第1章 高齢化の状況(第3節 2)
第3節 〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について(2)
2 経済生活全般の状況について
(1) 現在の経済的な暮らし向きについて
全国の60歳以上の男女に、現在の経済的な暮らし向きについて聞いたところ、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」又は「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した割合(心配なく暮らしていると回答した割合)は前回調査時と比較してやや低下しているものの、7割弱となっている(図1-3-12)。

性・年代別で見ると、女性は75歳以上の各年代において、心配なく暮らしていると回答した割合が男性よりも低くなっている。65歳以上の男女で見ると、男女ともに「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」又は「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した割合が7割弱となっている。
家族形態別で見ると、ひとり暮らしの人は、心配であると回答した割合がひとり暮らし以外の人を大きく上回っている(図1-3-13)。

(2) 現在の収入、生活費の額について
ア 現在の1か月当たりの収入の額
全国の60歳以上の男女に、現在の仕事・年金による1か月当たりの収入を聞いたところ、30万円~40万円未満と回答した割合が最も高く、次いで、20万円~25万円未満、25万円~30万円未満と回答した割合が高い。「収入はない」と回答した割合は1%未満となっており、ほとんどの世帯には何らかの収入がある(図1-3-14)。年額でみた収入の中央値は、280万円となった。

性・年代別で見ると、女性は65歳以上の各年代において15万円未満(年額では180万円未満)と回答した割合が男性よりも高い。
家族形態別で見ると、ひとり暮らしの人は10万円~15万円未満(年額では120万円~180万円未満)と回答した割合が最も高く、ひとり暮らし以外の人は30万円~40万円未満(年額では360万円~480万円未満)と回答した割合が最も高い(図1-3-15)。

イ 現在の1か月当たりの生活費の額
全国の60歳以上の男女に、現在の1か月当たりの生活費を聞いたところ、20万円~25万円未満と回答した割合が最も高く、次いで、30万円以上、15万円~20万円未満と回答した割合が高い(図1-3-16)。中央値は、20万円となった。

性・年代別で見ると、女性は各年代において20万円未満と回答した人の割合が男性を上回っている。
家族形態別で見ると、ひとり暮らしの人は10万円~15万円未満と回答した割合が最も高く、ひとり暮らし以外の人は30万円以上と回答した割合が最も高い(図1-3-17)。

(3) 収入不足への対応について
全国の60歳以上の男女に、現在より収入を増やす必要がある場合、これからどのような方法をとるかを聞いたところ、「節約等により支出を減らす」と回答した割合が最も高く、次いで、「貯蓄を取り崩している」、「自分が仕事をして収入を得る」が高い(図1-3-18)。

性・年代別で見ると、男性は各年代において、「自分が仕事をして収入を得る」と回答した割合が女性を上回っている(図1-3-19)。

(4) 経済的な面の不安について
全国の60歳以上の男女に、今後の生活において、経済的な面で不安に思うことはあるかについて聞いたところ、「物価が上昇すること」と回答した割合が7割以上で最も高く、次いで、「収入や貯蓄が少ないこと」、「自力で生活できなくなり、転居や有料老人ホームへの入居費用がかかること」、「災害により被害を受けること」、「自分や家族の医療・介護の費用がかかりすぎること」と回答した割合が高い(図1-3-20)。

性・年代別で見ると、女性は85歳以上を除く各年代において「災害により被害を受けること」と回答した割合が男性を上回っている(図1-3-21)。
