障害者政策委員会(第11回)議事録 4

○ 石川委員長 再開します。このパートでは、日本肝臓病患者団体協議会の米澤様、NPO法人全国要約筆記問題研究会の三宅様から御意見をお聞きします。本日は、御協力、まことにありがとうございます。

それでは、日本肝臓病患者団体協議会の米澤様、10分程度でまずお願いいたします。

○ 米澤氏 今、御紹介いただきました、日本肝臓病患者団体協議会の米澤でございます。常任幹事をしております。日本肝臓病団体協議会、略して日肝協と称されることが多いです。まず、私どもですが、私たちはB型、C型、ウイルス性肝炎の患者をフォロー、あるいはサポートする患者団体です。当事者団体になります。

御存じのように、ウイルス性肝炎B型、C型は全国で350万人という非常に大きな数の患者になりますが、私どもの日肝協は会員数8,000名という現状です。ウイルス性肝炎は感染症でありますので、一般社会においてはうつるという恐怖感により差別を受けております。余り社会問題等にはなっておりませんが、やはり水面下で差別を感じている患者は非常に多い実態です。

ウイルス性肝炎はB、Cともに血液感染であり、日常生活において全く感染はいたしませんが、一般社会の誤解や偏見により差別が生じると考えています。具体的には、就職の際の内定取り消しですとか退職命令のような就業の場における差別。これまで親しかった友人、地域の仲間、さらに家族から村八分のような扱いをうける人間関係や地域における差別などが挙げられます。

しかし、最も多く差別的な扱いを受けているのは、医療機関においてです。これは意外に思われるかもしれませんし、肝臓の専門医などもびっくりしているところなのですけれども、中でも特に歯医者さん、歯科医師での差別的扱いというのは多く見られます。主に地域の歯科医院と考えていただいたらいいと思います。これは説明なく常に順番を最後にされたりとか、嫌がらせを受けたり、診療拒否を受けるといったものまでさまざまです。これは本来差別ではなく、感染予防を目的とした合理的区別であると思うべきなのかもしれません。ただ、患者に対して、いきなりそのような対応に出る、全く説明なくそのような対応をされるので、患者は差別だと感じてしまうのが実態です。

きちんとした説明が与えられれば、それが差別ではないということを患者は理解できます。患者は他人に感染させることを最も嫌って恐れていて、それから常に注意をしています。国内で最大の感染症と言われている肝炎ですが、肝臓専門外の医師の肝炎に対する知識レベルが余り高くないと思わざるをえません。肝炎の感染についても正確な情報を持たないことが医師の差別的言動を引き起こしているとも考えられます。ですので、専門にかかわらず、大学病院、医学部での感染症教育をもう少し徹底して他だきたいと考えています。就労における不当な扱いなども、感染について正しい知識を普及させることがこの問題を解決できる唯一の方法であると私どもは考えます。

つまり、例えば社員研修であるとか、地域のコミュニティにおいて肝炎について教育する場を設けるなど、あらゆる場面において教育・啓発が行われるようになることを望んでいます。肝炎の治療薬には、インターフェロンなど激しい副作用を伴うものがあります。就業を継続しない、できないということもあります。治療は半年~1年間など長期にわたるものもあって、治療後に職場復帰をすると配置転換であるとか部署移動などを命じられることが現在でもみられています。

そのような実態を懸念し、治療を避けて病態が進行してしまうということも見られています。治療と仕事が両立できずに治療をあきらめたり、あるいは逆に会社をやめてしまったりということもあります。これは私の話ですけれども、私はC型肝炎患者でありました。6年前に治療を終えて完治しておりますが、その治療中、当時の治療は1年半という非常に長い期間だったのですが、治療を始めて半年で両立が不可能になりまして、職を失った経験があります。

肝炎患者に対する差別をなくしていくために非常に重要なこととして、肝炎治療の進歩が挙げられます。毎年新薬が保険適用になっているという状況です。特にC型肝炎に関しましては、治療を行うことにより、80%以上の患者が完治するというのが現状なのです。こういった正しく新しい治療の情報を一般に向けて提供するということが肝炎イコール治らない病気で、しかもいずれ肝臓がんになって、移ったら大変だということが差別につながるという図式がくつがえされると考えています。

肝炎患者の差別解消を考えた場合ですが、一言に障害者といってもさまざまで、肝炎患者は内部障害者であるとともに、感染症患者であることが患者に重くのしかかっています。そのため、差別の実態も、他の疾患とはやや異なっています。それぞれの疾患特性を考慮した上での取り組みを期待しております。

少し短いのですが、最後に2つ申し述べたいと思います。

私たち肝疾患の障害者認定基準は非常に現実に即しておりません。基準を満たす患者はほぼ寝たきりの肝硬変患者か、もしくは移植患者です。まず、この実態を把握していただき、基本方針作成に当たっていただければ幸いと存じます。

2つ目は、B型肝炎には感染予防のためのワクチンがあります。C型肝炎にはありませんが、D型肝炎にはあります。現在、母子感染予防を目的とし、母親がB型肝炎感染者である場合にのみ、生まれた子供にワクチン接種を実施、保険が適用になっています。ただ、全ての子供に対しワクチンが接種されているわけではありませんので、乳幼児期のB型肝炎感染のリスクはゼロではありません。実際に私どもの電話相談に、家族誰もB型肝炎ではない、小さな乳幼児が感染してしまったという例が幾つも報告され、相談されています。

現在、日本とイギリス以外の先進国においては、全ての子供に対し、ユニバーサルワクチンが実施されています。ユニバーサルワクチンを導入すれば、感染予防だけでなく、B型肝炎患者に対する差別もなくなるものと考えられます。B型肝炎患者は、今、現状ですけれども、好きな人ができたり、あるいは結婚したい人ができたら、自分はB型肝炎であるということを告白しなければいけません。そして、パートナーにワクチンを打ってもらわなければいけません。B型肝炎は性感染します。ですので、これがB型肝炎患者にとって非常に大きな負担となり、苦しみとなっています。

患者の中には、一生独身でいる、あるいは好きな人がいても告白しないというふうに決めてしまっている方もいらっしゃいます。ですので、ユニバーサルワクチンの普及により、こういった患者の苦しみもなくなるものと考えます。

以上です。ありがとうございました。

○ 石川委員長 米澤様、ありがとうございました。

それでは、全国要約筆記問題研究会の三宅様、お願いします。

○ 全国要約筆記問題研究会(三宅氏) 全国要約筆記問題研究会の理事長をしております三宅と申します。本日、こうしたヒアリングの場に支援者の団体という形でお声掛けいただいたことを大変感謝しております。当事者の方々、親の会などの御意見等に並べて支援者の団体というのもこういう形で認めていただけたかなと思っております。

私たちの団体は名称の示すとおり要約筆記、つまり手話を主なコミュニケーション手段としない聞こえない方たち、この方たちに文字で伝えるという通訳方法を要約筆記と申しますけれども、その要約筆記に携わる会員が非常に多くを占めます。ただ、会員の中には、字幕の作成に取り組む人、また地域で難聴者の支援にかかわる会員というのも数多くおります。その意味で、中途失聴の方、あるいは難聴の方々の文字情報支援全般にかかわる全国組織と捉えていただければと思います。

きょうは、主に聴覚障害に関するところのお話をさせていただきますが、その中でも中途失聴者、つまり、聞こえていて成人後に聞こえなくなった方たち、また補聴もできるのだけれども、十分ではないという難聴の方たち、この方たちの障害特性といいますか、そのあたりをお話しさせていただければと思います。

お出しした用紙に記したものは当会の理事会のほうで話し合って出させていただきました。ただ、きょうこの場では、それにプラスアルファして、私自身が要約筆記者として二十数年、難聴の方々のサポートをしてきて感じていること、また東京の手話、要約筆記の派遣事務所にもおりますので、そのあたりの視点もプラスしてお話ができたらと思っています。

記入用紙のほうに書きましたもので細かいところは読んでいただければいいかなと思うのですが、資料の51ページのところの合理的配慮について、こちらが記載したものの最後のほうです。合理的配慮というのは、当事者からの申し出によりとされていますし、それは確かにそうなのだろうなとは思うのですが、実は中途失聴の方とか難聴の方というのは、聞こえにくいのだけれども、その解決というか軽減の手段を知らないという方もたくさんいます。現実には、聴覚障害に関しては権利条約とか差別解消法とか、まだ確定していない噂話ぐらいの段階でも、行政や企業に関してはかなり通訳依頼というのはふえています。

その意味ではいいと思いますけれども、先日も公的な機関の研修に参加される方、その方にノートテイクということで参りました。ただ、その方御本人は難聴であるということは申し出たらしいのですけれども、要約筆記そのものは知らなかった、初めて使った。日常は補聴器で1対1の会話なら成り立つのでということで、それで済ませてきたわけです。けれども、その日は400人ぐらい入る広い会場で、そしてマイクの音声を介すというところでは、本当にノートテイクがなければ多分何もわからなかったと思うと言われました。そういう意味では、当事者からの申し出というのはそうなのだろうなと思いつつ、やはりそのあたりをうまく運用できるような形を考えていただけたらありがたいと思います。

同じページの下のほうで、大学のノートテイクに関して少しお話をしたいと思います。

入学のときの誓約書というのか、確約書というのか、そこに特別な配慮は求めないという記載があって、それを了解せざるを得ないという状況は現実にあります。ですから、聴覚障害の学生さんに、大学にノートテイクの申し入れをしてもいいのよと言っても、誓約書に書いてしまったから、はんこを押してしまったからと言われるのです。その辺は入学をするという前にそういうものが来たら、多分18~19歳の子だったらそうするだろうなと思います。

同様に、就職の面談もこの後のほうに書きましたが、就職の面談でも会社の障害者に対する対応は随分よくなってきたとは思いますけれども、人事担当者が就職の面談はこの長机を挟んだぐらいのところでやるわけですね。そうすると、私の声は聞こえますかと言われるわけです。多分、完全な聞こえではなくて、口形を読むとかいろんなことも含めてですけれども、はい、聞こえますと聴覚障害、難聴の子は答えます。

そうすると、では大丈夫だね、仕事はという話になって、隣にいる私は冷や冷やして、今そんなことを答えてしまったらこの後どうなるのと思っていますけれども、そういうケースは非常に多いのです。では、このぐらいの近さで話せば大丈夫だよねというところで終わってしまう。このあたりに関して、やはり人事の担当者が質問をするときの質問の仕方といいますか、そのあたりを何かマニュアル化、質問の項目の例示か、そういったものをつくられるとよいと思っています。やっていただけたらいいかなと思っています。

52ページのところに書きました障害者の日とか、それに関連したような大掛かりなイベントというのが国でも県レベルでも区市レベルでもたくさん開かれています。非常に立派な会です。ほとんどはイベント会社に丸投げ。そうすると、イベント会社は歌手のコンサートと同じように1分1秒を刻んで進行をします。ですから、そこの中で障害のある方たちがすごく急がされたり、全然見えないところに座らされたりというような現実というのがやはり起きています。だから、障害のある方がいらっしゃるからといって配慮をしているとは言っているのだけれども、その配慮自体が全くそういう状況になっていない。このあたりについても、どういう形でそこをやっていくのか。行政の研修もほとんどインストラクターが研修会社から来ます。大体元秘書とか、元客室乗務員とか、とにかく接遇とか挨拶とかは非常に厳しく教えますけれども、やたらめったら早い。そして、聴覚障害者がノートテイクでその接遇をするというのには非常にそぐわない研修。こういうあたりが全然知らされていない。研修担当者は頼んだら終わり、こういう状況がたくさんあるなと思っています。

細かいところは飛ばしますけれども、私自身は、東京都が実施している読話講習会、つまり、口の形を読み取る練習をするという講習会の担当を十数年しております。その中で感じるのは、中途で失聴されて、そこに通ってくる。それだけでも一段踏み出したということなのですが、その問い合わせのときに非常に感じるのは、中途失聴者の家族ケアが必要であるということだと思います。例えば御夫婦のうちのどちらかが聞こえなくなったときに、これまで音声だけでコミュニケーションをとっていた。その方法がとれなくなったということで、例えば奥様のほうが鬱になってしまうとか、そういうケースもあります。実際に私が行ったノートテイクの現場で中途失聴されたご主人のほうが、私が聞こえなくなったので家内がストレスで鬱になった、私は難聴を嘆いていられませんと言われたぐらいです。そういう意味で、家族のケアをどうしていくのか。このあたりも少し考えに入れていく必要があるかなと思います。

54ページの最後から55ページに書かせていただきました。自分たち自身のことで大変申しわけないのですけれども、手話通訳者、要約筆記者というのが養成されてもなかなか続いていかない現状。かつて本当にスタートしたころは、それでも仕方がなかったかもしれません。主婦とか定年退職の人しかできないという状況からスタートしています。今はもちろん自分の役割、仕事として責任を持って通訳者のように応じている人はたくさんいますけれども、やはり報酬、身分保障というものに関しては、今のままでは若い人たちがなかなか続いてこないということも実感をしております。

大変雑駁ですけれども、一応そのあたり、まとめてお話をさせていただきました。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、お二人への質問のある委員は挙手をお願いします。

新谷委員、お願いします。

○ 新谷委員 新谷です。

全通研の方にも質問しましたので同じ趣旨の質問ですけれども、全要研の立場としては、福祉サービスとしての情報保障と、一般的な合理的配慮というのですか、その辺についての関連の考え方をお伺いしたいと思います。

先ほども申し上げたのですけれども、福祉サービスというのは、基本的に手帳制度、実施要綱、予算という枠組みの中でしか実施できないということで、セーフティネットとして機能するのはそれなりに大きな意味があるかもわかりませんけれども、合理的配慮、企業はいろんなところで広がっていった場合に、福祉サービスに私たちは依存し過ぎではないか。制度発生がどうしても福祉制度だったもので、福祉サービスにシフトしてしまうことがあると思うので、その辺の団体の考え方をお伺いしたいと思います。

特に派遣事業を担っている事業体のお金の問題があるのかわかりませんけれども、安定的な収入源ということで、福祉サービスに依存して、それで企業とか学校関係、医療関係、そういうところへの提供する情報サービスのPRについても問題があって、企業側がなかなかそのような事業体にアクセスできない、情報保障をどういうふうに受ければいいのかというのを知らない企業団体もかなりあって、今まで従来の福祉サービスにとらわれすぎていた側面があるのではないかと思うのですけれども、情報保障というのは、本来自由で広いものであっていいはずなのですけれども、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

三宅様、お願いします。

○ 全国要約筆記問題研究会(三宅氏) 福祉サービスと合理的配慮のことについては、この中にも少し書きましたが、全要研としても完全に固まっているということではありませんが、やはり聞こえない人たちの日常生活を支える部分、ここはやはり福祉サービスでサポートすべき部分だろうと思っています。こういう言い方をしていいのかどうかわかりませんが、新谷さんも難聴者でいらっしゃるのでノートテイク等々をお使いですが、私たちか日常的にサポートをしている人たちというのは、音声で発せられたことをそのまま文字にしたのでは読みつかめない。その方たちのリテラシーとして、ちょっと厳しいという方たちも含めてのサポートになります。ですから、そのあたりでいうと、やはり福祉サービスの部分というのはしっかり残しておかないと。例えば企業あるいは行政、学校、そういうところが自分のところの構成メンバーに対してというのはやはり合理的配慮になるだろうとは思っていますけれども、そういうところに雇われたという言い方をしていいかどうかわかりませんが、雇われて、そちらの側に立ってしまうような通訳が起こるという心配も感じています。

それから、要約筆記に関しては、要約筆記だけでなく、もっともっと幅広い意味での文字情報ということがありますから、場合によっては、もちろん音声認識による表示であるとか、入力を多くするものであるとか、いろんな方法があると思うのです。要約筆記に関しては、かなり限定されたコミュニケーションの仲介というところが重要なのではないかと思っています。新谷さんがおっしゃられたように、一般の人が知らないということに関しては、PRが足りないのかどうかわかりませんが、少なくとも私の事業所に関して言えば、4月に企業の研修等では正直な話、通訳者が足りないというぐらいの状況です。地方ではそういう部分があるのかもしれません。それはPRをもちろんしていかなければいけないけれども、福祉サービスという部分を狭めてしまっていいのかというあたりで言うと、やはりまだ難聴者の心理的な部分も含めたトータルのサポートをするというところは福祉サービスで守っていかなければいけないかなと考えています。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

伊藤委員、お願いします。

○ 伊藤委員 伊藤です。

肝炎の方にお伺いいたします。私もずっと長い間、肝炎にかかわってきて、難病問題も今のC型その他もわからないときからずっと肝炎は取り上げられてきました。訴訟などで幾らか周知はされたと思いますけれども、先ほどもお話があったように、障害者年金とか福祉の制度でも一応は肝炎も対象となることになっているのですけれども、ラインが厳しいというか、ハードルが高くて実際には使えないという問題で、これをどのようにしたらいいかというのが大きな課題になると思いますし、就職の後でも大きな差別があって、特に医療機関関係ですと、就職、履歴書の段階で病歴を書いただけで落ちてしまう。あるいは看護学会ですと退学させられるというような問題もあっているわけです。こういう問題は今後の解消の方向について、肝炎は新しく法律をつくるわけですけれども、法律に期待するということでいいのか、何かもっと具体的にこういうラインにしてほしいとか、そういうようなことは何か考えておられるのかあったらお願いします。

○ 石川委員長 米澤さん、お願いします。

○ 米澤氏 最初に手帳の問題があって、そのお話もあったと思うのですげとれども、身障者手帳に関しては先ほど申し上げましたように、肝硬変が非常に重篤になった、本当に寝たきりのような場合、私のところに連絡が、米澤さん、ようやくとれたよ手帳と言って1週間後に亡くなるなどという方が少なくないのです。これは本当に現実的ではない。手帳をただもらって亡くなっていったという現実があります。ですので、今、日肝協としては、こういった制度から漏れてしまうような重篤な肝硬変の患者さんと、それから御存じかもしれませんけれども、肝臓がんというのは一度発症しますと、ウイルスから来る肝臓がんは何度も何度も再発します。私の知っている患者さんで24回目の治療みたいな方も中にはいらっしゃいます。ですので、非常に医療費負担が重くのしかかるという現状があります。

次に肝臓がんになったら私は治療しないかもしれない。それは精神的な負担ということ。つまり、やっても治らないかもしれないのでということと、もう一回できてしまうという思いと、医療費の負担が非常に負担になって結局はあきらめてしまうという方もたくさんいらっしゃる中で、日肝協はそういった方たちへの医療費補助をずっと国会請願で求めています。ただ、なかなかこれは現状難しい。それは財政上の問題であると言われています。

先ほど法律でもって何か規定を設けてという、私たちに対する差別の問題ですけれども、これはこのヒアリングシートにも書きましたけれども、罰則を設けて法律でというのは非常に解決が難しいのではないかと考えております。このヒアリングシートの中に、今まで私たちが把握している中で就職差別という、内定が取り消しになったという案件がありまして、2人の若い20代のB型肝炎の患者が、過去2回提訴しています。ともに和解になっていますけれども、当然元の会社には戻れないという実態があります。ですので、ヒアリングシートにありましたけれども、何か簡単に気軽に相談できるような、あるいは相談から解決まで行っていただけるような第三者機関のような機関があるといいなと実感しています。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

では、阿部委員、お願いします。

○ 阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部といいます。

私たちといいますか、身体障害のある人、私の当事者としての仲間の中でも、子供のころ手術をしたりしたときに輸血によってC型肝炎になった人たちが結構多くあるのも事実です。そのような中でお聞きするのですけれども、先ほど歯科医療のときに順番を後でということはきちんと説明があればということなのでしょうか、それから、予約をとるときには最後ということもあり得るということなのですね。

そして、先ほど医療のところをお話しいただきましたけれども、47ページには、最近は介護施設での入居拒否などということもありましたので、これはどのようにして防いだらいいのか、福祉領域での問題というのはどういうことなのでしょうか、米澤さん、コメントいただけますでしょうか。

○ 石川委員長 お願いします。

○ 米澤氏 ごめんなさい、最初の質問は何でしたか。

○ 阿部委員 最初の質問は、歯科医療のときには最後に予約ということでよいのでしょうか。それとも順番。多分患者さんから患者さんへの感染ということもあり得ないわけではないでしょうね。歯科治療では出血するものですから。

2番目は、介護施設での問題です。

○ 米澤氏 歯科の問題なのですけれども、これはヒアリングシートの別のところに書いたと思うのですが、何の問題もなくというか、別にC型肝炎ですとかB型肝炎ですとかということを伝えても全くほかの患者さんと同じように扱ってくださる歯科医というのもたくさんあるのです。ですので、そういうところもありながら、C型肝炎ということでとにかく最後というところもあるということでの患者の中での混乱が起こっていて、それはつまり、そうやって最後に回したりとかということは医者に言わせると、一度聞いたことがありますけれども、やはり自分のところの医療機関においては、ほかの患者さんに感染させるリスクがあると考えている。つまり、それは衛生状態が余りよろしくないとおっしゃっているのかどうかわかりませんけれども、ですので、それをきちっと説明していただければ患者は納得するのではないかと思います。

ただ、例えば相談や何かで診療拒否されましたことはよくあります。どこかほかを紹介してくださいと、見ていただけるところを紹介してほしいということを皆さんおっしゃるのですが、そうすると、たくさん受け入れてくださるところがあるのです。だから、最後に回されて、説明を受けてもちろん納得ができればそのまま受けていただければいいですしと思います。最後に回されるというのは歯科の状況によってだと思います。

介護施設は、最近すごくふえてきている問題で、これは両方あるのですけれども、介護施設に入居できない患者さんからの訴えと、介護施設で働くことができないC型肝炎あるいはB型肝炎患者の訴えが2つあります。入居できないという場合は、私どもが必要であればその施設に連絡をしてということもありますし、それはほとんどの場合は受け入れてくださる。注意事項というのもありますので、出血が起きました場合に感染につながるリスクというのもありますので、それはドクターのほうからペーパーを用意していただいて、それを差し上げるという対応を行っています。ほとんどの場合が受け入れてくださっています。

○ 石川委員長 どうもありがとうございました。

それでは、勝又委員、お願いします。

○ 勝又委員 ありがとうございます。これは質問ではなくて意見ですけれども、全国要約筆記問題研究会の方からご提出いただいたご意見の最後に申し出の有無にかかわらず、障害者権利条約に言われるように社会環境整備として、公的な会議を開催に対する責務として用意されるものとして、字幕やその他の文字情報の幅広い支援が考えられるべきというご意見を出されております。これに対して、本当にそういうことが重要だと私は思っております。

私ごとで申しわけないのですけれども、私が所属しております国立社会保障・人口問題研究所では、毎年厚生政策セミナー実施していますが、去年、字幕、いわゆるキャプショニングを導入しまして、それを動画サイトで配信しております。字幕をいれた会合を動画サイトで発信しますと、結局特別に文字情報を用意しなくてもそこに字幕が出ることになります。また、そのときの参加者の感想で、非常に専門的な話をしたセミナーでしたけれども、この要約筆記の方々の技術がすばらしいので、むしろ障害を持たない人たちでも字幕をみることで非常にわかりやすかったと言われました。内容について理解が進んだという非常にいい感想を得られております。ですから、字幕については、もっと広く進めていくというようなことが重要だと思います。

また、つけ加えますと、総務省のほうでもICTの関係で、例えばコマーシャルに字幕を入れるとか、そういうことも検討されていて、企業によってはすでにやっているというところもあるそうですから、字幕をどんどん進めていくということも非常に重要かと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

それでは、土本委員、お願いします。

○ 土本委員 ピープルファースト北海道の土本と申します。

要約筆記に苦労させてもらっているところもあるのですけれども、知的の障害を持っている人たちは、漢字に振り仮名が振っていないところがあるので、すごく読みづらい。難聴の人も含めて知的という二重の障害を持っている人がいたら、そこで難しいのかなと思いながら、これからも伝えていきたいし、これから努力していかなければならないのではないかと思います。

意見として以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

浅倉委員、お願いします。

○ 浅倉委員 ありがとうございます。浅倉と申します。

時間がないようですので、質問はやめて、1つだけ意見を申し上げます。

前回、わかりやすい差別解消法のバージョンが出ておりました。今日のお話を伺っていて、雇用の分野がいろいろな団体から差別の問題として浮上してきておりますが、実は、前回いただいたわかりやすいバージョンの中では雇用にふれられておりません。たしか差別解消法についてだけの説明となっており、雇用促進法に関する説明は全く入っておりませんでしたので、あのパンフレットをみただけでは、雇用に関する差別の問題が一体どうなっているのかという説明がわからなくなっていたように思います。

今、米澤さんも、雇用において採用時の差別があったということをおっしゃいました。たしかに、これまで裁判で争われてきた採用差別について、司法救済は無力だったと思います。しかし、今回、雇用促進法の改正がありましたので、この中で一体採用差別というのがどう扱われているのかということの説明が必要だと思います。したがって、わかりやすいバージョンの中でも、とくに雇用に関する障害差別にきちんとふれる必要があるのではないでしょうか。わかりやすいバージョンは、個々の法律についての説明ではなく、雇用促進法改正も含めて障害差別というものがこれからどうなっていくのかという、そういう説明をすべきでしょう。それを社会的に広めていただきたいなと思っています。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

最後に藤井委員長代理、お願いします。

○ 藤井委員長代理 これは全体にも関係しますけれども、特に時間がないから日肝協の米澤さんに伺います。障害というのは社会的障壁との関係で重軽、重くもなれば軽くもなる。社会的障壁の中に権利条約の中では態度、障害者基本法の中には観念、意識がある。きょう伺っていまして、随分その問題は大きいなと思ったのですが、政策的に態度や観念、意識を変えていくための提言とか、アイデアがあったら教えてほしい。とりわけプライバシーを守りながらそれらをどうしていくのかということでお答えいただけますか。

○ 石川委員長 米澤様、もしお考えがあればということでお願いします。

○ 米澤氏 これは非常に難しい問題で、私どもは肝がん、肝硬変患者に対する医療費助成等々の要望とともに、今まだ肝炎だと気がついていない患者さんに対して検診を求める、検診をもっと普及させてほしい。例えば職域検診をもっときちっと制度化してほしいというようなことも申し出ているのですが、これが実は頓挫しています。というのは、職域検診を進めることで会社のほうに肝炎であるということがわかってしまう。今、日本の企業の中では、これは総務人事の方たちが知るところになるというのが明らかなのです。ですので、プライバシーというお話がありましたけれども、そういうところでの保護ができない、そういうリスクを持ったまま、また差別が差別を呼んでしまうというようなことにもなりかねませんので、職域検診を進める活動というのは今一時停止しています。

ですので、そういった場合に同時に啓発教育活動というものも導入していただければ、肝炎に対するより深い理解を得られて、そして新たな感染者の発掘というか掘り起こしにもつながっていくと考えています。お答えになっているかどうかわかりませんけれども、これは非常に痛しかゆしというか、私たちはバッチとか絶対つけられないです。今インターフェロン中です、肝炎患者ですといってバッチをつけられない。私は電車にも乗れないような状況でした。これはなぜかというと、避けられるというのが見えているからという状況がわかっていますので、非常にこれは推し進めていくのはすごく難しいと感じています。制度化も難しいと、根本的な差別の問題ではないかと感じています。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

質疑応答は以上とさせていただきます。米澤様、三宅様、御協力ありがとうございました。(拍手)

本日予定しておりました議題は以上であります。

事務局、東室長、お願いします。

○ 東室長 担当室の東です。事務局から2点御報告があります。

1点目は、次回以降の日程についてでありますけれども、現在調整中でありますので、決まり次第、追って事務局のほうから連絡することになります。

2点目は、障害者制度改革担当室の私を含めた5人のメンバーの今後についてであります。御承知のとおり、現在内閣府に置かれております障害者制度改革担当室は、もともとは障がい者制度改革推進会議の担当室としてスタートしました。あれから4年がたちました。制度改革の中心的なテーマでありました権利条約の批准に向けた国内法制度の整備については一段落ついた状況です。そのような状況を踏まえ、すでに権利条約も批准されています。そこで、私どもとしては、一応の区切りをつける時期に来たと思っているところです。

つきましては、任期との関係で2月いっぱいで職を辞する者、3月いっぱいで職を辞する者に分かれますけれども、この場で皆さんとお会いできる機会は恐らくこれが最後だろうと考えているところです。

これまで障がい者制度改革推進会議は、2010年1月から38回、総合福祉部会は同年4月から19回、差別禁止部会は同年の11月から通算しますと25回、加えまして、この政策委員会はきょうを含めて11回、合計93回にわたって会議を開催させていただきました。

この会議の進行、運営等につきまして、皆様方の多大な御協力をいただいたことに感謝申し上げたいと思っております。本当にありがとうございました。

今後、障害者制度改革につきましては、障害者権利条約の批准後の新しいステージを迎えることになります。この障害者政策委員会が果たすべき機能というのは非常に大きなものがあると考えます。つきましては、これまで以上に増して皆様方の熱い思いを注いでいただければと思っているところであります。

○ 石川委員長 ということで、また次回、お目にかかりたいと思います。政策委員会は続きますので、よろしくお願いいたします。

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