第2章 令和7年度高齢社会対策の実施の状況(第2節 トピックス)

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第2節 分野別の施策の実施の状況(トピックス)

トピックス3 デジタル技術を活用した高齢者の日常生活を支える事例 ~高齢者を支える人をも支える技術~

「高齢社会対策大綱」においては、高齢者等のサポートに係る技術の開発や社会実装等の推進、介護ロボットやICT機器等の介護テクノロジーの導入や定着に向けた支援などによる介護職員の業務負担の軽減などが盛り込まれているところ、以下においては、デジタル技術を活用した高齢者の日常生活を支える事例について紹介する。

事例① スマートスピーカーを活用した「高齢者見守り・オンライン診療」(愛媛県宇和島市)

愛媛県宇和島市(人口64,801人、高齢化率41.7%(令和8年4月1日時点))では、市内の独居高齢者、高齢者世帯に設置したスマートスピーカーを活用した「高齢者の見守り・オンライン診療」の取組を実施している。本取組は内閣官房主催のDigi田甲子園の地方公共団体部門で「内閣総理大臣賞(審査委員選考枠)」を受賞したものである。

取組に至った経緯

宇和島市は高齢化率が4割を超える地域であり、特に島しょ部では医師不足が深刻化していた。行政、医療、介護の既存体制だけでは独居高齢者等の支援に限界が生じており、市民が望む在宅での生活を支えるには、新たな連携と効率的なサービス提供が喫緊の課題であった。こうした背景から、日本郵便株式会社が実施していたスマートスピーカーを活用した見守りサービスに着目し、デジタル田園都市国家構想交付金を活用することで、オンライン診療を含む包括的な支援体制の構築が具体化された。

取組の特徴

この事業は、独居高齢者宅にスマートスピーカーを設置し、体調や服薬状況の確認、家族への自動通知を行うとともに、日本郵便社員が定期的に戸別訪問して生活状況の確認や、スマートスピーカーの操作支援を実施し、必要に応じて家族や行政、居宅介護事業所とのオンライン通話を可能にするものである。

特徴的な点としては、日本郵便社員がタブレットを持参してオンライン診療や服薬指導を支援し、処方薬の配達までを一貫して行っていることが挙げられる。また、Wi-Fiルータの貸し出しにより、ネット環境の有無に関わらずサービス提供を可能にしている。行政、医療、介護、そして日本郵便の四者連携により、地域包括ケアシステムの強化につながっている。

スマートスピーカー

スマートスピーカー

事業の効果

この取組により、例えば、オンライン服薬指導は従来の訪問に要する2時間半をわずか10分に短縮し、薬剤師がより多くの患者に対応できるようになるなど、特に島しょ部における医療提供の効率性が飛躍的に向上したほか、「できるだけ自宅で」と願う高齢者のニーズに応え、場所を問わない在宅医療の実現を可能にしている。また、デジタル機器に不慣れな高齢者も多い中で、家族の協力と日本郵便社員の丁寧なサポートにより、市内の高齢者を支援している。

事例② 排泄検知センサー「ヘルプパッド」(株式会社aba)

株式会社abaでは、「におい」を活用した排泄検知センサー「ヘルプパッド」を開発・展開している。本取組は厚生労働省主催の第1回CARISO Caretech Startup Awardsでグランプリを受賞したものである。

製品の特徴

「おむつを開けずに中が見たい」という介護現場のニーズを踏まえ開発されたヘルプパッドは、いくつかの特徴が挙げられる。一つ目の特徴として、ベッドに敷くだけで排泄状況を把握できる点である。パッドに内蔵されているセンサーが「におい」「温度」「湿度」を捉え、AIが尿と便を検知することで、利用者毎に最適なおむつ交換タイミングを知らせることができる。

二つ目の特徴は、この製品はシート型を採用しており、身体に装着することなく排泄状況を把握することができるため、利用者の負担を軽減できることである。

さらに、製品にはSIMが内蔵されており、スマートフォンやパソコン等に最適なおむつ交換タイミングを通知することができる。また、そのデータは自動でグラフ化され、施設内で共有したり、利用者の課題に応じた排泄ケアの検討に活用できる。

導入によるメリット

ヘルプパッドの導入は、介護職員の負担軽減に寄与することが期待される。

導入によるメリットは大きく3つ挙げられる。一つ目は、「空振り」の回避である。おむつ内の状態を把握できるため、定時交換時に不要なおむつ交換を減らすことができる。

二つ目は、尿便漏れの軽減である。最適なおむつ交換タイミングが通知されるため、漏れ出す前の対応が可能となる。これにより、利用者が排泄物に接触している時間の短縮につながり、皮膚への負担軽減にも寄与することが期待される。

三つ目は、定時交換の最適化である。排泄データが蓄積されることで、排泄パターンが見える化される。このデータは、利用者ごとに設定できるため、効率的かつ最適なおむつ交換につながる。

ヘルプパッド

ヘルプパッド

導入事例

現在、ヘルプパッドは全国の特別養護老人ホームや病院を中心に導入が進んでいる。愛媛県松山市の特別養護老人ホーム「サンシティ北条」では、ヘルプパッドの導入により、①おむつ確認回数が35%削減、②おむつの空振りの回数が1週間当たり107回から導入後は約11回に減少(90.1%削減)、③尿便漏れの回数が週14回から約2回に減少(86.2%削減)、などの効果が報告されている。

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