1 国内調査 1.4.2

1.4 地方公共団体詳細調査結果

1.4.2 個別ヒアリング結果

(1) 山形県

基礎情報(悉皆調査結果から)
対応要領の策定状況 策定済み
障害者差別解消支援地域協議会の設置状況 設置済み
障害者差別解消に関する条例の制定状況 制定済み(平成28年4月1日施行)
障害者差別に関する相談対応を行う体制
  • 障害者差別に関する相談を一元的に受け付ける窓口を設置又は定めている
令和元年度における障害者差別に関する相談件数 5件
1) 障害者差別に関する事例収集の体制

1. 相談対応及び事例収集の体制

 障害者差別に関する相談については、県障がい福祉課(以下「障がい福祉課」)に窓口を設置し、同課職員が電話等で相談に応じている。差別の当事者として県職員が関わっている事案の場合は、障がい福祉課のほか各総合支庁(県内4か所)に設置している相談窓口で対応している。障害福祉の関係団体に障害者差別に関する相談があった場合は、障がい福祉課で相談を受け付けている旨を案内している。

 相談対応に当たっては障害者差別に関する相談員マニュアルに基づき対応し、相談者の意向を踏まえ、相手方から事実関係について聴取した上で、問題があると思われる場合には改善を促すなどしている。

2. 事例の整理

 相談内容は、所定の様式(相談受付票)に記録し、障がい福祉課において整理・管理している。相手方に事実関係を確認する際は、個人情報の内容に配慮し、類推されることのないよう留意している。

3. 事例の共有

 山形県では「心のバリアフリー推進員」※を養成する取組を進めており、養成研修会の中で障害者差別に関する個人情報を除いた場面や事例の紹介を行い、共有を図っている。

※ 心のバリアフリー推進員は、民間事業所などにおける障害者に対する取組の中心的な役割を担い、障害を理由とする差別の解消、合理的配慮の提供及び障害者雇用の促進等に資することを目的としている。障害及び障害者に関する正しい知識と理解を持ち、それぞれの所属・職場や地域等において、障害に関する知識の普及や障害者への配慮など、障害を理由とする差別の解消のために役立つ取組を積極的に実践する。

<「心のバリアフリー推進員」認定証・ステッカー>

2) 障害者差別解消の周知啓発等

 国が定めている障害者週間(12月3日~9日)に合わせて、12月を「山形県障がい者差別解消強化月間」と定め、イベントの開催やリーフレット等の配布など、重点的に啓発活動を行っている。

 通年では県の出先機関と市町村の障がい福祉主管課及び「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり県民会議」※の構成員を通じてリーフレット等の配布を行っている。また、小学5年生と6年生を対象として「障がいのある人もない人も共に生きる社会を作るための手引き」を配布し、障害者差別や配慮の事例紹介を通じて、障害のある人についての理解を深めることを目的とした周知を行っている。

※ 「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり県民会議」は障害者差別を解消する取組を効果的かつ円滑に行い、共生社会の実現に向けた施策を推進するために平成28年5月に設置された。山形県と各市町及び福祉、医療、介護、教育、農林業、商工、公共交通、芸術、スポーツの各分野78団体で構成し、障害者差別解消支援地域協議会の機能を担っている。

[悉皆調査結果から]
質問 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体について
回答 紙媒体(パンフレット、リーフレット等)
質問 どのように周知を図っているか
回答 県出先機関・市町村の障がい福祉主管課、「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり県民会議」の構成員を通してリーフレット等の配布を行っている。
また、国の障害者週間に合わせて、県で12月を「山形県障がい者差別解消強化月間」と定め、期間中のイベントによる周知啓発を行っている。
小学生5年生・6年生向けに「障がいのある人もない人も共に生きる社会を作るための手引き」を配布するなど、幅広い世代に周知を行っている。

<障がいのある人もない人も共に生きる社会を作るための手引き>

3) 障害者差別解消に関する今後の取組について

 相談対応において職場や公共施設などの事例では、「配慮を欠く」言動が一定程度見受けられることから、引き続き障害者差別解消に関する普及啓発活動に注力し、共生社会の実現に向けて県民各層の意識醸成を進めていきたい。

ポイント


○ 障害者差別に関する相談は、障がい福祉課に集約

○ 県が独自に「心のバリアフリー推進員」を養成し、職場や地域における障害者差別解消を積極的に実践

○ 12月を「山形県障がい者差別解消強化月間」と定め、イベントによる周知啓発を実施

○ 小学5・6年生向けに作成した「手引き」では、障害者差別や配慮について分かりやすく事例を紹介

(2) 東京都

基礎情報(悉皆調査結果から)
対応要領の策定状況 策定済み
障害者差別解消支援地域協議会の設置状況 設置済み
障害者差別解消に関する条例の制定状況 制定済み(平成30年10月1日施行)
障害者差別に関する相談対応を行う体制
  • 障害者差別に関する相談員を配置している
  • 全ての部署が統一的な相談対応を図るため、疑義等が生じた場合に統一的な解釈や判断を行う部局を予め定めている
令和元年度における障害者差別に関する相談件数 363件
1) 障害者差別に関する事例収集の体制

1. 相談対応及び事例収集の体制

 東京都は、平成30年に「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」(以下「条例」)を制定し、東京都障害者権利擁護センター(以下「センター」)において広域支援相談員による相談対応を行っている。相談対応の流れとしては、相談を受理後、内容について相談事案の相手方である障害当事者や事業者等に対し事実確認を行い、その内容を相談者へ伝えている。場合によっては現場や事業者を訪問して法令を説明することがある。

 センターに配属されている広域支援相談員は、非常勤の一般行政職員4名で主に対応している。相談員の募集に当たり資格などによる要件は設けていないが、結果として資格(社会福祉士、精神保健福祉士等)をもった人が着任している。

 センター以外に相談が入った場合には、庁内の各局に配置する障害者差別解消の担当で対応することとしている。各局の担当には当事者からの相談を受ける仕組みを設けている障害者団体からの相談が入ることもあり、対応に困った事案として受けた内容の中には、センターを案内し、その後の対応もセンターで行っている場合がある。

 また、都が差別事案の当事者になった場合は、相談者に対し「氏名や相談内容を関係者に開示すること」の確認を経て、該当部署へ事実確認を行うこととしている。

 相談体制における都と市区町村との役割分担としては、相談者へは、都又は区市町村のどちらにでも相談できることを周知しているため、地元の区市町村に相談しづらい場合は都に相談がある。他方、都と区市町村の両方に相談している場合には、区市町村と連携して対応することがあり、必要な場合は相談者に事前に確認した上で情報を共有している。

 事例収集に際しては、相談者の氏名、性別、障害種別、事案の概要、相手方の名称、相談対応の経過といった「基本事項」のほかに、発生した区市町村を可能な限り確認している。これは、各市区町村で連絡会を開催する中で必要な情報となっている。

 広域支援相談員については、条例を制定した当時、障害者団体や事業者団体などに対して条例の説明とともに案内を行い、広く周知を図った。

2. 事例の整理

 障害者差別に関する各局で対応した相談事例については、センターへ年1回集約する体制を整えている。相談事例は実件数(事例ごとの件数)を計上している。

 センターにおいては相談対応のフォーマットを定め、マニュアルを作成している。なお、各局で使用することなどを想定した共通対応マニュアルは作成していない。

3. 事例の共有

 相談事例に関する個人情報は、全ての広域支援相談員が対応することを目的として相談員間に限り共有している。外部に共有する必要がある場合は、他の情報と照会して個人が特定される可能性のある情報(相談事案が生じた日など)を抽象化している。

 センターで相談を受けた事案を取りまとめて事例集とし、ホームページでの公開を通じて事例の共有を図っている。事例集の作成に当たって、30名以上の委員で構成される東京都障害者差別解消支援地域協議会において委員から意見を募った。事例集は「障害種別と様々な分野(飲食店、交通、不動産など)を網羅するもの」という視点を踏まえ作成した。

<合理的配慮等の好事例集(様々な場面における相談事例から)>

2) 障害者差別解消の周知啓発等

 新年度に当たって担当者に障害者差別解消に関する法令説明を行い、東京都全職員を対象として研修の実施や障害者差別解消法のe-ラーニングなどを使用し法令について説明している。また、東京都では都内を10ブロックに分け、区市町村の職員と都職員による連絡会を開催しており、双方向で情報共有ができるような体制を整えている。

[悉皆調査結果から]
質問 事業者への「合理的配慮の提供」の義務付けに関する事業者の反応等について
回答 【効果】
  • 義務化により、事業者に対し一定の責務をつけることにより、都内の障害者差別の解消をより推進することができる。
  • 都条例施行後、障害者・事業者からの相談件数は増加しているため、義務化により注目を集め、普及啓発につながったことが考えられる。
  • 相談を受けて事業者へ対応する際に、説明等が行いやすくなった。
【課題】
  • 過重な負担のない限りという条件については法と変わらないため、事業者へ求めることのできる対応内容について、あまり法と変わらないと感じている。
[悉皆調査結果から]
質問 管内の市区町村向けに実施している障害者差別の解消に関する独自事業について
回答 差別解消支援地域協議会活動促進事業として、身近な地域において子供の頃から障害に関する知識・理解を深められるよう、区市町村が設置する障害者差別解消支援地域協議会における取組を支援(障害者施策推進区市町村包括補助事業で実施)
3) 障害者差別解消に関する今後の取組について

1. 条例制定の効果

 相談件数が平成29年度の118件から平成30年度は307件、令和元年度は363件と増えており、条例の制定が影響しているのではないかと考えている。また、事業者による合理的配慮の提供を条例で義務化したことにより、事業者から前向きな相談が増えたと感じている。条例による義務化に際しては、中小企業からは負担感が強いとの意見もあったが、都として条例の内容を説明し、事業者からも相談を受け付け、施行をスタートしたために、結果として相談件数の増加につながったのではないかと考えている。

2. 事例の収集・共有の課題

 事例の共有に当たっては、都の対応が区市町村や関係団体における事例対応の見本又は正解として受け止められてしまう点が課題であると感じている。対応方法は一つではなく障害者や事業者によって様々な方法があり、都の対応が全てであると捉えられないように事例集を作成していきたいと考えている。なお、事例集の作成においては、学識経験者、障害者差別解消に詳しい弁護士などに適宜相談しているが、顧問契約は結んでいない。

3. コロナ環境下の課題

 コロナ環境下特有の状況としてマスク着用の日常化により、聴覚障害がある方から「口の動きがわかりづらい」、「感覚過敏によるマスク着用やフェイスシールド着用ができず、店内に入ることができない」などの相談がある。このような状況を踏まえ、コロナ禍に対応した新たな日常における合理的配慮の提供について、体系的に事例を収集していきたいと考えている。現段階ではどのような対応が正解であるのかはセンターでも把握が出来ておらず、判断しづらいため、障害当事者からアイデアを頂きながら、どのような対応をすればよいのかを検討していきたい。

ポイント


○ 障害者差別に関する事例については、東京都障害者権利擁護センターで集約

○ 東京都障害者権利擁護センターで対応した事例を事例集として公表

○ 都が事例集を作成すると、その対応が正解のように受け止められてしまうことが課題(対応方法は一つではなく、事例集に載っている方法が全てではないと捉えてほしい)

○ コロナ禍に対応した新たな日常での合理的配慮の提供について、事例を収集していきたい

(3) 香川県

基礎情報(悉皆調査結果から)
対応要領の策定状況 策定済み
障害者差別解消支援地域協議会の設置状況 設置済み
障害者差別解消に関する条例の制定状況 制定済み(平成30年4月1日施行)
障害者差別に関する相談対応を行う体制
  • 障害者差別に関する相談を一元的に受け付ける窓口を設置又は定めている
  • 障害者差別に関する相談員を配置している
  • 全ての部署が統一的な相談対応を図るため、疑義等が生じた場合に統一的な解釈や判断を行う部局を予め定めている
令和元年度における障害者差別に関する相談件数 13件
1) 障害者差別に関する事例収集の体制

1. 相談対応及び事例収集の体制

 香川県では、平成30年に施行した「香川県障害のある人もない人も共に安心して暮らせる社会づくり条例」(以下「条例」)において、「何人も、県に対し、障害を理由とする差別に関する相談をすることができる」と定めている。

 障害者差別に関する相談は、分野に関わらず障害福祉課の出先機関である障害福祉相談所※で一元的に受け付けており、県の職員6名(一般事務職が2名、社会福祉職が4名)で対応している。

 条例では、当事者間で調整し解決しない場合は、県に助言またはあっせんを求めることができるとしている。その場合、県から障害者相談等調整委員会に助言またはあっせんを求めることとなるが、県から同委員会に諮る場合には、障害福祉課が事実確認を行う。障害者相談等調整委員会とは、条例によりその権限に属させられた事項を処理するほか、障害のある人の権利を擁護するための施策に関する重要事項の調査審議を行う学識経験者など15人以内の委員からなる諮問機関である。

※ 香川県障害福祉相談所は、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、児童相談所の障害児部門を統合した香川県の出先機関。本人や家族、市町からの依頼に基づき、専門的相談・指導や医学的・心理学的・職能的判定などを行う機関である。

2. 事例の整理

 相談事例の内容は障害福祉相談所で管理票を作成しており、「相談日時」、「相談方法」、「相談は当事者か関係者か」、「障害種別」、「差別したとされる者の概要」、「相談者本人の意向」、「対応方針」などを記入することとしている。個人情報については障害福祉相談所で管理している。

3. 事例の共有

 相談の受理後、障害福祉相談所で検討会議を開き、相談内容に応じて必要な助言や情報提供、当事者間の調整を行い、対応内容を含め障害福祉課と情報を共有している。

 香川県障害者差別解消支援地域協議会(以下「地域協議会」)では、家族会などの当事者団体所属の委員を通して県の状況を共有するとともに、関係団体が対応した相談事例について、委員間で意見交換を実施している。

 また、地域協議会の子会議である事例検討部会(以下「部会」)には、地域生活支援センター、社会福祉協議会、社会福祉士会、県の人権同和部局、労働関連、教育委員会、県内6圏域より障害福祉課の担当者、国の機関として法務局、労働局が参加している。

 部会は四半期ごとに開催しており、顕著な事例や好事例に関する対応と結果を蓄積し、県内の各相談窓口の対応力を向上することを目的として、相談・対応事例について書面により情報を共有している。事例の共有に当たっては、県で受理した相談への対応事例について相談者が特定されないよう、障害区分と差別が行われたとされる分野のみを明示している。

 なお、開催前には障害福祉相談所へ相談状況を照会し一覧で報告を受けることとしている。

[悉皆調査結果から]
質問 令和元年度における地域協議会の開催回数について
回答 親会議:香川県障害者差別解消支援地域協議会 1回(構成員22人)
子会議:事例検討部会 4回(構成員20人)
2) 障害者差別解消の周知啓発等

1. 県職員・外部団体を対象とした研修

 県職員は、障害福祉課で作成したオンライン研修(障害者差別解消法や障害者に対する人権に関する講座)を受講することとしており、階層別研修、新人採用研修などの際には、障害福祉課から対象職員向けに研修を実施している。

 また、依頼に応じて職員が外部団体へ出向き、障害者差別解消法に関する出前講座を行っている。これまで、商工会関係や高校、警察学校、裁判所関係などから依頼があり、令和2年度は5回程度の実施となった。

2. 県民を対象とした講演会

 毎年12月初旬に開催している「じんけんフェスタ」(障害福祉課とは別の部局が主催)に合わせて、県民を対象とした障害者に対する理解促進のための取組として、厚生労働省の担当者や障害者スポーツをしている方による講演会、障害の体験キットを使い障害者の暮らしづらさを疑似体験する体験セミナーなどを開催した。令和3年度についても、「じんけんフェスタ」のほか、出前講座の開催などにより、障害者に対する理解促進や障害者差別解消に関する周知啓発を図りたいと考えている。

3. 障害者差別解消の理解促進

 令和3年3月に策定した「第6期かがわ障害者プラン」(令和3年度~令和5年度)において、障害者に対する理解促進を重要な施策の一つとして位置付けている。パンフレット等を各市町や関係機関に送付するとともに、講演会や研修会において参加者に配布するほか、県広報誌や団体会報誌等に障害者差別解消に関する記事を掲載することにより、広く県民に対し周知啓発を行っている。

 また、県のホームページに「権利擁護」のページを構築し、法律や条例、分野別の合理的配慮の例や障害別の障害特性などを掲載することにより、障害者の理解促進を行っている。

[悉皆調査結果から]
質問 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体について
回答 紙媒体(パンフレット、リーフレット等)、専用ウェブサイト

<香川県ホームページ 「権利擁護」>

3) 障害者差別解消に関する今後の取組について

 地域協議会関連で内閣府が開催した中国・四国ブロック研修会において、他県で地域協議会に交通事業者の団体が参加しているとの例が紹介された。香川県の地域協議会には事業者団体が入っていないため、事業者団体と情報を共有する機会がない。事業者からどのように事例を収集するのかが課題と感じている。

ポイント


○ 障害者差別に関する相談は、障害福祉相談所で一元的に受け付け・集約

○ 県での対応事例(顕著な事例や好事例等)の情報は、地域協議会の子会議(事例検討部会)で共有

○ 事業者から情報(事例等)をどのように収集するかが課題

(4) 宮崎県

基礎情報(悉皆調査結果から)
対応要領の策定状況 策定済み
障害者差別解消支援地域協議会の設置状況 設置済み
障害者差別解消に関する条例の制定状況 制定済み(平成28年4月1日施行)
障害者差別に関する相談対応を行う体制
  • 障害者差別に関する相談員を配置している
令和元年度における障害者差別に関する相談件数 22件
1) 障害者差別に関する事例収集の体制

1. 相談対応及び事例収集の体制

 障害者差別に関する相談体制については、宮崎県障害者社会参加推進センター(以下「センター」)を運営している宮崎県障害者社会参加推進協議会の構成団体である一般社団法人宮崎県身体障害者団体連合会(以下「連合会」)に委託している。連合会において相談員(1名・有資格者ではない)が対応しており、コロナ禍以前は来訪による相談があったが、コロナ禍においては電話又はメールでの相談を案内している。

 困難な事例や行政が携わることが望ましい事例については、その都度、県の障がい福祉課(以下「障がい福祉課」)に相談があり、それ以外の相談については、基本的に連合会で対応している。

 原則として相談についての情報は連合会に集約することとしており、相談対応時は相談者の氏名、性別、障害種別等を可能な限り聞き取り、無理に聴取しないように努めている。

2. 事例の整理

 県と連合会の間で相談対応と事例の整理に関する法令順守や機密事項の厳守を定めたマニュアルを策定しており、法令や条例(「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい宮崎県づくり条例」)等が制定もしくは改正されたタイミングで、マニュアルを確認・改定している。

 事例の整理に当たっては、フォーマットを定めている。

 行政が当事者である事案の事実確認など、他部局や関係各所への照会が必要な場合には、個人が特定できないように情報を加工し、照会することとしている。

3. 事例の共有

 障がい福祉課で受けた相談事例は、必要があると判断した時に限り連合会とのみ共有し、県の他部局とは共有していない。また、現在は相談に応じて個別に方法を検討し対応していることから、事例集のニーズは少ないと考えており、作成は予定していない。

[悉皆調査結果から]
質問 事業者による合理的配慮の提供や不当な差別的取扱いの禁止に関する事例収集の取組において工夫した点や課題等について
回答 相談窓口の周知及び相談しやすい環境づくり
2) 障害者差別解消の周知啓発等

 障害者差別解消についての啓発活動として、分かりやすさに力点を置いたパンフレットを作成している。障害のある方々に障害者差別について理解していただくためには、この点が大変重要であると考えている。

 センターでは機関誌「みやざき県障がい者社会参加推進センターだより」を年2回発行しており、障害者差別解消に関するイベントや障害者差別相談窓口の案内を掲載している。

 その他、これまで体験イベントや研修(盲導犬体験など)を実施していたが、コロナ禍以降、一部を除き実施できなかった。今般の状況を踏まえ、今後の実施は不透明であるが、紙媒体や専用ウェブサイトを通じて周知を図っていく。

[悉皆調査結果から]
質問 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体について
回答 紙媒体(パンフレット、リーフレット等)、専用ウェブサイト

<「障害のある人もない人も共に暮らしやすい宮崎県づくり条例」パンフレット>

3) 障害者差別解消に関する今後の取組について

1. 相談対応の課題

 一般の方からの相談が多く、「差別的表現で話をされた」、「標識が見づらい」などの内容について、相談と意見の判断が出来かねる現状がある。また、「差別的表現」と「心理的な虐待」の判断が難しい内容があり、「心理的な虐待」に区分されているケースについては、他の部局で対応している可能性がある。

2. 効果測定の課題

 年間20件超の相談件数で推移しているが、適当な相談件数であるか、相談窓口の設置や普及活動の成果であるかが不明である。

ポイント


○ 障害者差別に関する相談は、民間団体(一般社団法人)に委託

○ 県と委託先の間でルールを決め、フォーマットを定めて事例を収集、共有

○ 県障がい福祉課に直接相談がある(少数)が、基本的に相談に関する情報は委託先に集約

○ 年間の相談件数は20件を超える程度、「差別的表現」と「心理的な虐待」の線引きが難しいケースがある

(5) 東京都大田区

基礎情報(悉皆調査結果から)
対応要領の策定状況 策定済み
障害者差別解消支援地域協議会の設置状況 設置済み
障害者差別解消に関する条例の制定状況 制定する予定はない
障害者差別に関する相談対応を行う体制
  • 障害者差別に関する相談を一元的に受け付ける窓口を設置又は定めている
令和元年度における障害者差別に関する相談件数 30件
1) 障害者差別に関する事例収集の体制

1. 相談対応及び事例収集の体制

 障害者差別に関する相談窓口としては、所属職員全てが相談体制に含まれるとしているが、相談の中心になる部署としては障害福祉課内の4名が対応し、地域福祉課でも兼務的に対応することとしている。相談の受理が集中するのは障害福祉課であることから、他の窓口で受け付けた相談も、必ず障害福祉課に集約される体制を整えている。

 区立の障害者施設を所管する部署や他部署の職員が差別事例の当事者になる場合があるため、事例ごとに相談内容を他の部局と共有している。その場合は相談内容と当事者の状況を客観的な事実に基づいて確認・検討し、対応に問題があると判断した場合は、相談者へ説明もしくは所属長へ指導(関連部署の改善)を求める場合がある。

2. 事例の整理

 障害者差別に関する相談事例の整理に当たっては、共通のフォーマットで収集している。他部署に対し相談対応の照会を半期ごとに行っており、庁内イントラネットに掲載しているフォーマットに記入することとしている。通常、半期当たり5~6件の報告がある。

 個人情報につながる所属先などの情報は、障害福祉課で抽象化している。その際に留意している点としては、相談者自身がインターネット等を通じて相談内容を広く公表している場合があり、大田区で公表したものと照合すると当事者が特定できる場合があるため、個人情報が特定できないように公表の内容を整理している。

 事例の整理に当たっては、基本事項のほか、当事者以外の相談の場合は、当事者との関係や所属機関などを確認する場合もある。

[悉皆調査結果から]
質問 障害者差別に関する相談対応、紛争解決に関する運用上の工夫や課題について
回答 相談への対応マニュアルや受付票を作成し、共有している。
相談受付担当者間で、社内メール共有機能を活用し、対応状況等を情報交換している。

3. 事例の共有

 相談事例は、大田区障がい者差別解消支援地域協議会(以下「地域協議会」)の会議資料として共有している。障害福祉課、地域福祉課、障がい者総合サポートセンターでの相談事例については窓口間で共有しており、他の部局と共有する場合は、障害福祉課を通している。

<「令和2年度第1回大田区障がい者差別解消支援地域協議会」資料より>

4. 相談対応の参考資料

 相談対応の参考資料として、基本的な姿勢や対応方法を示したマニュアルを令和元年度に作成した。難しいケースは障害福祉課内で共有するとともに、東京都障害者権利擁護センターと連携を図りながら対応しており、その際、東京都は事例の積み上げが多いことから、類似の内容で対応のヒントがないかを確認している。

 また、大田区と東京都の両方に相談がある場合には、相談者や地域の支援機関等への聞き取りは大田区が行い、関係者への啓発資料の送付や法の趣旨説明などは東京都が行うなど、役割を分担し対応している場合もある。

2) 障害者差別解消の周知啓発等

1. 区職員を対象とした研修

 障害者差別解消に関する理解促進を目的として区の全部署の職員を対象とした研修を実施している。大学教授による障害の理解に関する講義、障害当事者による実体験の講話、障害者差別に関する実際の相談事例に基づく調整内容の検討等を行っている。

2. 小学生を対象としたパンフレットの作成

 障害者差別解消法の理解啓発パンフレットとして、小学生向けの「児童向け版」を作成し、学習授業の中で活用しているとの報告を受けている。

 パンフレットの改定版を作成するに当たっては、地域協議会の中で検討し、作成をしている。

 その際に、差別について意識ができる小学4年生以上を対象としたものを作成する方針とし、配付・活用している。

[悉皆調査結果から]
質問 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体について
回答 紙媒体(パンフレット、リーフレット等)
質問 周知の方法について
回答 障害者差別解消法の啓発パンフレットを「通常版」「児童向け版」の2種類作成。
「児童向け版」については、区内公立小学校4年生を対象に毎年配布している。

<障害者差別解消法パンフレット(児童向け版)>

3) 障害者差別解消に関する今後の取組について

1. 理解促進の必要

 障害者差別解消法の改正が近いため、合理的配慮に関する事例提供の要望が高まっていることから、区民や職員、事業者を対象とし、啓発用としてパンフレットの作成や研修の拡大を考えている。

 地域協議会に寄せられる現場の声として、相談員等、支援に関わる職員の障害者への理解が足りないために起きてしまった事例が依然あることから、相談員等、支援に関わる職員の理解を深めていくことが課題である。

2. 事例の共有体制構築の必要

 相談件数が平成30年度7件から令和元年度30件に増えている理由の一つとして、都の条例の施行があるのではないか。

 また、地域協議会のメンバーの一部については公募しているが、公募委員から多くの意見が挙がる。障害がある子供の親が自身の経験を踏まえて応募することがあり、障害者差別解消に対する興味関心が高い。このような状況に加え、相談件数が増加している背景を踏まえると、事例の共有体制を広く構築することが重要と考えている。

ポイント


○ 相談が集中するのは障害福祉課。他の窓口で受けた相談も、必ず障害福祉課に集約(障害者差別相談等については、半期ごとに区役所内の各部署へ調査(照会)している)

○ 障害者差別に関する事例収集に当たっては、ルールを定め、共通のフォーマットで収集

○ 相談員等の障害者への理解不足による事例がまだあり、理解を深めることが課題

○ 合理的配慮の事例提供の要望が高まっており、啓発用パンフレット作成や研修拡大を検討中

(6) 愛知県名古屋市

基礎情報(悉皆調査結果から)
対応要領の策定状況 策定済み
障害者差別解消支援地域協議会の設置状況 設置済み
障害者差別解消に関する条例の制定状況 制定済み(平成31年4月1日施行)
障害者差別に関する相談対応を行う体制
  • 障害者差別に関する相談を一元的に受け付ける窓口を設置又は定めている
  • 障害者差別に関する相談員を配置している
令和元年度における障害者差別に関する相談件数 48件
1) 障害者差別に関する事例収集の体制

1. 相談対応及び事例収集の体制

 障害者差別に関する相談は、名古屋市社会福祉協議会が運営する名古屋市障害者差別相談センター(以下「障害者差別相談センター」)へ委託している。市に関する相談については、庁内の所管部署で適切に対応することとしている。事業者に関する相談の場合は、障害者差別相談センターで事業者と相談者の調整を行い、事業者への法的な対応が必要な場合は関係機関に引き継ぐこともあるが、基本的には同センターで対応している。

 区役所等の相談窓口で受け付けた相談で、調整が困難な事例の場合は、障害者差別相談センターへ相談を引き継ぎ、継続して対応している。

 平成31年に施行した「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例」において、障害者差別相談センターでは対応が難しく調整を図っても解決しない場合は、差別相談に係る事案の解決を図るための助言又はあっせんを行う名古屋市障害者差別解消調整委員会(以下「調整委員会」)で解決を図ることとしており、具体的には、経緯などの共有を含め、障害者差別相談センターが同席し、調整委員会が調整を行っている。

 障害者差別相談センターの相談員5名のうち4名は、社会福祉士の資格を持った専門職員である。それぞれの相談員に厳密な役割分担はなく、5名で適宜対応している。虐待の相談窓口が同じフロアにあるため、連携を取りながら運営できる体制となっている。

2. 事例の整理

 障害特性や年代、性別、対応内容などを記入する相談記録の書式を定めており、事例内容は内部用として整理している。相談者の氏名などは、障害者差別相談センター限りの扱いとしている。

3. 事例の共有

 相談事例に関して障害種別、事案の概要と対応、相手方(事業者)の業種について、半期ごとに開催する名古屋市障害者差別解消支援会議(以下「支援会議」)に報告し、共有している。

 相談者及び相手方の固有名詞など個人や事業者名が特定される情報は支援会議に報告しない。

 また、支援会議には法務局、労働局が参加しており、これらの機関から参考事例が紹介されることがある。

 相談対応のヒントにすることを目的として、「どのようなことが合理的な配慮なのか」、「どのようなことが差別にあたるのか」など、障害種別や相談分野、対応状況など個人が特定されない情報を選別して記載しているが、事例集的なものではない。また、支援会議の資料の公表は積極的に行っていない。

 愛知県や近隣の自治体との事例共有については、愛知県下の市町村の障害者差別及び障害者虐待に関する実務担当者の会議(年2回開催)に参加し、共有する機会としている。

2) 障害者差別の周知啓発等

1. 出前講座の実施

 障害者差別相談センターの活動として、事業者、民生委員、消費者団体、障害当事者団体、文化施設、学校(学生向け)などを対象とした出前講座を実施している。平成30年度は48件、令和元年度は38件開催した。

2. 職員研修・講演会の実施

 市の職員を対象として実施している役職ごとの職員研修では、障害者差別相談センターからの事例紹介や、支援会議に参加している障害当事者の弁護士の方からの法律に関する説明をしている。

 市民を対象とした講演会を市民啓発事業として取り組んでいるが、コロナ禍においては実施未定である。

3. 動画の掲載

 名古屋市のホームページに掲載している動画は、事業者から企画を提案してもらい、障害当事者や学識経験者などの複数の評価委員の選定により行った。

[悉皆調査結果から]
質問 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体について
回答 紙媒体(パンフレット、リーフレット等)、専用ウェブサイト
質問 どのように周知を図っているか
回答 本市の条例に関するガイドブックを指定管理事業者職員向け研修で活用したり、市民向け講演会で配布することにより、周知を図っている。
質問 周知啓発で工夫した点や課題について
回答 関心のない層への周知に苦慮している。なお、調査時点である令和2年4月1日よりも後のことにはなるが、関心のない層への周知や新型コロナウイルス感染症の影響に伴うイベントの難しさから、動画の配信を活用した周知啓発を始めた。

<動画で分かる「障害のある人もない人も共に生きるまち・なごや」の公開>

報道資料 令和3年2月9日発表

3) 障害者差別解消に関する今後の取組について

 関連団体のうち、事業者団体や障害者団体からの事例収集は行っていない。

 また、以前は職員から「障害者への対応を知らないから対応できない」という意見が寄せられていたが、職員研修の実施によって改善されてきていると考えている。

ポイント


○ 障害者差別に関する相談は、名古屋市障害者差別相談センターへ委託し、情報も集中管理(委託先:名古屋市社会福祉協議会 相談員5名(うち4名は社会福祉士))

○ 障害者差別に関する相談として受けた事例は、毎年半期ごとに整理して、障害者差別解消支援会議に報告

○ 事業者や学校などを対象とした障害者差別の出前講座を実施

○ 周知啓発に動画の配信を活用

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