第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス)

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第3節 〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について(トピックス)

事例1 しごとコンビニ ~「ちょっとだけ働きたい」をかなえる「しごと」と人材のマッチング~

事業の目的・概要

岡山県勝田郡奈義町(人口5,420人、高齢化率36.1%(令和7年4月1日現在))では、町民の間に「奈義町には働き手はいないし仕事もない」という認識が広がっていた。しかし、「ちょっとだけ働きたい」という高齢者や子育て中の若い世代がいる一方、人手が足りず事業の拡大等が難しいと考えている事業所が多くあった。つまり、奈義町には働き手と仕事があるにも関わらず、必要な人に必要な情報が届いていないという課題が浮かび上がった。

そうしたニーズに対応すべく、平成28年、地域の人と仕事を発掘してつなぐ「しごとコンビニ(注)」事業を開始した。この事業は当初、町から委託を受けた事業者が運営したが、令和元年度から地域主導に切り替え、現在は一般社団法人奈義しごとえん(以下「しごとえん」という。)が運営している。

具体的な取組内容

しごとコンビニの仕組みは、しごとえんが依頼主から業務委託を受けた「しごと」を働き手ごとに分解して再委託するというもので、具体的には、しごとえんの拠点である「しごとスタンド」に、奈義町在住の専門スタッフが常駐し、「しごと」の依頼主と働き手双方の希望をヒアリングし、依頼主側が働く人に求める技術等と働き手側が希望する条件や身に付けているスキル、将来ビジョンを把握することで、依頼主の「しごと」を作業内容や時間で分解してマッチングしている。また、働き手のスキルアップのため、「しごと」に必要な知識や技術を習得するための研修会等を開催し、人材育成も行っている。

さらに、働き手の急な体調不良等にも対応できるよう働き手にチーム制も導入し、「しごと」をすることへのハードルを下げ、マッチング率を向上させる工夫も行っている。

具体的な取組内容

事業効果

「しごとコンビニ」の登録者数及び仕事の依頼件数は徐々に増加し認知度も上昇している。また、手軽に短時間で働ける場所が身近にあり、「しごと」を通して高齢の方や子育て世代の方につながりができ、多世代の交流も生まれているほか、働くことが生きがいになり、生涯活躍できるまちづくりにも寄与している。

事業効果

今後の展開

現在、例えば草刈りの依頼は多くても働き手が少ない、逆に事務作業を行いたい働き手は多くても依頼が少ないというように、ニーズのバランスが取れずマッチングが困難なものもあるため、今後はそういった課題にも対処しつつ、働きたい住民の希望に沿えるよう支援していくこととしている。


(注) 一般社団法人つながる地域づくり研究所が事業設計したもので、現在7自治体で導入されている。導入時には必要な知識や技術のレクチャーや拠点づくりのサポート、仕事や登録者集めの研修等を行い、導入する現場で自走できるようにサポートしている。
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