第1章 高齢化の状況(第3節 3)
第3節 〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について(3)
3 今後の備えについて
(1) 老後に備えた民間保険等の加入状況について
全国の60歳以上の男女に、公的年金・保険のほかに、老後の備えとして私的な年金・保険(民間保険等)に加入しているかを聞いたところ、「生命保険」と回答した割合が5割以上で最も高く、次いで、「病気やけがのための保険」と回答した割合が高い。また、前回調査時と比較すると、「生命保険」、「病気やけがのための保険」、「個人年金」、「介護のための保険」、「企業年金」と回答した割合はいずれも上昇しており、「いずれも加入していない」と回答した割合は大きく低下している(図1-3-22)。

性・年代別で見ると、「いずれも加入していない」と回答した割合は、65歳以上においては、男女共に年代が高くなるほど高い。また、男女共に65~69歳が民間保険等に加入している割合が一番高かった。
家族形態別で見ると、ひとり暮らしの人は、「いずれも加入していない」と回答した割合がひとり暮らし以外の人を大きく上回っている(図1-3-23)。

(2) 老後のために必要だと思う備えについて
全国の60歳以上の男女に、老後の備えとして、今後どのようなことに取り組む必要があるかを聞いたところ、「健康に関する備え(健康の維持・増進、介護予防、保険、病気やけがの治療等)」と回答した割合が約8割で最も高く、次いで、「終活関係の準備(自身の葬儀やお墓の準備、財産等の整理・相続の準備)」と回答した割合が約4割となった。また、「財産管理に関する備え(認知機能の低下等に伴う、財産管理の相談(金銭管理サービスの利用等))」と回答した割合は1割未満で最も低い(図1-3-24)。なお、65歳以上について見ると、全体と比較した際、「資産形成(貯蓄・投資)など」と回答した割合が低かった。

性・年代別で見ると、「資産形成(貯蓄・投資)など」と回答した割合は男女共に年代が高くなるほど低く、女性は各年代において「防災・防犯に関する備え(住宅の防災対策、防災用品の備蓄、防犯システムの利用等)」と回答した割合が男性を上回っている。また、男女共に、85歳以上を除く各年代において「財産管理に関する備え(認知機能の低下等に伴う、財産管理の相談(金銭管理サービスの利用等))」と回答した割合が最も低い。
家族形態別で見ると、同居者の有無にかかわらず、「健康に関する備え(健康の維持・増進、介護予防、保険、病気やけがの治療等)」と回答した割合が最も高く、「財産管理に関する備え(認知機能の低下等に伴う、財産管理の相談(金銭管理サービスの利用等))」と回答した割合が最も低い。また、親と同居している人は「住まいに関する備え(住宅の確保やリフォーム、修繕等)」と回答した割合がそれ以外の人を上回っている(図1-3-25)。

(3) 今後の生活の中で準備しているものについて
全国の60歳以上の男女に、今後の生活の中で準備をしているものを聞いたところ、「準備しているものはない」と回答した割合が約4割で最も高く、次いで、「身の回りの所有物の整理」、「お墓の準備」、「葬儀の準備」と回答した割合が高い(図1-3-26)。

性・年代別で見ると、女性は85歳以上を除く各年代において「身の回りの所有物の整理」、「葬儀の準備」、「お墓の準備」等と回答した割合が男性を上回っており、男性は85歳以上を除く各年代において「準備しているものはない」と回答した割合が女性を上回っている。
家族形態別で見ると、同居者の有無にかかわらず、「準備しているものはない」と回答した割合が最も高い一方、親と同居している人は、次いで、「葬儀の準備」が高いほか、親と同居している人を除いては、「身の回りの所有物の整理」と回答した割合が高い(図1-3-27)。

また、老後のために必要な備えとして「終活関係の準備(自身の葬儀やお墓の準備、財産等の整理・相続の準備)」を挙げた人のうち、今後の生活の中で「準備しているものはない」と回答した割合は約3割となっている(図1-3-28)。
