事例20:橿原市近鉄八木駅前南地下駐車場等施設整備事業(事業概要)

(奈良県橿原市 人口124,846人(平成16年))

「橿原市近鉄八木駅前南地下駐車場等施設整備事業」は、市の玄関口である近鉄八木駅南地区において、地下駐車場の整備、運営・維持管理を行うとともに、民間事業者の提案により、事業用地にある市有地(3,200m2)にて利用可能容積を活用し、賑わい形成や地域の活性化に資する「民間事業施設」の整備、運営・維持管理を行う事業です。
本事業は、一旦、平成14年2月には優先交渉権者との覚書を締結するに至りましたが、その後の本契約締結に向けた、市と優先交渉権者との交渉過程において民間事業施設の内容について地域団体等との調整ができず、契約交渉が不調に終わりました。また引き続き実施した、次点交渉権者との契約交渉も整わず、平成15年7月、PFI事業の中止が決定されました。中止決定後は、同地区の区画整理、街路整備等の地表整備に専念しています。

1.PFI事業の中止に至った経緯

橿原市近鉄八木駅前南地下駐車場の事業化までの検討経緯・庁内体制の流れを現した図
  • 平成14年2月、市と優先交渉権者との間で覚書(基本協定)を締結。
  • 覚書に、6ヶ月の期間を設定し、契約交渉を実施する旨を規定。
  • 民間事業施設(事業者の提案施設)について地元関係機関と折衝。
  • 民間事業施設の施設内容の変更について検討されたが、事業者選定の公平性を確保する観点から、施設内容の変更は不適切と判断した。
  • 契約未締結のまま、契約交渉期限の6ヶ月が経過。
  • 覚書の規定に従い、調整委員会(委員3名:市顧問弁護士、事業者側弁護士、両弁護士が選定した学識経験者(県区画整理協会専務理事))を設置。
  • 調整委員会を4回開催したが、最終的に不調に終わり当委員会を解散。
  • 平成15年1月、協議停止を優先交渉権者へ正式に通告。
  • 平成15年1月、次点交渉権者へ交渉意思確認。
  • 同年2月、次点交渉権者との交渉を開始。
  • 次点交渉権者から辞退届を受理。
  • PFI事業及び地下駐車場事業の中止決定。
  • 平成15年8月、市議会(都市開発特別委員会及び本会)へ経緯説明、事業中止の承諾を受ける。
  • その後は、区画整理・街路事業など地表整備に専念。

契約交渉中の議会への経緯説明

平成14年2月の優先交渉権者との契約交渉の開始以降に開催された各議会(平成14年6月、平成15年3月)において、交渉の進捗状況については詳しく説明を行っていました。平成15年6月に次点交渉権者からの辞退届を受理した後、平成15年9月議会において、市議会の都市開発特別委員会、並びに市議会本会へPFI事業の断念を報告し、承諾を頂きました。

住民への経緯説明

市議会へのPFI事業の断念報告と同時期に、事業計画地の自治会の役員並びに地権者に対して、PFI事業の断念について説明を行いました。また、議会の広報誌(議会だより)上においても住民へ説明を行っています。なお、地権者には、地下駐車場の建設のために土地利用を控えてもらっている状況であったため、地表整備を早急に進める必要がありました。

2.現在の状況

(右から)植木所長、吉原主幹、福角主幹のお写真

お話をお伺いした、
橿原市の植木所長、
吉原主幹、福角主幹(右から)

PFI事業の断念後、市有地(3,200m2)の土地活用への取組は一時中断して、主力を八木駅前通り線等の街路事業に注いでいます。
駐車場事業については、依然として近鉄八木駅南地区における駐車場の整備について必要性は大きく、本PFI事業とは別途、従来型の事業手法で進められていた区画整理事業及び市道整備の完成時期に合わせて、駐車場事業を実施できるように市内部で再度検討を進めているところです。ただし、地下駐車場は建設費が過大となるため、地上駐車場の整備が現実的であると思われます。また、本PFI事業のもう一つの目的であった駅前のにぎわい創造や中心市街地活性化の方策についても、現在、市内部で検討中です。

事業担当者

橿原市 都市整備部 八木駅前南整備事務所
所長 植木 良祐氏、主幹 吉原 一氏、主幹 福角 幸生氏
〒634-8586 奈良県橿原市八木町1-1-18
TEL:0744-26-2660

キーワード:地下駐車場、PFI事業の中止、BTO方式サービス購入型(サービス対価(駐車場・駐輪場)+民間事業施設からの収入)、事業期間15年