事例18:指宿地域交流施設整備等事業(事業概要)

(鹿児島県 指宿市 人口30,017人(平成16年))

指宿地域交流施設の写真

「指宿地域交流施設整備等事業」は、鹿児島県指宿市(人口約3万人)にある国道226号線沿いの敷地(約1.46ヘクタール)の公園において、地域交流施設の整備及び都市公園・道の駅・地域交流施設の維持管理・運営を行う事業です。国が整備するトイレや駐車場、道路情報案内装置があり、公園内施設の1つとして市が整備する地域交流施設をPFI方式で行う事業となっています。

施設内には、地域の特産品や農林水産物を委託により販売するコーナーや、民間の経営ノウハウや創意工夫が発揮できる自主運営事業のコーナーがあり、利用者のニーズに対応した運営が行われることが期待されます。平成16年10月からオープンしており、たくさんの利用者で賑わっています。

1.事業化までの検討経緯・庁内体制の流れ

指宿地域交流施設の事業化までの検討経緯・庁内体制の流れを現した図
  • もともと農産加工組合から、消費拡大を図るための産地と直結した販売所の設置要望があった。
  • 地域漁業者からは、鮮魚・加工品の直売所等の設置要望があった。
  • 商工会議所及び市議会からは、「物産センター」及び「道の駅」を設置して欲しいという要望が強かった。
  • 市長により経費が抑えられる手法で道の駅を整備するよう指示。
  • PFI法成立をきっかけにPFIによる整備への方向へ。
  • 平成13年度「第四次指宿市総合振興計画」において、地場産業の振興を図る観点から、「物産センター」、「物産館」等の機能をもった「地域交流施設」の建設が盛り込まれた。
  • これと並行して、国土交通省の直轄によりPFI導入可能性調査が行われ、VFMとEIRRについて一定の評価が得られた。
  • 市の体制は兼任2名(平成14年度からは1名)で行うこととなった。
  • また、周辺類似施設や需要量についても調査を行い、PFIの導入が可能であることを確認し、導入に踏み切った。
  • 議会説明を行い、最終的にPFI事業として実施することが決定された。

事業化の過程における議会への対応

PFIの導入に関しての地元住民への説明を行うとともに、議会へも説明しました。地域のメリットはどのようなものになるのか、この地域で行うPFI事業に参加してくれる民間事業者がいるのか、ということが心配されました。ただ、PFIはあくまでも手法の1つであり、本来の目的は施設の建設と運営ですので、PFIの導入可能性がないということになったとしても、従来型など他の手法で実施することとなったと思います。

2.本事業における課題とその解決策

需要量の正確な把握が重要と考えました

需要量を判断することが最も重要かつ難しいので、他の道の駅や道路環境を調査しました。民間の類似施設はうまくいっているとのことでしたので、可能性は十分あると考えました。当該施設は、需要量によってPFI導入の可否が大きく異なることもありえますので、その辺りを確実に調査することが必要でした。

施設内容の検討を慎重に行いました

施設内の写真

施設内の様子

市としての意向から、当初は運営内容としてレストランを中心に考えていましたが、運営業務内容を公共が決めてしまうと運営収入の低下リスクが大きくなるのではないかと懸念され、レストラン部分は自主事業ということにして提案にて求めることとしました。結果として、自主提案によりパンの販売コーナーやそば茶屋などが取り入れられることとなりました。

代表企業による民事再生法の申請について

代表企業が民事再生法の適用を申請しましたが、SPC構成員である建設企業が建設業務をバックアップしたことにより、事業全体への影響はほとんどなく、本事業は問題なく進んでいます。

市と民間事業者の責任(リスク)分担についてて

上記レストランの件と関連しますが、施設の一部を独立採算に近い形で運営リスクを負わせる以上、運営業務の内容は民間企業の自由な発想で決定するべきだということになりました。

地元企業の参画について

PFIは複雑であり、大手企業しか参入できないというイメージがあったため、地元の企業にも積極的に参加して欲しいと考え、落札者決定基準にて地元企業を活用させる趣旨の基準「地域に貢献する事項」を設定しました。

指宿地域交流施設の事業スキームのイメージ図

PFIはあくまで事業手法の1つであると考えます

PFIはあくまでも公共事業を行うための様々な手法の中の1つであり、当事業の本来の目的は地元の農産物を販売する施設の整備とその運営です。仮にPFI導入可能性調査において導入可能性がないということになった場合や、結果として入札参加者がいなかったとしても、従来型など他の方法で実施すればよいわけで、PFI方式の導入に関して過度に神経質になる必要はないと考えました。従って、無理にVFMを出すようなスキームを創ろうとせず、あくまでも市に必要な施設を整備し運営することが第一目的であるという意識をもってPFIの導入検討を行いました。

3.事業開始後の状況

(1)運営モニタリングの方法

モニタリングは、現在、市が委託しているコンサルタントの職員1人と、市職員2人で行っています。定期的なモニタリングも行いますが、随時モニタリングとして週に1度は現場を確認し、問題点などがあればその場で関係者に指示し、又はSPCに報告するなどの措置をとっています。実際にモニタリングを実施した際に感じるのは、PFIでは可能な限り余分なものを省き、合理的に施設を建設し、維持管理を行うものであるという点です。本事業の場合では、豪華な建物を作ることが目的ではなく、多くの地元特産品を販売することが目的であるので、過度に建物の質にはこだわっておりません。

(2) PFI導入のメリット

多くの民間の創意工夫やノウハウを取り込むことができました

地方公共団体が運営する施設は、年々経営が悪化していくことが多いのですが、民間事業者による運営であれば、必ずしもそのようなことにはなりません。もちろん地方公共団体のモニタリングも重要となります。また、民間企業は問題が発生した場合の対応が非常に早いと感じています。

事業費の削減を実現しました

民間の創意工夫による費用の削減効果は、PFI導入効果の中でも最も重要な効果の1つと考えます。本事業でも民間の柔軟なノウハウ等により、VFMを達成することができました。

一度に多額の財政負担が発生しません

PFIでは建設費部分を後年の支払として後回しする効果があり、施設完成年度に一括して全額を支払う必要がなくなるため、その分を他の事業へ回すことができることもメリットです。

(3) PFI導入のデメリット

デメリットとしては、民間事業者側の形式的な窓口はSPCの代表者ですが、実際には、運営企業であったり、維持管理企業であったりと、各業者と市が直接対応しています。そのため、説明事項などがあると数回繰り返すことが必要で、その当たりが今後解決されればと思います。

4.PFI事業を振り返って

(1)PFI事業の成功のポイント

事業採算性が高い事業はPFIに向いています

本事業のような事業採算性を重視する施設は、PFIに向いていると思います。ただ、公共の担当者は、民間の経営という視点を持っていないと、リスク分担などの点をうまく構築することは難しいと思います。公共の担当者は実際に収益施設を運営した経験がないため、その点は経営の視点を持って臨まないと事業もうまくいかないのではないかと考えます。

(2)PFI導入を目指されている他団体へのアドバイス

下吉係長のお写真

御担当者の指宿市の下吉係長

事業スキームの構築や入札手続きの期間は長めにとった方がよいと考えます。 また、もちろんコンサルタントの協力も必要ですが、うまくやれば公共側の体制は1人でも可能であると思います。今回は企画課が主担当で事業に当たりましたが、本来は企画課が総合的な窓口となり、各担当部署がPFIを実施することが望ましいでしょう。

事業担当者

指宿市 総務部企画課
下吉 龍一氏
〒891-0497 鹿児島県指宿市十町2424
TEL:0993-22-2111
指宿地域交流施設整備等事業(指宿市)

キーワード:地域交流施設、道の駅、都市公園、自主運営事業、BTO方式、ミックス型(サービス対価+独立採算)、事業期間15年

事例18:指宿地域交流施設整備等事業