第1章 改正障害者差別解消法の施行 第2節 3

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第2節 改正障害者差別解消法の施行に向けた取組

3.相談体制の整備

(1)基本的な考え方

「障害者差別解消法」第14条において、国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとされている。

また、「改正障害者差別解消法」において、事業者による合理的配慮の提供が義務化されるとともに、国及び地方公共団体の連携協力や相談対応等を担う人材の育成及び確保のための措置等が明確化された。

「改正障害者差別解消法」施行後は、事業者からの相談も含め、障害を理由とする差別に関する相談が増加することが見込まれる。このような中で、障害を理由とする差別の解消を効果的に推進するためには、相談対応等に当たり、国及び地方公共団体が役割分担・連携協力し、一体となって適切な対応を図ること、また、国や地方公共団体において相談対応等を行う人材の専門性向上、相談対応業務の質の向上を図ることが重要となる。このため、「改定基本方針」においては、

・障害を理由とする差別の解消を効果的に推進するには、公正・中立な立場である相談窓口等の担当者が、障害者や事業者等からの相談等に的確に応じることが必要であること

・相談対応等に際しては、地域における障害を理由とする差別の解消を促進し、共生社会の実現に資する観点から、まず相談者にとって一番身近な市区町村が基本的な窓口の役割を果たすことが求められること、都道府県は、市区町村への助言や広域的・専門的な事案についての支援・連携を行うとともに、必要に応じて一次的な相談窓口等の役割を担うことが考えられること、国においては各府省庁が所掌する分野に応じて相談対応等を行うとともに、市区町村や都道府県のみでは対応が困難な事案について、適切な支援等を行う役割を担うことが考えられること

・このような国・都道府県・市区町村の役割分担を基本とし、適切な関係機関との間で連携・協力がなされ、国及び地方公共団体が一体となって適切な対応を図ることができるような取組を、内閣府が中心となり、各府省庁や地方公共団体と連携して推進することが重要であること

・内閣府においては、事業分野ごとの相談窓口の明確化を各府省庁に働きかけ、当該窓口一覧の作成・公表を行うほか、障害者や事業者、都道府県・市区町村等からの相談に対して法令の説明や適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口について検討を進め、どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組むとともに、各相談窓口等に従事する人材の確保・育成の支援及び事例の収集・整理・提供を通じた相談窓口等の対応力の強化等にも取り組むこと

・国及び地方公共団体においては、必要な研修の実施等を通じて、相談対応を行う人材の専門性向上、相談対応業務の質向上を図ることが求められること

などが明記され、内閣府においては以下のような取組を実施している。

(2)事業分野相談窓口

「改定基本方針」に基づき、内閣府において、関係省庁に働きかけを行い、各事業分野における国の相談窓口について、整理・一覧化し、「事業分野相談窓口(対応指針関係)」として、内閣府ホームページに公表している。

事業分野相談窓口(対応指針関係)(内閣府)(PDF形式:327KB)PDFを別ウィンドウで開きます:https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/pdf/soudan/taiou_shishin.pdf】

(3)相談窓口試行事業「つなぐ窓口」

内閣府においては、2023年10月から2025年3月まで、障害のある人や事業者、都道府県・市区町村等からの障害者差別に関する相談に対して法令の説明や適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口として、「つなぐ窓口」を試行的に実施している。(詳細は31頁のTOPICS(1)「相談窓口試行事業「つなぐ窓口」(2023年10月16日設置)」を参照。)

(4)人材の確保・育成

内閣府においては、2022年度は「障害を理由とする差別の解消に向けた事例の収集・分析に係る調査研究」として国や地方公共団体の相談窓口等の担当者が相談対応業務を行うに当たり「障害者差別解消法」や「改定基本方針」に沿った事案の分析・対応の検討を行う際の参考資料となるような相談対応ケーススタディ集を作成した。同ケーススタディ集は内閣府ホームページにおいて公表している。

障害を理由とする差別の解消の推進 相談対応ケーススタディ集(内閣府):https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/case-study.html】

2023年度は「障害を理由とする差別の解消に向けた相談対応等に係る調査研究」として、障害当事者や有識者による検討会を立ち上げ、同検討会での議論を踏まえ、国や地方公共団体における相談対応や相談対応を担う人材の育成に資する相談対応マニュアル(「障害を理由とする差別の解消の推進 国・地方公共団体における相談窓口担当者向け相談対応マニュアル」)を作成した。同相談対応マニュアルは、実践編と法令編の二部で構成されており、実践編には、関係機関の役割や、相談対応の一連の流れや留意事項等、個別具体の相談事案への適切な対応に資する事項等を盛り込み、法令編には、「障害者差別解消法」等の基本的な法令知識や関係する相談窓口の連絡先等が盛り込まれている。

障害を理由とする差別の解消の推進 国・地方公共団体における相談窓口担当者向け相談対応マニュアル(内閣府):https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/soudan-manual.html】

内閣府においては、この相談対応マニュアルについて、各省庁や地方公共団体に通知するとともに、内閣府ホームページに掲載するなど周知を図っている。

ケーススタディ集(抜粋)
資料:内閣府
相談対応マニュアル(抜粋)
資料:内閣府
/内閣府
第1章第2節 3.相談体制の整備
TOPICS(トピックス)(1)
相談窓口試行事業「つなぐ窓口」(2023年10月16日設置)

1.相談窓口試行事業「つなぐ窓口」について

「改定基本方針」において、障害を理由とする差別に関する相談対応について、内閣府において、障害のある人や事業者、都道府県・市区町村等からの相談に対して法令の説明や適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口について検討を進め、どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組むことが明記された。

これを受け、内閣府では2023年10月から2025年3月まで、「障害者差別解消法」に関する質問に回答すること及び障害を理由とする差別に関する相談を適切な自治体・各府省庁等の相談窓口に円滑につなげるための調整・取次を行う役割を担う相談窓口である「つなぐ窓口」を試行的に実施している。

障害者差別に関する相談窓口の試行事業「つなぐ窓口」がスタート! リーフレット
資料:内閣府

障害者差別に関する相談窓口の試行事業「つなぐ窓口」がスタート!(内閣府)(PDF形式:768KB)PDFを別ウィンドウで開きます:https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/sabekai/tsunagu_leaflet.pdf】

2.「つなぐ窓口」による相談対応の基本的な流れ

「つなぐ窓口」では、「障害者差別解消法」に関する説明を行うとともに、相談者の希望等に応じて、適切な自治体・各府省庁等の相談窓口と調整を行い、事案の取次を行っている。

「つなぐ窓口」で取次を行った事案については、取次を受けた自治体・各府省庁等の相談窓口が取り次がれた事案の内容等を踏まえ、事実確認や事案解決に向けた調整等を行うこととしている。

「つなぐ窓口」による相談対応の基本的な流れ
資料:内閣府

3.「つなぐ窓口」での相談件数

①相談対応件数(2023年10月16日~2024年3月31日):1,163件
(うち、障害のある人やその家族等817件、事業者209件、自治体等52件、その他85件)

「つなぐ窓口」での相談件数のグラフ
資料:内閣府

②①のうち、自治体等取次案件:121件(※)

※2024年3月31日現在において、国や自治体等に取り次いだ案件及び取り次ぐこととしている案件の合計件数

③障害者差別に関する主な相談内容の例

「つなぐ窓口」に寄せられる相談の内容は様々であるが、比較的多くみられる相談内容としては、以下のようなものがあげられる。

➢障害のある人からの相談

・事業者から差別的な対応をされたため、対応を改め謝罪を求めたい。

・事業者に合理的配慮の提供を求めたが、対応してもらえなかったため、対応するよう事業者と調整してほしい。

・事業者から○○されたが、障害者差別ではないのか。

・事業者に合理的配慮として○○をしてほしいが、どうすればよいのか。

➢事業者からの相談

・「改正障害者差別解消法」の施行により何が変わるのか教えてほしい。

・「改正障害者差別解消法」の施行により合理的配慮の提供が義務化されると聞いたが、具体的に何をすればよいのか教えてほしい。

・「改正障害者差別解消法」により施設のバリアフリー化やウェブアクセシビリティの確保は義務化されるのか教えてほしい。

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