第1章 高齢化の状況(第2節3(2))
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
3 高齢者と健康・福祉
(2)高齢者の介護
ア 高齢者の要介護者等数は急速に増加しており、特に75歳以上で割合が高い
介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された者(以下「要介護者等」という。)のうち、65歳以上の者の数についてみると、平成19(2007)年度末で437.8万人となっており、13(2001)年度末から150.1万人増加しており、第1号被保険者の15.9%を占めている(図1-2-3-10)。
また、65~74歳と75歳以上の被保険者について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた者の割合をみると、65~74歳では要支援の認定を受けた者が1.3%、要介護の認定を受けた者が3.1%であるのに対して、75歳以上で要支援の認定を受けた者は7.5%、要介護の認定を受けた者は21.6%となっており、75歳以上になると要介護の認定を受ける者の割合が大きく上昇する(表1-2-3-11)。
単位:千人、( )内は% | |||
65~74歳 | 75歳以上 | ||
---|---|---|---|
要支援 | 要介護 | 要支援 | 要介護 |
187 | 460 | 960 | 2,769 |
(1.3) | (3.1) | (7.5) | (21.6) |
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」(平成19年度)より算出 | |||
(注)経過的要介護の者を除く。 |
介護保険制度のサービスを受給した65歳以上の被保険者は、平成22(2010)年1月審査分で約383万人となっており、男女比でみると男性が28.1%、女性が71.9%となっている。
さらに、介護サービスの利用実態をみると、要介護1~3の者は居宅サービスの利用が多い一方、重度(要介護5)の者は施設サービス利用が半数を超えている(表1-2-3-12)。
(1)介護保険サービスの利用状況(介護サービス受給者数) | (単位:千人) | |||||||
総数 | 介護予防サービス | 介護サービス | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
要支援1 | 要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | ||
受給者総数 (65歳以上の受給者) |
3,832.4[100.0] | 357.1 | 451.1 | 667.1 | 724.3 | 640.8 | 546.5 | 445.5 |
(100.0) | (9.3) | (11.8) | (17.4) | (18.9) | (16.7) | (14.3) | (11.6) | |
男 | 1,076.5[28.1] | 83.6 | 105.9 | 185.2 | 231.0 | 202.9 | 158.0 | 110.0 |
(100.0) | (7.8) | (9.8) | (17.2) | (21.5) | (18.8) | (14.7) | (10.2) | |
女 | 2,755.8[71.9] | 273.6 | 345.1 | 481.9 | 493.3 | 437.9 | 388.5 | 335.6 |
(100.0) | (9.9) | (12.5) | (17.5) | (17.9) | (15.9) | (14.1) | (12.2) | |
資料:厚生労働省「介護給付費実態調査月報」(平成22年1月審査分)より内閣府作成 | ||||||||
(注1)[ ]内は受給者総数に対する男女の割合。( )内は総数に占める割合(単位:%) | ||||||||
(注2)65歳以上の受給者は、65歳以上の年齢階級別の受給者数(千人単位)を足しあげたものである。 | ||||||||
(注3)総数には、平成21年2月サービス提供分以前の経過的要介護の者を含む。 |
(2)要介護度別のサービス利用状況(受給者数) | |||
(単位:千人) | |||
計 | 要支援1 | 要支援2 | |
---|---|---|---|
総数 | 832.1 | 363.3 | 466.5 |
(100.0) | (100.0) | (100.0) | |
介護予防居宅サービス | 821.3 | 358.6 | 460.5 |
(98.7) | (98.7) | (98.7) | |
介護予防地域密着型サービス | 5.3 | 1.9 | 3.4 |
(0.6) | (0.5) | (0.7) |
(単位:千人) | ||||||
計 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 3,135.4 | 686.4 | 757.2 | 665.7 | 564.0 | 462.0 |
(100.0) | (100.0) | (100.0) | (100.0) | (100.0) | (100.0) | |
居宅サービス | 2,142.8 | 612.3 | 618.8 | 438.0 | 287.1 | 186.6 |
(68.3) | (89.2) | (81.7) | (65.8) | (50.9) | (40.4) | |
地域密着型サービス | 247.8 | 46.9 | 61.9 | 69.8 | 44.9 | 24.4 |
(7.9) | (6.8) | (8.2) | (10.5) | (8.0) | (5.3) | |
施設サービス | 849.0 | 38.2 | 98.6 | 189.4 | 256.8 | 266.0 |
(27.1) | (5.6) | (13.0) | (28.5) | (45.5) | (57.6) | |
資料:厚生労働省「介護給付費実態調査月報」(平成22年1月審査分)より内閣府作成 | ||||||
(注1)( )内は要介護(要支援)状態区分別の受給者総数に占める各サービスの受給者の割合(単位:%) | ||||||
(注2)総数には、月の途中で要支援から要介護又は要介護から要支援に変更となった者及び平成21年2月サービス提供分以前の経過的要介護の者を含む。端数処理等の関係上、内訳の合計が総数に合わない場合がある。 | ||||||
(注3)「介護予防支援」または「居宅介護支援」のみの受給者は、「総数」には含むが「介護予防居宅サービス」または「居宅サービス」には含まない。 |
要介護者等について、介護が必要になった主な原因についてみると、「脳血管疾患」が23.3%と最も多く、次いで、「認知症」14.0%、「高齢による衰弱」13.6%、「関節疾患」12.2%となっている。男性の「脳血管疾患」が35.9%と特に多くなっている(図1-2-3-13)。
イ 主に家族(とりわけ女性)が介護者となっており、「老老介護」も相当数
介護を頼みたい相手についてみると、男性は「配偶者」の割合が80.7%、女性は「子ども」の割合が63.1%と最も高くなっている。前回調査結果と比較すると「ホームヘルパー」の割合が男女ともに倍増している(図1-2-3-14)。
要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、6割が同居している者が主な介護者となっている。その主な内訳をみると、配偶者が25.0%、子が17.9%、子の配偶者が14.3%となっている。また、性別にみると、男性が28.1%、女性が71.9%と女性が多くなっている。
要介護者等と同居している主な介護者の年齢についてみると、男性では65.8%、女性では55.8%が60歳以上であり、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在していることがわかる(図1-2-3-15)。
ウ 家族の介護・看護のために離職・転職する人が増えている
家族の介護や看護のために離職や転職をする人が増えている。家族の介護や看護を理由とした離職・転職者数は平成18(2006)年10月から19(2007)年9月の1年間で144,800人であり、前年から40,600人増加した。とりわけ女性の離職・転職数は、119,200人で、全体の82.3%を占めている(図1-2-3-16)。
また、男女・年齢別にみると、男性は40代及び50代、女性は30代及び40代の離職・転職がそれぞれ約6割を占めている(図1-2-3-17)。
エ 「要介護5」では約半数がほとんど終日介護を行っている
同居している主な介護者が1日のうち介護に要している時間をみると、「必要な時に手をかす程度」が37.2%と最も多い一方で、「ほとんど終日」も22.3%となっている。要介護度別にみると、要支援1から要介護2までは「必要な時に手をかす程度」が最も多くなっているが、要介護3以上では「ほとんど終日」が最も多くなっており、要介護5では約半数がほとんど終日介護している。なお、平成19(2007)年の調査と16(2004)年の調査を比較すると、「ほとんど終日」が0.7ポイント、「半日程度」が2.1ポイント増加する一方で、「必要な時に手をかす程度」が7.5ポイント減少している(図1-2-3-18)。
オ 介護従事者の平均給与額は月平均で約8,900円増加
介護従事者の平均給与額について調査したところ、平成21(2009)年10月1日時点に調査対象施設・事業所に在籍した介護従事者(月給・日給・時給の者の合計)の平均給与額は、20(2008)年と比較して平均で約8,930円の増加、月給の者では約9,460円、時給の者では約1,590円の増加となっている。
また、職種別の平均給与額の増加額は、平均で看護職員では約8,530円、介護職員では約8,790円、生活相談員・支援相談員では約12,070円、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士または機能訓練指導員では約8,130円、介護支援専門員では約9,340円、それぞれ増加した(表1-2-3-19)。
平均給与額 | 集計対象数 | |||
---|---|---|---|---|
平成21年 | 平成20年 | 差 | ||
月給・日給・時給の者 | 229,930 | 221,000 | 8,930 | 48,926 |
月給の者 | 287,300 | 277,840 | 9,460 | 38,022 |
時給の者 | 105,120 | 103,530 | 1,590 | 9,741 |
〈職種別(月給・日給・時給の者)〉 | ||||
看護職員 | 306,730 | 298,200 | 8,530 | 7,859 |
介護職員(訪問介護員を含む) | 197,960 | 189,170 | 8,790 | 29,504 |
生活相談員・支援相談員 | 296,700 | 284,630 | 12,070 | 3,624 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 274,940 | 266,810 | 8,130 | 2,859 |
介護支援専門員 | 314,650 | 305,310 | 9,340 | 4,429 |
資料:厚生労働省「平成21年度介護従事者処遇状況等調査結果」 | ||||
(注1)介護従事者の集計にあたっては、平成21年の調査日に当該施設・事業所に在籍した介護従事者のうち、平成20年と平成21年ともに在籍している者についてのみを集計対象としている。 | ||||
(注2)介護従事者の平均給与額は、以下により算出 | ||||
月給の者:基本給+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6) | ||||
日給の者:基本給×実労日数+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6) | ||||
時給の者:基本給×実労働時間+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6) |