第1章 高齢化の状況(第2節4(1))
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
4 高齢者の就業
(1)高齢者の就業状況
ア 60歳を過ぎても働く高齢者、働きたい高齢者は多い
高齢者の就業状況についてみると、男性の場合,就業者の割合は、55~59歳で90.5%、60~64歳で73.1%、65~69歳で50.1%となっており、60歳を過ぎても、多くの高齢者が就業している。また、不就業者では、60~64歳の不就業者(26.9%)のうち3割以上の者が、65~69歳の不就業者(49.9%)のうち2割以上の者が、それぞれ就業を希望している。また、女性の就業者の割合は、55~59歳で61.6%、60~64歳で43.5%、65~69歳で28.2%となっている(図1-2-4-1)。
また、60歳以上の有職者の就業を希望する年齢についてみると、平成20(2008)年の意識調査では、「働きたいうちはいつまでも」が39.9%であり、19年調査と比べるとやや減少しているものの、依然として「働きたい」という意識は高いことがわかる(図1-2-4-2)。
イ 高齢者が就業を希望する理由は「健康を維持したい」が最多
高齢不就業者が就業を希望する理由をみると、男性は55~59歳で「失業している」の割合が52.5%と高いが、年齢階級が上がるにつれて大幅に減少し、「健康を維持したい」、「知識や技能を生かしたい」の割合が増加しており、65歳以上では「健康を維持したい」が30.6%と最も高くなっている。女性も、男性と同様、年齢階級が上がるにつれて「失業している」の割合が減少し、「健康を維持したい」の割合が増加している(表1-2-4-3)。
(%) | |||||||||
失業している | 収入を得る必要が生じた | 知識や技能を生かしたい | 社会に出たい | 時間に余裕ができた | 健康を維持したい | 学校を卒業した | その他 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男 | 総数(55歳以上) | 18.5 | 15.7 | 12.4 | 5.4 | 9.2 | 23.5 | 0.0 | 15.3 |
55~59歳 | 52.5 | 13.3 | 7.2 | 4.7 | 2.4 | 5.9 | 0.0 | 13.8 | |
60~64歳 | 21.1 | 16.8 | 12.4 | 5.7 | 10.9 | 18.6 | 0.0 | 14.4 | |
65歳以上 | 7.7 | 15.9 | 13.8 | 5.4 | 10.4 | 30.6 | 0.1 | 16.1 | |
女 | 総数(55歳以上) | 7.4 | 22.8 | 8.2 | 7.9 | 14.5 | 21.2 | 0.1 | 18.0 |
55~59歳 | 12.2 | 25.1 | 8.8 | 10.0 | 17.8 | 11.0 | 0.0 | 15.3 | |
60~64歳 | 8.2 | 22.3 | 7.9 | 8.7 | 15.3 | 19.8 | 0.0 | 17.8 | |
65歳以上 | 3.0 | 21.2 | 8.0 | 5.6 | 11.2 | 30.5 | 0.1 | 20.4 | |
資料:総務省「就業構造基本調査」(平成19年) | |||||||||
(注)就業希望者とは、無業者のうち「何か収入になる仕事をしたいと思っている者」を指す。 |
ウ 60歳を境に非正規雇用が増加
高齢者の雇用形態についてみると、会社などの役員を除く雇用者のうちの正規の職員・従業員の数は年齢が高まるとともに減少し、それと相まって非正規職員・従業員の比率は、60歳を境に増加している(図1-2-4-4)。