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第1章 1990年障害のあるアメリカ人法(2008年改正)

第42編 公衆衛生及び福祉

第III節 民間機関が運営する公共施設及びサービス

第12181条 定義

本節における用語は、以下の意味を有する。

(1)商業 「商業」とは、以下に該当する旅行、貿易、交通、商取引、輸送、通信を意味する。

(A)複数の州のあいだにおけるもの

(B)外国又は領土又は領域と州とのあいだにおけるもの

(C)同一の州の地点間であるが、他の州又は外国を経由するもの

(2)商業施設 「商業施設」とは、以下の施設を意味する

(A)居住以外の用途を目的とするもの

(B)その運用が商業に影響を与えるもの
この用語には、機関車、貨車、車掌車、本編第12162条に記載する又は本節の対象となる鉄道車両、鉄道敷設用地、1968年公正住宅法(42U.S.C.3601以降)の対象となる又は明示的にその対象から除外されている施設を含まないものとする。

(3)請求応答システム 「請求応答システム」とは、固定経路システム以外で、一車両により個々人の輸送を提供するシステムを意味する。

(4)固定経路システム 「固定経路システム」とは、あらかじめ決められた経路上を固定したスケジュールに沿って運用される一車両により個々人の輸送を提供するシステム(航空機によるものを除く)を意味する。

(5)高速道路運行バス 「高速道路運行バス」とは、荷物室の上部に客席デッキを引き上げたことを特徴とするバスを意味する。

(6)民間機関 「民間機関」とは、公共機関(本編第12131条(1)の定義による)以外の機関を意味する。

(7)公共施設 以下の民間機関は、その機関の運営が商業に影響する場合には、本節における公共施設とみなされる。

(A)旅館、ホテル、モーテルその他の宿泊施設(建物内部に置かれた施設で賃貸借用の部屋が5室以下であり、その施設の所有者の住居としてその所有者が現実に占有しているものは含まれない)

(B)レストラン、バー、その他食品又は飲料を提供する施設

(C)映画館、劇場、コンサートホール、スタジアム、その他娯楽展示用の場所

(D)公会堂、展示場、講堂、その他公共の集会所

(E)パン屋、食料品店、衣料品店、雑貨店、ショッピングセンター、その他販売又はレンタル施設

(F)コインランドリー、クリーニング店、銀行、理髪店、美容室、旅行代理店、靴修理店、葬儀場、ガソリンスタンド、会計士又は弁護士の事務所、薬局、保険会社、保健ケア提供者の専門的オフィス、病院、その他のサービス施設

(G)特定公共交通に用いられるターミナル、停車場、その他の駅

(H)博物館、図書館、画廊、その他公共の展示又は収集施設

(I)公園、動物園、遊園地、その他の娯楽施設

(J)保育園、私立の初等学校、中等学校、大学、大学院、その他の教育施設

(K)デイケアセンター、高齢者センター、ホームレス収容施設、フードバンク、養子縁組斡旋施設、その他の社会サービスセンター施設

(L)体育館、温泉施設、ボウリング場、ゴルフコース、その他運動又はレクリエーション施設

(8)鉄道 「鉄道」とは、第49編第20102条[1]で「鉄道」に与えられた意味を有する。

(9)容易に実現可能な 「容易に実現可能な」とは、大きな困難又は出費なしに容易に達成可能又は実施可能であることを意味する。ある行動が容易に実現可能であるか否かを判断する際に考慮される要素としては、以下のものがある。

(A)本章に基づき必要とされる措置の性質及び費用

(B)その行動に関与する施設の全般的な財務資源、その施設で雇用されている人数、その行動に伴う、その施設の運営に対する費用又は資源、その他の面での影響

(C)適用対象事業体の全体としての財務資源、被雇用者数という点から見た適用対象事業体の事業規模、その設備の数、種類及び立地

(D)対象事業体の事業の種別(かかる事業体の職場の構成、構造、人員の機能を含む)、当該施設と適用対象事業体との地理的な距離及び運用上又は財務上の関係

(10)特定公共交通 「特定公共交通」とは、バス、鉄道その他の交通手段(航空機を除く)による輸送であって、公衆に定期的及び継続的に一般的又は特殊サービス(チャーター便を含む)を提供するものを意味する。

(11)車両 「車両」には、鉄道用の客車、機関車、貨車、車掌車、又は本編第12162条に記載のある、又は本節の対象となる鉄道用車両を含まない。

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第12182条 公共施設による差別の禁止

(a)一般規定 いかなる個人も、公共施設のいかなる場所における財、サービス、設備、特権、利益、又は施設を完全かつ平等に享受することに関して、公共施設の場所を所有する、賃借する(又は賃貸する)、又は運用する人から、障害に基づく差別を受けない。

(b)解釈

(1)一般的な禁止

(A)活動

(i)参加の拒否 個人又は個々人の集団に対して、その個人又は集団の障害に基づき、直接に、又は契約や許認可その他の取り決めにより、機関の財、サービス、設備、特権、利益又は施設に参加する又は享受する機会を拒否することは、差別である。

(ii)利益が平等でない参加 個人又は個々人の集団に対して、その個人又は集団の障害に基づき、直接に、又は契約や許認可その他の取り決めにより、財、サービス、設備、特権、利益又は施設に参加する又は享受することについて他の個人に提供されるものと平等ではない機会を提供することは差別である。

(iii)区別された利益 個人又は個々人の集団に対して、その個人又は集団の障害に基づき、直接に、又は契約や許認可その他の取り決めにより、他の個々人に提供されるものとは異なる又は区別された財、サービス、設備、特権、利益又は施設を提供することは差別である。ただし、かかる行動が、他の者に提供されているものと同じ効果をもつような財、サービス、設備、特権、利益又は、施設その他の機会をその個人又は集団に提供するために必要である場合には、この限りではない。

(iv)個人又は個々人の集団 本段(i)から(iii)までにおいて、「個人又は個々人の集団」とは、契約や許認可その他の取り決めを結んでいる対象公共機関のクライアント又は顧客を意味する。

(B)統合された状況 財、サービス、設備、特権、利益又は施設は、障害のある個人に対して、その個人のニーズに適合した最も統合された状況で提供されるものとする。

(C)参加の機会 本条に沿って、区別された又は異なるプログラム又は活動が存在している場合でも、障害のある個人は区別されていない又は異なるものでないプログラム又は活動に参加する機会を拒否されてはならない。

(D)運用手法 個人又は事業体は、直接に、又は契約その他の取り決めにより、以下に該当するような運用規格、基準又は手法を用いてはならない。

(i)障害に基づく差別の効果をもつもの

(ii)共通の運用管理のもとにある他者による差別を恒常化するもの

(E)関係 ある個人又は事業体が関係又は交際していることが知られている個人についての既知の障害に基づき、その個人又は事業体に対し、平等な財、サービス、設備、特権、利益、施設又はその他の機会を排除又は拒否することは差別である。

(2)具体的な禁止

(A)差別本条(a)において、差別には以下の各項を含む。

(i)財、サービス、設備、特権、利益又は施設の完全かつ平等な享受から障害のある個人又は障害のある個々人の集団を排除する又は排除する傾向をもつ資格指標を課し、又は適用すること。ただしかかる指標が、提供されている財、サービス、設備、特権、利益又は施設の提供に必要であることが示されている場合はこの限りではない。

(ii)障害のある個々人に対して財、サービス、設備、特権、利益又は施設を提供するために、方針、慣行又は手続に合理的な修正が必要である場合に、その修正を行わないこと。ただしその事業体が、その修正により財、サービス、設備、特権、利益又は施設の性質が根本的に変ってしまうことを証明できる場合はこの限りではない。

(iii)補助支援又はサービスが欠けているために、障害のある個人が排除されたり、サービスを拒否されたり、隔離されたり、又はその他の形で他の個々人と別様の扱いを受けることがないよう、必要な措置を取らないこと。ただしその事業体が、提供している財、サービス、設備、特権、利益又は施設の性質がその措置により根本的に変ってしまう、又は過度な負担を生じることを証明できる場合にはこの限りではない。

(iv)既存設備における、その性質が構造的である建築上の障壁及び通信上の障壁、また個々人を輸送するための設備で用いられる既存の車両及び鉄道用客車における交通上の障壁(油圧式その他の乗降用リフトの設置による車両、鉄道用客車の改良によってのみ排除できる障壁を除く)を、その障壁の排除が容易に実現可能であるにもかかわらず撤去しないこと。

(v)ある事業体が、(iv)に基づく障壁の撤去が容易に実現可能ではないことを証明できる場合に、その財、サービス、設備、特権、利益又は施設を別の方法で利用可能とすることが容易に実現可能であるにもかかわらず、そのようにしないこと。

(B)固定経路システム

(i)アクセシビリティ 固定経路システムを運用する民間機関で、本編第12184条の対象とならない機関が、本段の施行日から30日後以降に提起された購入案により、そのシステムで使用するために(運転席を含め)座席数が16席を超える車両を購入又はリースし、その車両が車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものではない場合は、その購入又はリースは差別とみなされる。

(ii)同等のサービス 固定経路システムを運用する民間機関で、本編第12184条の対象とならない機関が、本段の施行日以降に、(運転席を含め)座席数が16席以下の車両を購入又はリースし、その車両が障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものでない場合、その機関が、システム全体として見た場合に、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人に対して、障害のない個々人に提供されているものと同等の水準のサービスを確保できるようにシステムを運用していない場合には、差別とみなされる。

(C)請求応答システム 本条(a)において、差別には以下の各項を含む。

(i)請求応答システムを運用する民間機関で、本編第12184条の対象とならないものが、システム全体として見た場合に、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人に対して、障害のない個々人に提供されているものと同等の水準のサービスを確保できるようにシステムを運用しないこと。

(ii)かかる機関が、本段の施行日から30日後以降に提起された購入案により、そのシステムで使用するために、(車いすを利用する個々人を含む)障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものでない(運転席を含め)座席数が16席を超える車両を購入又はリースすること。ただしかかる機関が、システム全体として見た場合に障害のある個々人に対し、障害のない個々人に提供しているものと同等の水準のサービスを提供していることを証明できる場合はこの限りではない。

(D)高速道路運行バス

(i)適用の制限 (B)及び(C)は高速道路運行バスには適用されない。

(ii)アクセシビリティ要件 本条(a)において、差別には以下の各項を含む。

 (I)個々人の輸送を提供しているが、人々の輸送を主たる業務としない民間機関が、本編第12186条(a)(2)に基づき公布される規則を遵守しない高速道路運行バスを購入又はリースすること

 (II)その他、その機関が、その規則を遵守しないこと

(3)具体的な解釈 本節のいかなる定めも、ある個人が他者の健康又は安全に対する直接的な脅威となる場合に、ある機関が、自らの提供する財、サービス、設備、特権、利益及び施設にその個人が参加又は享受することを認めることを求めるものではない。「直接的な脅威」とは、方針、慣行若しくは手続の修正又は補助支援若しくはサービスの提供によって解消できないような、他者の健康又は安全に対する重大なリスクを意味する。

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第12183条 公共施設及び商業設備の新築及び改築

(a)用語の適用 本条(b)に定められている場合を除き、公共施設及び商業設備に適用される場合、本編第12182条(a)における差別には、以下の各項を含む。

(1)最初の占有が1990年7月26日から30ヶ月後以降になる設備を、障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したように設計及び建設しないこと。ただし、本節に基づいて公布される規則を参照することで組み込まれた基準に沿って同項の要件を満たすことが、構造上非現実的であることを事業体が証明できる場合はこの限りではない。

(2)設備又はその一部を、その設備又はその一部の使いやすさに影響する又は影響する可能性がある方法で、ある組織により又はある組織のために又はある組織の利用のために改築するにあたって、その改築部分が、実現可能な最大限の範囲で、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したように改築を行わないこと。その機関が、設備の主要な機能を含むエリアの使いやすさ又はそのエリアへの立ち入りに影響する又は影響する可能性のある改築を行う場合、その機関は、実現可能な最大限の範囲で、改築されたエリアへの動線及び改築されたエリアで用いられるトイレ、電話及び冷水器が、障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものになるように改築を行う。ただし、動線又は改築されたエリアで用いられるトイレ、電話及び冷水器の変更が、費用及び範囲の点で、改築全体に比べて不均衡でないものとする(司法長官が制定する指標に基づいて判断する)。

(b)エレベーター 本条(a)は、3階建て未満又は1階あたりの面積が3000平方フィート未満の設備についてエレベーターの設置を求めるものとは解釈されない。ただし、その建物がショッピングセンター、ショッピングモール若しくは保健ケア提供者の専門的オフィスである場合、又は特定のカテゴリーの設備について、その設備の利用に基づきエレベーターの設置が必要であると司法長官が判断する場合については、この限りではない。

第12184条 民間機関が提供する特定公共交通サービスにおける差別の禁止

(a)一般規定 いかなる個人も、人々の輸送を主たる業務とし、その事業が商業に影響する民間機関が提供する特定公共交通サービスを完全かつ平等に享受することについて、障害に基づく差別を受けることはない。

(b)解釈 本条(a)において、差別には以下の各項を含む。

(1)(a)にいう機関が、障害のある個人又は障害のある個々人の集団を、その機関が提供する特定公共交通サービスを完全に享受することから排除する又は排除する傾向をもつ資格指標を課す又は適用すること。ただし、その指標がサービスの提供に必要であることを示すことが可能である場合はこの限りではない。

(2)かかる機関が以下を行わないこと。

(A)本編第12182条(b)(2)(A)(ii)の要件と整合する合理的修正

(B)本編第12182条(b)(2)(A)(iii)の要件と整合する補助支援及びサービス

(C)本編第12182条(b)(2)(A)の要件及び本編第12183条(a)(2)の要件と整合する障壁の除去

(3)かかる機関が、本条の施行日から30日後以降に提起された購入案により、特定公共交通サービスの提供に用いるために、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人にとって容易にアクセス可能でなく、利用に適していない新規の車両(運転席を含め座席数8席未満の自動車、バン又は高速道路運行バスを除く)を購入又はリースすること。ただし、その新規の車両が請求応答システムにおいてのみ用いられ、その機関が、システム全体として見た場合に、一般公衆に提供されているサービスと同等の水準のサービスを障害のある個々人に提供していることを証明できる場合には、その障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で使用に適した車両である必要はない。

(4)(A)かかる機関が、本編第12186条(a)(2)に基づき公布される規則を遵守しない高速道路運行バスを購入又はリースすること。

 (B)その他、かかる機関がその規則を遵守しないこと。

(5)かかる機関が、本条の施行日から30日後以降に提起された購入案により、特定公共交通サービスの提供に用いるために、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人にとって容易にアクセス可能でなく、利用に適していない新規のバン(運転席を含め座席数が8席未満であるもの)を購入又はリースすること。ただしその機関が、購入又はリースするバンが用いられるシステムが、全体として見た場合に、一般公衆に提供されているサービスと同等の水準のサービスを障害のある個々人に提供していることを証明できる場合には、障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適した車両である必要はない。

(6)かかる機関が、本段の施行日から30日後以降に提起された購入案により、特定公共交通サービスの提供に用いるために、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人とって容易にアクセス可能でなく、利用に適していない新規の鉄道用客車を購入又はリースすること。

(7)かかる機関が、特定公共交通サービスの提供に用いられる鉄道用客車を、耐用年数を10年以上延長するよう再製すること、又はかかる機関がその鉄道用車両を購入又はリースすること。ただし、その鉄道用車両が、実現可能な最大限の範囲で、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものとされていた場合は、この限りではない。

(c)歴史的又は時代的特徴を有する車両

(1)例外 本条(a)(2)(c)又は(a)(7)を遵守することが、歴史的若しくは時代的特徴を有する鉄道用客車、又はその車両のみが用いられている駅の歴史的又は時代的な特徴を著しく変更することになる、又は、1970年連邦鉄道安全法に基づき運輸長官が公布する規定、規則、基準若しくは命令に対する違反となる場合には、その限りにおいて、かかる遵守は求められない。

(2)定義 本項で用いる「歴史的又は時代的特徴を有する鉄道用客車」とは、以下に該当する鉄道用客車を意味する。

(A)個々人の輸送に用いられている時点で、車齢が30年を超すもの

(B)その製造業者が、すでに鉄道用客車の製造事業に携わっていないもの

(C)以下に該当するもの

(i)過去の重要な各出来事又は重要な人々との間接的な連想を伴うもの、又は

(ii)過去に用いられていた型式の鉄道用客車の著しい特徴を体現している、若しくは体現するよう復元されているか、又は経過した時間を表現しているもの

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第12185条 研究

(a)目的 技術評価局は、以下を判断するための研究を行う。

(1)高速道路運行バス及び高速道路運行バスサービスに対する障害のある個々人のアクセスニーズ

(2)あらゆる型式の乗降オプションを通じて、障害のある個々人(特に車いすを利用する個々人)に対して高速道路運行バス及び高速道路運行バスサービスへのアクセスを提供する最も費用対効果の高い方法

(b)内容 研究には、最低でも以下の各々に関する分析を含むものとする。

(1)アクセス可能な高速道路運行バス及び高速道路運行バスサービスに関する障害のある個々人による需要予測

(2)かかるバス及び本編第12184条(a)(4)及び第12186条(a)(2)の求めるサービスを含むサービスが、障害のある個々人にとってどの程度容易にアクセス可能で利用に適しているか

(3)かかるバス及びサービスのアクセシビリティを障害のある個々人に提供するさまざまな方法の有効性

(4)機器及び装置面での最近の技術面及び費用削減面における動向も踏まえた、アクセス可能な高速道路運行バス及び同サービスを障害のある個々人に提供するための費用

(5)座席数の減少につながらないアクセス可能なトイレの設置を含めた、アクセシビリティ向上のために考えられる高速道路運行バスの設計変更

(6)特に村落部向けの同サービスに対するかかる要件の影響を考慮した、アクセシビリティ要件が高速道路運行バスサービスの継続に与える影響

(c)諮問委員会 本条(a)の求める研究の実施にあたって、技術評価局は以下の構成による諮問委員会を設立する。

(1)高速道路運行バスの民間事業者及び製造業者から選ばれたメンバー

(2)高速道路運行バスの潜在的な乗客である障害のある個々人(特に車いすを利用する個々人)から選ばれたメンバー

(3)乗降支援機器、装置の製造業者を含む、研究に含まれる主題に関する技術的な専門能力により選ばれたメンバー

 (2)の各々から選ばれるメンバーの数は同数とし、(1)及び(2)により選ばれるメンバーの合計は、(3)により選ばれるメンバーの数を上回るものとする。

(d)期限 本条(a)の求める研究は、立法活動に向けた政策オプションを含めた技術評価局による勧告と合わせて、1990年7月26日から36ヶ月以内に大統領及び連邦議会に提出される。本編第12186条(a)(2)(B)に従い公布される規則を本編第12186条(a)(2)(B)の定めにより適用される期限までに遵守することにより、都市間高速道路運行バスサービスの大幅な減少をもたらすだろうと大統領が判断する場合には、大統領はその期限の各々を1年間延長する。

(e)見直し 本条(a)の求める研究を進めるなかで、技術評価局は、かかる研究の草稿を、第29編第792条に基づいて設立される建築及び交通の障壁に関する遵守委員会に提供する。委員会は、この草稿についてコメントする機会を与えられ、委員会が草稿を受領してから120日以内に文書にて行ったコメントはすべて、本条(d)に基づいて提出される最終研究の一部として取り込まれる。

第12186条 規則

(a)交通条項

(1)一般規定 1990年7月26日から1年以内に、運輸長官は、本編第12182条(a)(2)(A)及び(C)を施行するための、また本編第12184条(このうち(a)(4)を除く)を施行するための規則を、アクセス可能な形式により公布する。

(2)高速道路運行バスへのアクセス提供に関する特別規定

(A)暫定的要件

(i)公布 1990年7月26日から1年以内に、運輸長官は、本編第12184条(b)(4)及び第12182条(b)(2)(D)(ii)を施行するため、高速道路運行バスを用いて個々人の輸送を提供している各民間機関に対して、かかるバスへのアクセシビリティを提供することを求める規則を、アクセス可能な形式により公布する。ただしこの規則は、規則の有効期間内に車いすを利用するその個々人に対してアクセスを提供することを目的とした高速道路運行バスの構造的変更を求めるものではなく、また車いすを利用する個々人に対してアクセスを提供するための乗降支援機器の購入を求めるものでもない。

(ii)有効期間 本段に従い公布される規則は、(a)に基づき公布される規則の発効日まで有効とする。

(B)最終的要件

(i)研究及び暫定的要件の見直し 長官は、本編第12185条に基づき提出された研究及び(A)に従い公布された規則の見直しを行う。

(ii)公布 本編第12185条に基づく研究の提出日から1年以内に、長官は、本編第12184条(b)(4)及び第12182(b)(2)(D)(ii)を施行するため、本編第12185条に基づく研究及び同研究の結果である勧告を考慮し、高速道路運行バスを用いて個々人の輸送を提供している各民間機関に対して、車いすを利用する個々人を含む障害のある個々人にかかるバスへのアクセシビリティを提供することを求める規則を、アクセス可能な形式により公布する。

(iii)有効期間 本編第12185条(d)に従い、本段に従い公布される規則は、以下のように発効する。

 (I)小規模な輸送事業者(長官の定義に従う)に関しては、(ii)に基づく最終規則の公布日から3年後

 (II)他の輸送事業者に関しては、かかる最終規則の公布日から2年後

(C)アクセス可能なトイレの設置の要求に対する制限 本号に従い公布される規則は、高速道路運行バスにアクセス可能なトイレを設置することにより座席数が減少する場合には、かかる設置を求めないものとする。

(3)基準 本項に従い公布される規則には、本編第12182条(b)(2)及び第12184条の対象となる施設及び車両に適用される基準を含む。

(b)その他の定め 1990年7月26日から1年以内に、司法長官は、本条(a)で言及されていない本節中の規定を施行するため、本編第12182条の対象となる設備及び車両に適用される基準を含む規則を、アクセス可能な形式により公布する。

(c)ATBCBガイドラインとの整合性 本条(a)及び(b)に基づき公布される規則に含まれる基準は、本編第12204条に沿って建築及び交通の障壁に関する遵守委員会が公布する最低ガイドライン及び要件と整合していなければならない。

(d)暫定的なアクセシビリティ基準

(1)設備 最終規則が本条に従いまだ公布されていない場合には、本条に基づく最終規則の公布前に有効かつ適切な州又は地方自治体の建築許可を取得している新規の建設又は改築であって、その許可により認められた建設又は改築がその許可の受領から1年以内に開始され許可の条件に基づいて完了したものについては、建築許可が与えられた時点で有効であった統一連邦アクセシビリティ基準を遵守していれば、本編第12183条に基づき求められる、設備を障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものとするという要件は十分に満たされているものとする。ただし、建築及び交通の障壁に関する遵守委員会が本編第12204条(a)に基づいて求められる補足的な最低ガイドラインを公布してから1年以内に最終規則が公布されていない場合には、その補足的な最低ガイドラインを遵守することが、最終規則の公布に先だって、設備を障害のある人々に容易にアクセス可能で利用に適したものとする要件を満たす上で必要とされる。

(2)車両又は鉄道用客車 最終規則が本条に従いまだ公布されていない場合、車両又は鉄道用客車の設計が、車両又は客車のアクセシビリティに関する法律及び規則(本編第12204条(a)に基づき公布される、アクセス可能な設計に関する最低ガイドライン及び要件及び補足的な最低ガイドラインを含む)を遵守していれば、かかる法律及び規則が本サブパートと矛盾しておらず、またその設計が実質的に完了した時点で有効であった限りにおいて、その民間機関は、車両又は鉄道用客車を障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものとすることという要件を遵守したものとみなされる。

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第12187条 民間クラブ及び宗教組織に関する免除

本節は、1964年公民権法(42U.S.C.2000-a(e))第II編の対象となることを免除されている民間のクラブ若しくは施設、又は宗教組織若しくは宗教組織に管理されている事業体(礼拝の場所を含む)に対しては適用されない。

第12188条 執行

(a)全般

(1)救済及び手続の利用 本編第2000a-3条(a)に定める救済及び手続が、本節に違反する障害に基づく差別の対象となった人、又は本編第12183条に違反する差別の対象になろうとしていると考える合理的な根拠のある人に対して本節が与える救済及び手続である。本条は、本節が対象とする者又は組織が本節の規定を遵守する意志をもっていないことに実際に気づいた場合に、障害のある人に無益な意思表示をすることを求めるものではない。

(2)差し止めによる救済 本編第12182条(b)(2)(A)(iv)及び第12183条(a)に対する違反に関しては、差し止めによる救済に、本節の求める範囲において当該設備を障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものとする改築命令を含めるものとする。また状況に応じて、差し止めによる救済に、本節の求める範囲における補助支援若しくはサービスの提供、方針の修正又は代替的方法の提供を求めることを含めるものとする。

(b)司法長官による執行

(1)権利の否定

(A)調査義務

(i)全般 司法長官は本節に対する違反の容疑を調査し、本節の対象機関の遵守状況を定期的に検証する。

(ii)司法長官による認証 州政府又は地方自治体による申請があった場合、司法長官は、建築及び交通の障壁に関する遵守委員会と協議し、事前の通知を行い、障害のある個々人を含む人々に、かかる認証に対する証言をする機会が与えられる公聴会を行ったうえで、アクセシビリティ要件を定める手法又は地方建築基準又は類似の条例が、本節の対象設備のアクセシビリティ及び使いやすさに関する本章の最低要件に適合している又は上回っている旨の認証を与えることができる。本条に基づく執行手続において、このような司法長官による認証は、その州法又は地方自治体条例が本章の最低要件に適合している又は上回っていることの反証となる。

(B)潜在的な違反 司法長官が、合理的な根拠に基づき、以下のように考える場合、

(i)ある人又は人々の集団が、あるパターン又は慣行において本節に基づく差別を行っている、又は

(ii)ある人又は人々の集団が、本節に違反する差別を受けており、かかる差別が一般公衆にとって重要な問題を提起している、
司法長官は適切な合衆国地方裁判所において民事訴訟を開始することができる。

(2)裁判所の権限 (1)(B) に定める民事訴訟において、裁判所は、

(A)裁判所が適切であると考える衡平法上の救済を与えることができる。これには、本節の求める範囲内で、以下を含む。

(i)一時的、暫定的又は恒久的な救済

(ii)補助支援若しくはサービスの提供、又は方針、慣行若しくは手続の修正、又は代替的な方法

(iii)設備を障害のある個々人にとって容易にアクセス可能で利用に適したものとすること

(B)司法長官の要請がある場合には差別を受けた人々に対する金銭的な損害賠償も含め、裁判所が適切であると考えるその他の救済を与えることができる。

(C)公益を守るため、その事業体に対し、以下の額の民事制裁金を課すことができる。

(i)初回の違反に関しては最高5万ドル

(ii)違反の繰り返しに関しては最高10万ドル

(3)単一の違反 (2)(C)において、初回の違反であるか違反の繰り返しであるかを判断する際に、単一の訴訟の判決又は和解により、適用対象事業体が一つ以上の差別行為を行っていたと判断される場合は、単一の違反とみなされる。

(4)懲罰的損害賠償 本条(b)(2)(B)において、「金銭的な損害賠償」及び「その他の救済」には、懲罰的損害賠償を含まない。

(5)司法上の配慮 (1)(B)に基づく民事訴訟において、裁判所は、民事制裁金を課す場合にその額の考慮にあたって、その事業体が本章を遵守するために行った誠実な努力又は試みを考慮する。裁判所はその誠意を評価する際に、裁判所が適当とみなすその他の要素のうち、特定の障害のある個々人の固有のニーズに対応するために適切な種類の補助支援が必要であることをその事業体が合理的に予測できたかどうかを考慮する。

第12189条 試験及び課程

中等教育、高等教育、専門職又は業務を目的にする申請、免許、認可又は認証に関する試験又は課程を提供する人は、その試験又は課程を、障害のある個々人にとってアクセス可能な場所及び方法により提供する、又はその障害のある個々人にとってアクセス可能な代替的な措置を提供する。

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第IV節 雑則

第12201条 解釈

(a)全般 本章に別様の定めがない限り、本章のいかなる定めも、1973年リハビリテーション法(29U.S.C.790以降)第V編又は同編に従い連邦機関が公布する規則に基づいて適用される基準を下回る基準を適用するものとは解釈されない。

(b)他の法律との関係 本章のいかなる定めも、障害のある個々人の権利について本章が認めるものよりも手厚い又は同等の保護を提供する連邦法又は州法、又は州若しくは法域の政治上の下位区域の法律による救済、権利及び手続を無効にする又は制限するものとは解釈されない。本章のいかなる定めも、本章第I節の対象となる雇用の場所、本章第II節又は第III節の対象となる交通の場所、本章第III節の対象となる公共施設の場所における喫煙の禁止又は制限を排除するものとは解釈されない。

(c)保険 本章第I節から第III節及び本法第IV編は、以下の各項を禁止又は制限するものとは解釈されない。

(1)保険会社、病院又は医学的サービス企業、健康維持団体、給付制度を運営する代理店又は事業体、その他の類似の組織が、州法に基づいた又は州法と矛盾しないリスクの引き受け、リスクの分類又はリスクの管理を行うこと。

(2)本章の対象となる人又は組織が、州法に基づく又は州法と矛盾しないリスクの引き受け、リスクの分類又はリスクの管理に基づいた善意の給付制度の条件を確立、提案、遵守又は管理すること。

(3)本章の対象となる人又は組織が、保険を規制する州法の対象とならない善意の給付制度の条件を確立、提案、遵守又は管理すること。
上記(1)(2)(3)は、本章第I節及び第III節の趣旨を回避するための口実として用いられてはならない。

(d)施設及びサービス 本章のいかなる定めも、障害のある個人が受容しないことを選択した施設、サービス、支援、機会又は利益を受容することを求めるものとして解釈されない。

(e)州労働者補償法に基づく給付 本章のいかなる定めも、州労働者補償法又は州及び連邦の障害給付プログラムに基づく受給資格を判断するための基準を変更するものではない。

(f)根本的な変更 本章のいかなる定めも、方針、慣行又は手続の合理的な修正を求める第12182条(b)(2)(A)(ii)の規定を変更するものではない。ただし、ある事業体が、高等教育における学術的要件も含め、方針、慣行又は手続の修正により、関係する財、サービス、設備、特権、利益又は施設の性質が根本的に変ってしまうことを証明できる場合は、この限りではない。

(g)障害のない個人による主張 本章のいかなる定めも、障害のない個人が、その個人が、障害がないことを理由として差別を受けたと主張するための根拠を提供するものではない。

(h)合理的配慮及び修正 第I節に基づく適用対象事業体、第II節に基づく公共機関、及び第III節に基づく公共施設を所有、リース又は運営する人は、第12102条(1)における障害の定義に適合する個人に対し、同条(C)のみに基づいて合理的配慮又は方針、慣行若しくは手続の合理的な修正を提供する必要はない。

第12202条 州の免責

正当な司法管轄権を有する連邦裁判所又は州裁判所における本章に対する違反についての訴訟に関しては、州は合衆国憲法修正第11条に基づく免責を受けられない。本章の要件に対する違反に関する州に対する訴訟においては、州以外の公共機関又は民間機関に対する訴訟においてかかる違反について与えられる救済と同じ程度の救済(制定法及び衡平法双方の救済を含む)が与えられる。

第12203条 報復及び強制の禁止

(a)報復 何人も、ある個人が本章により違法とされる行為又は慣行に対して反対したことを理由として、又は本章に基づく調査、手続又は公聴会において何らかの形で告発、証言、支援又は参加を行ったことを理由として、その個人を差別してはならない。

(b)干渉、強制又は脅迫 何人も、本章により与えられた又は保護されている権利を行使又は享受する個人を、又はかかる権利を行使又は享受したこと、又は他の個人がかかる権利を行使又は享受することを支援又は奨励したことを理由として、その者に対する強制、威圧、脅迫又は干渉を行ってはならない。

(c)救済及び手続 本章の第I節、第II節、第III節に関して、本条(a)及び(b)の違反による被害者に対しては、それぞれ本編第12117条、第12133条、第12188条に基づき利用可能となる救済及び手続が提供される。

第12204条 建築及び交通の障壁に関する遵守委員会による規則

(a)ガイドラインの公布 1990年7月26日から9ヶ月以内に、建築及び交通の障壁に関する遵守委員会は、本章第II節及び第III節において、既存のアクセス可能な設計に関する最低ガイドライン及び要件の補足となる最低ガイドラインを公布する。

(b)ガイドラインの内容 本条(a)に基づいて公布される補足的なガイドラインでは、建物、設備、鉄道用客車及び車両が、建築、設計、交通及び通信の面で障害のある個々人にとってアクセス可能なものとなるよう、本章との整合性を保ちつつ、追加的な要件を定める。

(c)適格性を有する歴史的資産 

(1)全般 本条(a)に基づき公布される補足的ガイドラインには、「統一連邦アクセシビリティ基準」4.1.7(1)(a)に定義する適格性を有する歴史的建造物、設備の歴史的な意義を脅かす又は破壊する改築に関する手続及び要件を含む。

(2)国家歴史登録財の登録要件を満たす場所 国家歴史保存法(16U.S.C.470以降)に基づく国家歴史登録財に登録される要件を満たす建造物又は設備の改築に関しては、(1)のガイドラインは、最低でも、統一連邦アクセシビリティ基準4.1.7(1)及び(2)に定める手続及び要件を維持する。

(3)その他の場所 州又は地方政府の法律により歴史財として指定されている建造物又は設備の改築に関しては、(1)のガイドラインは、統一連邦アクセシビリティ基準4.1.7(1)(b)及び(c)に定めるものと同等の手続を定めるものとし、最低でも、同基準の4.1.7(2)に定める要件の遵守を求める。

第12205条 弁護士費用

本章に従い開始される訴訟又は行政手続においては、裁判所又は機関は、その裁量に基づき、合衆国を除く勝訴側当事者に対して、訴訟費用及びコストを含めた合理的な弁護士費用を支払うことを認め、合衆国はこれについて民間の個人と同様に責任を負う。

第12205a条 規制当局に関する解釈規定

本章に基づき雇用機会均等委員会、司法長官及び運輸長官に対して認められる規則の公布権限には、第12102条における障害の定義(解釈の原則を含む)及び第12103条における定義を施行するための、「2008年ADAの改正に関する法律」との整合性のある規則を公布する権限を含む。

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第12206条 技術的支援

(a)支援の計画

(1)全般 1990年7月26日から180日以内に、司法長官は、雇用機会均等委員会委員長、運輸長官、建築及び交通の障壁に関する遵守委員会委員長、連邦通信委員会委員長と協議の上、本章の適用対象事業体及び他の連邦機関が、本章に基づく各自の責任を理解することを支援するための計画を策定する。

(2)計画の公表 司法長官は、第5編第5章第II節(一般に「行政手続法」と呼ばれる)に沿って、(1)にいう計画を公表し、パブリックコメントを求める。

(b)連邦機関及び公的支援 司法長官は、本条(a)を施行するにあたって、全米障害者評議会、障害者雇用に関する大統領委員会、中小企業庁、商務省及び他の連邦機関の支援を得ることができる。

(c)施行

(1)支援の提供 (2)に基づき本章の施行に関して責任を有する各連邦機関は、本章の各々の節に基づく権利又は義務を有する個々人及び施設のうち自らの管轄するものに対し、技術的な支援を行うことができる。

(2)各節に関する施行

(A)第I節 本章第I節に関しては、雇用機会均等委員会及び司法長官が、本条(a)に基づいて策定された支援計画を実施する。

(B)第II節

(i)パートA 本章第II節パートAに関しては、司法長官が支援計画を実施する。

(ii)パートB 本章第II節パートBに関しては、運輸長官が支援計画を実施する。

(C)第III節 本章第III節に関しては、運輸長官及び建築及び交通の障壁に関する遵守委員会委員長と協力しつつ、司法長官が支援計画を実施する。ただし、運輸長官により支援計画が実施される本編第12184条に関しては、この限りではない。

(D)第IV編 第IV編に関しては、司法長官と協力しつつ、連邦通信委員会委員長が支援計画を実施する。

(3)技術支援マニュアル (2)に基づき本章の施行について責任を有する各連邦機関は、その施行責任の一環として、本章第I、II、III節及び第IV編に基づいて有効な最終規則が発表されてから6ヶ月以内に、本章に基づく権利又は義務を有する個々人及び事業体に対して、適切な技術支援マニュアルを提供し利用できるようにする。

(d)補助金及び契約

(1)全般 本条(2)に基づき本章の施行について責任を有する各連邦機関は、利用可能な予算に従い、本条の目的を実現するための補助金を与え、又は契約を結ぶことができる。補助金及び契約は、個人、非営利であってその収入のいかなる部分も民間の株主又は個人の利益に帰することのない機関(教育機関を含む)と、本章に基づく権利又は義務を有する個人を代表する団体に与えられることができる。契約は営利を目的とした事業体と結ぶこともできるが、かかる事業体は本号に定める補助金の受領者にはなれない。

(2)情報の普及この補助金及び契約は、特に、本章により定められた権利及び義務に関する情報を広め、本章を効果的に遵守するための手法に関する情報及び技術的支援を提供することを目的とすることができる。

(e)支援を受けないこと 本条で認められた技術支援マニュアルの策定又は配布が行われていない場合も含め、本条に基づく技術的支援を受けていないとしても、雇用主、公共施設又はその他本章の適用対象事業体が本章の遵守を免除されることはない。

第12207条 連邦自然保護区域

(a)研究 全米障害者評議会は、連邦自然保護区域の指定及び自然保護区域の土地管理の実践が、自然保護区域法(16U.S.C.1131以降)の定める全米自然保護制度の障害のある個々人による利用及び享受にどのような影響を与えているかを調査し報告する。

(b)報告書の提出1990年7月26日から1年以内に、全米障害者評議会は、本条(a)の求める報告書を連邦議会に提出する。

(c)特定自然保護区域

(1)全般 連邦議会は、自然保護区域法(16U.S.C.1131以降)のいかなる定めも、障害ゆえに車いすの利用を必要とする個人が自然保護区域内で車いすを利用することを禁じるものとは解釈されないこと、また同法との整合性の点から、いかなる機関も、その車いすの利用の便宜のために何らかの形での特別な取り扱い又は便宜を提供すること、又は自然保護区域内に何らかの設備を建築する又は同区域内での土地利用条件を修正することを求められないことを確認する。

(2)「車いす」の定義 (1)において、「車いす」とは、移動機能に障害をもつ人が移動のためのみに利用する機器であって、屋内の歩行者用区域での利用に適したものを意味する。

第12208条 服装倒錯

本章において、「障害のある」又は「障害」という用語は、ある個人が服装倒錯であるという理由のみによりその個人に適用されることはない。

第12209条 連邦議会の部局

会計検査院、政府印刷局及び連邦議会図書館は、以下に従い本章の対象となる。

(1)全般 本章に基づく権利及び保護は、(2)に従い、連邦議会の各部局の行為に関して適用される。

(2)部局による救済及び手続の制定 連邦議会各部局の長は、(1)に従い提供される権利及び保護に関して用いられる救済及び手続を定める。

(3)連邦議会への報告 連邦議会各部局の長は、(2)における救済及び手続を定めた後、その救済及び手続を説明する報告書を連邦議会に提出する。

(4)部局の定義 本条において、「連邦議会の部局」とは、会計検査院、政府印刷局及び連邦議会図書館を意味する。

(5)被雇用者の権利の執行 本条により適用されることとなった本編第12112条から第12114条に基づく権利及び保護について、その侵害を主張する連邦議会部局の被雇用者は、本編2000e-16条に定める救済及び手続を利用できる。ただし、雇用機会均等委員会の権限は、連邦議会部局の長により行使される。

(6)公共サービス及び公共施設に対する権利の執行 連邦議会部局の訪問者、来賓又は顧客であって、本条により適用されることとなった本編第12131条から第12150条、又は本編第12182条若しくは第12183条に基づく権利及び保護の侵害を主張する適格性を有する障害のある人は、本編第2000e-16条に定める救済及び手続を利用できる。ただし、雇用機会均等委員会の権限は、連邦議会部局の長により行使される。

(7)解釈 本条のいかなる定めも、1980年会計検査院職員法及び同法に従い制定された規則に定める、障害のある個々人に関する執行手続を変更するものではない。

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第12210条 薬物の不法使用

(a)全般 本章において、適用対象事業体が、ある個人の薬物の不法使用に基づき対応をする場合には、「障害のある個人」には、現在薬物を乱用している者は含まれない。

(b)解釈の規定 本条(a)の定めは、以下に該当する個人を「障害のある個人」から排除するものと解釈されてはならない。

(1)管理下の薬物依存更正プログラムを成功裏に完了し、現在は薬物を不法使用していない、又はそれ以外の方法で更正を成功させ、現在では薬物をそのように使用していない者

(2)管理下の薬物依存更正プログラムに参加しており、現在では薬物を不法使用していない個人

(3)薬物を不法使用していると誤解されているが、実際にはそのように使用していない個人

ただし、適用対象事業体が、 (1)及び(2)にいう個人が現在では薬物を不法使用していないことを確認する意図で、薬物検査を含めた合理的な方針又は手続を採用又は実施することは、本章の違反とはならない。しかしながら、本条のいかなる定めも、薬物の不法使用に関する検査の実施を奨励、禁止、制限又は認可するものとは解釈されない。

(c)保健その他のサービス 本条(a)及び本節第12211条(b)(3)にかかわらず、ある個人が、現在の薬物の不法使用に基づき、本来であれば受ける資格を有する保健サービス又は薬物依存更正に関わり提供されているサービスを受けることを拒否されてはならない。

(d)薬物の不法使用」の定義

(1)全般 「薬物の不法使用」という用語は、規制物質法(21U.S.C.801以後参照)のもとで違法とされている薬物の使用、所持又は流通を意味する。この用語には、資格を有する保健ケア専門家の監督のもとで摂取される薬物の利用、又は規制物質法若しくはその他の連邦法の定めに基づき認められたその他の利用は含まれない。

(2)薬物 「薬物」という用語は、規制物質法(21U.S.C.812)第202条の付表I~Vに定義する、規制対象物質を意味する。

第12211条 定義

(a)同性愛及び両性愛 本編第12102条(2)における「障害」の定義において、同性愛及び両性愛は機能障害ではなく、したがって本章における障害ではない。

(b)ある種の条件 本章において、「障害」には以下を含まない。

(1)服装倒錯、性転換、小児性愛、露出症、窃視症、身体的な機能障害に由来するものではない性同一性障害又はその他の性行動障害

(2)強迫性賭博、盗癖又は放火癖

(3)現在の薬物の不法使用に由来する向精神薬乱用障害

第12212条 紛争解決の代替的方法

適切であり、また法律で認められている範囲において、本章に基づき生じた紛争を処理するためには、和解交渉、調停、援助、介入、事実調査、簡易裁判及び仲裁などの裁判外紛争処理が奨励される。

第12213条 分離取扱条項

本章の何らかの定めが、司法裁判所において違憲であると判断された場合、かかる定めは本章のその他の定めから切り離される。かかる措置は、本章のその他の定めの執行可能性に影響を与えない。

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第47編 電信、電話及び無線電信

第5章 有線又は無線による通信

第II節 電気通信事業者

第1部 電気通信事業者に関する規則

第225条 聴覚機能障害及び言語機能障害のある個々人のための電気通信サービス

(a)定義 本条における用語は、以下の意味を有する。

(1)電気通信事業者又は事業者 「電気通信事業者」又は「事業者」は、本編第153条に定義する有線又は無線による州間通信に従事する電気通信事業者及び、本編第152条(a)及び第221条(a)にかかわらず、有線又は無線による州内通信に従事する電気通信事業者を意味する。

(2)TDD 「TDD」とは、「聾者のための電気通信機器」、すなわち有線又は無線による通信システムを経由する符号化された信号の伝達において、画像による通信を用いる機械を意味する。

(3)電話リレーサービス 「電話リレーサービス」とは、聴覚機能障害又は言語機能障害をもつ個人に対して、聴覚機能障害又は言語機能障害をもたない個人が有線又は無線による音声通信サービスを用いて通信する能力と機能的に同等である方法により、聴覚を有する個人とのあいだで、有線又は無線による通信を行う能力を提供する電話伝送サービスを意味する。この用語には、TDD又はその他の非音声端末機器を用いる個人と、その機器を用いない個人とのあいだの双方向通信を可能とするサービスを含む。

(b)電話リレーサービスの利用可能性

(1)全般 本編第151条に定める、合衆国内のすべての個々人が高速かつ効率的な全国規模の通信サービスを利用できるようにし、国内の電話システムの利便性を向上させるとの目的を遂行するため、委員会は、可能な限り、また最も効率的な方法により、米国内の聴覚機能障害及び言語機能障害をもつ個々人が州間、州内の電話リレーサービスを利用できるようにする。

(2)一般的権限及び救済の利用 本条及び本条に基づき定められる規則の定めを適用及び執行するため、委員会は、州内通信事業に従事する電気通信事業者に関し、州間通信事業に従事する電気通信事業者に関して本節の定めを適用及び執行する場合と同様の権能、権限及び機能をもつものとする。州内通信事業に従事する電気通信事業者による本条への違反は、州間通信事業に従事する電気通信事業者による本章への違反に適用されるものと同じ救済、罰則及び手続の対象となる。

(c)サービスの提供 電話音声通信サービスを提供する各電気通信事業者は、1990年7月26日から3年以内に、本条に基づき定められる規則を遵守し、自社のサービスエリアの全域において、単独で、指定業者を通じて、競争により選抜された供給業者を通じて、又は他の事業者との連携により、電話リレーサービスを提供する。電気通信事業者は、以下の場合に、かかる規則を遵守しているものとみなされる。

(1)本条(f)に基づく認可プログラムのない州における州内電話リレーサービスについて、及び州間電話リレーサービスについては、その電気通信事業者が(又はその事業者がかかるリレーサービスの提供に用いる他の事業体が)、本条(d)に基づく委員会の規則を遵守している。

(2)本条(f)に基づく認可プログラムのある州における州内電話リレーサービスについては、その電気通信事業者が(又はその事業者がかかるリレーサービスの提供に用いる他の事業体が)、本条(f)に基づき公認されたその州に関するプログラムを遵守している。

(d)規則

(1)全般 委員会は1990年7月26日から1年以内に、以下の定めを含め、本条を施行するための規則を制定する。

(A)電話リレーサービスの機能要件、ガイドライン、運用手続を定めるもの

(B)本条(c)を実施する際に満たすべき最低基準を定めるもの

(C)電話リレーサービスを24時間365日運用することを求めるもの

(D)電話リレーサービスの利用者が、通話時間、時間帯、発信地から着信地までの距離といった要素に関して、機能的に同等の音声通信サービスに支払われる料金よりも高くない料金を支払うことを求めるもの

(E)電話リレーサービスを利用する通話を拒否又はその時間を制限することにより、リレーサービスのオペレーターが電気通信事業者の義務を果たさないことを禁じるもの

(F)リレーサービスのオペレーターが、中継された通話の内容を開示すること及び通話の持続時間を越えて通話の内容を記録することを禁じるもの

(G)リレーサービスのオペレーターが中継された通話の内容を意図的に変更することを禁じるもの

(2)技術 委員会は、本条を施行するために制定される規則が、本編第157条(a)に整合するよう、既存の技術の活用を促す、及び改善された技術の開発を阻害する又は損なうことのないよう配慮する。

(3)管轄に関わるコストの分割

(A)全般 本編第410条の定めと整合するよう、委員会は、本条に従い提供されるサービスのコストの管轄に関わる分割に関する規則を制定する。

(B)コストの回収 かかる規則は一般的に、州間電話リレーサービスにより発生するコストはあらゆる州間サービスのすべての加入者から回収すること、及び州内電話リレーサービスにより発生するコストはその州内の管轄から回収することを定める。本条(f)に基づく認可プログラムのある州では、電気通信事業者が、州内電話リレーサービスの提供により発生したコストを本条の要件に整合する方法で回収することを州委員会が許可する。

(e)執行

(1)全般 本条(f)及び(g)に基づき、委員会は本条を執行する。

(2)異議申立て 委員会は、本条の違反を主張する異議申立てについて、かかる申立ての提出日から180日以内に、最終命令によりこれを解決する。

(f)認可

(1)州の文書 本条に基づく州プログラムの制定を希望する州は、州内電話リレーサービスの実施に関するその州のプログラム及びその州のプログラムにより課せられる要件の執行に関して利用可能となる手続及び救済について説明した文書を委員会に提出する。

(2)認可の要件 委員会は、その文書を検証し、以下のように判断した場合には、その州プログラムを認可する。

(A)そのプログラムによって、直接、指定業者を経由して、競争により選択された業者を経由して又は州内電気通信事業者の規制により、当該州内での電話リレーサービスが、本条(d)に基づき委員会が制定する規則の要件を満たす、又はそれに優る方法により、聴覚機能障害及び言語機能障害のある個々人に提供される。

(B)そのプログラムによって、その要件の執行に関して、適切な手続及び救済が利用可能となっている。

(3)資金調達方法 本条(d)に定められている場合を除き、委員会は、州が電話リレーサービスの財源に関して実施しようとする方法のみを理由として、州プログラムの認可を拒否してはならない。

(4)認可の停止又は取り消し 委員会は、かかる認可がもはや正当化されないと判断した場合、通告及び聴聞の機会を与えたうえで、認可を停止又は取り消すことができる。プログラムが停止又は取り消された州においては、委員会は本条に整合しつつ、電話リレーサービスの継続を確保するために必要と思われる措置をとる。

(g)異議申立て

(1)異議申立ての付託 委員会に提出された本条の違反に関する異議申立てが、ある州における州内電話リレーサービスに関するものであり、本条(f)に基づくプログラムの認可が有効である場合には、委員会はかかる異議申立てを当該州に付託する。

(2)委員会の管轄権 (1)に基づいて異議申立てを州に付託した後、委員会は以下の場合に限り、かかる異議申立てについての管轄権を行使することができる。

(A)その異議に関して、その州により、州プログラムに基づく最終的な措置が以下の期限内に行われない場合

(i)その州に異議申立てが提出されて180日以内

(ii)その州の規則がさらに短い期間を定めている場合には、その期間以内

(B)委員会が、その州プログラムがもはや本条(f)に基づく認可に適格でないと判断した場合

第47編 電信、電話及び無線電信

第5章 有線又は無線による通信

第VI節 雑則

第611条 公共サービスの告知におけるクローズドキャプション(表示又は非表示の切り替え可能な字幕)

テレビで放映される公共サービスに関する告知で、連邦政府の機関若しくは部局が制作している、又はその制作費の全部若しくは一部を拠出している場合は、かかる告知の口頭による内容についてはクローズドキャプションを含めるものとする。テレビ放送局の認可を受けている者は、

(1)かかる告知のうちクローズドキャプションが含まれていないものについて、クローズドキャプションを供給することを求められない。

(2)認可を受けた者が告知に含まれるクローズドキャプションを意図的に送信しなかった場合を除き、クローズドキャプションの送信を伴わない告知を放送することについて責任を負わない。


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