第1章 高齢化の状況(第3節1)

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第3節 地域における高齢者の「出番」と「活躍」~社会的孤立を超えて地域の支え手に~

1 社会的孤立の実態

本節では、高齢者の社会的孤立の実態をさまざまな角度から眺めた上で、社会的孤立の解消・防止に向けた各地域における取組事例を紹介し、今後の取組の方向性について考察する。

なお、ここでは、「社会的孤立」を「家族や地域社会との交流が、客観的にみて著しく乏しい状態」という意味で用いる。

○一人暮らしの人、近所づきあいや友人づきあい、グループ活動をしない人は、「会話の頻度」が少ない傾向

内閣府が60歳以上の人を対象に実施した調査の結果によると、日頃の会話の頻度(電話やEメールも含む)については、全体の9割以上の人が「毎日会話をしている」と回答しており、「2~3日に1回以下」とした人は6.9%にとどまっている。しかし、性・世帯構成別に見てみると、一人暮らしの人は日頃の会話が少ない人が多く、一人暮らしの男性で41.9%、一人暮らしの女性でも27.8%が、「2~3日に1回以下」と答えている。

また、「近所づきあいの程度」、「親しい友人・仲間の有無」、「グループ活動への参加の有無」の回答別に日頃の会話の頻度をみてみると、「近所づきあいがほとんどない人」で18.1%、「親しい友人・仲間をもっていない人」で24.7%、「過去1年にグループ活動に参加しなかった人」で9.3%が、会話の頻度が「2~3日に1回以下」と回答しており、近所づきあいや友人づきあい、グループ活動をしない人ほど、会話の頻度が少ない傾向にある(図1-3-1-1)。

(注1)「2日~3日に1回以下」は「2日~3日に1回」、「1週間に1回」、「1週間に1回未満、ほとんど話をしない」と回答した者の合計。

○「近所づきあいがほとんどない人」は、一人暮らしの男性と健康状態がよくない人に多い

ふだん、近所づきあいがほとんどない人の割合は、全体で5.1%であった。性別に見ると、男性は5.4%、女性は4.8%である。これを世帯構成別に見ると、一人暮らしの男性が17.4%と最も高く、近所づきあいをしていない人が多いという結果となった。また、健康状態別に見ると、健康状態が良くない人で、近所づきあいがほとんどない人が13.5%であった(図1-3-1-2)。

○「困ったときに頼れる人がいない人」は、一人暮らしの男性、近所づきあいがない人、親しい友人・仲間をもっていない人に多い

困ったときに頼れる人がいない人の割合は、全体では2.7%であるが、性・世帯構成別に見ると、一人暮らしの男性で特に割合が高く19.8%にのぼった。一人暮らしの女性は7.3%であった。

また、「近所づきあいの程度」、「親しい友人・仲間の有無」、「グループ活動への参加の有無」の回答別に見ると、「近所づきあいがほとんどない人」で10.5%、「親しい友人・仲間をもっていない人」で16.5%、「過去1年にグループ活動に参加しなかった人」で4.9%が、それぞれ困ったときに頼れる人がいない状況にある(図1-3-1-3)。

○「地域のつながり」を必要だと思っている人は93.6%である一方、「地域のつながり」があると感じている人は77.0%にとどまる

日々の暮らしの中で、「地域のつながりは必要」だと思う人は93.6%であった。これに対し、実際に居住地域で「地域のつながりを感じる」人は77.0%にとどまっている。

これを都市規模別に見ると、「地域のつながりは必要」だと思う人は、大都市(東京都区部と政令指定都市)で91.7%、中都市(大都市を除く人口10万人以上の市)は93.6%、小都市(人口10万人未満の市)は94.1%、町村は95.8%であった。都市規模が大きいほど「地域のつながりは必要」だと思う人の割合が若干下がるものの、大都市であっても9割以上の人が必要性を感じている。

一方で、実際に自分の居住地域で「地域のつながりを感じる」人は、大都市が69.1%、中都市が73.8%、小都市が83.4%、町村が87.8%であり、都市規模が大きいほど、「地域のつながりを感じる」人が少ない状況にある。

これを性・世帯構成別にみてみると、「地域のつながりは必要」だと思う人は、一人暮らしの男性で82.8%とその割合がやや低くなっている。また、「地域のつながりを感じる」人は、一人暮らしの男性で56.9%、一人暮らしの女性で68.0%と、一人暮らしの人で低い傾向にある(図1-3-1-4)。

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