平成13年9月18日(火)14:00〜16:15
合同庁舎4号館共用第4特別会議室
宮内義彦議長、飯田亮議長代理、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、森稔、米澤明憲の各委員、森戸専門委員
渡辺大臣政務官
[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、梅村審議官、竹内審議官、磯部審議官、吉原事務室長、長屋事務室次長
略 (下記議事次第参照)
関係団体等ヒアリング
福岡 道生
草野 忠義
松浦 清春
成川 秀明
向山 孝史
高橋 公
龍井 葉二
松尾 武昌
松寿 庶
勝野 義久
高岡 國士
福原 信行
その他
(○:関係団体発言部分、●:当会議委員発言部分)
詳細は公開されている資料1を参照下さい。
「重点6分野に関する中間取りまとめ」のうち、「医療」・「福祉・保育等」・「人材(労働)」の3分野について意見
全般にわたって基本的に賛成、12月に予定されている意見書においてもこの方向でとりまとめをお願いしたい。
「医療のIT化推進」:賛成だが、「カルテの電子化・EBM・医療の標準化などの推進」は、全医療機関での一斉推進は現実的ではない。大病院から診療所へなどスケジューリングの上推進するのが現実的。
「公民ミックスによる公的医療保険の対象範囲の見直し」:選択性の高い医療については、利用者が自己責任で必要なサービスを選択できるようにする必要があり、公的医療保険の対象範囲を見直すべきである。
「診療報酬体系の見直し」:診療報酬体系は定額払いを基本とすべき。なお定額払いはポジティブリスト化、出来高払いはネガティブリスト化の方向で進めるべき。
「保険者機能の強化」:規制が多く、機能の発揮が出来ていない。医療の効率化・質の確保を図る上でその機能強化は不可欠である。
「医療機関の経営形態の多様化、理事長要件の見直し」:日経連のかねてからの主張であり、とくに、民間営利企業の参入規制は廃止すべき。
「中間取りまとめ」で示された各事項については、利用者の多様なニーズに効率的に対応することに資するという観点から基本的に賛成。
特に「施設介護」サービスへの民間営利企業の参入は日経連のかねての要望であり、可能とすべき。またPFI法の活用等による公設民営を強力に推進すべき。
多様な保育ニーズへの対応や待機児童の解消の観点から保育所の「公設民営」を積極的に推進すべき。
「認可保育所の基準の見直しおよびその周知徹底、情報公開、第3者評価の推進」についても、事業の透明性の確保や利用者の選択に資する観点から、早急に取り組むべき。
「幼保の融合」:機能的に融合できる部分があり、多様なニーズに対応する観点から推進すべき。
認可保育所が本当の意味での保育サービスが出来ているかという批判があるのは事実。認可保育所においても延長保育等ソフト面での改革が必要。なるべく民営化を考えて欲しい。
「職業紹介規制」:抜本的な改革が必要。紹介手数料の上限撤廃、紹介責任者の定数の緩和等を進めるべき。
「地方における無料職業紹介事業が行えるような措置を講ずる」:税金を2ヶ所に払っていることになる(あるいは不要な定員配置がなされていることになる)ため反対。
「有料職業紹介事業」:許可制から届け出制に移行させるべき。
「募集・採用における制限の緩和・差別撤廃」:人種・信条・社会的身分を理由とする差別禁止の明文化について、心情あるいは理念として理解しうるが慎重な検討が必要。
「派遣労働者の拡大」:3年後の見直しを待たずに早急に検討を開始すべき。まず1年の派遣期間制限を撤廃すべき。特に高齢の派遣労働者の期間制限撤廃を是非実現していただきたい。
「物の製造」に関しては「派遣と繁忙期の組み合わせにより残業時間の削減の実現」「医療関係業務」については現在看護士が大変不足しており、「現役でない有資格者を活用する、さらに出身大学の医局にとらわれないマッチングに資する」ということからネガティブリストから外すべき。
「有期雇用契約の拡大」:以前より要望しており上限5年とすべき。
「裁量労働制の拡大」:現行では規制が多く使いにくい、抜本的に原理原則から考え直す必要あり。裁量労働の基本的性格を見ずして「みなし労働」という媒体によって労働時間に結び付けようとするため無理がある。労基法41条にある適用除外と考えるべき。
「解雇基準の法制化」:労働基準法の性格を鑑みるとその中に解雇法制の規定が入ることは規制強化となるため反対。また便乗解雇など経営者のモラルハザードを引き起こしかねない解雇規制緩和ルールの設定には反対。
○ 「募集・採用における制限の緩和・撤廃」の問題について「現下の雇用慣行を考慮したものである」と言っているのは、厚生労働省の指針を良とするということか。
○ また、「パート労働者・派遣労働者に対する社会保険適用拡大について慎重な検討が必要」とされているが、当方としては非常用の労働者を社会保険適用除外とすると社会保険制度自体の空洞化を招くと考えている。この件に関する日経連のスタンスいかに。
● 1点目の指針については、厚生労働省が出した考え方を周知徹底し、努力義務を果たす努力を続けていくこととしたい。
● 2点目については、適用対象となるものについては、遵守させる必要がある。また、本人や企業に対する加入を周知させる努力が必要。
○ 解雇基準の法制化について日経連は賛成できないというお考えだが、例えば年齢制限の廃止についてみれば「年齢」と「その能力」ということは違う。解雇はトレードオフになるのではないか。
また「便乗雇用など経営者のモラルハザードを引き起こしかねない」とあるが、解雇基準が不明確なことから経営者側が解雇理由をきちんと理解しないまま解雇している例が多いので、むしろ明確化させるのが時代の流れと思料。
さらに今までの解雇権濫用については判例主義だが、判例が古すぎる。昨今はソフト化・サービス化の流れにあり、労働者の権利や働き方が大きく変わろうとしている中で工場労働型の労働基準法を無理やり当てはめて行くべきではない。
● 解雇制限については、例えばヨーロッパでは厳しい国が多い。日経連が95年に「これからの日本的経営のあり方」として提言した中で、雇用のパターンを(従来は終身雇用型1つと捉えられてきたが)(1)長期能力蓄積型、(2)高度能力活用型、(3)雇用柔軟型、という3つのパターンに分類している。その上で、いわば「雇用のポートフォリオ」の上手い組み合わせが重要であるとしている。
(2)のグループでは5年ぐらいの有期雇用は認めてあげたいというのが当方の考えである。また(1)のグループは日本にとってコアであると考える。実際当方が実施したアンケート結果によれば、(1)のグループが雇用者全体に占める割合は、大企業で74%、中堅中小企業では70%となっており、一概に現在の時流に流されるべきではないと考える。
○ 「技術を大事にするということ」と「働き方を柔軟にするということ」は次元がつながらない話である。現行では、契約社員といっても労働者側が働きたいと言えば雇用者側が契約更新せざるを得ず、その意味で契約社員の「契約」の意味は形骸化している。またその結果が解雇権濫用という事象となって現れている。重要なのは働き方の多様化に対してどう法律がきちんとプロテクト出来るかということである。
● 有期契約が日本で1年しかないのは大間違いである。まず有期契約5年をはっきり確立させることが先決である。そのことにより新しい労働のあり方が育ってくる可能性があるということである。
○ 有期契約の5年を例えば更新延長したとしても、経営者サイドのリスクを考えると1年ごとの見直しが必要ではないか、このことは一方で、働く側にも職場に合わなければ1年で辞めることが出来るという、すなわち労使双方の平等性をも実現している。
● 繰り返しになるが、有期契約の上限は5年であるから、その範囲内で1年でも2年でも期間選択ができる。しかし、契約締結後は経営者も労働者も履行責任(不履行の場合は賠償責任)を負う。要は契約の合意が必要であるということであり、そこは明確に考えたい。但し、仮に世界の頭脳やハイレベルの技術者を採用するようなようなケースでは少なくとも5年で依頼しないと契約の多くは成立しないと聞いている。
○ 現状の日本での認識、すなわち経営者が「悪」で労働者が「善」、これを変えていくことが必要である。その際労使双方にとって明確なルールを作らなければ労働者保護といった観点でしか問題把握・解決が出来ない。さらにあまり経営者サイドにリスクを負わせる形は経営者の雇用創出の発想を阻害することになる。
● 解雇に関しては、労働基準法に解雇制限規定をおくこと、整理解雇の要件について法制化することは規制強化につながるため反対である。また、新たな解雇基準を設定する労働契約法の制定についても、現在の労働契約の内容を定めている就業規則との関係をどうするか等の検討が必要となり、容易ではない。まずは有期雇用5年を確立し、その中で様々なケースをスタディしながら考えていくという方法が現段階では実践的だと考える。
詳細は公開されている資料2を参照下さい。
規制改革の中で労働分野の規制改革については、例えば様々な法律が成立した時点での国会での附帯決議や、関係する審議会での議論経過がどちらかというと、ないがしろにされているのではないかという懸念を持っている。働く者の声を出来るだけ聞いていただきたい。
情報公開とIT化については賛成であり積極的に進めるべき。
診療報酬制度については「包括・定額払い」に転換すべき。
特定療養費制度を拡充については反対である。
薬価における「205円ルール」は直ちに廃止すべき。
保険者機能の強化については保険者が第一次審査を行うことには賛成。
医療機関経営に株式会社方式を認めることには反対である。
病院経営と医療管理の分離については賛成。
医療分野における労働者派遣について、医師・看護士などの派遣規制を撤廃することには反対である。
施設介護における多様な経営主体の対等な競争のあり方については、その機能・役割・利用区分の明確化など、利用者の視点に立って検討する。
公設民営とPFI法の活用などを進めるべきである。
認可外保育施設については、都道府県への届け出を義務付けるべきである。
認可外保育施設への助成は、あくまでも保育所の最低基準に近づけるための施策として行うべきである。
在宅も含めた多様な保育サービスの拡充をはかることには賛成。ただし利用者への直接補助については保育の質の確保といった体制の確立までは行うべきでない。
学童保育の拡充は賛成。なお拡充にあたっては国および地方自治体の責任を明確にすべき。
児童福祉法で定める保育所の入所要件「保育に欠ける」は保護者が「保育を希望する」とすべき。
求職者に受付手数料を課すことには反対である。さらに求職者からの紹介手数料を徴収することについての拡大には慎重に願いたい。
求人企業からの職業紹介手数料の現行上限規制の廃止については、一定の条件が整うまで行うべきでない。
学校以外の無料職業紹介事業について許可制を3年後の見直し作業まで維持すべき。
派遣期間の1年制限の延長等については3年後の見直し作業時に議論すべきである。
派遣業務を常用雇用の代替として加速させないよう現行法の厳正な運用と監督が必要。
紹介予定派遣の派遣労働者特定を目的とする好意の禁止について直ちに見直すことは問題である。
3年までの派遣が認められている26専門業務の範囲拡大については慎重な検討を要する。
有期労働契約期間の上限は現行の原則1年を維持すべきであり、拡大には反対である。
裁量労働制の対象拡大や制度要件の緩和については反対である。
ホワイトカラーイグザンプションは認められない。
解雇については解雇権濫用法理や整理解雇四原則を法制化すべきであり、これを切り下げる形の立法は認めない。
奨学金制度の改善と教育全般に対する公的支出の拡大をすべき。
奨学金制度について希望に応じて無利子奨学金が貸与できるよう日本育英会および自治体の奨学金制度を改善すべきである。
企業の早期採用内定活動を制限する指導を強めるべきである。
社会人のキャリアアップを支援するため、企業に対し労働時間の短縮等指導を強めるべきである。
学校の設立にあたっては「公立・私立学校の共通ルール」作りを進めるべきである。
校長任期の長期化や現行の学校評議員制度の定着・改善等を進めるべき。
教員の評価システムの導入については、当該労働組合と十分協議すべきである。
循環型社会の構築に向けた3Rの推進について、デポジット制の導入および分別収集体制を全ての自治体で整備し、国民がリサイクルしやすい環境を整える必要がある。
地球温暖化問題において経済的負担を課す措置については、政府として一本化した議論を行う必要がある。
借地借家法の正当事由については、個別の事案に対して示された裁判所の判断を重視して規定の明確化を図るべきである。
容積率規制制度の合理化にあたっては、未整備の市街地の指定容積率を維持・引き下げるよう見直しを進めるべきである。
区分所有法の建替え要件の見直しについては区分所有者の合意のみとするのではなく、「老朽、損傷、一部の滅失その他の自由がある場合」とすべきである。
○ 資料P6、「職業紹介の規制について」で現行制度の拡大を慎重に行うとしているが、反対と理解して良いか。
○ また、P7(5)「常用雇用の代替として加速させないよう〜 」とあるが、常用雇用の代替を防ぐという考え方、すなわち「常用雇用」が連合として考えている「あるべき雇用形態」であると理解して良いか。当方としては非常用労働者こそ労働組合の支援を必要としており、本来組合が非常用雇用者の労働条件向上に貢献すべきでないのか、と考えている。
○ P5(6)「民間企業が効率的な経営を追求するあまり〜」の部分については違うのではないか。つまり社会的分野については情報の非対称性もあることから一定のルールを決めて監督することは大切であるが、民間であるからそういう問題を引き起こすという考え方は、多くの民間企業が組合員である連合の主張としていかがなものか。
○ さらに、P13のピークロードプライシングの箇所。毎日のラッシュアワー通勤は労働者にとって厳しく、ピークロードプライシングを使って混雑緩和を図るのは労働者の福利厚生になると考える。ピークロードプライシングについて消極的な意見なのはなぜか。
● まず、職業紹介の規制については現行の「職種での区分」は拡大運用がしにくく、実際にトラブルが起こっていない。それに比べ「収入での区分」では運用があいまいとなり、拡大適用の増加・トラブルの増加が発生するのではないかと危惧している。
● 常用雇用代替の防止については、派遣労働という働き方そのものが持つ問題、すなわち雇用主と使用者が別々という実態から生まれる問題が大きい。例えば労働者への労働サービス、使用者としての責任といったものをどのように完全に履行していくかが明らかでない。これらを解決する方法としては「登録型派遣労働」という形態ではなく、派遣事業主が常用雇用という形で、常に派遣先の労働条件や職場環境等をフォローし、その労働に起因する問題や課題について派遣先と責任を持って話し合い解決するという施策が整えば、派遣労働に反対するわけではない。また3年までの派遣が認められている26専門業種の拡大については各種の保険の加入要件問題を含めて新しい雇用形態・就業形態・経営側の労働力需給形態としてそれを認めるということであれば、問題整理が必要ということである。
● 次の件であるが、民間参入をする場合においては、事業の継続性や安定性あるいは利用者から見た質の低下が起きないよう、また他事業の分離の明確化が前提だということだ。民間であるから質の低下や問題が必ず起きるということを言っているわけではない。起こらないようにするべきだという趣旨である。
● ピークロードプライシングの件、現在においても有料道路の料金は十分高いという認識である。さらに料金を操作しても混雑緩和に資するかという疑念を持っている。
○ わざわざ「民間企業」を記載しているのかが理解できない。多くの民間企業が組合員である連合の主張としては?ではないか。
● 非営利でやってきた分野に営利の企業が参入した場合、記載内容のような問題が危惧されるという意味で記載したとご理解いただきたい。
○ P3(3)医療部分、「いわゆる混合診療が格差を生じさせる」とあるがこういう考え方が医療の新しい発展を妨げているのではないか。
株式会社の箇所((6)の箇所)について、「事業継続性の不確実さ」は論拠がない。医療法人は確実だとは言えない。また「競争激化による医療費増加」も理解し得ない。
さらに、医療分野における労働者派遣について((7)の箇所)、医療分野は専門性が高く、最も派遣に向いている分野である。
P3(2)は医師会が反対しているところでありバックアップいただきたい。しかし例えば「保険医の定年性および、医師国家資格の更新制の導入」は参考になる意見である。
● 自由診療を増やせば、低所得者にとっては負担が大きくなる。現在特定療養費制度があり、本人の承諾を得ることや領収書の発行などが条件としてあるが実際はされていない。このような条件をまずきちんとすることが先ではないか。
競争激化による医療費増加のおそれと記載したが、質を落として長期入院をさせる病院や富裕層患者を集めた病院の出現を懸念するという趣旨で記載したものである。
また、医療分野への派遣については、一人の患者に対して一貫した診療がなされる体制の必要性も含め、提起したものである。
○ P5(8)について、競争するとサービスが低下するというのは到底考えられない。
また裁量労働の問題については、ホワイトカラー全般に適用されるべき時代になっている。
さらに連合は常用雇用こだわりすぎである。働き方の多様化は経営者側だけでなく働く側も持っているということを認識願いたい。
P9(2)社会保険の適用拡大について「65万未満に引き下げ」とあるが、第3号被保険者や特別控除や税制といった問題が女性同士の差別を生んでいる中で、このような策を講ずることに意義を見出せない。
● 公的サービスの分野に競争を導入する場合は競争のルールを明確にしていただきたい。そこの議論なければ競争=善とは考えない。派遣労働と常用労働の関係も同じ問題で、派遣労働者について公正な労働条件が確立できていないという認識だ。
社会保険の適用については社会保険に広く加入してもらうというのが趣旨。働いているのであれば、そして年収が65万以上であれば加入し社会保険を支えていく。
裁量労働をホワイトカラーに全般に適用すべきだということについて当方として全面否定はしないが、企業における業務の遂行方法に自己決裁などを受け入れる体制整備がなされていない。従って、体制整備がなされるのであれば導入の否定はしない。
働き方が多様化しているが、現段階では一部のスキルの高い人を除き、一般の労働者が派遣労働を渡り歩いて暮らせるような環境は日本では整っていない。
競争をすれば、「質が上がる部分」と「質が下がる部分」が生じるということだ。例えば金がかかるから病院に行かない、回数を減らしがまんしている、というような事実事例が見られることを認識願いたい。
○ ルールが確立されていれば自由に参入を認めてもサービスの質が低下することはないとの議論だが、当会議では自由な契約が出来て当事者が望んでいるならばそうしようというのが当方の基本的な考え方である。その際、第1に契約する前にそれが契約内容の相互理解がないといけない、すなわち情報公開が徹底が必要である。第2に事後的に違反したものがあれば厳正な処罰が必要である。この2つがあれば出来るだけ自由な契約を認めると考えているがこれで良いか。
● その2つに加え、「サービスを選択出来る」ことが大切である、すなわちそれしか選べない、あるいは選択できても対等な契約を結べないような場合はルールと認めることは出来ない。また契約違反を個人で追及するのは難しいことから、契約の条件が守られるような社会的条件を整備する必要がある。
総合規制改革会議の提言個々については意見を述べているわけではないが、とした上で。
多様な供給主体の参入について、あまりに過度の効率性の追求は長年培ってきた福祉サービスの質の低下を招く危険性があることをふまえるべきである。
現行構築されている福祉制度はこれまで社会福祉法人が先駆的に取り組んできたことが制度化されたもの。すなわち今後も時代とともに変化が見込まれる福祉ニーズに対しては非営利性の事業体が必要であることを理解願いたい。
公設民営化型の福祉サービスを進める際には、これまで培ってきたノウハウを持つ民間企業のみならず、社会福祉法人を念頭に置いていただきたい。
現在、入所施設での民間参入が議論されているが、その際、本体事業が景気に左右され、その結果、社会福祉施設に影響が出ることを避ける必要がある。そのために撤退制限や、本体事業が傾いた際でもサービスが担保されるよう措置を講ずる必要がある。自己責任が定着していない日本では行政責任が問われる可能性があることを踏まえるべきである。
社会福祉法人の分割論があるが、細分割により弱小社会福祉法人を作るよりも大きな社会福祉法人を作る方向性で議論していただきたい。本問は現在合築されている施設を分割する等新たな問題が出てくる可能性もあることを認識願いたい。
○ 資料3−3に「積極的な情報公開や第3者によるサービス評価の仕組みが必要である」とされているが、社会福祉法人だけでなく普通の民間まで含めて具体的な提案としてどの程度の情報をどのようにやっていくか、また第3者評価機関について具体的イメージは?
● 公開する情報については施設のサービスの内容や職員体制・運営上の特色といったことに加え、安定した事業なのか否かといったこともオープンにしていく必要があると認識している。いずれにしても利用者の選択が始まれば基準が必要。そのことの徹底のために第3者評価を法人・施設が受けることとする。その評価対象は都道府県の範囲だろう。都道府県に公正な評価委員会が出来、またそこでの評価を公にする、ユーザーはそれを参考にするということが望ましい。全ての施設が評価を申請するかはわからないが徐々に評価を申請する施設が多くなっていけばよい。
以上
(文責 総合規制改革会議事務室)