障害者基本計画の推進状況 ~平成16年度~ 雇用・就業

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分野別施策 関係省庁 推進状況

5 雇用・就業

   

(1) 障害者の雇用の場の拡大

     
1.障害者雇用率制度を柱とした施策の推進
97 障害者雇用率制度は、障害者の雇用促進策の根幹となる柱であり障害者に自立や社会参加の機会を提供する強力な後ろ盾となる制度である。今後とも当該制度を中心として、障害者雇用の一層の促進を図る。 厚生労働省
  • 民間企業等における実雇用率
      (平成15年6月1日現在) (平成16年6月1日現在)
    民間企業
      一般の民間企業〔1.8%〕 1.48% 1.46%
      特殊法人等〔2.1%〕 2.09% 1.71%
    国及び地方公共団体
      国の機関〔2.1%〕 2.19% 2.15%
      都道府県の機関〔2.1%〕 2.49% 2.28%
      市町村の機関〔2.1%〕 2.45% 2.20%
      都道府県等の教育委員会〔2.0%〕 1.24% 1.33%
    ※〔〕内は法定雇用率
  • ハローワークによる障害者の就職件数
      (平成15年) (平成16年)
    就職件数 32,885件 35,871件
  • 上記の他の取組については、下記の項目番号98~106を参照
98 個別の企業に対する日常的な指導の充実や、実雇用率の低い企業に対する雇入れ計画の作成命令等の指導の厳格化を図る一方、障害者雇用のための企業の取組を後押しするため、各種助成金についても、より効果的な活用が図られる方向で改善を図る。 厚生労働省
  • 平成16年度6月1日現在における雇用率未達成の企業(37,327企業)に対し、個別指導、雇用率達成セミナー等により指導を実施。
  • 実雇用率が著しく低く、かつ、障害者雇用率を達成するために雇い入れなければならない障害者数が一定以上の企業に対し、雇入れ計画作成命令433件、適正実施勧告51件、特別指導14件、企業名の公表1件を実施。
  • 利用者の少ない障害者雇用納付金制度に基づく助成金の助成対象となる措置の要件緩和、廃止または整理・統合による制度の簡素化等を実施。(平成15年10月1日)
99 精神障害者については、今後障害者雇用率制度の対象とするための検討を進めることとし、そのために、関係者の理解を図りつつ、精神障害者の把握・確認方法の確立、企業における精神障害者雇用の実態把握など障害者雇用率制度を適用するために必要な検討、準備を着実に進める。 厚生労働省
  • 精神障害者の雇用の促進等に関する研究会報告書(平成16年5月)及び労働政策審議会意見書(平成16年12月)を踏まえ、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)である労働者を各事業主の雇用率の算定対象とすることなどを内容とする障害者雇用促進法案を第162回通常国会に提出。
100 採用後に発病した精神障害者については円滑な職場復帰や雇用の安定のための施策の充実を図る。 厚生労働省
  • 休職中の精神障害者の円滑な職場復帰に向けた効果的な支援技法を開発するため、高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センターにおいて、リワークプログラムを開発(平成15年度まで)。これを踏まえ、6つの地域障害者職業センター(北海道・東京・愛知・大阪・広島・福岡)において、精神障害者職場復帰支援事業(リワーク事業)を導入し、うつ病等により休職中の精神障害者に対する職場復帰支援を実施した。
101 除外率制度については、平成16年度より段階的に縮小を進め、一定の準備期間を置いて廃止を目指す。 厚生労働省
  • 平成16年4月1日に、除外率の各業種一律10%ポイント引き下げを実施。
102 国及び地方公共団体の除外職員制度についても、企業との均衡を考慮して同様の方向で進める。 全省庁
  • 「障害者施策推進課長会議」の下に、関係省庁の職員等により構成される「公務部門における障害者雇用推進チーム」を設置し、働くことを通じて障害のある人が積極的に社会参加できるよう、国が率先して障害者雇用の機会を作り出す方策について総合的に検討し、「公務部門における障害者雇用ハンドブック」の作成を推進。
厚生労働省
  • 平成16年4月1日に、除外職員の範囲を一部の例外に限るとともに、除外職員ではなくなる職種の職員がいる機関について、当該職員が職員総数に占める割合を基に、雇用義務の軽減割合を約10%ポイント引き下げた除外率を設定すること等を内容とする制度見直しを実施(平成16年4月1日)。
103 企業に対する啓発活動の充実を図るとともに、雇用管理のノウハウの情報提供に努める。 厚生労働省
  • 9月を「障害者雇用支援月間」(高齢・障害者雇用支援機構主催)とし、障害者ワークフェアの開催、優良事業所等の表彰、各種セミナーの開催、月間ポスターの公募・作成等を通じ企業に対する啓発活動を実施。
  • 平成16年度の優良事業所等として、障害者雇用優良事業所26社、優秀勤労障害者36人、障害者の雇用の促進と職業の安定に貢献した個人2人を厚生労働大臣表彰を、障害者雇用優良事業所19社、優秀勤労障害者17人に高齢・障害者雇用支援機構理事長表彰を実施。
  • 企業に対する雇用管理のノウハウの情報提供について、高齢・障害者雇用支援機構において、次の事項を実施。
    • 事業所における障害者の雇用促進及び職場定着を図るため、障害者雇用アドバイザーによる事業主に対する雇用計画・雇用管理に係る雇用相談援助業務(18,498件)、職場定着推進チームの設置勧奨及び育成の指導を実施(指導件数5,790件、平成16年度チーム設置数12,548か所)。また、職場定着推進チーム育成指導に活かすための「職場定着推進マニュアル」を改訂。
    • 事業主及び雇用管理担当者等に対して、「雇用促進・雇用計画」、「定着・雇用継続」、「能力発揮・環境整備」に関する各種の講習を実施(全国で296回、参加者22,656人)。また、講習の内容を広く周知する目的で障害者雇用管理等講習資料シリーズ「障害者雇用の新たな展開について~法改正と今後の障害者雇用の進め方~」を作成し活用。(平成15年度まで)
    • 5人以上の障害者を雇用する事業所において選任することとされている、障害者職業生活相談員に対する資格認定講習を実施(全国で58回、受講者3,105人)。
      また、講習用テキストとして「平成16年版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(障害者雇用ガイドブック)」と視覚障害者にも利用できるCD-ROM版テキストを作成。
        (平成15年度) (平成16年度)
      講習実施数(全国) 55回 58回
      受講者数 2,888人 3,105人
    • 事業主を対象とした障害者の職域拡大及び雇用管理に関する報告書・マニュアル等を作成し、事業主及び関係機関等へ配布。
    • 平成16年度は、報告書として「障害者のキャリア形成・在職障害者の能力開発のための実情に関する研究調査I」「重度障害者雇用事業所における障害者の雇用状況及び福祉機関との連携に関する研究」「聴覚障害者の職域拡大に関する研究」、マニュアルとして「平成16年度障害者雇用職場改善事例〔視覚障害者〕入賞事例集を作成。
    • 障害者雇用リファレンスサービスホームページを作成し、収集した障害者雇用事例、障害者雇用モデル事例を提供した。
    • 難病者の就労実態の調査及びその障害状況に応じた雇用管理のあり方に係る調査・研究を行うため、「難病者の雇用管理のための調査研究会」において検討を開始。(平成16年度)
104 経営者団体においても、障害者雇用についての相談に応じるなど障害者の雇用管理のノウハウの提供が行われることが望まれる。 厚生労働省
  • 障害者を雇用する企業に対する相談窓口を設置し、障害者に関する雇用管理相談や経営相談等を行う緊急雇用援助事業を事業主団体(9団体)に委託して実施。(平成16年度まで)
105 障害者の教員免許取得状況等を踏まえつつ、教育委員会における実雇用率上昇のための取組について検討する。 文部科学省
  • 毎年度の通知及び「教員採用等の改善について(平成8年4月25日)」の通知にて、各都道府県・指定都市教育委員会に対し、教員採用選考における身体に障害のある者への配慮を依頼。また、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部改正について(平成15年9月1日)」の通知において、改正法について周知。
106 国、地方公共団体において障害者雇用の取組を行いやすくするため、より広い職域での雇用が可能となるよう、関係する行政機関等で合算して実雇用率を算定する方式の活用を進める。 厚生労働省
  • 国及び地方公共団体の機関に係る特例の認定について実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    国認定件数 1件 0件
    都道府県認定件数 6件 1件
    市町村認定件数 70件 21件
2.障害者の能力・特性に応じた職域の拡大
107 重度障害者多数雇用事業所や特例子会社における障害者雇用の取組を支援するとともに、その蓄積されたノウハウをいかし、障害者の能力・特性に応じた更なる職域の拡大に努める。 厚生労働省
  • 重度障害者等を多数労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主で、これら障害者のために事業施設等の設置・整備を行う場合に費用の一部を助成する「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」を支給。
      (平成15年度) (平成16年度)
    支給件数 21件 20件
  • 特例子会社の設立については、各ハローワークにおいて支援。特に平成15年度においては、法定雇用率未達成企業を中心に積極的に指導を実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    認定件数 22社 27社
  • 特例子会社の状況
      (平成15年度) (平成16年度)
    認定件数 22社 27社
    特例子会社数 141社 162社
    特例子会社における雇用障害者数 3,491人 4,186人
  • 上記の他の取組については、下記の項目番号108~110を参照
108 障害者がその能力にふさわしい処遇を受け、労働条件面を含む職業生活の質の向上を図ることができるよう、諸条件の整備に努める。 厚生労働省
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律第10条に基づき、求人の条件に雇用差別等がある場合においては、ハローワークにおいて適正化に関する指導を実施。
  • 就職後においても、職場定着指導の他、障害者雇用連絡会議等により、労働基準監督署との連携も図り、障害者が劣悪な労働条件での就労を強いられることのないように実施。
109 重度障害者多数雇用事業所については、今後とも障害者雇用の先駆的な取組を促すべく助成金制度による支援を行う。 厚生労働省
  • 重度障害者等を多数労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主で、これら障害者のために事業施設等の設置・整備を行う場合に費用の一部を助成する「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」を支給。
      (平成15年度) (平成16年度)
    支給件数 21件 20件
110 特例子会社制度を積極的に活用し、グループ内企業に共通する業務の集中処理等による障害者雇用の拡大を図るとともに、グループ企業全体の雇用を促進する。 厚生労働省
  • 特例子会社を有する企業が、関係する子会社も含めて障害者雇用を進める場合に、企業グループでの雇用率算定を可能とする、特例子会社制度のグループ適用の認定を推進。
      (平成15年度) (平成16年度)
    認定件数 13件 19件
3.障害者の働きやすい多様な雇用・就業形態の促進
111 短時間雇用、在宅就業等の普及は障害者がその能力や特性に応じて働くための機会の増大につながるものであり、必要な支援、環境づくりに取り組む。 厚生労働省
  • 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書(平成16年4月)及び労働政策審議会意見書(平成16年12月)を踏まえ、在宅就業を行う障害者等に仕事を発注した起業に対して、特例調整金等を支給する制度を創設する等を内容とする障害者雇用促進法案を第162回通常国会に提出した。(平成17年2月)
  • 上記の他の取組については、下記の項目番号112~113を参照
112 直ちにフルタイムで働くことが困難な障害者等を念頭に、短時間雇用のための支援策の充実を図る。 厚生労働省
  • 障害者雇用納付金制度に基づく助成金について、新たに精神障害者については、1週間の勤務時間が15時間以上20時間未満の労働者についても対象とするよう措置。(平成15年4月1日)
113 通勤の困難な重度障害者等を念頭に、在宅就業におけるIT活用を推進する。 厚生労働省
  • 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書(平成16年4月)及び労働政策審議会意見書(平成16年12月)を踏まえ、在宅就業を行う障害者等に仕事を発注した企業に対して、特例調整金等を支給する制度を創設する等を内容とする障害者雇用促進法案を第162回通常国会に提出した。(平成17年2月)
  • ITを活用した障害者の在宅就業の推進を図るため先駆的な取組みを行う全国9か所の在宅就業支援団体を活用し在宅就業障害者に対する相談・支援を行う「重度在宅就労就労推進事業」を実施。
  • 高齢・障害者雇用支援機構において、障害者職域拡大マニュアル「障害者の在宅就業を促進するために(副題:障害者の在宅就業支援者のためのサポートマニュアル)」(平成15年度)、「はじめての障害者雇用」(平成16年度)を作成し、全国の関係機関に配付。
4.ITを活用した雇用の促進
114 障害者の職域の拡大、雇用・就業形態の多様化、職業能力の開発などの面でITを最大限活用する。 厚生労働省
  • 高齢・障害者雇用支援機構において、障害者職域拡大マニュアル「障害者の在宅就業を促進するために(副題:障害者の在宅就業支援者のためのサポートマニュアル)」(平成15年度)、「はじめての障害者雇用」(平成16年度)を作成し、全国の関係機関に配付。
  • 上記の他の取組については、下記の項目番号115~116を参照
115 就業を可能にする機器やソフトの開発及び普及を行い、就業機会の拡大を図るとともに、障害の部位・特性等に配慮しつつ、IT技術を活用し、障害者がこれらの支援機器等の操作に習熟するための効果的な職業訓練を推進する。 厚生労働省
  • 平成15年度、高齢・障害者雇用支援機構において、民間企業等と共同で高次能機能障害者の日常生活や就労を支援する支援ソフト「メモリアシスト」を開発。
  • 高齢・障害者雇用支援機構障害者雇用情報センターにおいて、就労支援機器の展示・貸出しを実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    貸出し先数 105事業所 94事業所
  • 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、認知機能障害者の日常生活や就労を支援する携帯情報端末用のソフトウェアを開発。
  • 障害者職業能力開発学校において、平成16年度は、OAシステム、システム設計などのIT技能の付与を図る訓練を17校32コースで実施。
116 在宅就業を行う障害者の仕事の受発注や技能の向上に係る援助を行う支援機関の育成、支援等の充実を図る。 厚生労働省
  • ITを活用した障害者の在宅就業の推進を図るため先駆的な取組を行う全国9か所の在宅就業支援団体を活用し、在宅就業障害者に対する相談、支援を行う「重度障害者在宅就業推進事業」を実施。
  • 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書(平成16年4月)及び労働政策審議会意見書(平成16年12月)を踏まえ、在宅就業を行う障害者等に仕事を発注した企業に対して特例調整金等を支給する制度を創設する等を内容とする障害者雇用促進法改正法案を第162回通常国会に提出した。(平成17年2月)
5.障害者の雇用・就業を行う事業の活性化
117 障害者雇用等の社会的意義を踏まえ、国の行う契約の原則である競争性、経済性、公平性等の確保に留意しつつ、官公需における障害者多数雇用事業所等及び障害者雇用率達成状況への配慮の方法について検討する。    
6.障害者の創業・起業等の支援
118 自ら創業・起業を行うような挑戦意欲のある障害者を支援するため、その実状や実態に係る調査を実施するなど具体的ニーズの把握に努めるとともに、その結果を踏まえ、障害者の創業・起業に必要な資金調達の円滑化に資する施策など必要な方策を検討する。 厚生労働省
  • 低所得世帯、障害者世帯等に対して資金の貸付と必要な援助指導を行うことにより安定した生活が送れるよう各都道府県社会福祉協議会において生活福祉資金貸付制度が実施されており、その資金種類の1つとして「更生資金(生業費)」を設けることにより障害者世帯が生業を営むことを支援。
119 障害者によるNPO等の非営利団体の設立、創業・起業等の活動に対する支援策等を検討する。 厚生労働省
  • 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書(平成16年4月)及び労働政策審議会意見書(平成16年12月)を踏まえ、在学就業を行う障害者等に仕事を発注した企業に対して特例調整金等を支給する制度を創設する等を内容とする障害者雇用促進法改正法案を第162回通常国会に提出した。(平成17年2月)

(2) 総合的な支援施策の推進

     
1.保健福祉、教育との連携を重視した職業リハビリテーションの推進
120 障害者の雇用促進を効果的に行うため、障害者の職業生活全般にわたり福祉、教育等の関係機関が連携を図りながら施策を推進する。 文部科学省
  • 高等部入学時から卒業後の社会参加、職業自立を念頭において計画的指導を行うために盲・聾・養護学校が作成する「個別移行支援計画」について、実際に関係機関と連携して策定・実施する実践研究を5都県に委嘱。(平成15年度まで)
  • 全国の盲・聾・養護学校において個別の教育支援計画の作成に資するよう「盲・聾・養護学校における個別の教育支援計画に関する調査研究事業」を実施し、平成17年3月には『盲・聾・養護学校における「個別の教育支援計画」について(報告書)』を取りまとめ、全ての都道府県教育委員会・盲・聾・養護学校等に配布。(平成16年度)
  • 平成16年度から、障害のある児童生徒に対する総合的な教育支援体制の整備を図るため、教育・医療・福祉・労働等の関係機関の連携による支援体制の構築や「個別の教育支援計画」の策定の促進を行う「特別支援教育推進体制モデル事業」を47都道府県で実施。
厚生労働省
  • 盲・聾・養護学校生徒に対する支援については、養護学校等と連携し、高齢・障害者雇用支援機構地域障害者職業センターによる職業評価の実施、養護学校等における進路相談・指導へのハローワークの参加、現場実習先の開拓に当たっての養護学校等への情報提供・あっせんの実施、卒業後の職場定着指導を実施。平成15年4月には「公共職業安定所等労働関係機関と養護学校等との一層の連携を図る」旨の通知を都道府県労働局に発出。
  • 都道府県労働局及び都道府県関係部局を中心に事業主団体、労働組合等の関係機関からなる都道府県障害者雇用連絡協議会及び公共職業安定所を中心に、地域における教育、福祉、医療機関等からなる「障害者雇用連絡会議」を開催。
  • 上記の他の取組については、下記の項目番号121~12を参照
121 障害者総合職業センター、広域障害者職業センター及び地域障害者職業センターが連携し、その特色をいかしつつ、中途障害者も含めた職業リハビリテーションを推進するとともに、医療、福祉、教育等との連携の強化を図る。特に地域障害者職業センターにおいては、社会福祉法人や保健福祉行政機関等と連携して職場適応援助者事業や職業準備訓練等の効果的な実施を図る。 文部科学省
  • 地域障害者職業センターにおいて、適当と認められる社会福祉法人等の協力機関とも連携し、職場適応援助者(ジョブコーチ)事業を実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    支援対象者 2,759人 2,960人
    支援終了6ヶ月経過時点の職場定着率 81.4% 83.0%
  • 地域障害者職業センターにおいて実施する職業準備訓練については、
    • 各種作業を通じて基本的労働習慣の習得を目指す作業支援コース
    • 社会生活技能訓練等を行い、対人技能の習得を目指す自立支援コース
    • 各種の講話、演習等を行い、職域や職業生活に必要な知識習得を目指す職業準備講習コース
    の3コースを障害者の状態に応じて適宜組み合わせて実施する「職業準備支援事業」として統合し、平成15年度から開始。平成15年度は2,225人、平成16年度は2,368人に対して実施。
  • 平成16年度から、障害のある児童生徒に対する総合的な教育支援体制の整備を図るため、教育・医療・福祉・労働等の関係機関の連携による支援体制の構築や「個別の教育支援計画」の策定の促進を行う「特別支援教育推進体制モデル事業」を47都道府県で実施。
122 障害者職業総合センターにおいて、障害の特性に応じた職業リハビリテーション技法等の研究開発を推進する。 文部科学省
  • 障害者職業総合センター研究部門における研究開発を実施。
    • 視覚障害者の職業的自立支援に関する研究(平成14年度~平成16年度)
    • サービス業等の未開拓職域における就労支援に関する研究(平成12年度~平成15年度)
    • 精神障害者等を中心とする職業リハビリテーション技法に関する総合的研究(平成11年度~平成15年度)
    • 精神障害者の職業訓練指導方法に関する研究(平成13年度~平成17年度)
    • 精神障害者に対するジョブコーチによる就労支援のあり方に関する研究(平成15年度~平成16年度)
    • 高次脳機能障害を有する者の就業のための医療リハとの連携及び家族支援の在り方に関する研究(平成13年度~平成15年度)
    • 高次脳機能障害者等の雇用促進及び就業継続に対する支援のあり方に関する研究(平成16年度~平成18年度)
    • 軽度発達障害青年の学校から職業への移行支援の課題に関する研究(平成15年度~平成17年度)
    • 学習障害を主訴とする青年の障害特性と就労支援に関する研究(その2)(平成12年度~平成15年度)
    • 総合的コミュニケーション支援技術の活用を通した、就労の困難な障害者の職域拡大に関する研究(平成11年度~平成15年度)
    • 職業的視点からみた障害と、地域における効果的な支援に関する総合的研究(平成12年度~平成16年度)
    • 障害者の雇用管理とキャリア形成に関する研究(平成13年度~平成15年度)
    • 障害特性に応じた職業リハビリテーションカウンセリングのあり方に関する研究(平成14年度~平成16年度)
    • 障害者を多数雇用する企業等への発注が障害者の雇用・就業に及ぼす影響に関する研究(平成14年度~平成15年度)
    • 職業リハビリテーションにおける課題分析の実務的手法の研究(平成15年度~平成17年度)
  • 障害者職業総合センター、職業センターにおいて、実践的な支援技法の開発を実施。
    • 在職精神障害者の職場復帰に関する事務職を中心とした職場再適応に関する支援技法の開発(ジョブデザイン・サポートプログラム)
    • 高次脳機能障害者が携わる職種の職務の要素に着目した支援技法の開発(要素トレーニング)
    • 広汎性発達障害者の就労支援における職業リハビリテーションの在り方の検討(支援者のためのガイドブック「発達障害者を理解するために~支援者のためのQ&A」作成)
123 障害者の就業面と生活面での支援を一体的に行うため、障害者就業・生活支援センターを通じた支援の促進を図る。 文部科学省
  • 障害者の職業的自立を図るため、雇用、保健福祉、教育等関係機関と連携した就業面と生活面での支援を一体的に行う「障害者就業・生活支援センター事業」を実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    センター数 45か所 79か所
    相談・支援件数 134,629件 244,591件
    (支援対象者数) 5,888人 12,219人
    就職件数 812件 1,727件
2.雇用への移行を進める支援策の充実
124 トライアル雇用(一定期間の試行的雇用)の活用、授産施設等における支援、盲・聾・養護学校の在学中から卒業後までを通じた支援等により、雇用への移行の促進を図る。 厚生労働省
  • 各取組については、下記の項目番号125~128を参照
125 トライアル雇用を更に拡充、実施するとともに、あわせて、短期間の職場適応訓練等を活用しながら、事業主に障害者雇用への理解を深め、常用雇用への移行を進める。 厚生労働省
  • トライアル雇用の実施
      (平成15年度) (平成16年度)
    実施人数 3,162人 4,220人
    終了者 2,566人 3,909人
    (うち常用雇用移行者) 2,081人 3,236人
    常用雇用移行率 81.1% 82.8%
  • ハローワークによる障害者の就職件数。
      (平成15年度) (平成16年度)
    就職件数 32,885件 35,871件
126 授産施設及び小規模作業所がその本来の機能を十分に果たし、企業等における雇用に一層効果的につなげていくことができるよう、障害者就業・生活支援センターや職場適応援助者事業を活用するほか、適切な方法で施設外授産を行う。 厚生労働省
  • 就業面と生活面での支援を一体的に行うため保健福祉、教育等関係機関と連携した「障害者就業・生活支援センター事業」を実施。(上記121及び123参照)
  • 障害者の円滑な職場適応を支援する職場適応援助者(ジョブコーチ)支援策を実施。(上記121参照)
  • 障害者の企業等への就職の促進を図るため、「施設外授産の活用による就職促進事業」を実施。
127 盲・聾・養護学校卒業生の企業への雇用を進めるため、労働機関福祉機関等との十分な連携の下、生徒一人一人の将来の就業に向けた個別の支援計画を策定、活用するなど在学中から卒業後を通じた適切な支援を行う。 文部科学省
  • 高等部入学時から卒業後の社会参加、職業自立を念頭において計画的指導を行うために盲・聾・養護学校が作成する「個別移行支援計画」について、実際に関係機関と連携して策定・実施する実践研究を5都県に委嘱。(平成15年度まで)
  • 全国の盲・聾・養護学校において個別の教育支援計画の作成に資するよう「盲・聾・養護学校における個別の教育支援計画に関する調査研究事業」を実施し、平成17年3月には『盲・聾・養護学校における「個別の教育支援計画」について(報告書)』を取りまとめ、全ての都道府県教育委員会・盲・聾・養護学校等に配布。(平成16年度)
  • 平成16年度から、障害のある児童生徒に対する総合的な教育支援体制の整備を図るため、教育・医療・福祉・労働等の関係機関の連携による支援体制の構築や「個別の教育支援計画」の策定の促進を行う「特別支援教育推進体制モデル事業」を47都道府県で実施。
厚生労働省
  • 盲・聾・養護学校生徒については、養護学校等と連携し、地域障害者職業センターによる職業評価等の実施、養護学校等における進路相談・指導へのハローワークの参加、現場実習先の開拓に当たっての養護学校等への情報提供・あっせんの実施、卒業後の職場定着指導の養護学校等と連携して実施。平成15年4月には「公共職業安定所等労働関係機関と養護学校等との一層の連携を図る」旨の通知を都道府県労働局に発出。
128 また、障害者が、就業を行う上で必要な各種の資格の取得において不利にならないよう、高等教育機関等の試験等で必要な配慮を進める。 警察庁
総務省
厚生労働省
農林水産省
国土交通省
  • 資格取得試験
    欠格条項見直しの対象となった63制度のうち、資格取得試験を行っている制度は40制度であり、そのうち資格取得試験の実施にあたり、用意又は試験実施機関へ要請している受験者への配慮の主な内容【制度数】は以下のとおり。
      (平成15年度) (平成16年度)
    1.試験等を受ける際の申し込みに必要な書類の変更 3制度 3制度
    2.試験会場、校舎等のバリアフリー化 8制度 9制度
    3.試験問題の拡大文字、点字、読み上げ等の配慮 25制度 26制度
    4.試験会場への手話通訳者、移動介助者等の配置 22制度 23制度
    5.試験時間の延長 21制度 22制度
    6.実技試験における福祉用具等の補助的手段の活用 21制度 22制度
    7.その他(座席位置の配慮、別室での受験等) 23制度 24制度
法務省
  • 司法試験においては、試験の公正かつ適正な実施に資するため、障害者の有する障害の要因をできる限り排除し、学力を公正に評価するために必要な範囲で措置を講じている。具体的には、視覚障害者に対する措置として、点字による出題・解答、問題集・答案用紙の拡大、試験時間の延長等を、肢体障害者に対する措置として、答案の代筆、答案用紙の拡大、試験時間の延長等を認めるなどの措置を講じている。
  • 司法書士試験及び土地家屋調査士試験においては、その有する知識及び能力を答案等に表すことについて健常者と比較してハンディキャップがある場合には、健常者との実質的公平を図りつつ、健常者と同一の条件で知識及び能力の有無を評価すべきであるとの観点から、そのハンディキャップを補うために必要な範囲で措置を講じている。具体的には、弱視者に対する措置として、拡大鏡の使用、問題集・答案用紙の拡大、試験時間の延長等を、肢体障害者に対する措置として、記述式試験の解答を作成するに当たってのパソコン(ワープロ)の使用、試験時間の延長等を認めるなどの措置を講じている。
文部科学省
  • 教育・養成
    • 大学入試におけるガイドラインである「大学入学者選抜実施要項」や各大学向けの入試説明会において、障害者の受験機会等を確保する観点から、障害の種類に応じた配慮を行うことを要請。
    • 各大学等において、募集要項に事前相談するよう記載、試験時間の延長、点字・拡大文字による出題、特定試験会場の設定、介助者の付与等の措置等実施。
    • 障害を有する学生が、円滑な学生生活を送れるよう学習支援体制の整備を図るための次について措置。
      1. 国立大学については、各大学の障害者の受入人数等に応じた運営費交付金の措置やエレベータ、スロープ等施設面で整備を支援。
      2. 私立大学についても、各大学の障害者の受入人数等に応じた経常費補助金の増額措置や施設のバリアフリー化を推進するため補助。
3.障害者の職業能力開発の充実
129 多様な職業能力開発資源を活用し、新たに就業を希望する障害者及び在職障害者並びに離職を余儀なくされた障害者の早期再就職を図るための職業訓練を推進する。 厚生労働省
  • 障害者職業能力開発校(19校)、企業、社会福祉法人、NPO法人、一般の公共職業能力開発施設、民間教育訓練期間等において、障害者の職業訓練を推進。
  • 上記の他の取組については、下記の項目番号130~136を参照
130 障害者の職業能力の開発・向上の重要性に対する事業主や国民の理解を高めるための啓発に努める。 厚生労働省
  • 障害者の職業能力開発を促進し、技能労働者として社会に参加する自信と誇りを与えるとともに、障害者に対する社会の理解と認識を高め、障害のある人の雇用の促進を図ることを目的とする「全国障害者技能競技大会(愛称:アビリンピック)」については、平成16年度は宮城県で第27回大会が開催され大会史上2番目となる229名の選手が参加した。
131 障害者の職業能力開発については、一般の公共職業能力開発施設における障害者の受入れを一層促進するとともに、施設のバリアフリー化を推進するなど障害者の受入体制の整備を図る。 厚生労働省
  • 障害者の職業訓練については、ノーマライゼーションの観点から、施設のバリアフリー化を推進すること等により、可能な限り一般の公共職業能力開発施設に受入れて実施している。
      (平成15年度) (平成16年度)
    一般の公共職業能力開発施設において職業訓練を受けた障害者数 437人 341人
  • 障害者に対する公共職業訓練の機会が提供されていない地域において、一般の公共職業能力開発校に知的障害者等を対象とした職業訓練コースを設定し訓練機会を提供。(平成16年度~)
      (平成16年度)
    設定数 15県17コース
132 一般の公共職業能力訓練開発施設で受入れが困難な重度障害者等については、障害者職業能力開発校において、障害の特性や程度に応じた訓練科目を設定し職業訓練を推進する。その際、障害の重度化・重複化、障害者の高齢化など訓練ニーズの多様化に留意するとともに、サービス経済化や情報化の進展、また、除外率制度の縮小に伴う雇用ニーズの動向を踏まえるものとする。 厚生労働省
  • 一般の公共職業能力開発施設において職業訓練を受けることが困難な重度障害者等については、障害者職業能力開発校を設置し職業訓練を実施。
    障害者職業能力開発校においては、入校者の障害の重度化、多様化が進んでいることを踏まえ、個々の訓練生の障害の程度等を十分に考慮するとともに、サービス経済化、IT化の進展等の下で、雇用ニーズに対応した職業訓練内容を充実。
      (平成15年度) (平成16年度)
    実施人数 1,895人 1,904人
    就職率 63.3% 60.7% (暫定値)
  • 知的障害者に対する職業訓練については、訓練コースを計画的に設置しており、平成16年度においては、宮城障害者職業能力開発校で訓練コースを新設。
    また、中央障害者職業能力開発校では、知的障害者に対する訓練コースの定員を増やし、より多くの知的障害者に対して訓練機会を提供した。
    さらに、高齢・障害者雇用支援機構の障害者職業能力開発校において知的障害者の職域拡大カリキュラム(ホテルサービス実務コース、厨房サービス実務コース)を開発。
133 ITに係る教育訓練ソフトをインターネットを通じて配信し在宅でも随時能力開発ができるようにするための遠隔訓練システムを開発し、公共職業能力開発施設等への通所に制約がある障害者への活用を図る。 厚生労働省
  • 職業能力開発施設への通所が困難な重度障害者等に対して、e-ラーニングのノウハウが蓄積された民間の教育訓練機関等を活用してIT技能の付与を図るモデル事業を平成16年度から実施。
      (平成16年度)
    訓練者数 22人
133 ITに係る教育訓練ソフトをインターネットを通じて配信し在宅でも随時能力開発ができるようにするための遠隔訓練システムを開発し、公共職業能力開発施設等への通所に制約がある障害者への活用を図る。 厚生労働省
  • 職業能力開発施設への通所が困難な重度障害者等に対して、e-ラーニングのノウハウが蓄積された民間の教育訓練機関等を活用してIT技能の付与を図るモデル事業を平成16年度から実施。
      (平成16年度)
    訓練者数 22人
134 技術革新に伴う職務内容の多様化等に対応し、職業能力の向上を図ため在職障害者向け訓練を実施するほか、事業所においても在職障害者に対する効果的な職業能力開発が行われるよう、関係機関との密接な連携の下に、事業主や障害者に対し相談、援助等の支援を行う。 厚生労働省
  • 障害者職業能力開発校において在職者向け訓練を実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    訓練者数 428人 450人
  • 事業所においても在職障害者に対する効果的な職業能力開発が行われるよう、障害者職業能力開発校と事業主との連携強化等促進事業として、職業能力開発促進月間(11月)中、事業主等と障害者校との連携を強化していくための各種事業を実施。
135 障害者が高度なレベルの職業能力を身につけ、その能力にふさわしい処遇を受けることが重要であることから、可能な限り多くの訓練機会を得られるよう、民間の教育訓練機関等多様な職業能力開発資源を活用した委託訓練を幅広く実施する。 厚生労働省
  • 企業、社会福祉法人、NPO法人、民間教育訓練機関等多様な職業能力開発資源を活用した障害者の態様に応じた職業訓練を平成16年度から大幅に拡充して実施。
      (平成15年度) (平成16年度)
    訓練者数 428人 3,110人
136 民間外部講師についても一層積極的に活用し、多様化する訓練ニーズに対応していくものとする。 厚生労働省
  • 各障害者職業能力開発校において、ITに関連する訓練などで民間外部講師の積極的な活用を図っており、多様化する訓練ニーズに対応。
3.障害者の職業能力開発の充実
137 企業等において雇用差別など障害を理由とした人権の侵害を受けることがないよう、適切な措置を講ずる。 法務省
  • 法務省の人権擁護機関では、障害を理由とする人権侵犯の疑いのある事案を認知した場合は、調査を行い、その結果に基づき、援助・調整・説示など事案に応じた適切な措置を講じるとともに、関係者に人権思想を啓発するなどして、人権侵害による被害の救済及び予防を実施。また、障害のある人に対する偏見や差別を解消するため、「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」を人権週間の強調事項として掲げ、人権週間を始め、年間を通じて全国各地で、講演会や座談会の開催、ポスター・パンフレット等の作成・配布などの啓発活動を実施。
厚生労働省
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律第10条に基づき、求人の条件に雇用差別等がある場合においては、ハローワークにおいて適正化に関する指導を実施。
  • 就職後においても、職場定着指導の他、障害者雇用連絡会議等により、労働基準監督署との連携も図り、障害者が劣悪な労働条件での就労を強いられることのないように実施。
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