1 国外調査 1.5.3

1.5 キューバにおける合理的配慮・環境整備と障害者権利委員会審査状況

1.5.3 環境整備等の実態状況のまとめ

キューバは、現時点では障害者の権利に関する特別な法律がなく、法制度の整備が条約実施における基本的な課題となっている。キューバでは2019年2月に憲法改正案が国民投票で可決された。キューバ政府は、憲法改正後に関連法の見直しを進めるとしているが、その具体的な日程は明らかではない。

障害の定義は国際的な規則を援用しており、基本的には医学的定義となっている。また、合理的配慮の否定を差別とする規定がなく、差別に関する苦情受付機関はあるものの、障害者からの苦情申立てはほとんどないとしていること、手話やウェブアクセシビリティ等の情報アクセシビリティにかかわる取組が乏しいこと等、障害者の権利にかかわる基本的な仕組みや環境整備が進んでいないことがうかがえる。

一方、障害登録制度や公認障害者団体の政策決定への参加、インクルーシブ教育に向けた取組等、基盤整備や一定の取組の進展が見られる領域もある。しかし、これらについては対象となる障害者団体が政府公認の団体に限られており、障害者全体を対象としていないという課題がある。
 これらの課題は、主に公認障害者団体以外からのパラレルレポートで指摘されており、障害者権利委員会はこれらの指摘を踏まえた事前質問事項を作成している。

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