1 国外調査 1.9.3

1.9 ニジェールにおける合理的配慮・環境整備と障害者権利委員会審査状況

1.9.3 ニジェールにおける合理的配慮・環境整備等の実態状況のまとめ

ニジェールは行政命令と政令で障害者の社会保障規則を定めるという独特な法制度となっている。条約の批准の後、新たな障害者機会均等化法案が国会に提出されたが、成立への具体的な見通しは示されていない。また、国内の実施体制については、障害者の地位向上に関する全国委員会及び州委員会が設置されたが、財源不足のため十分に機能していないと報告されている。
 このように、ニジェールでは条約に整合した体制や法的基盤の整備が進んでおらず、条約の実施は、主に海外からの支援を受けての個別的な取組のレベルにとどまっている。合理的配慮の否定を差別とする規定については障害者権利委員会が事前質問事項で取り上げたが、適切な回答は得られなかった。また、施設やサービスのアクセシビリティについては、審議中の新たな機会均等化法案で定めるとしている。
 取組の努力と進展が見られる分野としては、学校教育でのインクルーシブ教育の取組や障害者統計の整備が挙げられる。これらの取組は、海外からの支援により障害者権利条約の考え方を導入する形で進められている。

前のページへ次のページへ