1 国外調査 1.5.2
1.5 キューバにおける合理的配慮・環境整備と障害者権利委員会審査状況
1.5.2 キューバの包括的な最初の報告の国連審査状況
(1)審査プロセスの現状
キューバは、障害者権利条約を2007年9月に批准した。しかし包括的な最初の報告の作成はなかなか進まず、2010年にキューバ政府は機関間ワーキンググループを設置して報告書の検討を進め、2014年9月に包括的な最初の報告を障害者権利委員会に提出した。障害者権利委員会は、2018年3月の第9回事前作業部会でキューバへの事前質問事項の検討を行い、4月に事前質問事項を示した。キューバ政府は2019年1月に事前質問事項に対する政府回答を障害者権利委員会に提出した。
この間、キューバに関するパラレルレポートは、事前作業部会の前に3つ、事前作業部会から委員会の審査までの間に7つ提出された。最初の3つは、体罰禁止に取り組む国際NGOであるGlobal Initiative to End All Corporal Punishment of Children、包容的なアクセシブルな社会を目指す国内NGOであるLa Red de Cultura Inclusiva Cuba、幼児教育の国内団体であるAsociacion Cubana para el Desarrollo de la Educacion Infantil (ACDEI)からそれぞれ提出された。また事前作業部会以後は、Federation of Cuban Women(キューバ女性連盟)、ASOCIACION CUBANA DE NACIONES UNIDAS(キューバ国連協会)、Asociacion Nacional de Sordos de Cuba(キューバ聴覚障害者協会)、Asociacion Cubana de Limitados Fisicos-Motores(キューバ身体障害者協会)、Cuban Union of Jurists(キューバ法学者連合)、Asociacion Nacional de Ciegos y Debiles Visuales(全国視覚障害者協会)、Cuban Council of Churches(キューバ協会評議会)からそれぞれ提出された。
これらの情報提供を受けて、障害者権利委員会は2019年3月の第21会期でキューバの包括的な最初の報告の審査を行っているところである。
(2)主な論点
以下に、主要な条項に関する論点を整理する。なお、キューバは包括的な最初の報告から審査までの期間が長いこと、現在、憲法改正の手続中で、この憲法改正が障害者権利条約の実施と関係している点に注意が必要である。
第1~4条 一般的義務
第1条~第4条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- 国の法律は、すべての障害者を対象としておらず、また障害者に対する差別的用語を用いている。
- 保険契約において、一定以上の障害のある人の医療費を保険対象から除外している。
- 交通安全規則において、統合失調症等の障害者の運転を禁止している。
障害者権利委員会は事前質問事項で、憲法や各種法令と条約との整合をとるための戦略、障害認定の基準が障害の人権モデルに基づいたものになっているか、障害者に関する法律や政策決定の際に障害者と協議する政策があるか、障害者団体の登記と活動の推進、障害者のための国家計画の内容と、その策定に障害者団体が関与したか、などについて情報提供を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- キューバは憲法を含む法制の見直しを進めており、新憲法が承認されると家族法が改正され、障害者が考慮される。
- 身体障害は国際生活機能分類の基準、医学的診断基準に従って分類されている。知的障害を含むすべての障害者が国によって登録されている。
- 法律や政策の制定前に政府が3つの障害者団体と協議することが慣例となっている。
- 「協会法3」により、組織が登録及び承認されるために必要な要件を規定している。
- 機会均等、統合、社会生活への積極的参加、個人の自立の発展等、条約が企図する戦略、プログラム、行動、サービスを構想している。優先行動方針に従い、医療、雇用、アクセシビリティ等で働きかける分野の拡大を図り、統合の必要性に応じたプログラムの推進、各プログラムを支援する各法律への包含を進める。
- 障害者団体は、障害者支援委員会等を通じて計画の構想と評価に参加している。
- 障害者の無差別的取扱いの例として、他の労働者と同等の給与、職業訓練と資格、技術発展に関する能力開発を保障する。
キューバ政府の回答は、現在のキューバの障害者施策の枠組みについて説明するとともに、憲法改正をはじめとする今後の法令改正によって全体的な見直しを図ることを示している。ただし、例えば公認された3つの団体以外の障害者団体の政策プロセスへの関与等、質問の趣旨に十分に答えていない点も見られる。
第5条 平等及び無差別
第5条に関しては、パラレルレポートで次のような指摘がなされた。
- 司法長官室による苦情や請求処理では、問題の状況を修正する権限を持たないか、その範囲が制限されている。また訴えから応答までの期間が長く、緊急の事案に対応できない。
- 過去5年間に障害者差別の苦情申立てがないことは、実際には確認できない。
- 権利侵害に対して、人権に関する国内法制度における効果的な救済制度はない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、合理的配慮の否定及び複合的横断的差別など、障害者に対する差別を禁止し、複数の理由に基づく差別から保護する総合的な法律の制定に向けた措置について報告を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 障害者差別禁止の特別な法律はないが、現行刑法は障害者の権利の侵害を防止又は解決するための法的保障、手続及び十分な情報資源を定めている。
- 障害者団体は、無差別に関連するすべてを対象とする障害者介護法案の策定に積極的にかかわっている。
また障害者権利委員会は事前質問事項で、国民の苦情を扱う機関へのアクセシビリティがどう保障されているか、障害者の権利侵害が疑われる事案の申立て先機関を障害者にどう周知させているかについて報告を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 障害者差別に関する苦情申立ての件数は非常に少ない。
- 2012年に苦情申立ての検察官に専門の権限が与えられた。2014年から、書面だけでなく電話、ウェブサイトでも苦情を受け付けている。
キューバ政府の回答からは、障害者介護法案の検討等、一定の対応が進められていることがうかがえるが、障害者差別に関する苦情申立てがないとしていることなどから、制度や施策の有効性には疑問が残る。
第6条 障害のある女子
第6条に関係するパラレルレポートとしてはキューバ女性連盟のレポートがあるが、同レポートはキューバ政府及びキューバ女性連盟の取組を紹介する内容で、論点の指摘や提案は見当たらない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、男女機会平等を促進する政策、計画、措置に障害のある女性がどのように含まれているか、そして障害のある女性及び女児に対する複合的横断的差別に対する法律や公共政策に障害のある女性がどのように含まれているかについて説明を求めた。
また、障害のある女性の状況改善や、障害のある女性及び女児の社会的経済的政策の効果を監視する仕組みの構築に関して国連の女性差別撤廃委員会より出された勧告に対し講じられた措置について説明を求めた。
これに対するキューバ政府の回答は、次のような簡単なものであった。
- ACLIFIMの367人の女性会員がキューバ女性連盟の研修プログラムに参加した。そこには法律や活動家、専門家が配置され、障害のある女性に支援を提供している。
キューバ政府の回答には、事前質問事項が求めている複合的横断的差別への対策についての説明や、女性差別撤廃委員会の勧告に基づく措置についての説明はなく、同国の障害のある女性への対策が十分に進展していないことが推測される。
第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ
第9条に関しては、パラレルレポートで次のような指摘がなされた。
- 運輸省は公共輸送機関に障害者用の座席を確保するよう求めているが、そうではなく、公共輸送機関へのアクセスを妨げる障壁の排除を命じるべきである。
- 道路(歩道)のバリアフリー化は不十分で様々な障壁があり、障害者は危険にさらされている。
- キューバ通信会社(ETECSA)は3つの主要障害者団体に対し障害者サービスを提供しているが、障害者がこのサービスを利用するには3つの団体のいずれかに所属しなくてはならない。しかし、これら3団体には全国の障害者の21.57%が所属しているに過ぎない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、公共輸送機関・公共施設・情報通信に関する、履行期限や罰則つきのアクセシビリティ改善計画の策定や遂行の状況について報告を求めた。またその策定や遂行に当たり、障害者団体と協議したかを尋ねた。さらに、包括的な最初の報告で示されていた障壁に対しどのような措置を講じたかについて説明を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 2017年には834件のプロジェクトでアクセシビリティ基準が適用された。内訳は、観光部門240件、健康部門110件、住宅建設72件、社会福祉事業199件、その他施設213件であった。
- 公共輸送機関で障害者を支援する職員向けの研修を実施している。
- 情報通信では、2017年末に低床の電話ボックスが47設置された。750分の無料通話が1万3,347人の障害者の住宅向けに、また900分の無料通話サービスがANCI本部で113人、ANSOCで83人、ACLIFIMで114人に提供された。
- キューバ政府は各分野で実施した対策について具体的に報告しているが、事前質問事項が求めたアクセシビリティ改善計画の策定状況や障害者団体の参加の状況については回答していない。
第12条 法律の前にひとしく認められる権利
第12条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- 政府報告の記述とは異なり、キューバの法制度は障害者の法的能力に制限を課している。
- 裁判所は、医学的診断に従って障害者の法的能力を否定する。これは、条約第12条の規定に反している。
- 国内法は、障害者の法的能力を否定するとともに、法的効力を有する意思決定へのアクセスも制限している。例えば、法的行為の際に公証人に対し自分の意思を表明することができない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、後見制度など法的能力の一部又は全体を制限する制度や法律を撤廃し、障害者の意思や選好が尊重された判断を支援する体制を構築する計画について報告を求めた。また、法的無能力であるとされた障害者が後見決定に抗議し見直しを申請するための仕組みについて説明を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 新憲法制定の後、家族法等の改正について検討が行われる。その際、後見制度や支援付き意思決定に関連するものを含め、障害者に関することがらが考慮される。
- 管轄裁判所から法的に無能力であると宣告された場合、彼らは彼らの監護権に関する決定に異議を申し立てることはできない。ただし、法的手続に不備があった場合や、裁判所が考慮した診断書に不正が見つかった場合、検察官等が後見人の無効を主張することができる。
キューバ政府の回答からは、後見制度の見直しについて今のところ進展がなく、新憲法制定後の関連法改正における検討課題に位置付けられていることが分かる。
第13条 司法手続の利用の機会
第13条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- 障害者の司法アクセスを確保するための法制度の見直しは行われていない。
- 未成年の障害者、特に心理社会的障害者は、刑事訴訟法の対象とならないために保護がない。
- 研修の欠如、障害者の権利の認識の欠如により、司法関係者は障害者の司法アクセスを拒否すること、手続の保障の権利を侵害することがある。
- 捜査段階や訴訟準備段階において、権利の尊重を確保するための司法の介入がなく、国際基準と矛盾している。特に心理社会的障害者が拘禁を受けた場合、裁判所の許可なく3年間の自由の剥奪や罰金などの権限が警察機関に与えられている。罪の暗黙の承認を意味する刑事訓戒の適用は拒否できるが、その権利を本人に知らせない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、障害者、特に知的障害者や心理社会的障害者にあらゆる司法手続の利用機会を保障するために講じた措置について報告を求めた。さらに、司法手続の利用をはじめ、司法制度のあらゆる分野における行為能力を障害者が確保できるための手続上の配慮について、また裁判官、弁護士、警察官に対する研修政策について報告を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 司法長官室を強化し、家族保護及び管轄事項の専門部局が設置された。その役割の中には、民事上及び刑事上の問題において、権利が侵害される可能性のある障害者の支援及び保護が含まれる。
- 司法養成学校は、障害者の権利と、キューバが締約国である国際条約の適用及び解釈に関する講座を提供しており、そこには全国各地からの裁判官が参加している。
キューバ政府の回答からは、司法手続における障害者の支援について一定の取組の進展があることがうかがえるが、パラレルレポートの指摘内容とは大きな乖離があり、取組の実効性が課題だといえる。
第19条 自立した生活及び地域社会への包容
第19条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- 障害者が自らの介護人を自己雇用する制度について、そのための給付金が不足している。
- 心理社会的障害者や知的障害者については、強制入院措置をとる制度がある4。
障害者権利委員会は事前質問事項で、障害者の自立した生活及び地域社会への包容を支援するための国家戦略について報告を求めた。特に、医療施設で生活する障害者、経済力が低く社会的支援のネットワークから外れている障害者の地域社会への参加と包容のために講じられている措置と、それらに割り当てられる公的予算額について情報提供を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 一人暮らしの高齢者・障害者の在宅支援サービス、重度障害のある児童の母親の保護、家族の食糧支援等を実施している。
- 歩行支援のため松葉杖などの購入補助を提供している。車いす、リフト、衛生ベッド、便器、マットレス、おむつ等の購入保障を実施している。
キューバ政府の回答からは、在宅で生活する障害者に対し各種の支援がなされていることがうかがえるが、パラレルレポートが指摘した強制入院の対象者については言及していない。
第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会
第21条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- キューバ通信会社(ETECSA)は3つの主要障害者団体に対し障害者サービスを提供しているが、障害者がこのサービスを利用するには3つの団体のいずれかに所属しなくてはならない。しかし、3団体は全国の障害者の21.57%が所属しているに過ぎない。5
障害者権利委員会は事前質問事項で、マスメディア、補助的代替的形式のコミュニケーション手段等を含めた通信及び一般公衆向け情報へのアクセシビリティを保障するために策定された計画及び予算について報告を求めた。また、キューバの手話の公用語としての認定、使用の促進がどの程度進められたかについて報告を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- ANSOCは聴覚障害者向けの携帯電話15台を購入した。
- ANSOCと協力し、テレビで音声解説付き映画や報道を実施している。
- クローズドキャプションは全国チャンネルで安定的に提供している。映画、ドラマ、ニュース等60本の番組を提供。
- キューバの公用語はスペイン語である。
キューバ政府の回答から、テレビ放送についてはある程度の取組がなされていることが分かるが、手話に関しては取組が進んでいないことが推測される。また、ウェブアクセシビリティに関しては言及されていない。
第24条 教育
第24条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- 教育制度は包容的ではなく、障害の種類と重症度に応じて異なる学校に通うことを義務付けている。
- 特別教育を受ける児童は、他者と同じ能力や知識を身に着けることができない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見第4号(2016年)に言及し、障害のある児童にインクルーシブ教育を保障するために講じている法的及び実務的な措置について説明を求めた。また、合理的配慮がなされ、障害のある児童が利用可能なインクルーシブ教育が行われている教育機関数について情報提供を求めた。
これに対しキューバ政府は次のように回答した。
- キューバには355校の特別学校があるが、すべての教育機関は、障害の有無にかかわらず特別教育を必要とする生徒にサービスを提供することができる。そのための詳細な方法論、ガイドラインの作成、普通学校の教員のための研修講座の実施等が行われている。
- 高等教育も包容的であり、柔軟性がある。全国の大学に204人の障害のある学生がいる。
キューバ政府の回答から、普通学校におけるインクルーシブ教育に向けた一定の取組がなされていることがうかがえるが、これらの内容はパラレルレポートが指摘した状況とは異なっている。
第29条 政治的及び公的活動への参加
第29条に関して、パラレルレポートでは以下の指摘がなされた。
- 障害者が自発的に設立した団体について、担当機関は団体登録を拒否しており、主要な3つの障害者団体に社会的な独占性を与えている。
- これら3団体は地域社会レベルまでの構造を持ち、政府予算下で活動するので、政府に完全に依存している。また、政府への活動報告と検査、出版物の承認等を課され、団体の意思決定が政府の決定に従属する形になっている。
- この計画に属さない市民社会団体は法的に認められず、構成員は恣意的な逮捕の対象となる。
- 3団体の方針に従わない障害者は差別され、団体への加入を拒否されたり追放されたりする。
障害者権利委員会は事前質問事項で、障害者の政治的及び公的活動への参加を促進するために講じられた措置について情報提供を求めた。また、公的な職務に就いている障害者の人数、責任ある地位に就いている障害者の割合について、性別(男女別)データの提供を求めた。
これに対しキューバ政府は次のように回答した。
- 法定年齢で精神的に適格であれば、障害者が公的な地位に選出・任命されるのを妨げる制限はない。
- 一般的な団体や障害者団体では、障害者の代表が生活の水準と質の改善に関係する問題を議論できる。これらの会議には、地方政府等の公的機関が関与する。
キューバ政府の回答は原則的な事柄の説明のみとなっており、障害者の団体設立等の自由や、公的地位にある障害者数等に関する説明はなされていない。
第31条 統計及び資料の収集
これまでに提出されたパラレルレポートでは、第31条に関する言及はなされていない。
障害者権利委員会は事前質問事項で、ワシントングループが作成した質問を用いた公的な障害者統計を開発するためにどのような措置が策定されているか、報告を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 障害統計は、半年ごとに各障害種別に選択された障害者の健康管理指標の情報が収集される。
- 国際的な要件に従って、統計の改善、国際生活機能分類の実施のための学際的な作業グループが創設された。
- 2020年の国勢調査に向けて、ワシントングループやユニセフ等の勧告が考慮に入れられるだろう。
前述したようにキューバには国家障害者統計情報制度があることから、障害者に関する統計は比較的整備されているものと考えられる。また、キューバ政府の回答からは、次回の国勢調査ではワシントングループの質問リストを踏まえた調査が行われることが予想される。
第33条 国内における実施及び監視
第33条に関して、パラレルレポートでは次のような指摘がなされた。
- キューバには、人権の保護及び促進のための国内機関はない。
- キューバ政府は、国内機関又は人権擁護のための独立委員会を設立する可能性を検討していない。
前述したように、キューバにはパリ原則に沿った人権機関がなく、パラレルレポートの指摘はそれに関するものと考えられる。
障害者権利委員会は事前質問事項の中で、第33条が求める独立した監視の仕組みをキューバ政府が指定したかについて報告を求めた。また、障害者団体の意見を国内の監視の仕組み及び独立した仕組みにどのように取り入れたか、そして国内の監視に参加する障害者団体がその役割を果たすために与えられる支援について、説明を求めた。
これに対し、キューバ政府は次のように回答した。
- 障害者支援プログラムの進捗管理と評価は障害者支援委員会が行う。
- 障害者支援委員会の加盟組織は、障害者に関する課題について報告し、必要な時には招集される。
- 障害者支援委員会の会議では、障害者が参加し、彼らの権利保護・発展のために戦略を提案・設計する。
キューバ政府の回答では障害者支援委員会が国内の監視を担当するとしているが、国内の実施体制の項で述べたように障害者支援委員会は政府機関を中心とした合議体であり、主要な3つの障害者団体は参加しているものの、政府から独立した監視の仕組みとはいえない。
3 Ley de Asociaciones
4 パラレルレポートでは、第19条だけでなく、第12条、第24条など各所に強制入院と治療、再教育プログラムへの言及がある。
5 この指摘はパラレルレポートでは第9条に対してなされているが、内容的には第21条に対するものと考えられるのでここに掲載した。