技術開発の支援を行う。
3 踏切道における交通の安全
① 踏切道の立体交差化、構造の改良及び歩行者等立体横断施設の整備、バリアフリー化の促進
開かずの踏切や、主要な道路で交通量の多い踏切道等については、抜本的な交通安全対策である連続立体交差化等により、除却を促進するとともに、道路の新設・改築及び鉄道の新線建設に当たっては、原則、立体交差化を図る。
くわえて、立体交差化までに時間の掛かる開かずの踏切等については、早期に安全・安心を確保するため各踏切道の状況を踏まえ、歩道拡幅等の構造改良、カラー舗装、歩行者等立体横断施設の設置等や駐輪場整備等の一体対策を促進するほか、円滑化にも資する場合には、踏切信号機の設置等の暫定的な速効対策について、速やかに関係省庁が連携して検討し、早期に必要な取組を推進する。
また、踏切横断交通量削減のため、駅の出入口の新設や密接関連道路の整備等の踏切周辺対策を促進する。
歩道が狭隘な踏切についても、踏切道内において歩行者と自動車等が錯綜することがないよう歩行者滞留を考慮した踏切拡幅等、事故防止効果の高い構造への改良を促進する。
さらに、平成27年10月の高齢者等による踏切事故防止対策検討会の取りまとめ及び「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」(令和6年1月改定)を踏まえ、平滑化や踏切道内誘導表示の設置等のバリアフリー化を含めた高齢者等が安全で円滑に通行するための対策を促進する。
以上のとおり、立体交差化等による「抜本対策」と構造の改良等による「速効対策」の両輪による総合的な対策を促進する。
② 踏切道の統廃合の促進
踏切道の立体交差化、構造の改良等の事業の実施に併せて、近接踏切道のうち、その利用状況、迂回路の状況等を勘案して、第3、4種踏切道等地域住民の通行に特に支障を及ぼさないと認められるものについて、統廃合を進めるとともに、これら近接踏切道以外の踏切道についても同様に統廃合を促進する。
③ 踏切保安設備等の整備及び交通規制の実施
踏切道の利用状況、踏切道の幅員、交通規制の実施状況等を勘案し、着実に踏切遮断機の整備を行うとともに、統廃合や踏切遮断機の整備が困難な踏切道に対して、歩行者等の直前横断等を抑止するためのゲートや柵等の設置等踏切事故の減少が期待できる設備の整備を促進する。
高齢者等の歩行者対策としても効果が期待できる、全方位型警報装置、非常押ボタンの整備、障害物検知装置の高規格化や、AI等を活用した更なる踏切安全対策を推進する。
道路の交通量、踏切道の幅員、踏切保安設備の整備状況、迂回路の状況等を勘案し、必要に応じ、自動車通行止め、大型自動車通行止め、一方通行等の交通規制を実施するとともに、併せて道路標識の高輝度化等による視認性の向上を図る。
④ その他踏切道の交通の安全及び円滑化等を図るための措置
緊急に対策の検討が必要な踏切道は、「踏切安全通行カルテ」を作成・公表し、効果検証を含めたプロセスの「見える化」を推進して、各踏切の状況を踏まえた対策を重点的に推進する。
また、ICT技術の発展やライフスタイルの変化等、社会を取り巻く環境の変化を見据え、更なる踏切道の安全性向上を目指し、対策を検討する。
災害時においても、踏切道の長時間遮断による救急・救命活動や緊急物資輸送の支障の発生等の課題に対応するため、関係者間で遮断時間に関する情報共有を図るとともに、遮断の解消や迂回に向けた災害時の管理方法を定める取組を推進する。
4 海上交通の安全
① 海上交通環境の整備
船舶の安全かつ円滑な航行、港湾における安全性を確保するため、航路、港湾、漁港、航路標識等の整備を推進するとともに、海図、水路誌、海潮流データ等の安全に関する情報の充実及びICTを活用したリアルタイムの監視・情報提供体制の整備を図る。
航路標識等の整備については、近年、激甚化する台風等の自然災害に伴う倒壊等を未然に防止し、災害時でも海上交通安全を確保するために、航路標識等の強靱化を図る。
また、荒天時における船舶の走錨等に起因する事故を防止するため、走錨等により船舶が衝突するおそれのある施設の周辺海域において、錨泊制限等の対策を継続的に実施する。
② 海上交通の安全に関する知識の普及
海上交通の安全を図るためには、海事関係者のみならず、マリンレジャー愛好者、更には広く国民一人一人の海難防止に関する意識を高める必要がある。そのため、あらゆる手段により、海難防止思想の普及に努める。
③ 船舶の安全な運航の確保
船舶の安全な運航を確保するため、船舶運航上のヒューマンエラーの防止、船員や海上運送事業者等の資質の向上、運航労務監理官による監査、事故の再発防止策の指導・徹底、運輸安全マネジメント評価等を推進するとともに、我が国に寄港する外国船舶の乗組員の資格要件等に関する監督を推進する。
船員の資質の向上については、小型旅客船に乗り込む船員の資質の向上を図るため、事業用操縦免許について講習課程の拡充及び乗船履歴に応じた船舶の航行区域の限定、海域の特性等に関する教育訓練の実施等、新たな制度を適切に運用し、小型船舶操縦者の安全意識の向上を図る。
心肺蘇生法を含む救命講習については、海技免許の付与時に受講することとし、船員の資質の確保を図っており、また、船員災害防止実施計画では、自動体外式除細動器(AED)の使用方法に関する講習会等の取組を通じ、船員災害防止対策の推進を図る。
④ 船舶の安全性の確保
船舶の安全性を確保するため、国際的な協力体制の下、船舶の構造、設備、危険物の海上輸送及び安全管理システム等に関する基準の整備並びに検査体制の充実を図るとともに、我が国に寄港する外国船舶の構造・設備等に関する監督を推進する。
⑤ 小型船舶等の安全対策の充実
小型船舶の船舶事故の主な原因は、ヒューマンエラーによるものが大半であることから、小型船舶操縦者による自主的な安全対策の促進、事故防止に資する技術の活用・普及、情報提供等を通じた安全意識の向上に取り組む。
また、ライフジャケット着用率を向上させるため、関係省庁等が連携して、様々な機会を活用し、ライフジャケットの着用効果の周知・啓発とその着用の指導徹底の取組を強化する。
このほか、小型船舶のうちプレジャーボートの船舶事故については、特に機関故障事故が多く、発航前検査では防止することができない事故が、一定数発生している現状を踏まえ、定期的な点検整備の有用性について、SNSを活用するなどして効果的な周知を行い、同点検整備の実施を推進する。
⑥ 海上交通に関する法秩序の維持
海上交通に係る法令違反の指導取締りを行い、海上交通に関する法秩序を維持する。
⑦ 救助・救急活動の充実
ヘリコプターの機動性、高速性等を活用した機動救難体制の拡充によるリスポンスタイムの短縮、救急救命士・救急員による高度な救急救命体制の充実を図るとともに、関係機関及び民間の海難救助団体等と連携した救助・救急活動の円滑化を推進するなどにより、海中転落の救助率が低い20トン未満の船舶における海中転落者の救助率の向上を含む全体の救助率の向上を目指す。
また、緊急通報用電話番号『118番』、聴覚や発話に障害のある方を対象とした『NET118』の有効活用等に関する指導・啓発及び広報活動等の施策を推進することにより、海難発生後2時間以内での海上保安庁の関知率を85%以上にすることを目指すとともに、迅速的確な救助勢力の体制充実・強化を図る。
このほか、通報者がスマートフォンを使用し、現場の状況を映像でリアルタイムに伝えることができる機能等を有した「Live118」を活用することで、海難情報を早期かつ正確に入手する体制の構築を図る。
⑧ 被害者支援の推進
船舶事故により、第三者等に与えた損害に関する船主等の賠償責任に関し、保険契約の締結等、被害者保護のための賠償責任保障制度の充実に引き続き取り組む。
関係者からの助言を頂きながら、外部の関係機関とのネットワークの構築、公共交通事故被害者等支援フォーラムの開催、公共交通事業者による被害者等支援計画作成の促進等、公共交通事故の被害者等への支援の取組を着実に進めていく。
また、プレジャーボートによる人身事故や物損等で生じた損害の賠償に対処するため、船舶検査等の機会を捉え、プレジャーボートのユーザーに対しプレジャーボート保険を周知し、保険加入の促進を図る。
⑨ 船舶事故等の原因究明と事故等防止
船舶事故及び船舶事故の兆候(船舶インシデント)の原因究明を更に迅速かつ的確に行うため、専門的な研修を充実させ、調査技術の向上を図るとともに、ドローン、3Dスキャン装置等を用いた3次元測量等の非破壊検査による科学的かつ客観的な調査を推進し、解析手法の高度化を図り、その成果を原因の究明に反映する。
事故等調査結果等に基づき、必要な施策又は措置の実施を求め、海上交通の安全に寄与する。
また、海上技術安全研究所に設置している「海難事故解析センター」において、海難事故発生時に迅速に情報を分析して事故原因の解析を行うとともに、重大海難事故では、シミュレーターや試験水槽等を活用した事故の再現等の詳細な解析を行い、海上交通における安全対策に反映させる。
⑩ 海上交通の安全対策に係る調査研究等の充実
現在の船舶自動識別装置(AIS※)と比較し、航行支援に係るデータ通信量が飛躍的に増大する「VHFデータ交換システム(VDES※)」については、次世代AISと位置付けられ、国際標準の策定作業が行われているところであり、これを推進・主導している我が国においては、引き続き、国際標準化に貢献し、我が国への導入可能性の検討を行う。
※AIS:Automatic Identification System
※VDES:VHF Data Exchange System
5 航空交通の安全
① 航空安全プログラムの更なる推進
SSPを導入し、関連する各施策に取り組むことにより、これまでの法令遵守型の安全監督に加え、国が安全指標及び安全目標値を設定してリスクを管理し、義務報告制度・自発報告制度等による安全情報の収集・分析・共有等を行うことで、航空安全対策を更に推進する。
② 航空機の安全な運航の確保
操縦士等の技能証明等諸制度の適切な運用及び必要な見直しのほか、リソースの有効活用や養成・業務の効率化、裾野拡大の各視点での対策等、中長期的かつ計画的に操縦士・整備士の養成・確保に向けた取組を推進する。
また、小型航空機等に係る安全対策として、操縦者のヒューマンエラー防止を目的とした技能発揮訓練により、滑走路への誤進入等の危険な事態の発生を防止するなど、小型航空機等の安全対策を推進するほか、小型航空機への簡易型飛行記録装置(FDM※)の導入促進を図る。
※FDM:Flight Data Monitoring
③ 航空機の安全性の確保
技術の進歩等に対応した航空機に係る安全基準の策定、技術に関する調査、航空機の安全性に関する情報の分析等を踏まえた関係者への情報提供、航空機に対する型式証明等における設計検査及び国の検査に代わり基準適合性の確認を行う民間事業者の指導・監督等に万全を期すなど、航空機検査体制の充実を図る。国産航空機については、設計製造国として安全・環境基準への適合性の審査を適切かつ円滑に実施するとともに、運航開始後も安全性が維持・継続されるよう、的確に対応する。
④ 航空交通環境の整備
管制処理能力の向上によって増大する航空需要に対応するため、統合管制情報処理システムについてハードウェアとソフトウェア両面での機能向上を図る。
ヒューマンエラー等に起因する滑走路誤進入を防止するため、主要空港への滑走路状態表示灯の整備や管制交信に関する管制官とパイロットとの意見交換等ハード・ソフト両面での取組を進める。
⑤ 無人航空機等の安全対策
無人航空機については、今後、運航の高密度化が見込まれるところ、同一空域における無人航空機同士、あるいは無人航空機と低高度を飛行する有人機の接近や衝突を防止するため、運航管理システム(UTM※)の段階的導入に向けた検討を行うほか、多数機同時運航を安全に実施するための環境整備を継続的に進める。
※UTM:Unmanned Aircraft System Traffic Management
また、小型無操縦者航空機による貨物輸送等を早期に実現するため、機体の開発促進や運航の実現に必要な基準等を整備するほか、「空飛ぶクルマ」の運航拡大に向けて、制度整備を推進する。
⑥ 救助・救急活動の充実
航空機の遭難、行方不明等に際して、迅速かつ的確な捜索救難活動を行うため、救難調整本部と関係行政機関の連携を強化するとともに、隣接国の捜索救難機関と連携した捜索救難体制を確立する。
空港における救急医療体制については、年次計画に従い救急医療活動に必要な医療資機材の配備等を進めるとともに、救急医療活動が的確かつ円滑に実施できるよう関係医療機関等との連携の強化を図る。さらに、空港管理者が、事故発生時に備え、迅速かつ的確な消防・救急活動が行われるよう、空港の所在する市町村の消防機関等の関係機関との協力体制の構築を推進する。また、空港職員に対する、自動体外式除細動器(AED)の使用も含めた心肺蘇生法等の応急手当の普及啓発活動を推進する。
なお、住民に対する心肺蘇生法等の応急手当の普及啓発活動については、消防機関、保健所、医療機関、日本赤十字社等の関係機関において、引き続き実施していく。
⑦ 被害者支援の推進
関係者からの助言を頂きながら、外部の関係機関とのネットワークの構築、公共交通事故被害者等支援フォーラムの開催、公共交通事業者による被害者等支援計画作成の促進等、公共交通事故の被害者等への支援の取組を着実に進めていく。
⑧ 航空事故等の原因究明と事故等防止
航空事故及び航空事故の兆候(航空重大インシデント)の原因究明を更に迅速かつ的確に行うため、専門的な研修を充実させ、調査技術の向上を図るとともに、ドローン、3Dスキャン装置等を用いた3次元測量等の非破壊検査による科学的かつ客観的な調査を推進し、解析手法の高度化を図り、その成果を原因の究明に反映する。
事故等調査結果等に基づき、必要な施策又は措置の実施を求め、航空交通の安全に寄与する。
⑨ 航空交通の安全に関する研究開発の推進
滑走路上における航空機等の衝突リスクの更なる低減を図るため、滑走路誤進入検知システムを強化すべく、研究開発機関、運航者、航空局等が一体となり取組を進める。