1 国外調査 1.4

1.4 調査方法

a.調査対象国の障害者権利条約に基づく政府報告、パラレルレポート、事前質問事項、最終見解の通読と要点のまとめ

政府報告、パラレルレポート、事前質問事項、最終見解1調査対象国のうち、第1サイクルの審査対象国(キューバ、ノルウェー、トルコ、サウジアラビア、ニジェール)は2019年3月時点で最終見解が発表されなかったため、分析対象に最終見解を含んでいない。また、第2サイクルの審査対象国(スペイン、ベルギー、デンマーク)については、それぞれの第1サイクル審査の最終見解を参照した。]を通読した。障害者権利委員会の審査の論点についてまとめる際は、一般的意見が公表されている、第5条平等及び無差別、第6条障害のある女子、第9条施設及びサービス等の利用の容易さ、第12条法律の前にひとしく認められる権利、第19条自立した生活及び地域社会への包容、第24条教育、第4条3項と第33条3項国内における実施及び監視における障害者の関与に特に注目し整理した。また、第31条統計及び資料の収集についても注目するほか、第9条の内容が第21条表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会に記載されている場合がある点に留意した。なお、スペインについては、平成26年度に実施した「障害者権利条約の包括的な最初の報告の検討プロセスに関する国際調査」の内容も参照した。

b.各国に共通する論点及び固有な論点の抽出

a.で得られた情報を基に、各国の共通点と相違点を抽出した。各国に共通する論点は、一般的意見と深く関連していると考えられる。必要に応じて国連総会に提出される障害者権利委員会に関する報告文書等も参照し、キューバ、ノルウェー、トルコ、サウジアラビア、ニジェール、スペイン、ベルギー、デンマークに共通する論点を抽出した。

一方、各国固有の論点については、一般的意見の対象条項に限定せず、各国に関するパラレルレポート、事前質問事項で重点的に言及された項目を対象として検討し、我が国の今後の審査対応で参考となる論点を抽出した。

c.得られた論点とパラレルレポートの比較による反映状況の分析

b.で得られた情報を基に、各国の審査プロセスにおける論点形成の在り方、特にパラレルレポートの指摘事項の反映状況を分析した。

分析に当たっては、対象となるパラレルレポートの内容の総合性や客観性に加え、事前質問事項に対する各国政府回答の内容に着目した。政府回答の内容は、包括的な最初の報告の内容の補足にとどまらず、各国のその後の条約実施の進捗を報告するものであることが多い。各国が、事前質問事項への回答で何を報告しているか、またその内容がパラレルレポートの内容とどのような関係にあるか等に着目して分析を行った。

d.関連する資料の収集・翻訳

障害者権利委員会のウェブサイトにて必要な資料を収集し、第5条、第6条、第9条、第12条、第13条、第19条、第21条、第24条、第29条、第31条、第33条を中心に、aからcの過程で重要と判断された個所を翻訳した。

対象資料としては、審査プロセスにおける主要資料である政府報告、パラレルレポート、事前質問事項、事前質問事項に対する政府回答を中心に、必要に応じて、対象各国の関連法、基本計画、ガイドライン、白書、市民社会や人権委員会が発表する報告などの資料を収集し、関連部分について翻訳した。

e.諸外国における合理的配慮・環境整備に関する指針や取組モデルの実態状況の把握とそれらへの最終見解の影響の分析

スペイン、ベルギー、デンマークの3か国について、障害者権利委員会の第1サイクルにおける最終見解発表後の各国における障害者施策の展開に関する資料を収集し、内容の把握と整理、最終見解との関連性の分析を行った。

各国の法案や長期計画には、その国がこれから進める合理的配慮・環境整備に関する指針や取組モデルが反映されていることが想定されるため、これらの資料を起点に分析を進めた。特に、これらの法案や長期計画が、どのように条約との整合性を確保しているのかを分析した。


1 調査対象国のうち、第1サイクルの審査対象国(キューバ、ノルウェー、トルコ、サウジアラビア、ニジェール)は2019年3月時点で最終見解が発表されなかったため、分析対象に最終見解を含んでいない。また、第2サイクルの審査対象国(スペイン、ベルギー、デンマーク)については、それぞれの第1サイクル審査の最終見解を参照した。

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