1992(平成4)年4月、「国連・障害者の十年(1983-1992)」に続く取組みとして、アジア太平洋地域における障害者への認識を高め、域内障害者施策の質の向上を目指すために、国連の地域委員会の一つである国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の第48回総会において、日本、中国ほか33か国による共同提案である「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」の決議が採択された。本決議は、障害者の生活の質を高めるための12の政策目標を決定し、ESCAP域内国が障害者の完全参加と平等の実現に向けて各種施策に取り組むための宣言となるものである。
○ 主な経緯
1992(平成4)年12月、北京において開催された「アジア太平洋障害者の十年」の開始に関する会議において「アジア太平洋障害者の十年の行動課題」が採択された。
<同行動課題>
国内調整、立法、情報、啓発広報、施設の整備及びコミュニケーション、教育、訓練及び雇用、障害の予防、リハビリテーション・サービス、介助機器、自助組織、地域協力
中間年に当たる1997(平成9)年9月、ソウルにおいて開催された高級事務レベル会合において、「アジア太平洋障害者の十年の後半へのソウル提言」が採択された。
1998(平成10)年4月、第54回ESCAP総会決議により、最終年にあたる2002(平成14)年に、「アジア太平洋障害者の十年」の評価と今後の活動に関する会議を開催することが決定された。
2001(平成13)年4月、第57回ESCAP総会の我が国の政府首席代表演説において、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」最終年ハイレベル政府間会合を我が国(滋賀県)に誘致することを提案した。
2001(平成13)年12月、ESCAP「農村・都市における貧困緩和のための経済社会対策委員会」において、滋賀県大津市において最終年ハイレベル政府間会合が開催されることが内定した。
2002(平成14)年5月、第58回ESCAP総会で、我が国の主唱により、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」を更に10年延長する決議が採択された。また、同総会において「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)最終年」ハイレベル政府間会合を同年10月25日(金)から28日(月)に、滋賀県大津市で開催する決議も採択された。
2002(平成14)年10月、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」最終年ハイレベル政府間会合において、次期十年(2003-2012)の行動計画となる「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーかつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク」が採択された。「びわこミレニアム・フレームワーク」では、優先的行動のための7つの分野として、「障害者の自助団体及び家族・親の団体」、「女性障害者」、「早期発見、早期介入と教育」、「自営を含む訓練と雇用」、「各種建築物・公共交通機関へのアクセス」、「情報通信及び支援技術を含む情報通信へのアクセス」、「能力構築、社会保障と持続的生計プログラムによる貧困の緩和」が挙げられており、それぞれの項目ごとに、重要課題、目標及び求められる行動が示されている。
2003(平成15)年9月、第59回ESCAP総会において、「びわこミレニアム・フレームワーク」が全会一致で承認された。
2007(平成19)年9月には中間評価に関するハイレベル政府間会合が開催され、「びわこミレニアム・フレームワーク」を補完し、2008年から2012年までの実施を促進するための行動指針として、「びわこプラスファイブ」(PDF形式:166KB)が採択された。
2012(平成24)年5月、第68回ESCAP総会で、「アジア太平洋障害者の十年(2003-2012)」を更に10年延長する決議が採択された。また、同年11月に最終レビュー・ハイレベル政府間会合が韓国の仁川で開催され、「びわこミレニアム・フレームワーク」に代わる次の「十年」(2013~2022)の行動計画として「仁川戦略」が採択された(仁川戦略を含む報告書はこちら(PDF形式:183KB))。「仁川戦略」では、「貧困の削減と労働及び雇用見通しの改善」等10の目標が掲げられ、それぞれに達成されるべきターゲットと、進捗を図り、確認するための指標が設定された。