1 国外調査 1.8.3

1.8 サウジアラビアにおける合理的配慮・環境整備と障害者権利委員会審査状況

1.8.3 サウジアラビアにおける合理的配慮・環境整備等の実態状況のまとめ

サウジアラビアは、障害者福祉法、嫌がらせ防止法、労働法などの法律で障害者の保護と差別禁止を規定しているものの、合理的配慮の否定を差別とする規定や情報アクセシビリティに関する根拠法は整備されておらず、課題が残っている。一方、国内の実施体制については、障害者福祉局の設置、障害者サービス調整委員会の設置など、具体的な整備が進んでいる。ただし、国内の市民社会団体からパラレルレポートの提出がなく、市民社会の自由な活動の保障が課題だと考えられる。
 施設やサービスのアクセシビリティについては、ユニバーサルアクセス基準の策定、歩道設計指針の発行など、具体的な進展が報告されている。また、情報についても政府ウェブサイトへのW3C標準の適用、手話の研修や講座の実施等の取組が報告されている。ただし、これらの指針や規則を遵守しない場合の罰則は定められていないと思われる。
 このように、サウジアラビアでは条約実施に関連する様々な取組が進められているが、障害者差別における合理的配慮概念の導入とそれに基づく国内環境整備の取組はあまり進んでおらず、この点には課題があると考えられる。

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