障害者政策委員会(第9回)議事録 4
○ 石川委員長 そろそろ再開したいと思いますので、御着席をお願いします。
委員の代理の竹内さん、お願いします。
○ 花井委員代理 ありがとうございます。花井委員の代理の竹内と申します。
私からは、この基本方針策定に当たりまして、本日、資料1-1、資料1-2として委員の方々からの意見の一覧を冊子にしていただいていますが、これの扱いについてです。
基本方針にすべての事例を載せるというのはもちろん限界がありますし、どういった記載にするかという工夫が求められるところではありますが、この綴じていただいている意見一覧には個別の具体的な事例も寄せられています。基本方針は基本方針として、例えばこうした事例をさらに集積していき、どのような扱いとするのか、あるいはそのようなことを想定されているかのということです。
今後、この委員会のメンバー以外にいろんな団体からのヒアリングも予定されているということで、その過程でも様々な事例、具体的な事例が報告されると思われます。
きょうは、委員ごとに分けて掲載いただいていますが、ページを行ったり来たりして、論点別ではないため見づらいということもあります。例えば国の対応要領、それから事業者への対応方針といった論点ごとに分けて事例を集積して、後々、例えば冊子にするであるとか、あるいはインターネットに事例として掲載する予定があるのか。もちろん全ての事例を網羅するのは困難でありますから、想定される1つの例として活用する御予定があるかどうかを質問させていただければと思います。
○ 石川委員長 内閣府への質問ですか。
○ 花井委員代理 そうです。
○ 東室長 担当室の東です。
今後の予定として、そういった問題をどのようにまとめていくのかについては、まだ煮詰まった検討をしているところではありません。基本方針という法の枠組みの中で書くというのが一番メインだろうと思いますけれども、そこからはみ出す部分について、何もしないかどうか、何らかの対応ができるのかどうか、そこも含めて検討させていただくということでいかがでしょうか。
○ 石川委員長 ありがとうございます。よろしく御理解いただければと思います。
それでは、尾上委員、お願いします。
○ 尾上委員 ありがとうございます。DPI日本会議の尾上です。
まず、1点は、第7条、第8条のところに、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じてということが明記されていますが、これを受けて当然のことながら、やはり基本方針の中に女性障害者や子供などの複合的差別ということがしっかりと明記される必要があると思います。そのための検討を今後ぜひしていきましょうということをお願いしたいと思います。
2点目ですが、差別解消の第5条では、社会的障壁の除去のための環境整備ということが入っています。条文には、その他の例えば設備やその他の必要な環境の整備に努めなければならないとあります。その他の必要な環境の整備の中には、障害を理由にした欠格条項というのが、例えば実際に公営住宅に申し込みたいと思っていても、自活要件とかそういったものがあれば社会的障壁として実際に公営住宅そのものに申し込めない。そのために地域生活ができないということや、あるいは公務員試験にチャレンジしたいと思っても、その入り口のところでは、いわば障壁として立ちはだかるわけですから、そういう意味で、ここのその他の必要な環境の整備というところから、欠格条項の廃止や見直しの少なくともその引き金になるような考え方ということが基本方針の中に盛り込まれるべきではないかと思います。それが2点目です。
きょう、4時間の時間で非常にいろんな多岐にわたる豊富な意見が出たと思っています。今後、ヒアリング等でさらに煮詰めていくことになる中で、ぜひ言いっ放しあるいは聞きっ放しにならないように、政策委員会としての取りまとめをお願いしたいと思います。
そして、もう時間がありませんので、最後、これが1点ですけれども、前半のほうで病棟の転換型の居住施設の問題が出ていました。この政策委員会でかなり議論、小委員会も含めて議論をし、そしてやっとまとまった第3次基本計画では、こういうように書かれています。特に入院中の精神障害者の退院、地域移行を推進するため、精神障害者が地域で暮らせる環境の整備に取り組む。地域で暮らせる環境の整備に取り組むと計画に明確に書いているにもかかわらず、病棟を転換して別の階に移る、あるいはその病棟に移れば退院だという、いわばまやかしのようなものというのは、明らかに基本計画に背反すると、背馳すると言わざるを得ないと思うのです。こういったことも含めて、これは基本方針ではなくて、むしろ政策委員会の今後の役割ということで、いわば基本計画をモニタリングすることは先ほど外務省の御説明からも、我々の仕事なわけですから、基本計画どおり、そういった検討がされているのかどうかというのを、基本方針の検討はしっかりやっていかなければいけないのですが、それと並行して、ぜひ政策委員会としてそういった基本計画どおりのちゃんと施策の方向が進んでいるのかどうかといったモニタリングの機能を果たせるような今後の検討スケジュールをぜひ考えていただきたいなと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
この中でどうでしょう。環境整備として欠格条項をなくしていくという方法論についての御提案があったのですが、何か事務局、ありますか。
差別的取り扱いだから、合理性のない欠格条項をなくしていくという話ではなく、環境整備という意味でしょうか。尾上委員。
○ 尾上委員 たしか、差別禁止部会の議論の中では、国の責務という中に欠格条項の見直しという項目が入っていたと思います。私自身は、やはり差別的な取り扱いのいわば制度的な形でやられているのが欠格条項だと思いますけれども、Q&Aの中では、今、既存のある制度をこれは一律に差別解消法で見直すものではないという記述でしたか。今、ぱっとその該当ページが出なくて不正確ですけれども、そういう意味で、この差別解消法の差別的取り扱いに当たるかどうかということについてはいろんな議論があり得るのかなと思ったとしても、少なくとも社会的障壁の除去をしていく、その責務はあるわけで、そして、環境の整備という中には、こういった制度的な障壁を除去していくということは環境整備の一環になるのではないかという考えなのです。
○ 石川委員長 よくわかりました。少なくてもということですね。
この環境整備について、関連で後藤委員、お願いします。
○ 後藤委員 後藤でございます。
定期的なローリングと書きましたが、先の東室長の御発言に関連してですが、聞き違いかもしれませんが、事前的措置は権利マターではないという御発言でした。法だけをそのままで技術的に読めばそうかもしれませんが、権利条約の精神からは、合理的配慮は基本的な事前措置がなされている上に合理的配慮が書かれていると思います。例えば情報分野は法で措置していないからこそ、選挙の広報をPDFでアップしたりという珍プレーが起きています。積み残しということが今回明らかになった、こういう問題がどんどん出てくると思います。
今回の批准は、権利条約に足りないところもありつつするとされており、確かにそう思います。障害は発展する概念とされているとおり、運用を通じて見直し、ローリングをしていくべきと思います。
○ 石川委員長 ローリングという意味を。
○ 後藤委員 ごめんなさい。毎年定期的に実施状況を差別解消法についても見直していく。その際、基本方針の範囲内だけを見直すのではなく、今後、枠組み自体への問題意識も高まってくることを織りこんで見直していくこと必要があると思います。
○ 石川委員長 ありがとうございました。環境整備もしくはバリアフリー法制には権利性がないという件について、東室長から本意というか趣旨を説明していただければと思います。
○ 東室長 例えば一定規模以上の駅舎にはこういったことが求められるといった形で共通項的な合理的配慮が施策としてなされる、そういう制度ができているわけですね。しかしながら、これをある駅がしなかったといった場合に、利用当事者が何らか申し立てできるのかという点が問題となるわけですが、権利性があれば、それは自己の権利に対する侵害ですので、何らかの紛争解決の手続に持ち込めるということが想定されるわけですけれども、必ずしもそういった仕組みではないわけですね。行政がちゃんと監督してそれをちゃんと守るようにという、行政指導的な形での担保はありますけれども、権利行使によってそこを変えていく、改善していくという、そういう仕組みが伴ってないわけですね。ところが、それが合理的配慮の問題だと位置づけられれば、それは相手方がみずからしなくても行政が言わなくても、それを利用する障害当事者が物申すことができる。そういった意味で権利性があると言ったわけですね。そこの違いがあるということは踏まえておくべきだということで申し上げました。
○ 石川委員長 どうもありがとうございます。
ということは、環境整備と合理的配慮の関係について記述する場合には、法律の枠組みの中でできるだけ合理的配慮の範囲を広くとるという方向性を委員会としては目指したいということで大体皆さんのお考えは一致すると考えてよろしいでしょうか。
遠藤さんは違うかもしれない。後藤委員、どうぞ。
○ 後藤委員 後藤でございます。
東室長のご説明に関して権利性の議論は置くとして、権利条約を締結、批准すること、合理的配慮が必要なこと、切れ目をつくらないことを合わせると、今後、環境整備は足りないところは自動的、反射的にしなければならなくなると理解します。例えば情報分野など法がないゆえに穴があくのなら、法でやるかどうかはともかく、そこを担保することが必要になる、そういう理解で結果は同じと思います。
○ 東室長 その点の理解については、そうだと思っております。
○ 石川委員長 では、遠藤委員、お願いします。
○ 遠藤委員 経団連の遠藤と申します。
第5条との兼ね合いですが、私が内閣府の方から御説明を聞くチャンスがあり、このQ&Aで申し上げれば、20ページに書かれていることなのです。第5条が努めるという形の書きぶりになっていることと、ではその場合の行政指導とのかかわりはどうなのか、行政措置とのかかわりはどうなのかといったようなことについては、このQ&Aの中で書かれている内容を伺ったということなので事実関係として申し上げたいというのが1点目です。
2点目は、先ほど委員長がどういう意図でお話をされたのかわかりませんけれども、合理的配慮を広くとるとか、狭くとるとかということは、私は安易に使っていただきたくない言葉だと思っております。
何が合理的配慮なのかということのガイドラインを今後それぞれのところでつくるための基本方針を話し合っているのであって、何かここで方向性を出すべきタイミングでもないし、まだ始まったばかりだということなので意見として申し上げたく思います。
以上であります。
○ 石川委員長 御指摘ありがとうございました。肝に銘じたいと思います。
最後に、モニタリングについて少し尾上委員からも問題提起がございましたけれども、基本方針について黙々と作業をしている間にも障害者政策は動いていくので、毎回政策委員会をやるときには、重要な障害者政策の動きについては、所管している幹事のほうから御報告をいただくとか、あるいは事前に委員から、この政策についての報告を政策委員会として聞くべきだというような提案をいただいて、それは取捨選択をさせていただくことにはなりますけれども、そういったこともやりながら、基本方針に対して政策委員会としての意見をまとめていくということが少なくとも必要なのではないかと感じているのですけれども、いかがでしょうか。皆様の御意見をお伺いしたいと思います。
佐藤委員、どうぞ。
○ 佐藤委員 来年の前半、ここ半年ぐらいの間はこの基本方針の議論というのが一番の中心になるのだろうということは私も理解しますけれども、障害者基本法の32条と34条を読むと、基本計画についての調査審議、実施状況の監視、各省庁だとか民間団体も含めて必要な資料の提出を求めるだとか、とにかく基本計画と権利条約の実施状況についてもっと総合的に監視し必要に応じて提言をする役割を持っているのだろうと思うのです。当面、基本、差別解消法の基本方針づくりが最大の課題ではあろうと思いますけれども、そういうことを考えると、もう新しい基本計画が実施され始めているわけですので、どうモニターするのかの議論とか、いろんなことが必要だと思いますので、半分ぐらいは基本方針づくりの検討で、残りはより総合的に本来の経常的な政策委員会の役割を遂行していく、そのための財政だとか事務局体制などもきちんと整えていただくということが必要なのではないかと思います。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
もしもうお一人だけぐらいでしたら、ぎりぎり。
では、藤井委員長代理で最後にさせてください。
○ 藤井委員長代理 今の佐藤委員の意見に賛成であります。これに加えて、先ほどから関口委員、上野委員、尾上委員がおっしゃっていますように、病棟転換ですか。これは今一番新しい言葉では病床転換ということで、ただ、一番最終の検討委員会等を聞いていますと、11月30日ですか。その病床転換の可否を含めてとなっていますので、できればきょう、事前に通知していませんから、次回、厚労省のほうから、これに関する御説明を。この32条に基づいてこの委員会というのは監視のみならず勧告もできますので、それも含めて考えていく。きょうは一応厚労省の方もいらっしゃっていると思いますので、次回御説明願うということで、これに関しては重大な関心を持っているということを表明して、一応宿題にするということでいかがでしょうか。
○ 石川委員長 事務局、いかがでしょうか。検討するということ。
統括官、どうぞ。
○ 統括官 検討させていただくということで。
○ 石川委員長 済みません、検討でよろしく。事務局のほうで検討いたしますということで、最後に、次回の政策委員会について事務方からの報告をいただくことにしたいと思います。
○ 東室長 次回の日程でありますが、次回は1月20日を予定しております。メインとしては、関係団体のヒアリングを実施する予定で、対象団体等につきましては、現在調整中であります。詳細は追って事務局より報告することになるかと思います。
以上でございます。
○ 石川委員長 以上をもちまして、第9回の「障害者政策委員会」は終了いたします。
どうもありがとうございました。