第4章 日々の暮らしの基盤づくり
第1節 生活安定のための施策
○ 利用者本位の生活支援体制の整備
「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」では、障害のある人に必要なサービスが提供されるよう、将来に向けた計画的なサービス提供体制の整備を進める観点から、「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(以下「基本指針」という。)に即して、市町村及び都道府県は、数値目標と必要なサービス量の見込み等を記載した「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」を策定することになっている。
2023年5月には、2024年度を始期とする「第7期障害福祉計画」及び「第3期障害児福祉計画」の策定に係る基本指針について改正を行った。
○ 在宅サービス等の充実
障害のある人が地域で暮らしていくためには、在宅で必要な支援を受けられることが必要となる。このため、市町村において「障害者総合支援法」に基づき、利用者の障害の程度や必要な支援の内容等に応じ、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施している。2023年に「地域におけるこどもの発達相談と家族支援の機能強化事業」を開始し、地域の保健、子育て、福祉等と医療機関との連携体制を構築し、こどもの発達相談を実施するとともに、必要な発達支援や家族支援につなぐなど、こどもや家族の支援ニーズに適切な時期に対応できる体制整備を進めている。
○ スポーツ・文化芸術活動の推進
令和5年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」によると、障害のある人(20歳以上)の週1回以上の運動・スポーツ実施率は32.5%(20歳以上全般の実施率は52.0%(令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」))。2023年度は、公園や商業施設等のオープンスペースを活用することで、障害のある人とない人が、気軽な形でウォーキングフットボール等を体験する取組等を実施している。
2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)において、展示・体験ブースや映像配信等により新たなスポーツの価値創造に係る取組を発信する中で、障害者スポーツにおける先端技術を活用した取組やパラスポーツ体験の周知などの情報発信を予定している。
パラリンピックの競技特性や環境等に十分配慮しつつ、オリンピック競技とパラリンピック競技の支援内容に差を設けない一体的な競技力強化支援に取り組んでいる。
障害のある人による文化芸術活動については、2023年3月に策定した「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)」に基づき、障害のある人による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進している。
ウォーキングフットボール体験
第2節 保健・医療施策
○ 障害の原因となる疾病等の予防・治療
疾病等の早期発見のための健康診査、障害の原因となる疾病等を予防し、健康の保持増進を図るための保健指導を行っているほか、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上などを図っている。
○ 障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実
「障害者総合支援法」に基づき、身体障害の状態を軽減するための医療(更生医療及び育成医療)及び精神疾患に対する継続的な治療(精神通院医療)を自立支援医療と位置付け、その医療費の自己負担の一部又は全部を公費負担している。
国立障害者リハビリテーションセンターでは、早期退院・社会復帰に向けて、各障害に対応した機能回復訓練を行うとともに、医療相談及び心理支援を行っている。
また、高次脳機能障害については、2023年度から(1)高次脳機能障害の診断及びその特性に応じた支援サービスの提供を行う協力医療機関及び専門支援機関を確保・明確化し、(2)当事者やその家族等の支援に資する情報提供を行う地域支援ネットワークの構築を図ることなどを目的とする「高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築促進事業」に取り組んでいる。