7.オーストラリアの包括的な最初の報告の検討プロセス

7-1 オーストラリアの障害者権利条約の国内実施体制

 オーストラリアについては、韓国同様、平成25年度調査で障害者権利条約の国内実施体制について調査した。平成25年度調査で把握した、オーストラリアの国内実施体制の概要図を図表7-1に示す。

 オーストラリア政府では、社会サービス省と法務省が共同の中央連絡先となっている。また、オーストラリア人権委員会(AHRC)が独立した仕組みに指定されている。

 一方、オーストラリアでは調整のための仕組みが指定されていない。代わって、連邦政府と各州政府の協議組織であるオーストラリア政府間評議会(COAG)が障害者権利条約の実施に当たって大きな役割を果たしている。また、オーストラリア政府間評議会の中に「コミュニティ・障害サービス常任委員会」が設置され、オーストラリアの障害者政策の基本戦略である国家障害戦略(NDS)に基づく各施策の実施状況を調査し、2年ごとに進捗報告をまとめている62。ただし、オーストラリア政府間評議会は、あくまでも連邦政府と州政府との協議組織であり、政府内各部局の調整の役割は担っていない。

 市民社会においては、主要な障害者団体が集まり「障害者権利条約市民社会報告プロジェクトグループ(以下「市民社会報告グループ」と記述する。)」を結成した。市民社会報告グループは、「Disability Rights Now」というタイトルのパラレルレポートを作成し、事前質問事項への回答を含め、2つのレポートを国連障害者権利委員会に提出した。

図表7-1 オーストラリアの国内実施体制(図表7-1のテキスト版

オーストラリアの国内実施体制を示す図

出典:平成25年度障害者権利条約の国内モニタリングに関する国際調査報告書


62 2010-2020 National Disability Strategy: Report to the Council of Australian Governments 2012, p21

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