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第18回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2002年5月29日(水)17:00〜18:00

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

  議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
  議員 福田 康夫 内閣官房長官
尾身 幸次 科学技術政策担当大臣
片山 虎之助 総務大臣
塩川 正十郎 財務大臣
遠山 敦子 文部科学大臣
平沼 赳夫 経済産業大臣
吉川 弘之 日本学術会議会長
石井 紫郎  
井村 裕夫  
黒田 玲子  
桑原 洋  
白川 英樹  
松本 和子  
吉野 浩行  
 (臨時)    
  議員 川口 順子 外務大臣 (代理 植竹 繁雄 外務副大臣)
坂口 力  厚生労働大臣 (代理 宮路 和明 厚生労働副大臣)
武部 勤 農林水産大臣
大木 浩 環境大臣
中谷 元 防衛庁長官
竹中 平蔵 経済財政政策担当大臣
村井 仁 防災担当大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)国際熱核融合実験炉(ITER)計画について
(2)今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本について
(3)科学技術システム改革について
   ・知的財産戦略について
   ・産学官連携の推進について
   ・競争的資金制度改革について
(4)平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針について
(5)「平成13年度科学技術の振興に関する年次報告」について
(6)その他

3.閉会



(配付資料)

資料1−1 国際熱核融合実験炉(ITER)計画について(案)(PDF)
資料1−2 (参考)ITER計画を巡る海外状況(PDF)
資料2 今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本(骨子案)(PDF)
資料3−1 総合科学技術会議 知的財産戦略専門調査会 中間まとめ(骨子案)(PDF)
資料3−2 産学官連携プロジェクトまとめ(検討中の案の骨子)(PDF)
資料3−3 競争的資金制度改革プロジェクトにおける検討状況(PDF)
資料3−4 (参考)平成13年度に総合科学技術会議が指針を定める等により
関係府省に実施を求めた施策の対応状況(PDF)
資料4−1 平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)の概要(PDF)
資料4−2 平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)(PDF)
資料5−1 平成13年度科学技術の振興に関する年次報告(案)について(PDF)
資料5−2 平成13年度科学技術の振興に関する年次報告(案)
資料6 第17回総合科学技術会議議事録(案(PDF))



(会議概要)

1.議事概要

(1)国際熱核融合実験炉(ITER)計画について

 「国際熱核融合実験炉(ITER)計画」について、資料1−1(PDF)に基づき井村議員から説明。尾身議員から以下の説明があり、他の議員から以下の意見が出された。
 「国際熱核融合実験炉(ITER)計画について(案)」については、原案どおり決定し、内閣総理大臣及び関係大臣に対して意見具申した。

(尾身議員)
 「最適なサイト候補地」については、自由民主党の核融合エネルギー推進議員連盟の森会長にとりまとめ役をお願いし、各方面のご意見を聴いて頂いた結果、総合的に勘案して青森県六ヶ所村を候補地とするのが適当であるとの結論を得て、本日、小泉総理に報告をしていただいた。私及び文部科学大臣、経済産業大臣が一緒にその報告を聞いたが、その結果として青森県六ヶ所村を候補地とするということで、実質的に総理のご了承をいただいたので、その方向で決定させていただきたい。具体的な手続きについては、井村議員から説明のあった原案がご了承いただければ、正式の手続きを進めたいと考えている。

(植竹議員代理)
 外務省としては、ITER計画の共同実施協定の策定に向け、尽力しているところ。サイト誘致については、昨年6月にカナダが誘致を表明しており、EUにおいてもフランス、スペインへの誘致表明を近く行うものと予想している。これらの候補地はいずれも有力であり、サイト選定では厳しい競争が予想される。外務省としても、協定策定に向け今後とも引き続き最大限の努力を行うとともに、我が国への誘致を視野に、文部科学省を支援してまいりたい。

(遠山議員)
 候補地が1か所に絞られてきたので、文部科学省としては、この候補地を提示して政府間協議に臨み、国内誘致を視野に入れて力を尽くしたい。
 ITER計画は科学技術の重点4分野に並ぶ重要な計画であるので、政府全体としての取組みを是非ともお願いしたい。

(塩川議員)
 財務省としても、この方針に沿ってITER計画を推進していきたい。
 蛇足であるが、第二期科学技術基本計画で示した予算は、平成13年度から17年度までのGDPの名目成長率が3.5%を前提としているので、その実現は非常に苦しくなってきている。経費の分担については、財務省としても十分考慮するが、経済成長との関係があることはご了承いただきたい。
 また、この計画を進めることの日本のメリットが何であるかを、正確に、そして、わかりやすく国民に説明できるようにしていただきたい。

(井村議員)
 国際的にもITER計画に対して関心が高まっており、次世代のエネルギーとして、この核融合を実現しようという空気になってきている。そういう意味で、ファーストトラックとして30年ぐらいで核融合の実用化を目指す研究についてこれから議論されることになると思うが、エネルギー資源小国の日本としてはできるだけの力を尽くす必要があると思う。
 ただし、国民の理解は大変重要な問題であるので、文部科学省を中心に努力をしていただくつもりである。



(2)今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本について

 「今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本」について、資料2(PDF)に基づき、桑原議員から説明。
 「今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本」については、引き続き宇宙開発利用専門調査会において、調査・検討を進め、6月には最終案をとりまとめることとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(平沼議員)
 我が国の宇宙産業が技術的キャッチアップの段階から産業化の段階に移行しつつあるという基本認識を持っており、報告書の骨子案にH-UAの民間移管や準天頂衛星システムの開発など産業競争力の強化に向けた取組みの必要性を盛り込んでいることを、経済産業省としては評価している。
 また、H-UAロケットを成功裏に開発し、民間移管が可能となるところまでこぎ着けた文部科学省と宇宙開発事業団のご努力を私は評価したいと思う。

(片山議員)
 宇宙開発の中でも情報通信分野は、通信衛星、放送衛星等の開発に見られるように、大変成功した例だと思っている。通信総合研究所、宇宙開発事業団、NTT、NHK等が連携して研究開発を行い、その成果は衛星通信の利用や衛星放送の受信という形で広く国民に還元されている。総務省としては、今後とも準天頂衛星や超高速インターネット衛星の研究開発、打ち上げなどを文部科学省や民間企業と連携して推進してまいりたい。

(遠山議員)
 文部科学省としては、宇宙開発についての政策の企画立案を始めとして、具体的な業務の責務を負っている立場から、宇宙開発委員会において、総合科学技術会議と連携しながら、今後のロケット、衛星、国際宇宙ステーション計画について具体的プロジェクトの評価を行い、我が国全体の長期的視点も視野に入れた重点的な開発戦略の策定作業を進めている。現在進めている宇宙3機関の統合準備においては、その結果を踏まえて事業の重点化を図るとともに、日本の宇宙航空科学技術を先導する機関としてその機能を強化する必要があると考えている。これについては、現在、関連する機関のみならず関係省庁の機関のトップの方々あるいは企業の方々からの意見も伺いながら検討を進めている。
 H-UAロケットについては、2機の打上げが成功し、技術としては国際水準に達したところだが、これをもっと信頼性の高いものにするのと同時に、可能な限り早い時期に民営化を図ることが今後の課題と考えている。このため、本日、文部科学省、宇宙開発事業団、三菱重工株式会社等の関係者から成る民営化作業チームを設置したところであり、ここを中心にしてH-UAロケットの民営化に向けた諸課題、製造責任の一元化や受注営業体制の強化などを含めた諸課題を整理検討することとしたい。
 最後に、今回の報告書において、宇宙開発にかかる所要資金の拡大の方向性を出していただいたことは大変意義深いと考えており、感謝する。

(村井議員)
 骨子案の3ページ目に、「人工衛星の開発利用のあり方」として、「安全の確保(安全保障・危機管理)」と書かれているが、これはともすれば人工衛星によって軍事的な意味での情報を収集するというところに比重がかかったように受け止められる可能性がある。実際問題としては、例えば地震や洪水が起こったときの災害の状況などを、衛星を通じてかなり把握できるといった技術水準の向上が見られる。こうしたことを書くことにより、国民の理解を得る上で非常に効果があると思うので、是非ご配慮をいただきたい。

(塩川議員)
 骨子案の中にある民間主導による小型ロケットの開発については、何か具体的に考えているのか。

(桑原議員)
 具体的に動き始めている。従来国が開発してきたM−Vについて、技術的に完成した段階で国としての研究開発を中止して民間へ移管していくということを含め、中小型ロケットの開発は民間へ移していこうと思っている。

(塩川議員)
 この分野には、中小企業が参入する機会が非常に多いので、民間移管を進めていただくと大分助かると思う。



(3)科学技術システム改革について

 「知的財産戦略」、「産学官連携の推進」、「競争的資金制度改革」について、資料3−1(PDF)3−2(PDF)3−3(PDF)3−4(PDF)に基づき、井村議員から説明。
 本日の意見も踏まえて、引き続き検討を進めていくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(遠山議員)
 産学官連携の推進については、大学の研究者の自由な発想による創造的な研究が基本であり、その上で大学と産業界がお互いに立場を尊重しながら、両者にとってプラスとなるパートナーシップを確立することが大事。その意味で、基本的認識について、文部科学省としても賛同する。文部科学省では、これまでも大学を核とした産学官連携に着実に努めてきたが、今後も、今回のまとめ案を参考にしながら積極的に取組みたいと思う。本年3月にまとめた国立大学の法人化に関する報告書の中でも、産学官連携の推進は重要な施策として位置づけられている。
 これに関連して総務大臣にお願いするが、地方公共団体から国立大学等に対する寄附について、是非とも枠組みを作っていただきたい。実際に寄附をするかどうかはそれぞれの地方地自治体のイニシアチブと、内容によるところだが、枠組みづくりは是非ともお願いしたい。これによって、大学の研究開発能力が更に発揮できるし、地域への貢献もできる。また、理化学研究所、科学技術振興事業団、海洋科学技術センターの3法人への寄附については、既に現在の地方財政再建促進特別措置法の対象外であるが、独立行政法人化後においてもこの法律の対象外とされる必要があると考えている。
 また、インブリーディングに関する考え方は私ども大変賛成であり、これまでも各大学に自主性を促してきたが、もとより各大学がその責任に基づいて行うべきものであり、一律の数値目標を画一的に押し付けるのはいかがなものか。
 競争的資金制度改革については、報告案の内容は、競争的資金の研究者の人件費への充当、大学の人事や組織運営の在り方など、競争的資金改革だけではなく、より広く大学改革の視点から議論すべき論点も含まれている。今回の議論も参考にしながら、文部科学省の責任において大学改革の作業を着実に進めてまいりたい。

(片山議員)
 地方財政再建促進特別措置法は、国と地方の財政秩序を守るためにある。本来、国が支出するべきものを地方が支出すると、現在の国と地方の財政秩序が乱れる。したがって、まずは遠山大臣が頑張って、塩川大臣も後押しをして、国立大学の研究費を増やしてから、その他の関係資金を増やしていくというのが筋である。
 ただ、そうは言っても、地方公共団体の連携は必要であり、地域における産学官連携は私も必要だと思っているので、例えば共同研究や委託研究、あるいは対価を得るようなものについては広げても良いと思うが、寄附については法律の趣旨からいってお断りせざるを得ない。
 また、投資家税制については、投資した時点で減税しようという議論が昔からあるが、これは税の理屈では通らない。投資できる余力があるお金持ちが投資するため、税金をまけるということは、ストレートには理解できない。また、私立大学に対する寄附についても、拡充してきてはいるが、まだ不十分だという議論があるので、検討の対象にすればいいと思うが、いずれにせよ成案を得る段階で意見を言わせていただく。

(塩川議員)
 地方公共団体から国立大学等に対してもっと金を出せということは、よく聞くが、地方公共団体もそれだけのメリットがあるかを計算するので、駅弁大学がもっとしっかりと研究に取組んでいただきたい。投資するだけのメリットが出てくれば国も地方公共団体も考えようがあるが、今はまだメリットが出てきていないのは残念に思う。東京大学や京都大学などの有名大学に集中し過ぎていると思うので、その辺は一度学界としても考えていただきたい。
 また、私立大学の研究寄附金の問題については、私立大学は現在の制度である特増資金の寄附金も枠が余っているし、一般寄附でも枠を半分も使っていない。特に特増を使うのは特定の大学だけで一般大学は使っていない。一般寄附金も同様であり、実際は半分も使っていない。子供がおもちゃを欲しがるようにやんやと言うが、おもちゃを欲しがる前に、自分たちが持っているものを使うことを考えていただきたい。

(遠山議員)
 地方公共団体からの寄附と、私立大学の研究寄付金のいずれについても、私は仕組みとして弾力化していく必要があると思う。それをどのように使いこなすかが、まさに大学人のこれからの努力の成果をみるべきことではないかと思う。

(片山議員)
 委託研究、共同研究ならばいい。

(遠山議員)
 委託研究、共同研究では目的が達せられないものがある。時間節約のため、詳しくは申し上げないが、よろしくお願いしたい。

(片山議員)
 そこは詳しく言わないとだめ。ただ、金出せ、寄附しろ、ではだめである。

(尾身議員)
 地方公共団体から国立大学への寄附については、昭和29年の法律で原則禁止になっている。実は、最近地方公共団体と国立大学の協力関係が非常に強くなっており、地域の活性化のためには地元の国立大学がもっとしっかりして欲しい。そのためには、地方の知事や県は寄附をしたいと思っているが、この法律のために寄附ができない。また、地方の国立大学の方も寄附をもらいたいと思っているが、この法律のために寄附をもらえない。地域産学官連携サミットにおいても、各地方で大合唱となっている。
 もちろん一定の条件は必要だと思うが、もう少しこの規制を緩和して、地方の自主性に応じたことを是非やらせていただきたいということで、片山大臣ともよくご相談させていただく。

(片山議員)
 地方の人は、尾身大臣に会う時はそういうことを言っているが、私に会うときは別のことを言っている。大合唱なんかではない。

(尾身議員)
 例えば自治省出身の知事も、是非法律の見直しをして欲しいと言っており、そういう要望が地方公共団体と国立大学の両方からでているので、是非ご検討をお願いしたい。
 また、私立大学の寄附の問題は、みなし所得課税制度のために、大学に寄附することが現実に非常に難しく、アメリカとの格差が非常についている。例えば、ある個人が熱海に昔1億円で購入した別荘を持っていて、これを私立大学に寄附したいと思った場合に、この別荘が現在10億円に値上がりしているとすると、値上がりした9億円分については税金を支払わなければならない。その結果として私立大学の経済基盤が非常に弱いため、私立大学の研究が科学技術の方まで及んでいない。科学技術政策の観点からも是非私立大学に対する寄附をアメリカ並みにしていただきたい。

(塩川議員)
 それは寄附の仕方の問題である。

(尾身議員)
 個人が個人財産を寄附するときに、みなし所得課税制度によりその所得分の税金を先に払ってからでなければ寄附できないため、それならば寄附しない方がいいということになってしまう。
 また、投資に対する税制については、英国ではベンチャー企業に出資すると20%程度の税額控除が受けられる制度があり、そのために個人金融資産が大学だけではなく、ベンチャーに非常に投資されている。この制度は、日本の個人資産を大学だけではなくベンチャーに投資するために非常にいい制度であるので、科学技術を進めるためにも、英国並みの制度をつくることが必要である。税制の問題なのでよく検討するが、よろしくお願いしたい。

(平沼議員)
 現在、投資については、結果に対して税制上の優遇はあるが、投資段階でのインセンティブがない。米国では一連のベンチャーを起こして黄金の90年代を迎えたという軌跡をたどると、やはり我が国においても1,400兆円の個人金融資産で動くようにするのがよい。税収は一時的に非常に失われるという感じがするが、結果的には大きな果実をつみ取ることができるので、私は尾身大臣が言われたことに賛成である。

(塩川議員)
 財務省としても、研究開発資金については、何らかの減税措置をとりたいと思う。

(井村議員)
 今、地域にいろいろなクラスターがつくられているが、地方自治体が土地を持っており、そこに大学の建物を建ててほしいと要望しても、今の地方財政再建促進特別措置法ではできない。

(片山議員)
 国に買ってもらえばいい。国と地方の責任分野を分けているので、そこを見直さないで金だけ出せというのはなかなか通らない。

(井村議員)
 土地を貸してもらえればいいのだが、そのためにもかなりのお金が要る。

(片山議員)
 いろいろなケースがあるので運用を弾力化すればいいが、本来国が支出する責任のあるものを、地方団体に支出しろというのはなかなか通らない。余裕があれば別だが。

(井村議員)
 それは大学が要求するのではなく、むしろ地方自治体が望んでいる場合が多い。いろいろ調べていただきたいが、現実にそういうケースを幾つか知っている。

(小泉議長)
 今、規制改革の中で、経済特区や、あるいは農水省には農業特区を考えてもらっている。井村先生は大学と病院と研究開発機関の規制緩和によって神戸の復興に大変お骨折りいただいているということだが、大学を中心とした知的特区というのは考えられないか。国と地方の縄張りということではなく、大学を中心とした大学研究開発機関、病院、学生も参加できるような特区のようなものを検討し、産学官の連携をもっと生かすようにしてはどうか。

(井村議員)
 検討させていただきたい。

(小泉議長)
 特に井村先生の今までの経験を生かして。

(井村議員)
 神戸市では、神戸市所有の土地を利用して理化学研究所の研究センター及び神戸市の財団による研究センターをつくっている。それ以外に、神戸大学にも、インキュベーターを出していただきたいと思っているが、これは先ほどの地財法と絡んでくる。また、いろいろな大学から研究者が集まる仕組みを現在つくりつつある。
 どういう特区にすればそれが一層発展するかは、少し検討をしてみたい。このようなクラスターが少しずつ地方にできつつあるので、それが発展するためには、規制緩和もふくめてどのような制度が必要か検討したい。

(中谷議員)
 防衛安全保障面の我が国の一般大学の研究の在り方は、これまで目に見えない垣根みたいなものがあり、研究や人的交流もなかなか速やかにいっていない部分があった。
 しかし、情報通信や宇宙・衛星などは、アメリカに比べて大変大きく立ち遅れている。日本では光ファイバーなどのインフラは家庭には敷設されているが、先般の不審船問題のときも写真の電送に数時間かかったという現状がある。国民の安全と国の安全保障の面で、是非こういう点においてもタブー視なく研究できる体制等を今後とも協力して総合的に検討していただきたい。



(4)平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針について

 「平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)」について、資料4−1(PDF)に基づき、白川議員から説明。
 「平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」については、引き続き専門調査会を活用しつつ検討を進め、6月にはとりまとめを行うこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(遠山議員)
 総合科学技術会議では、各省の行う施策の重点化を踏まえて、総合指令塔として日本全体の視点から構造改革を図り、科学技術創造立国にふさわしい予算等の確保に向けて努力していただきたい。
 文部科学省では、これまでも科学技術・学術審議会の場で平成15年度の資源配分の方針に盛り込まれるべき事項について検討しており、既に総合科学技術会議とも連絡を取らせていただいている。
 また、文部科学省としては、科学技術及び経済活性化の問題については特に力を入れ、大学等を核とした産学官連携の推進、地域科学技術の振興等のシステムを積極的に推進したい。また、リーディング・プロジェクトについては、目指す目標を明確にして基礎研究とも関連を持ちながら、短期的、中長期的に成果を生み出せるようなものについて精査をし、総合科学技術会議にお願いをしたいと思っている。

(大木議員)
 平成15年度の予算等の重点事項として、今回新たに化学物質リスク総合管理技術研究及び地球規模水循環変動研究の2つを加えていただいているが、これは今秋に開催予定のヨハネスブルグの環境サミットでも取り上げられる問題なので、よろしくお願いしたい。
 また、京都議定書が間もなく国会で承認されると思うが、その国内的な措置の一環として、バイオマス循環利用技術システムの開発が非常に重要であり、また適切であると思うので、これについてもよろしくお願いしたい。

(宮路議員代理)
 ライフサイエンスの関係で3点お願いしたい。
 1つ目は、治験の空洞化に対応するための体制の強化として、医薬品や医療機器を他国に先駆けて実用化するために治験期間の半減化などを図っていきたい。2つ目は、食の安全の関係で、今後、リスク分析のシステムを導入することになっており、それに対応して食品や医薬品の安全性を確保するための検査、分析あるいはリスク評価のための技術の研究開発が重要である。3つ目は、難病対策。現在、難病は50近くあり、患者も約60万人を数えるが、その治療、予防対策が見出せていないという問題を抱えている。ゲノム関連技術などの先端科学技術を活用した難病対策のための研究開発をよろしくお願いしたい。

(武部議員)
 前回の本会議でも述べた『「食」と「農」の再生プラン』の実施に不可欠な研究開発を戦略的・重点的に推進するために、特にライフサイエンス分野の研究として、食品の安全性確保のためのリスク分析、トレーサビリティ、プリオン病の発症機構の解明や生前診断技術の開発、ポストイネゲノム研究の推進、食料供給力の向上と日本ならではの食文化と地産地消の取組みを推進するための現場に直結する高品質な農林水産物の開発等に取組むことが重要である。これらの点は、今回の資源配分の方針案に基本的には盛り込まれているが、プリオン病の部分については、発現機構の解明に加えて、生前診断技術の開発も明確に位置付けていただきたい。



(5)「平成13年度科学技術の振興に関する年次報告」について

 遠山議員から、「平成13年度科学技術の振興に関する年次報告(案)」について、資料5−1(PDF)に基づき説明。総合科学技術会議として了承。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 ITER計画については、本日、関係閣僚及び自由民主党の議員連盟においでいただき、国内誘致を実現するためには候補地を1か所に絞った方が良いということで青森に決まった。今後、関係閣僚は全力を傾注して国内誘致に取り組んでいただきたい。
 今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本については、これまで長年努力してきたH-UAロケットの成功を受けて民間への移管を進める等、この方向で早急に具体化してほしい。
 平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針については、めり張りの効いた方針の作成を是非ともお願いしたい。戦略的な研究開発の推進と、科学技術システム全体の抜本改革に向けて、今後もご指導、ご尽力をお願いしたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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