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第4章 相互の理解と交流

第2節 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に係る施策

1.障害者に関する国際的な取組

(1)障害者権利条約

障害者の権利及び尊厳を保護し及び促進すること等を目的とする障害者権利条約は、4年間に亘る交渉の結果、平成18(2006)年12月、第61回国連総会本会議においてコンセンサス採択され、平成20(2008)年5月に発効した。平成27年3月31日現在、締約国・地域・機関数は153となっている。

この条約は、<1>障害者の尊厳、自律及び自立の尊重、無差別、社会への完全かつ効果的な参加及び包容等を一般原則とし、<2>障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進するための措置を締約国がとること等を定めている。また、<3>締約国がこの条約の実施を促進し、保護し、監視するための枠組みを維持し、強化し、指定し、又は設置すること、<4>締約国が選出する委員から構成される障害者の権利に関する委員会を設置すること等について定めている。

我が国は、本条約の起草段階から積極的に参加するとともに、国内NGOとの意見交換の実施や障害者NGO代表の政府代表団顧問としての参加を通じて、障害当事者のための条約づくりを目指してきた。平成19年9月、我が国はこの条約に署名し、その後行われた法制度整備等も踏まえて、平成26年1月に同条約を批准し、同条約は同年2月に我が国について発効した。

(批准に先立つ国内の諸政策については第3章第2節参照)

(2)ESCAPアジア太平洋障害者の十年

アジア太平洋地域において障害のある人への認識を高め、域内障害者施策の水準向上を目指すために、「国連障害者の十年」に続くものとして、平成4年(1992年)に我が国と中国が「アジア太平洋障害者の十年」を主唱し、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)総会において決議された。

その最終年となる平成14年(2002年)にESCAP総会において、我が国の主唱により「ESCAPアジア太平洋障害者の十年」が更に10年延長されるとともに、同年10月に滋賀県大津市で開催された「ESCAPアジア太平洋障害者の十年最終年ハイレベル政府間会合」において、「ESCAP第2次アジア太平洋障害者の十年(2003-2012年)」の行動計画である「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク」(以下「びわこミレニアム・フレームワーク」という。)が採択された。

また、「ESCAP第2次アジア太平洋障害者の十年」の中間年に当たる平成19年(2007年)9月にタイのバンコクで開催された「アジア太平洋障害者の十年の中間評価に関するハイレベル政府間会合」では、「びわこミレニアム・フレームワーク」を補完し、平成20年(2008年)から5年間の実施を促進するための行動指針となる「びわこプラスファイブ」が採択された。

平成24年(2012年)5月にESCAP総会において、我が国の共同提案により「ESCAP第3次アジア太平洋障害者の十年(2013-2022年)」決議が採択され、同年11月には「第2次アジア太平洋障害者の十年最終レビュー・ハイレベル政府間会合」において、「ESCAP第3次アジア太平洋障害者の十年」の行動計画である「仁川(インチョン)戦略」が採択された。「仁川(インチョン)戦略」では、「貧困の削減と労働及び雇用見通しの改善」、「政治プロセス及び政策決定への参加促進」等障害者施策に関する10の目標、与えられた期間内に達成すべき27のターゲット及びその進捗状況を確認するための62の指標が設定されている。

(3)情報の提供・収集

内閣府では、我が国の障害者施策に関する情報提供のために、基本的枠組みである「障害者基本計画」や「障害者白書の概要」等の英語版を作成し、内閣府ホームページ(英語版サイトなど)にこれらを掲載している。

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