1 国際調査

1.3 方法

a. 調査対象国の障害者権利条約に基づく政府報告、パラレルレポート、事前質問事項、最終見解の通読と要点のまとめ

 政府報告、パラレルレポート、事前質問事項、最終見解を通読する。要点をまとめる際は、一般的意見が公表されている第6条障害のある女子、第9条施設及びサービス等の利用の容易さ、第12条法律の前にひとしく認められる権利、第24条教育に特に注目し整理する。また、現在一般的意見のドラフトが検討されている第5条平等及び無差別、第19条自立した生活及び地域社会への包容についても注目した。
 なお、第9条の内容が第21条表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会に記載されている場合がある点に留意する。ドイツ、スウェーデンの2か国については、平成25年度、26年度内閣府国際調査の内容を参照した。

b. 事前質問事項、最終見解の各国比較による各国に共通する論点及び固有な論点の抽出

 a.で得られた情報をもとに、各国の共通点と相違点を抽出する。各国に共通する論点は、a.で示した一般的意見と深く関連していると考えられる。必要に応じて国連総会に提出される障害者権利委員会に関する報告文書なども参照し、フィリピン、ポーランド、ロシア、スロベニア、ネパール、イギリスに共通する論点を抽出した。
 一方、各国固有の論点については、一般的意見の対象条項に限定せず、各国に関するパラレルレポート、事前質問事項で重点的に言及された項目を対象として検討し、我が国の今後の審査対応で参考となる論点を抽出した。

c. b.で得られた論点とパラレルレポートの比較による反映状況の分析

 b.で得られた情報を基に、各国のパラレルレポートの事前質問事項、最終見解への反映状況を分析する。分析に際しては、提出された文書の要点を時系列に整理し、事前質問事項を軸に、内容の関連性を分析する。また、最終見解が公表されている国については、事前質問事項前後のパラレルレポートと最終見解との内容のつながりを分析した。
 分析に当たっては、対象となるパラレルレポートの内容の総合性や客観性について検討を加える。パラレルレポートの質について確立された客観的な評価基準は存在しないため、例えば、パラレルレポートが言及する条項の多さの他、特定の障害者団体が独自の視点で提出したものか、複数の団体が合同して検討・作成したものか、記述の視点が特定の障害種別に偏っていないかといった観点から、総合性・客観性のレベルを検討・評価する。このようなパラレルレポート評価と事前質問事項や最終見解との関連性分析結果をつき合わせ、審査での影響力が強いパラレルレポートがどのようなものかを分析した。

d. 関連する資料の収集・翻訳

 障害者権利委員会のウェブサイトにて必要な資料を収集し、第5条、第6条、第9条(第21条)、第12条、第19条、第24条などを中心に、aからcの過程で重要と判断された個所を翻訳した。
 対象資料としては、前述のとおり、障害者権利委員会が公表あるいは作成中である一般的意見及びそのドラフトがまず考えられる。その他、必要に応じて、対象各国の関連法、基本計画、ガイドライン、白書、市民社会や人権委員会が発表する報告などの資料を収集し、関連部分について翻訳した。

e. 諸外国における合理的配慮・環境整備に関する指針や取組モデルの実態状況の把握とそれらへの最終見解の影響の分析

 ドイツとスウェーデンの2か国について、障害者権利委員会の最終見解発表後の両国における障害者施策の展開に関する資料を収集し内容の把握と整理、最終見解との関連性の分析を行った。
基本的な資料として、ドイツでは2015年4月の審査終了後、翌2016年に連邦労働社会より、「障害者権利条約のための国内行動計画2.0」が公表されている。一方、スウェーデンでは、2014年4月の審査終了後、2017年5月15日に「政府法案2016/17:188 障害者政策の国としての目標及び方向性」という政府提出法案が公表されている。
 これらの法案や長期計画には、両国がこれから進める合理的配慮・環境整備に関する指針や取組モデルが反映されていることが想定されるため、これらの資料を起点に分析を進める。特に、これらの法案や長期計画が、どのように条約との整合性を確保しているのかを分析した。
 両国では既に、最終見解を踏まえた様々な取組が進められており、それらについて議会や国民に説明・紹介するための資料も公開されている。これまでに把握できた資料のリストを巻末に示すが、本調査に当たってはさらに調査を進め、重要な内容を含む資料があれば追加翻訳と分析を行った。

前のページへ次のページへ