第2章 令和6年度高齢社会対策の実施の状況(第3節 1)

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第3節 〈特集②〉新たな高齢社会対策大綱の策定について(1)

高齢社会対策大綱(以下本節において「大綱」という。)は、高齢社会対策基本法(以下本節において「基本法」という。)第6条に基づき政府が策定する、政府の高齢社会対策の基本的かつ総合的な指針である。近年の様々な経済社会情勢の変化等を踏まえ、新たな大綱が令和6年9月13日に閣議決定された。本節では、大綱策定に至るまでの経緯、大綱に盛り込まれた主な施策の内容等について紹介する。

1 課題認識(注2)

我が国の高齢化率が上昇の一途をたどる中、近年、経済社会における様々な変化が急速に進んでいる。高齢化率が上昇する一方で、生産年齢人口は減少を続けており、令和22年までに約1,200万人の減少が見込まれるなど、様々な分野において担い手の不足や高齢化が懸念されている。

一方、平均寿命の延伸や高齢期における体力的な若返りが指摘される中、65歳以上の就業者数・就業率、社会活動への参加割合は上昇傾向にある。

健康・福祉分野に目を向けると、要介護者等の増加に伴い、介護職員必要数の増加が見込まれているほか、介護離職者や認知症の高齢者等の増加による影響等も懸念されている。

生活環境の分野では、更なる高齢化、未婚化、単身世帯化の進行を背景に、令和22年には一人暮らしの高齢者が約1,041万人にまで達する見込みであること、また、高齢者の入居に対し、賃貸人(大家等)の約7割が拒否感を有していること、交通事故死者数や特殊詐欺被害者に占める65歳以上の割合が高いこと等が懸念されている。


(注2)第1回高齢社会対策大綱の策定のための検討会(令和6年2月15日開催)資料5を基に記載しており、必ずしも本書刊行時点での最新の数値とは一致しない。
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