第1章 高齢化の状況(第1節 事例集)

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地域の高齢者を活用することにより、地域振興に役立てている事例(長野県上水内郡小川村、株式会社小川の庄)

長野県上水内郡小川村の株式会社小川の庄(従業員86名)は、「60歳入社、定年なし」という目標を掲げつつ、地元で取れる農作物を利用し、保存料、着色料を使用せず、自然素材を活かした「おやき」や味噌などを制作・販売する会社として昭和61年5月に設立された。

そもそも同社設立に至った経緯は、昭和30年代頃、青年団活動の一環として行われていた農村復興の勉強会で農山村の将来や地域復興の夢について、熱く語り合っていた当時の青年達が一度はそれぞれの職場に就職し、それぞれの地位を築き上げながらも、過疎化の進む小川村の行く末に強い危機感をいだき、それぞれの職場での地位を捨てて、長い年月を経て蓄えた知識や技術を持ち寄って、7人の中心メンバーにより設立したものである。

特に、商品開発に関しては、設立当初から、商品に付加価値がなければ、大量生産・大量消費の現在においては生き残れないと考え、地元ならではの農作物を加工した農産加工品を主力商品としている。

このため、「この地方に住む高齢者が若い頃から当たり前にしていたこと(食生活)」を商品づくりの基本的な考え方に据えて、従業員である高齢者自らが掘り起こし・提案した商品を製品化することにより、商品に磨きをかけている。

「自分たちが提案したものが商品化され、それを取り上げたマスコミ等の取材を受けることにより、それがまた従業員である高齢者の自信やはりあいとなっている。」と伊藤取締役統括総務部長は話す。

さらに、信州西山地域の郷土食であった「おやき」を商品化し、日本各地の物産展のみならず、海外のイベントにも積極的に参加していくことにより、「これまであまり村から出ていかなかった従業員である高齢者が、村を出て行くことにより、開放的な性格になっていき、イベントを成功させることにより、確かな自信につながっている。」(伊藤部長)。

また、同社の特徴の一つとして、高齢者に配慮した分散型の拠点づくりがあげられる。

集落部の空家等の遊休施設を借り受け、「歩いて畑に通うような感覚で」通える拠点を村の中に複数拠点設けることにより、高齢になっても長く働き続ける工夫を行っている。

一般的に、分散型の拠点づくりは、コスト面ではマイナスであると考えられるが、同地域のような一定の条件下においては、地域雇用の観点から必要と考えられ、結果から見ても、同社においては、(1)高齢者雇用→(2)高齢者の知識・経験の活用→(3)付加価値のある商品開発→(4)需要の増加→(5)事業拡大による雇用の創出というサイクルがうまく機能している。

(平成19年度高年齢者雇用開発コンテスト厚生労働大臣表彰特別賞)

(平成19年度高年齢者雇用開発コンテスト厚生労働大臣表彰特別賞)

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