IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-1

1.本調査で対象とした設問

 本調査研究では、国際的な設問様式について取り上げることとした。
 まず、国連障害者権利委員会がその利用について勧告を行っており、国連統計委員会においても障害者に関するデータ収集及びSDGsで求められるデータの分解のために用いられることに留意する、とされた「ワシントングループの設問」を候補とする。同設問はどのような場合に障害者となるのかの定義もなされている2
 候補を選ぶ上で欧州を見てみると、欧州連合では障害に関する用語集3が欧州統計局から出されている。その用語集では、4つの障害に関する定義が示されており、前述のワシントングループに該当する定義と並んで、国際活動制限指標(Global Activity Limitation Instrument, 以下GALI)に該当する定義も記載されている。GALIは欧州における統計調査ではMEHMに含まれていることが多いことから本調査においてはMEHMを候補とする。
 また、WHOにおいては、国際機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health, 以下ICF)の考え方に基づき、日常生活における活動12項目について、困難の程度を5段階で評価するWHODAS2.0が整理されている。多面的な項目を調査することで、生活機能のレベルを点数により評価することができる点が特徴的であるため、障害に関する定義はないものの、WHODAS2.0も候補とする。

1)ワシントングループの設問

(1)ワシントングループの短い設問セットの概要

 ワシントングループは、国連統計部シティ・グループの1つであり、各国の政府統計局や障害に関する国際組織の職員によって構成されている組織である。
 2006年にウガンダのカンパラで開催されたワシントングループの第6回会議において短い設問セットがワシントングループによって支持され4、「視覚」「聴覚」「歩行」「認知」「セルフケア」「コミュニケーション」に機能制限があるかを捉える設問として、複数国にて使用されている(2015年にデンマークのコペンハーゲンで開催された第15回会議においては、54か国で使用されていることが報告された)。
 短い設問セットでは、日常生活における6つの機能(視覚、聴覚、歩行、認知、セルフケア、コミュニケーション)それぞれについて、苦労の程度を4段階(「苦労はありません」、「多少苦労します」、「とても苦労します」、「全くできません」)で尋ねる形式である。
 このように、ワシントングループの設問は機能制限の有無という2段階の評価ではなく、機能制限の程度を含めて評価できる利点がある。また、回答者自身に、自身が障害をもっているかを尋ねるのではなく、日常生活における機能制限の程度を尋ねることで、回答者自身や周囲が障害として認知していない場合であっても、回答者の機能制限を把握できる利点もある。
 一方で、「多少苦労します」「とても苦労します」という選択肢は、「多少」と「とても」の程度の定義が不明確であり、「はい、多少苦労します」や「はい、とても苦労します」という2つの選択肢については留意が必要である。

図表 5 ワシントングループの短い設問セット
質問文 選択肢
いいえ、苦労はありません はい、多少 苦労します はい、とても苦労します 全く出来ません
眼鏡を使用しても、見えにくい
補聴器を使用しても、聴き取りにくい
歩行や階段の上り下りがしにくい
通常の言語をつかってのコミュニケーションが難しい。たとえば、人の話を理解したり、人に話を理解させることが難しい(「通常の言語」は多民族国家における母国語を意味するが、手話も含めて考えているかどうかは不確認。ただし、コミュニケーション項目の拡大セットには「手話を使いますか?」の設問が別にある。)
思い出したり集中したりするのが難しい
入浴や衣服の着脱のような身の回りのことをするのが難しい

 出所)「第10回 障害統計に関するワシントングループ(WG)会議に出席して(北村弥生)」、「第12回 国際障害統計ワシントングループ会議(北村弥生)」よりNRI作成

 なお、ワシントングループは、前述の短い設問セットを国際的に普及させる活動を行ってきたが、より詳細に障害に関する情報を収集する調査・統計の実現に向けた設問の体系も検討している。具体的には、短い設問セットだけでは、精神的障害や健康問題に起因する障害等が把握できないという課題を受けて、拡張設問セット(the Extended Question Set on Functioning)についての検討がなされている。この拡張設問セットでは、短い設問セットに「学習」「理解」「情動」「疼痛」「疲労」が機能領域として追加され、様々な情報が把握できることとなる。
 以下に、国連アジア太平洋経済社会委員会(United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific, 以下ESCAP)で拡張設問セットを取り入れてテストした際の視覚に関する設問を例示する。

図表 6 ワシントングループの拡張設問セットの例(ESCAPの視覚に関する設問項目)
Questions Response Options

VIS_SS Do you have difficulty seeing, even when wearing glasses?

If “Cannot do at all/Unable to do” to VIS_SS, skip to VIS_5.

1) no difficulty
2) some difficulty
3) a lot of difficulty
4) Cannot do at all/unable to do
7) Refused
9) Don’t know

VIS_1 Do you wear glasses to see far away?

[If Yes, include glasses clause in VIS_2]

1) Yes
2) No
7) Refused
9) Don’t know
VIS_2 Do you have difficulty clearly seeing someone’s face across a room [even when wearing these glasses]? 1) no difficulty
2) some difficulty
3) a lot of difficulty
4) Cannot do at all/unable to do
7) Refused
9) Don’t know
VIS_3 Do you wear glasses for reading or to see up close? 1) Yes
2) No
7) Refused
9) Don’t know
VIS_4 Do you have difficulty clearly seeing the picture on a coin [even when wearing these glasses]? 1) no difficulty
2) some difficulty
3) a lot of difficulty
4) Cannot do at all/unable to do
7) Refused
9) Don’t know
VIS_5 How old were you when the difficulty seeing began? _________ age in years
777) Refused
999) Don’t know
VIS_6 How much does your difficulty seeing limit your ability to carry out daily activities? 1) Not at all
2) A little
3) A lot
4) Completely
7) Refused
9) Don’t know

 出所)“Results of the Testing of the ESCAP/WG Extended Question Set on Disability” ’ UN ESCAP

(2)本調査において障害者と捉える定義

(設問の構造)

 ワシントングループの設問には短い設問セットと拡張設問セットがあるが、本調査研究では、短い設問セットに基づき、視覚・聴覚等の6つの機能について、「苦労の有無・程度」の4段階の選択肢で質問している。

(操作的定義)

 本設問における障害者は、特定の活動や社会参加へ制限を感じる集団のうち、『6つの機能領域に関する設問において、1つでも「とても苦労します」「全く出来ません」のいずれかの選択肢を選んだ者』と定義する5

(3)公的障害者制度における障害概念との関係性

 ワシントングループの設問では6つの機能について尋ねており、視覚障害・聴覚障害・歩行障害等の身体障害等を中心に、既存の障害種別との対応関係を有している。短い設問セットと並行して開発されている拡張設問セット及び心理社会機能モジュールにおいては精神的な機能制限を含めて捕捉する設問も含まれているものの、短い設問セットにおいてはこれらを捕捉する設問が省略されているため、短い設問セットを単独で使用する場合には、精神障害者等が十分には捕捉されない可能性がある6

(4)障害種別及び障害程度の分解性

 ワシントングループの設問では6つの機能を尋ねる設問に基づいて、障害種別との対応を把握できる。具体的には、それぞれの機能ごとに、視覚障害・聴覚障害・歩行障害・コミュニケーション障害等の障害種別の把握が可能である。
 また機能制限の程度についても、「苦労はありません」、「多少苦労します」、「とても苦労します」、「全く出来ません」の4つの選択肢で把握していることにより、特に「多少苦労します」、「とても苦労します」によって、程度についても把握することが可能である。

2)欧州統計局の設問

(1)欧州統計局の設問(MEHM)の概要

 欧州統計局は、欧州連合における行政執行機関である欧州委員会で統計を担当する部局であり、欧州全体の経済や人口・社会情勢等の統計情報を作成している。欧州統計局は、欧州連合内の国や地域間の比較を可能にする統計を整備することが重要なタスクとなっており、設問セットや個別の統計調査を履行するためのガイドライン等を作成7している。欧州統計局は欧州各国における統計の作成に影響を及ぼす国際的な機関の一部局である。
 欧州統計局が整備する個別の統計調査のガイドラインにおいては、回答者の健康状態を捉えるための設問セットとして、MEHMが存在し、活用されている。

 MEHMは健康を次の3つの異なる概念から特徴付ける設問のセットである。

  • 自身が認識している健康状態
  • 慢性的な健康問題、慢性疾患
  • 活動における制限

 <MEHMの設問(仮訳)>

 Q:あなたの健康全般はどうですか?
 非常に良い/良い/普通/悪い/非常に悪い。

 Q:長年の病気や健康上の問題はありますか?
 はい/いいえ。

 Q:過去の少なくとも6ヶ月を超える期間において、健康上の理由から、日常生活の活動においてどの程度制限を受けていますか?
 厳しく制限されている/制限されているが厳しくはない/まったく制限されていない

 これらの設問からなるMEHMは欧州統一生活時間調査(Harmonised European Time Use Surveys, 以下HETUS)や欧州健康面接調査(European Health Interview Survey, 以下EHIS)、欧州連合・所得と生活状況に関する調査(European Union Statistics on Income and Living Conditions, 以下EU-SILC)等の複数の個別の統計調査の欧州統計局におけるガイドラインにおいて使用されている。

 MEHMに含まれる3つの設問のうち、3番目の「活動における制限」についてはGALIが用いられている。GALIは既述のように欧州統計局において障害を捉える定義の一つとして紹介されている8
 実際に、欧州においても各国で毎年実施されている調査であるEU-SILCの対象変数の説明書き(description of target variables)においてGALIを確認できる。かつて、MEHMの構成要素の一部であるGALIが障害を捉えるために用いられていた経緯があるほか、少なくとも2008年から最新の2018年のいずれの年においても、PH0309に「健康問題による活動の制限」としてGALIが含まれており、その説明書きに「障害(disability)」の文言が含まれている10

 欧州において複数の統計調査で導入されており、障害に係る定義に該当する部分(GALI)を含む設問セットとして欧州統計局のMEHMを調査対象として選択した。なお、GALIによって健康上の問題に起因する制限や精神障害等を捉えることができる点でワシントングループとは異なる特徴も有している。
 ただし、欧州統計局は国際的機関である欧州連合の一部局ではあるものの、地域性が高い欧州統計局の個別の統計調査のガイドラインで示されているものであることから、全世界的な標準として使われているものではないことには留意が必要である。

 なお、本調査研究では、既述のように欧州統計局のいくつかの個別の調査のガイドラインに含まれているMEHMの中から、MEHMについて解説がある最新のガイドラインであり11、総務省統計委員会担当室が作成した「障害者統計について(平成30年10月25日)」においても欧州における事例として取り上げていることから、HETUSにおけるMEHMの設問を用いた。

図表 7 欧州統計局の設問として本調査で用いた設問

 問5 あなたの現在の健康状態について、お答えください。(〇は一つだけ)
 1.よい、2.まあよい、3.ふつう、4.あまりよくない、5.よくない

 問6 慢性疾患や慢性的な健康問題の有無について、お答えください。(〇は一つだけ)
 ※慢性疾患や慢性的な健康問題とは、6ヶ月以上疾患や健康問題が継続しているものをさします。
 1.ある2.ない

 問7 健康問題により、日常の一般的な活動に支障があるかについて、お答えください。(〇は一つだけ)
 1.非常に支障がある、2.ある程度支障がある、3.全く支障がない

 問7-1(問7にて「1」、「2」と回答した方にお聞きします。)問7にてご回答いただいた支障は、6ヶ月以上継続していますか。(〇は一つだけ)
 1.はい2.いいえ

 注)設問番号はインターネット調査における設問番号に対応。
 出所)“Harmonised European Time Use Surveys (HETUS) 2018 Guidelines 2019 edition”より作成

(2)本調査研究において障害者と捉える定義

(設問の構造)

 本設問セットは、個別の機能等に関する設問セットではなく、慢性疾患・慢性的な健康問題、6ヶ月以上の日常生活の支障を尋ねる包括的な設問セットとなっている。
 また、まず「健康状態」について5段階で尋ね、次いで「(6ヶ月以上継続する)慢性疾患や健康問題の有無」について、「ある/ない」の2択で確認する。さらに、「健康問題による日常の一般的な活動への支障」について、「非常に支障がある/ある程度支障がある/全く支障がない」の3択で尋ね、「非常に支障がある/ある程度支障がある」と答えた者は、次の設問へと進んで「支障が6ヶ月以上継続しているか」を問われ、「はい/いいえ」の2択で回答する構造となっている。

(操作的定義)

 欧州統計局の用語集においては、欧州統計システムにおいて用いられている4つの障害(disability)に係る定義の例の1つとして、GALIの“Limitation in activities people usually do because of health problems for at least the past six months(健康問題により人々が通常行う活動における少なくとも過去6か月間の支障)”という定義が紹介されている。
 したがって本調査研究では、欧州統計局で障害を捉える定義の一つであるGALIに対応する問7「健康問題による日常の一般的な活動への支障」において、「非常に支障がある」もしくは「ある程度支障がある」と回答し、問7-1で支障が6ヶ月以上継続しているとする者を障害者と捕捉することとした12

(3)公的障害者制度における障害概念との関係性

 欧州統計局のMEHMでは、個別の機能等ではなく、健康問題に由来する日常生活における活動制限の全般的な状況について概括的に質問している。そのため、難病等による障害の状況を広く把握できる可能性がある一方で、身体障害、知的障害、精神障害等の障害による分解を意識しておらず、障害種別と対応させることはできない。

(4)障害種別及び障害程度の分解性

 欧州統計局のMEHMでは、全般的な健康問題、活動制限に関する設問であり、障害種別を分解して把握することができない。
 また、障害の程度まで判定されるものではない。

3)WHODAS2.0

(1)WHODAS2.0の概要

 2001年5月、WHOにおいて、ICFが採択された。ICFでは、「生活機能」は、健康状態と背景因子(個人因子、環境因子)との間に相互作用があると評価し、「生活機能」を構成する「心身機能・身体構造」「活動」「参加」との間に相互作用があると評価する。また、ICFでは「障害(Disability)」を「生活機能」の困難状況として「機能障害」「活動制限」「参加制約」から構成されるものとしている。
 ICF調査項目は膨大であるが、これをある程度簡略化した設問セットとしてWHOWHODAS2.0を開発した。WHODAS2.0では、日常生活における活動12項目について、困難の程度を5段階で評価している。多面的な項目を調査することで、生活機能のレベルを点数により評価できる。

図表 8 WHODAS2.0
過去30日間に、どれくらい難しさがありましたか。 全く問題なし 少し問題あり いくらか問題あり ひどく問題あり 全く何もできない
S1 長時間(30分くらい)立っている 1 2 3 4 5
S2 家庭で要求される作業を行う 1 2 3 4 5
S3 新しい課題、例えば初めての場所へ行く方法を学ぶ 1 2 3 4 5
S4 誰もができるやり方で地域社会の活動に加わるのに、どれほど問題がありましたか(例、お祭や宗教的、または他の活動) 1 2 3 4 5
S5 健康状態のために、どれくらい感情的に影響を受けましたか 1 2 3 4 5
S6 何かをするとき、10分間集中する 1 2 3 4 5
S7 1kmほどの長距離を歩く 1 2 3 4 5
S8 全身を洗う 1 2 3 4 5
S9 自分で服を着る 1 2 3 4 5
S10 見知らぬ人に応対する 1 2 3 4 5
S11 友人関係を保つ 1 2 3 4 5
S12 毎日の仕事をする/学校へ行く 1 2 3 4 5

 出所)“Measuring Health and Disability Manual for WHO Disability Assessment Schedule”「健康および障害の評価 WHO障害評価面接基準マニュアル」田崎美弥子・山口哲生・中根允文訳

(2)本調査研究において障害者と捉える定義

(設問の構造)

 WHODAS2.0では、日常生活における活動12項目について、「問題の有無・程度」で回答する選択肢が用いられている。具体的には、「全く問題なし/少し問題あり/いくらか問題あり/ひどく問題あり/全く何もできない」の5択(5段階)でどれかを選択することとなっている。「全く問題なし」「全く何もできない」を除き、問題の程度を確認するような尋ね方となっている。

(操作的定義)

 WHODAS2.0では、個人の健康状態を個々の設問からスコア付けしグレード評価することを目的としているため、障害者を捉える操作的定義は定められていない。
 なお、今回は検討チームの一部構成員の助言のもと、「健康及び障害の評価 WHO障害評価面接基準マニュアル」を参考にWHODAS2.0における障害者の割合が10%程度になるように便宜的に設定し、回答者のスコア分布の上位10%程度となる14.5以上をWHODAS2.0における障害者の基準とした。

(3)公的障害者制度における障害概念との関係性

 WHODAS2.0では、過去30日間を振り返ったうえで、認知、可動性、セルフケア、人との交わり、生活、参加の6つの領域に関わる12の質問をしている。設問群には、直立・歩行等といった機能だけでなく、地域社会の活動に加わる等の活動や参加に関する内容も含まれており、多様な機能障害、活動制限、参加制約にそれぞれ対応している。ただし、ICFは本来、健康状態による障害状況を幅広く把握するためのもので、「障害のある者」と「障害のない者」に分けて障害者を捉えることは意図されておらず、WHODAS2.0も障害者を特定するものとはなっていない。

(4)障害種別及び障害程度の分解性

 そもそも、WHODAS2.0には障害者の定義がない。また、12の設問のスコアにより総合的に判断するため、障害種別のデータを把握することを前提としたものではない。
 一方で、WHODAS2.0は既述のように、認知、可動性、セルフケア、人との交わり、生活、参加の6つの領域をカバーしていることから、身体障害、知的障害、精神障害等の障害種別については、比較的偏りなく多様な障害種別を把握できると考えられる。
 しかし、個別の設問に基づいて、機能障害、活動制限、参加制約との関連付けは可能であるものの、一般的な分類である身体障害、知的障害、精神障害等の障害種別とは、直接的には結び付けることが難しい設問もある。


2 “Analytic Guidelines:Creating Disability Identifiers Using the Washington Group Short Set (WG-SS) SPSS Syntax”において推奨されている
3 “Glossary:Disability”, Eurostat
4 ワシントングループホームページ
(http://www.washingtongroup-disability.com/meetings/past-meetings/)
5 “Analytic Guidelines:Creating Disability Identifiers Using the Washington Group Short Set (WG-SS) SPSS Syntax”において推奨されている。
6 “Disability Assessment in European States ANED Synthesis Report”, Lisa Waddington, European network of academic experts in the field of disability (ANED)
7 欧州統計局は、欧州連合の各国における個別の統計調査の共通化・標準化をはかることを通じ、域内において各国の統計情報を比較可能とするために、統計調査に係るガイドラインを多数作成・公表している(https://ec.europa.eu/eurostat/publications/manuals-and-guidelines)。その内容には、調査票、調査対象の設定、サンプル抽出、インタビュー等の調査手法、推計手法等も含まれる。ガイドラインの作成は、欧州統計局の個別統計の担当部署が行っている。なお、Commission regulationで規定される、欧州共通で実施される統計調査では、ガイドラインを原則的に遵守することが求められる。一方で、Commission regulationで規定されていない統計調査では、ガイドラインは参照情報であり、実際には各国において用いられる調査項目等について一定の裁量が認められると考えられる。
8 GALIに由来する3番目の問は、「健康上の理由から、日常生活の活動においてどの程度制限を受けていますか?」と「制限が6ヶ月を超える期間継続していますか?」を2つの設問に分けて質問しているケースがある。
9 PHは設問領域であり、PはPerson、HはHealthを意味する。
10 https://www.gesis.org/en/missy/materials/EU-SILC/documents/guidelines
11 2020年3月時点で、欧州統計局のManials and guidelinesのカテゴリー(https://ec.europa.eu/eurostat/publications/manuals-and-guidelines)に掲載されているガイドラインを見た際に、MEHMについて解説が掲載されている最新の個別統計調査のガイドラインがHETUSのガイドライン(2019年版)であった。
12 本設問における「障害のある者」の判定については、主要な学術雑誌であるBMC Medical Research Methodologyに掲載された論文(Berger et al, (2015))にみられるように、学術コミュニティにおいて、「非常に支障がある」、「ある程度支障がある」という2つの選択肢を回答する者を結果的に合わせて一つのカテゴリーにすることが認められている。

前のページへ次のページへ