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第2編 全般的推進状況(平成24年度を中心とした障害者施策の取組)

第4章 日々の暮らしの基盤づくり

1 生活安定のための施策

障害のある人が、その有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに関する給付その他の支援を行う「障害者自立支援法」が平成18年4月から一部施行され、同年10月から全面的に施行された。

同法の施行後、法の定着を図るため、激変緩和のために累次の対策を講じ、利用者負担の軽減や事業者の経営基盤の強化などを行ってきたところである。

制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を図るための検討が、推進会議の下の「総合福祉部会」で、約2年間にわたって議論され、平成23年8月には「骨格提言」が取りまとめられ、同提言等を踏まえて「障害者自立支援法」を「障害者総合支援法」とする内容を含む「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案」が平成24年3月13日に閣議決定・国会提出され、同年6月20日に成立し、平成25年4月1日より施行(一部、平成26年4月1日施行。)された。

なお、「障害者総合支援法」が施行されるまでの間においても障害のある人の地域生活の支援の充実を図るために、平成22年12月の障害者自立支援法・児童福祉法等の一部改正により、利用者負担について応能負担を原則とするとともに、障害児支援の強化や相談支援の充実等が図られたところである。

【主な施策等】

◯ 障害者総合支援法では、「障害種別によらない一体的なサービス提供」「市町村による一元的な実施」「利用者本位のサービス体系」「福祉施設で働く障害者の一般就労への移行促進等」「支給決定の透明化・明確化」「費用をみんなで負担し合う仕組みの強化」「障害福祉計画に基づく計画的なサービス基盤整備の推進」といったことが定められている。

◯ 相談支援専門員がサービス利用計画を作成することにより、障害のある人や障害のある児童の親が障害福祉サービスを適切に利用することができるように支援を行っている。

◯ 都道府県及び市町村は、障害福祉計画の策定に当たり、地域生活や一般就労への移行を進める観点から、平成26年度を目標年度として数値目標及びこれに係る必要なサービス見込量を設定。

◯ 障害のある人や障害のある児童の親に対する一般的な相談支援については、障害種別に関わらず事業の実施主体を利用者に身近な市町村に一元化して実施。

◯ 市町村に対する専門的な技術支援、情報提供の役割を担っている更生相談所等が都道府県には設けられており、身体障害者相談員、知的障害者相談員、児童に関する相談員及び精神保健福祉相談員を設置している。

◯ 障害等により自立が困難な矯正施設入所者が出所後直ちに福祉サービスを受けられるようにするため、刑務所等の社会福祉士等を活用した相談支援体制を整備するとともに、「地域生活定着支援センター」を各都道府県に整備し、同センターと保護観察所との協働により、社会復帰を支援する体制の構築を推進。

◯ 都道府県・指定都市社会福祉協議会及び事業を委託された市区町村社会福祉協議会等では、認知症高齢者、知的障害のある人、精神障害のある人等のうち判断能力が十分でない人々が、地域において自立した生活を送れるよう、福祉サービスの適切な利用や日常的な金銭管理に関する援助を行う事業(日常生活自立支援事業)を実施している。

◯ 近年、障害のある人に対する虐待が家庭や施設等で表面化し、社会問題となっている中で、障害者の尊厳の保持のため障害者に対する虐待を防止することは極めて重要な課題とされ、国会において、障害者虐待防止法制の検討が進められ、平成23年6月に与野党が合意し「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」が同月に全会一致で成立、24年10月から施行されている。

◯ 障害者虐待の防止に向けた取組

<1> 障害者虐待防止対策支援事業

厚生労働省においては、平成22年度から、障害者虐待防止の取組を支援するため、「障害者虐待防止対策支援事業」を実施し、23年度は実施主体を都道府県から市町村にも拡大している。具体的には、地域における関係機関等の協力体制の整備・充実を図るとともに、過去に虐待のあった障害のある人の家庭訪問、障害者虐待防止に関する研修、虐待事例の分析等が行われている。

<2> 障害者虐待防止・権利擁護に関する人材の育成

国において、障害のある人の虐待防止や権利擁護に関して各都道府県で指導的役割を担う者を養成するための研修を実施している。

◯ 厚生労働省は、発達障害児(者)の親が、発達障害のある子を持つ親に対して心理的な支援を行うペアレントメンターの活動を推進するとともに、発達障害の早期発見や、支援の必要性を把握するためのアセスメントツールの導入を促進する研修会等を実施する「発達障害者支援体制整備事業」を実施。

◯ 発達障害の早期発見、早期の支援等を図るなど、発達障害のある人やその家族に対する支援を総合的に行うため「発達障害者支援センター」の整備を図ってきたところであり、平成23年度末において65都道府県・指定都市に設置。

◯ イギリスのロンドンで「ロンドン2012パラリンピック競技大会」が開催され、世界164ヵ国・地域から4,310名(うち、日本から134名)のアスリート、2,430名(うち、日本から121名)のコーチ・役員が参加。

◯ スポーツ基本法の基本理念に障害のある人のスポーツを推進することが明記され、同法の規定に基づいて平成24年3月に策定された「スポーツ基本計画」の中でも、年齢や性別、障害等を問わず、広く人々が、関心、適性等に応じてスポーツに参画することができる環境の整備を基本的な政策課題としている。

◯ 障害のある人の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害のある人の自立と社会参加の促進に寄与することを目的として、「第12回全国障害者芸術・文化祭さが大会」(平成24年度)が佐賀県において開催。

◯ 「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」に基づく福祉用具実用化開発推進事業の下、障害のある人や高齢者、介護者の生活の質の向上を目的として優れた技術や創意工夫のある福祉用具の実用化開発を行う民間企業等に対し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて研究開発費用を助成。

◯ 国際的な標準化動向を踏まえた日本工業規格(JIS)等を活用した福祉用具の標準化を推進。平成23年度には新たに福祉用具の規格として歩行器(JIST9264)及びエルボークラッチ(JIST9266)を制定。

◯ 国際標準化機構(ISO)の包装技術委員会(ISO/TC122)や人間工学技術委員会(ISO/TC159)での活動への参加とともに、これら委員会への日中韓3カ国による規格案の共同提案を行い、平成23年度までに5規格が国際規格として発行。

◯ 社会福祉士等の福祉専門職の養成・確保を図るとともに、専門的な技術及び知識を有する理学療法士等のリハビリテーション従事者を確保し、資質を向上。

2 保健・医療施策

健康診査等による障害の原因となる疾病等の予防・早期発見・治療、学校安全の充実等の推進のほか、障害のある人に対する医療・医学的リハビリテーション等を実施している。

心の健康づくり、精神疾患の早期発見・治療等精神保健・医療施策を推進するとともに、「自殺対策基本法」に係る、自殺対策の基本的かつ総合的な指針としての「自殺総合対策大綱」に基づき総合的な自殺対策を推進している。

【主な施策等】

◯ 幼児期において、身体発育及び精神発達の面から最も重要な時期である1歳6か月児及び3歳児のすべてに対し、総合的な健康診査を実施しており、その結果に基づいて適切な指導を行っている。

◯ 平成20年度からは、「適度な運動」、「適切な食生活」、「禁煙」に焦点を当てた国民運動として「すこやか生活習慣国民運動」を展開し、23年度からは、この運動をさらに普及・発展させた「Smart Life Project」を開始するなど、生活習慣病対策の一層の推進を図っている。

◯ 平成24年度の診療報酬改定において、超重症児(者)に対する入院医療の評価を充実したところ。

◯ 都道府県に高次脳機能障害者への支援を行うための支援拠点機関を置き、<1> 相談支援コーディネーターによる高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援、<2> 関係機関との地域ネットワークの充実、<3> 高次脳機能障害の支援手法等に関する研修等を行う「高次脳機能障害支援普及事業」を実施。

◯ 政府においては、自殺対策基本法及び同法に基づく「自殺総合対策大綱」(平成19年6月閣議決定)の下、自殺対策を総合的に推進してきているところ。

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