第2章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり 1

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障害のある人に対する理解促進のための広報・啓発等の推進

我が国においては、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するための取組を進めている。「障害の社会モデル」という言葉にあるように、障害は、心身機能に障害がある方々の社会参加を困難にしている事物、制度、慣行、観念など、様々な社会的障壁によって生み出されるものである。こうした障壁を取り除くのは、社会全体の責務であり、真の共生社会を実現するためには、社会全体における意識改革を行い、社会全体が変わらなければならない。

そのためには、国民全体に障害についての正しい理解が行きわたることが必要である。政府では、地方公共団体、民間企業・団体、マスメディア等、多様な主体と連携して、幅広い広報・啓発活動を行っている。

1.障害者週間

政府では、12月3日から9日までの1週間を「障害者週間」とし、全ての国民が、相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の普及を図り、障害及び障害者に対する国民の関心と理解を一層深めることを目的とした行事を実施している。

毎年、政府、自治体において民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、全国各地で様々な広報啓発に関する取組を集中的かつ包括的に実施している。

(1)障害者週間における内閣府の取組

内閣府では、「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)の基本理念である、障害の有無にかかわらず、誰もが互いに人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現を目指し、「障害者週間」の趣旨を踏まえた行事等を行っている。2024年度においては、「障害者週間」関係表彰、「障害者週間」作品展、ワークショップ及びオンラインセミナーを実施した。

ア 「障害者週間」関係表彰の実施

内閣府では障害のある人とない人との心の触れ合い体験をつづった「作文」及び障害のある人に対する国民の理解の促進等に資する「ポスター」を募集し、都道府県・指定都市からの内閣府への推薦作品の中から入賞作品の決定及び「障害者週間」に合わせて入賞者に対する表彰を行っている。

2024年度は12月4日に最優秀賞受賞者(作文:4名/ポスター:2名)出席の下「障害者週間」関係表彰式を実施した。

辻清人内閣府副大臣から表彰状の授与を受ける「ポスター」(中学生区分)最優秀賞受賞者の田中海凪さん
(写真:内閣府)
受賞者代表として作文を朗読する「作文」(小学生区分)最優秀賞受賞者の臼井千織さん
(写真:内閣府)
「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の最優秀賞受賞者、辻清人内閣府副大臣(写真前列中央右)及び関哉直人審査委員会委員長(写真前列中央左)
(写真:内閣府)

① 表彰

「心の輪を広げる体験作文」表彰

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対象(4区分):

[小学生区分/中学生区分/高校生区分/一般区分]

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表彰種別:

最優秀賞(内閣総理大臣表彰)

各区分1名

優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰)

各区分3名

佳作

各区分5名

「障害者週間のポスター」表彰

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対象(2区分):

[小学生区分/中学生区分]

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表彰種別:

最優秀賞(内閣総理大臣表彰)

各区分1名

優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰)

各区分1名

佳作

各区分5名

② 募集・応募等の状況

募集期間

2024年7月1日(月)~9月下旬(※都道府県・指定都市が定める日)

応募・推薦状況

区分 心の輪を広げる体験作文 障害者週間のポスター
都道府県・指定都市
における応募総数
都道府県・指定都市
からの内閣府への推薦数
都道府県・指定都市
における応募総数
都道府県・指定都市
からの内閣府への推薦数
小学生 251 33 454 41
中学生 553 37 364 40
高校生 464 27
一般 115 20
合計 1,383 117 818 81

受賞者/入賞作品

【心の輪を広げる体験作文】
最優秀賞(内閣総理大臣表彰)
区分 県・市 氏名 学校名 学年 作品名
小学生 茨城県 臼井 千織 茨城県立つくば特別支援学校 5年 私の願い
中学生 横浜市 盛田 福 横浜市立新田中学校 2年 楽しむことを諦めない
高校生 東京都 内山 芽衣 学習院女子高等科 3年 言葉を伝える
一般 東京都 赤岩 真詠 2回目の人生、精神障害者11歳。
優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰)
区分 県・市 氏名 学校名 学年 作品名
小学生 青森県 笹村 美晴 外ヶ浜町立三厩小学校 6年 無意識の偏見を打ち破って
徳島県 田中 晋太郎 藍住町立藍住南小学校 5年 ゆうきをくれる友
岡山県 溝口 桜大 倉敷市立大高小学校 4年 妹の世界を広げたい
中学生 熊本県 上森 叶愛 氷川町立氷川中学校 2年 笑顔であふれる世界
千葉県 木村 涼梨 睦沢町立睦沢中学校 3年 「支え合うこと」
広島県 藤本 晄 盈進中学校 3年 ハンセン病患者と触れ合って
~過ちを繰り返さないために私ができること~
高校生 神戸市 榎本 あおば 関西創価高等学校 1年 生きる意味
千葉県 奥田 梨世 筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部 2年 ろう者と聴者の関わり
茨城県 高橋 みき 茨城県立水戸聾学校 3年 障害と付き合っていくということ
一般 大分県 麻生 恒雄 未来への種まき
千葉県 津嶋 栄子 マサちゃんのこと
青森県 米塚 匠 個性を受け入れる教育の挑戦
佳作
区分 県・市 氏名 学校名 学年 作品名
小学生 鹿児島県 石原 希理 鹿児島市立吉野東小学校 4年 みんな同じだよ
岐阜県 神谷 謙成 岐阜市立岩野田小学校 3年 ぼくが楽しく学校に行けている理由
京都府 常石 龍叶 京田辺市立田辺小学校 6年 笑顔はみんなを救う
大阪市 前田 琉唯菜 大阪市立北中道小学校 6年 きこえる友だちのサポートに感謝
東京都 三浦 優 青山学院初等部 6年 笑顔から得られるもの
中学生 岩手県 澤田 光加 二戸市立福岡中学校 1年 「トビラ」の先にある光へ
茨城県 篠﨑 迅 桜川市立大和中学校 3年 イスバスから学んだこと
仙台市 庄子 結士 聖ドミニコ学院中学校 2年 体験から広がった世界
徳島県 中岡 円 阿波市立阿波中学校 1年 自分らしく生きる
宮崎県 原村 茉華 宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校附属中学校 3年 手紙
高校生 三重県 萱原 佳音 関西創価高等学校 1年 助け合いのしるし
鹿児島県 慶田 優菜 鹿児島県立薩摩中央高等学校 2年 「こちらこそ」
富山県 西川 和奏 富山県立南砺福野高等学校 1年 知ることの大切さ
北海道 八巻 心花 北海道釧路江南高等学校 3年 私だけの「心の友達」
広島県 山城 美緒 盈進中学高等学校 1年 学んでほしい。考えてほしい。
一般 長野県 清水 真理 働くこと
京都府 園田 仁志 障がいとともに歩む-障がいが教えてくれたこと-
静岡市 野田 萌々香 自己紹介
岡山県 本行 邦彦 『桜の花の咲くまで』
千葉市 吉野 晴翔 お互いが手を取り合い平等な社会へ
【障害者週間のポスター】
最優秀賞(内閣総理大臣表彰)
区分 県・市 氏名 学校名 学年 作品名
小学生 熊本県 礒田 隆介 人吉市立東間小学校 6年 パラリンピックでかんばるすがた
中学生 長崎県 田中 海凪 壱岐市立石田中学校 2年 気づいてよ
優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰)
区分 県・市 氏名 学校名 学年 作品名
小学生 東京都 田村 悠 港区立芝浜小学校 4年 一緒に行こうよ 夏の森
中学生 京都市 牧野 大朗 京都市立東山泉小中学校 9年 力を込めて
佳作
区分 県・市 氏名 学校名 学年 作品名
小学生 福島県 飯島 眞羽 郡山市立安積第二小学校 2年 みんなにこにこ
岡山県 漆谷 秀仁 倉敷市立第五福田小学校 2年 なかよく金メダル
名古屋市 北御門 志鶴 名古屋市立松栄小学校 3年 最後まであきらめない
兵庫県 杉山 桜月 加古川市立加古川小学校 6年 思いやりの道しるべ
岐阜県 矢箟原 呼世 高山市立東小学校 4年 み~んなおんなじ み~んななかよし
中学生 栃木県 柿木 萌衣 佐野日本大学中等教育学校 2年 2年みんなで一緒に羽ばたく
愛媛県 鈴木 さくら 松山市立垣生中学校 2年 光は努力の貴方を照らす
神戸市 髙橋 結和 神戸市立御影中学校 3年 うまれる優愛
福井県 松村 琴葉 福井県立高志中学校 3年 全員一番星
山梨県 森 慈樹 中央市立田富中学校 1年 みんな一緒が当たりまえがいいなあ

③ 入賞作品の広報活用

内閣府では、「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の入賞作品を、以下のように「障害者週間」等における全国的な広報に活用している。

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「作文」「ポスター」の全入賞作品は、「入賞作品集」として冊子に収め、全都道府県・指定都市(及びその教育委員会)、障害当事者団体等に配布し、内閣府ホームページに掲載。

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「ポスター」最優秀賞受賞作品の中から1点を、「障害者週間」の広報用ポスターに採用し、全都道府県・指定都市(及びその教育委員会)、全国JR・私鉄主要駅及び各障害当事者団体等に配布するとともに、翌年度の「障害者白書」の表紙としても活用。内閣府ホームページにも掲載。

2024年度のポスター最優秀賞受賞作品(「中学生区分」田中海凪さん)を
採用した広報用のポスター(左)と入賞作品集(右)
令和6年版「障害者白書」(2023年度の
ポスター最優秀賞受賞作品を採用)

イ 「障害者週間」作品展の開催(都道府県・指定都市からの推薦作品の広報活用)

内閣府では、「障害者週間」作品展を開催し、都道府県・指定都市から内閣府に推薦のあった「障害者週間のポスター」の全作品及び「心の輪を広げる体験作文」の最優秀作品4点について「作品展」を開催して展示・公開している。2024年度は羽田空港において12月3日から9日まで開催した。

〈2024年度の実施状況〉

○日時

2024年12月3日(火)~9日(月) 各日10:00~20:00

○場所

羽田空港第1ターミナル

6階 スカイギャラリー(3日(火)~5日(木))

羽田空港第2ターミナル

5階 フライトデッキトーキョー(6日(金)~9日(月))

5階 スカイデッキ通路(3日(火)~9日(月))(東京都大田区)

令和6年度「障害者週間」作品展(写真:内閣府)

ウ 「障害者週間」ワークショップの実施

「障害者週間」作品展では体験をテーマにした、ワークショップを同時開催している。2024年のワークショップでは12月7日にパリパラリンピック金メダリストトークショー及び障害者スポーツの体験を開催。12月8日に障害の特性を知っていただくための疑似体験(VR)、e-スポーツ体験を開催した。

〈2024年度の実施状況〉

○日時 2024年12月7日(土)、8日(日)10:00~17:00

○場所 羽田空港第2ターミナル5階 マーケットプレイス フライトデッキトーキョー(東京都大田区)

○主催 内閣府(4ワークショップ開催)

パリ2024パラリンピック競技大会 車いすテニス
金メダリスト 田中愛美選手トークショー
車いすテニス体験
発達障害VR体験
eスポーツ体験会
令和6年度「障害者週間」ワークショップ(写真:内閣府)

エ 「障害者週間」オンラインセミナーの実施

内閣府では「障害者週間」に、オンライン配信により、障害者週間の趣旨にふさわしいセミナーを各団体等と連携して開催している。2024年度は4団体のセミナーを配信した。

〈2024年度の実施状況〉

○配信期間 2024年12月3日(火)0:00~27日(金)17:00

○配信場所 内閣府ホームページ

○主催 障害者関係団体等(4団体)

主催団体等 テーマ
実施概要
1 一般社団法人
Togatherland
クロストーク「障害×働く」で未来を共創しよう
障害のある人とない人が共に働くことによって、職場や社会にはどのような変化が起こるでしょうか?
実際に働いている4人の当事者のインタビューをもとに、障害のある人と共に働くことの意味や意義、そして、そこから見えてくる未来の姿を、考えていきます。
2 公益財団法人
日本障害者リハビリテーション協会
発達障害児の読みを支援するデジタル図書「マルチメディアデイジー図書」ー図書館とネット配信によるマルチメディアデイジー図書の体験・利用方法のご紹介ー
本協会は、発達障害児向けの小中学校のデジタル教科書(デイジー教科書)、副読本等デジタル図書(デイジー図書)を製作・配信しています。デイジー図書が発達障害児の読みにどのように役立つのかの解説を行います。児童書配信システム「デイジー子どもゆめ文庫」のデモ、また、図書館向けデイジー図書「わいわい文庫」の紹介も行います。
3 特定非営利活動法人
全国言友会連絡協議会
法律改正から考える吃音支援の今と未来
「障害者差別解消法」の改正法が2024年4月1日に施行されました。吃音においても、この法律の対象となっています。事業者には努力義務とされていた「合理的配慮」が法的義務に格上げとなり、事業者にとっては大きな影響があるものといえます。今回は、法律の改正前後の違いと、吃音の支援・社会参加における今後の展望を話していきたいと思います。
4 公益社団法人
日本発達障害連盟
支援が必要な人の防災を地域での連携を軸に考え、備える
「支援が必要な人の防災を地域での連携を軸に考え、備える」をテーマに被災地域で活動をされた方々や支援に入られた方々の取り組みをご紹介いただき、あらためて災害に対してどのように備えておくかを視聴者の方々に知っていただき、それぞれの地域で改めて考えてもらう機会としたいと思います。

※団体から提出のあった原文を掲載しています。

(2)障害者週間における国(各省庁等)・都道府県・指定都市における取組

国、都道府県及び指定都市においても、「障害者週間」に合わせて行事や取組が行われている。実施状況については、内閣府のホームページで公開している(件数は2024年12月時点のもの)

○国主催行事:84件

○関係機関・団体主催行事:30件

○都道府県・指定都市主催行事:1,849件

「第21回共に生きる障がい者展」(大阪府)
「Iあいフェスタ2024」(千葉県市川市)
「あっぱれフェスタ」(神奈川県横浜市)
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