第1章 高齢化の状況(第3節4(1))

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第3節 高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~

4 「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へと向かう取組

(1)元気な高齢者を孤立した高齢者の「支え手」に

こうした社会的孤立状態の改善に向けた取組を進めていくうえで、第一のポイントは、現実の高齢者に目を向ければ潜在的な「支え手」は多く、それをどのようにして顕在化させるかである。
平成21年に“団塊の世代”の665万人(平成20年10月1日現在で59~61歳の者)が全員60歳を超えた。仕事を引退し、生活の中心を職場から地域に移す者が急増し、今まで仕事を通じて得てきた充実感や達成感を、今後は地域活動から得ようとするケースも増えてこよう。孤立した高齢者への支援は、元気な高齢者の「出番」であり、地域社会における新たな自己実現の舞台となりうると考えられる。
60歳以上の男女を対象とした内閣府の調査によれば、「困っている世帯に手助けしたい」と考える者は8割に上る一方で、実際に「手助けをしている」者は3割にとどまっており(図1-3-14)、「手助けしたい」という高齢者の気持ちと実際の行動のギャップは大きい。

「手助けしたい」という気持ちを実際の活動へとつなぐためには、高齢者全般への啓発も必要であるが、地域の支え合い活動の事例を見ると、活動のまとめ役になるリーダーの存在が、地域に潜在している「支え手」を活動へと引き出す役割を果たしている場合が多い。そうしたリーダーになる人材を発掘し、養成していくことが、支え手の裾野を広げていくためにも重要であると考えられる。このような観点から、行政や民間による人材育成の取組が行われているところであり、その成果が期待される。

→(コラム「高齢社会の支え手をいかにして増やすか」参照)

こうした取組は、ボランティアなどで社会参加することが、本人の心身の健康保持にも役立ち、介護予防になることも期待できるなど、高齢者の社会的孤立状態の改善だけにとどまらず、「支え手」の側にも様々な好ましい波及効果を及ぼしうるものと考えられる。
また、地域社会における「支え合い」を下支えする試みとして、地域通貨のような工夫も広まっている。日常的なちょっとした手伝いを行った場合に謝礼として地域通貨を受け取り、その地域通貨を支援が必要となった場合や地元の商店街等で利用するといった仕組みである。こういった取組を通じて、元気な高齢者が手助けを必要とする高齢者を支え、支えを必要とするときには他の高齢者に支えてもらう「支え合い」の関係が根付くことが期待される。

→(コラム「『共助』の活性化を目指す地域通貨の取組」参照)

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