第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス)

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第3節 〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について(トピックス)

事例3 地域力をかした公民学連携のスマートフォン(スマホ)講座 ~仲間とスマホ操作を楽しく習得~

事業の目的・概要

東京都墨田区(人口287,766人、高齢化率20.5%(令和7年4月1日現在))では、「デジタルデバイド」の解消を目的に基本的なスマホ操作を学ぶ講習会を実施している。その中で、高齢者がスマホ操作を習得するためには反復練習が必要であるところ、その目的や相手がおらず、スマホを使う機会が少ないため、習熟に繋がらないといった問題が顕在化していた。

そこでそのような問題に対応すべく、令和4年度からスマホ利活用の習慣化を目的として、区内老人クラブ会員を対象に、民間事業者提供のスマホ習慣化アプリ「みんチャレ」を活用したスマホ講座を開始し、令和5年度からは区内老人クラブ会員に限らず実施している。

具体的な取組内容

スマホ講座は3つのSTEPに分けられており、まず、STEP1ではスマホの基本操作とみんチャレの使い方を2日間学び、その後およそ3か月間、みんチャレによって基本操作の反復練習を行う。反復練習の内容は、最大5人1組のチームを組み、チーム内で毎日歩いた歩数とその日にスマホで撮影した写真にコメントを付けて投稿するというもので、グループ内の仲間と交流しながら文字入力やカメラ機能を楽しく習得できるように工夫されている。くわえて、みんチャレを続けると貯まるコインを区内の社会貢献活動に寄付できる仕組みがあることが、参加者がアプリを続けるモチベーションになっている。STEP2は、区内大学と連携し、大学生が教材作成から講師までを担当して、SNSや無料通話アプリ、インターネット検索の使い方講座、スマホを使ったキャッシュレス決済体験や防災訓練等発展的な内容を2日間実施。STEP3は、スマホ交流会を開催し、高齢者同士で日々のスマホ活用方法を共有する機会を設けたり、スマホサポーターの育成を目指している。

スマホ講座

事業効果

令和5年度事業参加者のみんチャレ90日間継続率は88%、外出時のスマホ携帯率の向上は85%、スマホを使った交流の機会は75%増加している。参加者からは「スマホを覚える大変さよりも楽しい気持ちが上回った」、「写真を撮るために毎日持ち歩くようになった」といった声が寄せられており、スマホの利活用の習慣化を実現している。また、講座の企画・運営等で参加している地元大学生との世代間交流にもつながっている。

事業効果

今後の展開

本取組を区内にある地域包括支援センター等高齢者コミュニティで自走化することを目指しており、スマホを使うことに慣れてきた先輩受講者が講習会補助員(スマホサポーター)として教える側に回るなど、より多くの高齢者がスマホを継続的に使ってもらえるように取り組んでいくこととしている。

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