IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-4-1 (6)

4.調査の結果

1)インターネット調査

(6)公的障害者制度の利用者であり、かつ新しい設問で「障害のある者」に該当しない者の分析

 ここでは、公的障害者制度の利用者でありながら、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれの新たな設問でも「障害のある者」に該当しない者について、どのような者なのかということを分析した。

<1>支援の必要性
ア)支援の必要性

 公的障害者制度の利用者のうちワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれも「障害のある者」に該当しない者は418名おり、日常生活における手助け・見守りの必要性については、「必要としている」とする者は3.3%にとどまる。

図表 49 公的障害者制度の利用者であり、かつ新しい設問で「障害のある者」に該当しない者の支援の必要性
(上段:実数、下段:割合)
合計 Q11_日常生活における手助けや見守りの必要性について、お答えください。
1.必要としている 2.必要としていない
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(実数)
418 14 404
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(割合)
100.0% 3.3% 96.7%
イ)支援が必要な者の自立の状況

 公的障害者制度の利用者のうち、ワシントングループ、欧州統計局、WHODAS2.0のいずれの設問でも「障害のある者」に該当しない者であって、「日常生活における手助け見守り」を「必要としている」者の自立の状況については、「何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出できる」が9割超である。

図表 50 公的障害者制度の利用者であり、かつ新しい設問で「障害のある者」に該当しない者であり、かつ支援を必要とする者が必要とする支援の内容
(上段:実数、下段:割合)
合計 Q11_1日常生活の自立の状況について、最も当てはまる状況をお答えください。
1.何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出できる 2.屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出できない 3.屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ 4.1日中ベッド上で過ごし、排せつ、食事、着替において介助を要する
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(実数)
14 13 1 0 0
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(割合)
100.0% 92.9% 7.1% 0.0% 0.0%
<2>日常生活への影響
ア)健康上の問題の日常生活への影響の有無

 公的障害者制度の利用者のうち、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれの設問でも「障害のある者」に該当しない者は418名おり、「現在、健康上の問題で日常生活に影響がある」者は9.6%である。

図表 51 公的障害者制度の利用者であり、かつ新しい設問で「障害のある者」に該当しない者の健康上の問題による日常生活への影響の有無
(上段:実数、下段:割合)
合計 Q12_現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか。
1.ある 2.ない
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(実数)
418 40 378
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(割合)
100.0% 9.6% 90.4%
イ)健康上の問題の影響の内容

 公的障害者制度の利用者のうち、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれも「障害のある者」に該当しない者のうち、「現在、健康上の問題で日常生活に影響がある」とする者について、具体的に表れている影響は以下のようなものである。
 「仕事、家事、学業(時間や作業量が制限される)」が多く25.0%、また「運動(スポーツを含む)」が17.5%、「外出(時間や作業量などが制限される)」が15.0%となってた。また、「その他」も42.5%と最も多い。

図表 52 公的障害者制度の利用者であり、かつ新しい設問で「障害のある者」に該当しない者の健康上の問題による日常生活への影響の内容(内容は複数回答)
(上段:実数、下段:割合)
合計 Q12_1それはどのようなことに影響がありますか。
1.日常生活動作(起床、衣服着脱、食事、入浴など) 2.外出(時間や作業量などが制限される) 3.仕事、家事、学業(時間や作業量などが制限される) 4.運動(スポーツを含む) 5.その他
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(実数)
40 4 6 10 7 17
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(割合)
100.0% 10.0% 15.0% 25.0% 17.5% 42.5%
ウ)健康上の問題の発生時期

 公的障害者制度の利用者のうち、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれも「障害のある者」に該当しない者のうち、「現在、健康上の問題で日常生活に影響がある」とする者について、影響の要因となる健康上の問題が発生してからの経過期間について把握した。
 「10年以上」が最も多く50.0%、「5年以上10年未満」は15.0%、「生まれつき発生している」が12.5%であった。「生まれつき発生している」と「10年以上」という長期間にわたり健康問題が発生している者が半数を超える(12.5+50.0=62.5%)。

図表 53 公的障害者制度の利用者であり、かつ新しい設問で「障害のある者」に該当しない者の日常生活に影響を与える健康問題の発生時期
(上段:実数、下段:割合)
合計 Q12_2日常生活への影響の要因となった健康上の問題が発生してからどれくらい経過しましたか。
1.生まれつき発生している 2.10年以上 3.5年以上10年未満 4.1年以上5年未満 5.6ヶ月以上1年未満 6.1ヶ月以上6ヶ月未満 7.1ヶ月未満
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(実数)
40 5 20 6 4 3 0 2
公的障害者制度利用者であり、かつ、
WG・ES・WHOいずれでも「障害のある者」に該当しない者(割合)
100.0% 12.5% 50.0% 15.0% 10.0% 7.5% 0.0% 5.0%

 (6)での以上の結果を踏まえると、本調査研究では公的障害者制度の利用者でありながら、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれでも「障害のある者」に該当しない者について分析を行ったが、それらの者は支援を必要とする者も少なく、支援を必要としていても日常生活はほぼ自立できているので、公的障害者制度による支援により、そのような支障や影響がない状況になっている、または公的障害者制度による支援の必要性が高くない等の理由が考えられる。

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