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第24回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2003年1月28日(火)17:30〜18:20

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
細田 博之 科学技術政策担当大臣
片山 虎之助 総務大臣
塩川 正十郎 財務大臣
遠山 敦子 文部科学大臣
平沼 赳夫 経済産業大臣
吉川 弘之 日本学術会議会長
阿部 博之  
井村 裕夫  
大山 昌伸  
黒田 玲子  
松本 和子  
薬師寺泰蔵  
吉野 浩行  
  (臨時)    
   議員 坂口 力  厚生労働大臣(代理 木村 義雄 厚生労働副大臣)
大島 理森 農林水産大臣
石破 茂 防衛庁長官(代理 赤城 徳彦 防衛庁副長官)



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)平成15年度の科学技術関係施策について
(2)総合科学技術会議が実施する競争的研究資金制度の評価について
(3)平成15年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方等について
(4)生命倫理について
(5)最近の科学技術の動向について(ロボット技術の現状と将来について)
(6)その他

3.閉会



(配付資料)

資料1 平成15年度の科学技術関係施策について(PDF)
資料2 総合科学技術会議が実施する競争的研究資金制度の評価について(案)(PDF)
資料3−1 平成15年度の科学技術振興調整費の基本的考え方等について(PDF)
資料3−2 平成15年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方(案)(PDF)
資料4 「ヒト受精胚等の生命の萌芽としての取扱いの在り方」に関する
生命倫理専門調査会の検討状況について(PDF)
資料5−1 ロボット技術の現状と将来について(PDF)
資料5−2 セラピー用メンタルコミットロボット・パロ(PDF)
資料6 第23回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)平成15年度の科学技術関係施策について

 平成15年度の科学技術関係の主な施策及び来年度の予算編成に向けた今後の取り組みの基本的な考え方について、井村議員から資料1(PDF)に基づき説明。
 今後、資料1(PDF)の考え方に沿って、引き続き、細田大臣と有識者議員を中心として検討を進め、総合科学技術会議において議論することとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(木村議員代理)
 競争的研究資金を拡充していくことは非常に重要だと考えているが、一方で、医薬品開発の基礎となるタンパク質の研究など国策としてトップダウンで行う非常に重要なテーマのプロジェクトもある。競争的研究資金ばかりに予算が行くと、こうしたプロジェクトがしわ寄せを食うことになるので、是非この辺のバランスへの配慮をお願いしたい。

(井村議員)
 研究者の自由な発想による研究は非常に重要であるが、同時に現在の科学技術の現状を踏まえれば、どうしてもプロジェクト型の研究も必要。また、いわゆるスモールサイエンスとビッグサイエンスのバランスも考えていく必要があると思うので、いろいろご意見を伺いたいと思っている。

(塩川議員)
 平成15年度予算を成立後すぐ配分するが、10月か11月頃にその予算がどのように活用されているのかという実態調査をして頂いて、総合科学技術会議に報告して頂きたい。
 親方日の丸で、予算を配分した後のフォローをしないので成果が出てくるのが遅い。有識者の先生が自ら実態調査を行えば、みんなぴりぴりしてきちっとするだろうと思う。
 それを踏まえて、平成16年度のSABC付けをお願いしたい。

(平沼議員)
 皆様方のご尽力で、非常に良い姿が出たと思っている。
 ただ、1つの指標としてIMD調査の結果では、日本は特許出願数は世界一、研究開発投資もアメリカに継いで世界第2位であるが、総合力では30位という評価もある。
 そういう意味では、皆様方のご尽力で配分された立派な予算をいかに活用していくかということが非常に大きなテーマである。その為にはイノベーションをしっかりとして、そして実効性ある科学技術大国を目指して進めていくという視点が必要。経済産業省としても勿論頑張るが、そういった視点で努力をしていくことが必要だと思っている。

(大島議員)
 循環型社会の形成や地球温暖化の防止等に向けて、バイオマスの利活用促進に関する国家戦略である「バイオマス・ニッポン総合戦略」を関係府省が協力して策定し、昨年12月27日に閣議決定されたことを報告する。
 農林水産省としては、今後、「バイオマス・ニッポン総合戦略」や「バイオテクノロジー戦略大綱」等に基づいて、バイオマスの利用技術の開発・実用化、イネゲノムの解読成果等に基づく新世代のバイオテクノロジー研究開発に、食の安全・安心の確保に資する研究開発とともに積極的に取り組んでいく所存。
 食の安全と安心は、非常に難しい世界であり、例えば消費者は遺伝子組換え作物と聞くだけで大変な強迫観を持つ。いずれにせよ、農林水産研究分野においては、バイオテクノロジー等先端分野の研究と併せて消費者ニーズに即した多様な作物の開発や、持続的な生産技術システムの開発など、現場を支える技術開発が重要だと思っている。
 平成16年度の予算編成に向けて今後いろいろ議論をされると思うが、現場技術の重要性についても十分理解した上で、科学技術予算の充実に向けた司令塔としての役割を発揮していくことが重要であると考えているので、よろしくお願いしたい。



(2)総合科学技術会議が実施する競争的研究資金制度の評価について

 競争的研究資金制度の評価について、評価専門調査会での調査・検討状況を大山議員から資料2(PDF)に基づき説明。また、科学技術システム改革専門調査会の競争的資金制度改革プロジェクトにおける検討状況等について、井村議員から資料2(PDF)に基づき説明。
 「総合科学技術会議が実施する競争的研究資金制度の評価について(案)」(資料2(PDF))については、原案通り決定。
 今後、本決定に沿って、引き続き評価専門調査会において調査・検討を進めるとともに、関係各省においても、対応していくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(遠山議員)
 競争的研究資金の拡充を図る上で、効果的・効率的な運用のためにも、制度の評価は重要と考えており、文部科学省としても、科学技術・学術審議会などによる外部評価を活用して、適切に進めていきたいと考えている。
 個々の制度の評価については、私は第一義的には担当府省、あるいは資金配分機関など当事者によって行われるべきものであると考えており、総合科学技術会議はその評価結果を基に評価を進めていただきたい。
 将来のノーベル賞にもつながるような基礎研究の分野などは、特に当事者による評価の内容について十分に意見交換をした上で、一方的な評価とならないよう配慮していただきたい。

(黒田議員)
 現場の研究者としては、競争的資金は、意欲と能力のある研究者の自由な発想に基づく先駆的な基礎研究を推進するものであり、これがブレークスルーにつながるものだと考えている。現状ではまだ非常に少ないので、是非拡充していただきたい。同時に、これが産業や異分野の研究につながるように研究者自身が考えていく必要があり、そういう支援制度も必要。
 もう一つは、競争的資金が有効に活用されるためには、環境整備が重要である。例えば、競争的資金により実験装置を購入しても、研究スペースがなければ折角の資金がうまく生かされないことになる。大学の中でも競争的な環境が醸成されてきているが、未だ全体のパイが少なく、競争的資金の拡充・整備とともに、これが有効に使われる環境整備を、いろんな面で行っていく必要がある。
 また、今後大学が法人化するが、助手とポスドクの関係等、いろんな制度が競争的資金制度のあり方には絡み合ってくるので、この際に非常にいい制度を横断的につくっていけたらと思っている。

(薬師寺議員)
 人文・社会科学の研究者も競争的資金に大分応募しているが、その勢いは理科系の研究者に比べるとやはりやや弱い。
 しかし、大国である以上人文・社会科学の力を強める必要があると我々は考えている。平成15年度は少ない額ではあるが、若手の人文・社会科学の研究者を養成するプロジェクト型の資金ができるので、今後これをきっかけに日本の中でもどんどん人文・社会科学の研究者が競争的資金にも応募するのではないかと思っている。

(片山議員)
 競争的研究資金制度は、なぜ26制度7省に細分化されているのか。

(細田議員)
 それぞれの項目があり、例えば文部科学省だと、大学を中心に配分している競争的資金がある。11万件の申請があって、4万件を採択している。

(片山議員)
 それはわかるが、なぜこんなに要るのか。26制度7省を少し整理してはどうか。

(井村議員)
 この問題は我々も検討している。省庁再編により多くの省が統合されたが、再編前に各省庁が持っていた制度をそれぞれ持ち寄って、そのまま存続しているなど、いろんな状況がある。

(細田議員)
 今後、総務大臣からの提案も併せて検討する。

(小泉議長)
 どのぐらい応募があるのか。

(井村議員)
 制度によってそれぞれ違うが、科学研究費補助金の場合には、毎年11万件くらいの応募があって、4万件以上を採用している。

(小泉議長)
 それを一つ一つ審査するのか。どこで審査するのか。

(遠山議員)
 財団法人の日本学術振興会が、専門家の意見を徴しながら、4,000 〜5,000人の研究者の協力を得て審査している。

(薬師寺議員)
 私も審査をしたが、ものすごい数の申請を審査する。なかなか大変。

(細田議員)
 これはプログラムオフィサーやディレクターという専門の人に管轄してもらいつつ、手分けして審査する必要がある。その総元締は総合科学技術会議であるが、ある程度各省で自主的にやらないといけない。ただし、その基準等は共通化して、合理化していかなければいけない。

(塩川議員)
 競争的研究資金を17年度で6,000億円にするという目標は聞いているが、昨年の税制改正の時に大学の要望を聞いてみた時はあまり出てきていなかった。この目標は、一般財源だけで達成するのはなかなか難しく、寄附による資金導入等税制上の問題も考えていく必要がある。

(井村議員)
 この問題は、直接は税制とは関係ない。
 国立大学等にも企業等からの研究費も入っているが、まだ総額が少ないのと、分野によって非常に違いがあるので、現状では大変難しいと思う。
 ただ、おっしゃるようなことも今後検討し、企業からの研究費を増やしていくことは非常に重要だと思う。

(塩川議員)
 私もこの目標は気にしており、少しは競争的研究資金を増やしたいと思って検討したが、結局大学の施設整備計画へ重点配分したので、競争的研究資金が少なくなった。平成17年度に6,000億円を達成するには、税制改正をうまく利用するなど何かしないと、なかなか難しい問題だと思う。

(細田議員)
 競争的研究資金の倍増は、第2期科学技術基本計画でたてている目標である。本日の塩川財務大臣のご指摘も踏まえ、今後十分検討させていただきたいと思う。



(3)平成15年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方等について

 平成15年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方等について、阿部議員から資料3−1(PDF)に基づき説明。
 「平成15年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方(案)」については、原案通り決定。
 今後、文部科学省において、本日の決定に沿って、早急に公募等の対応をしていくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(遠山議員)
 文部科学省としては、この基本的考え方に沿って、実施要綱等を策定し、明日から課題の公募を行う。できる限り早期かつ効率的にこの事業を進めていきたい。



(4)生命倫理について

 生命倫理専門調査会における「ヒト受精胚の取扱い方」についての審議状況、および現在世界的に話題となっている「クローン人間」の問題について、井村議員から資料4(PDF)に基づき説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(細田議員)
 クローン新生児の出産については、あやしいところがある。また、法律的にも、国内犯は処罰できるが、国外犯は処罰しにくい法制である。処罰できるかどうかの状況課題も含めて、状況がわかり次第検討をする必要がある。今後もいろいろな問題が出てくると思うので、総合科学技術会議で検討していきたい。



(5)最近の科学技術の動向について(ロボット技術の現状と将来について)

 「ロボット技術の現状と将来」について、大山議員から資料5−1(PDF)に基づき説明。また、産業技術総合研究所のセラピー用メンタルコミットロボット・パロについて、吉川議員から資料5−2(PDF)に基づき説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(吉野議員)
 技術的には、日本が大変強みを持っている分野であるが、技術以外でも社会環境、例えば鉄腕アトムやドラえもんのような漫画に見られるように社会的に受け入れられる素地が出来ている。宗教界や労働界の反発なども非常に少ない国であり、そういう意味では、日本は非常に百花繚乱して、世界をリードしていくポテンシャルが間違いなくあると思う。



(6)その他

 構造改革特区の第2次提案について、以下の発言あり。

(井村議員)
 構造改革特区2次募集において、600件を超える提案がなされており、その提案について検討をした。
 昨年、小泉総理から知的特区を考えるように指示があり、科学技術研究開発関係の特区の在り方について提言をまとめた。その提言は、ほとんどが構造改革特別区域法、あるいは全国的に実現することとなった規制改革項目の中に含まれている。今回提案のあったものもほとんどが既に議論したことであるが、若干それ以外のものがある。
 例えば、先端医療に関する幾つかの提言。バイオマスの利活用問題。また、宇宙開発関連についても規制緩和の要望が出ている。より優れた科学技術の成果を生み出して、それを社会に還元するためには、さまざまな規制の改善が必要である。
 我々としても今後検討を続けるが、関係各省においても、引き続きできる限り地方公共団体の提案を尊重して、積極的に取り組んでいただきたい。

(細田議員)
 これは、総理からの指示でもあるので、積極的に各省と調整していきたい。

(小泉議長)
 具体的に提案はあるのか。

(井村議員)
 具体的には、バイオマスの利活用については、産業廃棄物あるいは一般廃棄物を運搬する上での規制があり、それを改善する必要があると考えている。

(薬師寺議員)
 バイオマスに関しては、環境省でもいろいろ議論がある。産業廃棄物は規制しなければいけないが、それがバイオマスを利活用するときの障害になっているということなので、今、事務局と詰めている。

(井村議員)
 宇宙開発は、種子島における人工衛星の問題。例えば外国から機械を搬入したときに、一旦消費税を払う必要がある。後に還付されるが、初めから免税にしてもらえないかという提案である。規制の問題も他に含まれている。

(塩川議員)
 消費税の性格上、輸入段階で一旦消費税を課して後で控除(還付)するというシステムは変えられないが、手続き上の問題として簡単に出来ないのか考えてみたい。ただ、この構造改革特区の問題は政府全体の仕切りとして財政上の措置をとらないということになっている点に留意してほしい。

(大島議員)
 バイオマスの件は、廃棄物を県境や地域を超えて移動することが出来ないといった規制があり、この所管は環境省であるが、農林水産省としても、いろいろと勉強したいと思う。

(井村議員)
 医療関係に関しては、幾つかの要望を厚生労働省に出している。基本的には、全国区で改善するという返事をいただいている。ただ、できるだけ急いでほしいというのが自治体からの要望である。


 ITER計画の最近の状況および「もんじゅ」について、以下の発言あり。

(遠山議員)
 ITER計画には現在、日、欧、露、加の4極で政府間協議を進めているが、先日、中国からITER計画へ正式参加を希望する旨の書簡が届いた。
 ITER計画は、世界の英知を結集して取り組む必要があるので、こうした参加の意思表明については、歓迎すべきと考えている。新しい極の参加については、4極の全会一致で認めることが必要であるので、今後中国の参加について、4極で協議していくことになるが、我が国としては前向きに検討していきたい。
 もう一点、高速増殖原型炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟について、昨日、名古屋高裁の金沢支部で「もんじゅ」の許可処分は無効である旨の判決が言い渡された。今回の判決は、国の主張が認められなかったわけであり、誠に残念だと考えている。
 日本は、エネルギー資源に乏しく、エネルギーの長期安定供給に向けて、この研究開発は重要である。「もんじゅ」はその研究開発の中核となる施設であり、その重要性は変わらない。文部科学省としては、こういう考え方に立ち、今後、関係省庁と協議しながら検討していきたいと考えている。

(平沼議員)
 経済産業省としても、設置の許可の手続、あるいはその安全性に関して、十分立証したと思うし、その審議の中で十分説明してきたと思うが、今回の判決は非常に遺憾だと思っている。
 現在、経済産業省としては、判決の詳細を過去の判例等と照らしながら検討しているが、今文部科学大臣が言われたように、この問題は我が国のエネルギー政策の基幹的な問題であるので、関係省庁と連携を密にして、しっかりと取り組んでいきたいと思っている。

(細田議員)
 私自身も原子力安全委員会の関係で調査をしているが、これまで安全審査に最善を尽くしたという認識を持っている。今回の判決は個別具体的な安全性に関する判決であるが、核燃料サイクル政策の基本を変更する必要はないと思っている。更に専門技術的な点について早急に検討を行うとともに、判決内容を詳細に検討して、関係省庁と協議の上、適切に対応していきたいと思う。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 昨年は大変ご尽力いただき、SABC効果を発揮できたと思う。今年もしっかりと評価をしていただき、皆さんにご指導、ご協力をいただきたいと思う。
 特に競争的研究資金については、最善の仕組みをつくり上げていただきたい。
 また、クローン人間については許されるものではないので、我が国でも禁止されている。今後各国が協調して取り組む必要があるので、関係大臣においても、条約のとりまとめに向けて、引き続き努力していただきたい。
 ロボットは我が国の強み。本日紹介されたロボットなど、日常生活に密接に関わる分野や医療、福祉等の分野においても、大変喜ばれると思う。また、経済活性化、産業発展、いろんな分野でいい影響を与えると思うので、積極的にロボット技術の開発に挑戦していただきたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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