第1章 高齢化の状況(第2節4(2))

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第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

4 高齢者の就業

(2)高齢者の就業を取り巻く環境

ア 高齢者の雇用情勢は依然厳しさが残る

全産業の雇用者数の推移をみると、平成19(2007)年時点で、60~64歳の雇用者が352万人、65歳以上の雇用者が272万人と大幅に伸びている(図1-2-44)。

図1-2-44 雇用者数の推移(全産業)

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また、定年到達予定者等の状況をみると、定年到達予定者のうち、継続雇用予定者の割合は、平成17(2005)年に比較して、平成19(2007)年には、48.4%から76.7%と大幅に伸びている(図1-2-45)。

図1-2-45 定年到達予定者等の状況

定年到達予定者等の状況 CSV形式(2KB)のファイルはこちらファイルを別ウィンドウで開きます

一方、高齢者の雇用情勢をみると、平成19(2007)年の完全失業率は、55~59歳で3.0%、60~64歳で3.9%、65歳以上で1.8%、また、有効求人倍率は、55~59歳で0.70倍、60~64歳で0.69倍、65歳以上で0.71倍となっており、前年(18(2006)年の完全失業率は55~59歳で3.5%、60~64歳で4.5%、65歳以上で2.1%、有効求人倍率は55~59歳で0.59倍、60~64歳で0.58倍、65歳以上で0.56倍)と比べ改善しているものの、依然として厳しいものとなっている(図1-2-46)。

図1-2-46 年齢階級別にみた完全失業率、有効求人倍率

イ 今後の高齢者の雇用予定を「未定」とする事業所が約半数

今後の高齢者の雇用について、「増やさない予定である」とする事業者は36.0%となっている一方で、「増やす予定がある」は10.9%にとどまっている。増やさない理由としては、そもそも「高年齢者に適した仕事がない」が43.4%、「高年齢労働者に限らず、採用の予定はない」が40.6%、「体力、健康面で無理がきかない」が29.7%、「若年・中年層の雇用が優先される」が26.3%となっている。逆に増やす理由としては、「経験・能力を活用したい」70.7%、「高年齢労働者に適した仕事又は年齢に関係ない仕事がある」35.3%、「高年齢労働者を雇用することは時代の社会的要請である」24.3%となっている。

また、「未定である」とする事業者が約半数を占めている(図1-2-47)。

図1-2-47 60歳以上の労働者の雇用予定
60歳以上の労働者の雇用予定 (%)
増やす予定がある 10.9
増やさない予定である 36.0
未定である 51.1
雇用を増やす理由(2つまで複数回答) (%)
高年齢労働者の経験・能力を活用したい 70.7
高年齢労働者に適した仕事又は年齢に関係ない仕事がある 35.3
高年齢労働者を雇用することは時代の社会的要請である 24.3
人件費を低く抑えられる 16.4
自社内で高齢化が進んでいる 13.1
若年・中年層の採用が難しい 8.5
高年齢労働者は定着率が良い 6.9
国や自治体の援助が活用できる 5.0
その他 0.1
雇用を増やさない理由(2つまで複数回答) (%)
高年齢者に適した仕事がない 43.4
高年齢労働者に限らず、採用の予定はない 40.6
高年齢労働者は体力、健康の面で無理がきかない 29.7
若年・中年層の雇用が優先される 26.3
人件費が割高である 4.7
その他 2.0
高年齢労働者は過去の経歴にこだわる 1.5
高年齢労働者は定着率が悪い 0.6
 
資料:厚生労働省「高年齢者就業実態調査」(平成16年)

ウ 50歳代の者の多くは仕事に必要な能力開発・自己啓発を行えていない

0歳代の者の仕事のための能力開発・自己啓発の状況をみてみると、平成16年11月から17年10月までの1年間に「仕事のための能力開発・自己啓発をしなかった」とする者は、男性の50~54歳で59.6%、55~59歳で64.2%となっている。また、女性の50~54歳で72.4%、55~59歳で76.8%となっている。このように、50歳代の者の多くは能力開発・自己啓発を行っていない。

こうした背景には、個々人が能力開発や自己啓発を行いやすい環境が整っていないという事情もあると考えられる。厚生労働省の「能力開発基本調査」によると、自己啓発の問題点として「忙しくて自己啓発の余裕がない」(47.6%)、「休暇取得・早退等が業務の都合でできない」(21.6%)といった回答が多い結果となっている(図1-2-48)。

図1-2-48 能力開発・自己啓発の状況別にみた仕事の状況

能力開発・自己啓発の状況別にみた仕事の状況 CSV形式(2KB)のファイルはこちらファイルを別ウィンドウで開きます

(参考) 自己啓発の問題点(複数回答、調査対象は年齢で限定していない) (%)
忙しくて自己啓発の余裕がない 47.6
費用がかかりすぎる 32.3
休暇取得・早退等が業務の都合でできない 21.6
適当な教育訓練機関がみつからない 20.6
コース受講や資格取得の効果が定かではない 17.3
セミナー等の情報が得にくい 16.5
自己啓発の結果が社内で評価されない 15.9
やるべきことがわからない 7.4
その他 1.9
特に問題はない 12.8
資料:厚生労働省「能力開発基本調査」(平成17年)
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