イベントレポート
パネルディスカッション 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた各課題の取り組み

パネルディスカッションの様子

左から吉田典之氏(ファシリテーター)、「エネルギーキャリア」村木茂PD、「自動走行システム」葛巻清吾サブPD、「レジリエントな防災・減災機能の強化」中島正愛PD


続いて開催されたパネルディスカッションでは、吉田典之読売新聞論説委員をファシリテーターに2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下東京五輪)での技術実証や世界への情報発信に関連する取り組みについて3人のPD 、サブPDが概要を紹介し、その後共通する問題について議論された。始めに、吉田典之読売新聞論説委員から、東京五輪タスクフォースの説明があった。

続いて「エネルギーキャリア」担当の村木茂PDは、東京五輪では競技場、選手村エリアの施設や交通機関へのエネルギー供給に水素を活用する水素社会実証を開始し、世界をリードする日本の水素関連技術を広く認知してもらうきっかけとしたい考えを説明した。

これと交通関連で一部連携する「自動走行システム」担当の葛巻清吾サブPDは、国家目標である交通事故死者低減や二酸化炭素削減を目指しており、自動走行システムのコア技術となるプローブ情報によって更新が可能な3次元デジタル地図作りの重要性を強調した。また、この地図情報は他の課題と連携し活用していくことでコスト低減など相乗効果が期待できる。

さらに「レジリエントな防災・減災機能の強化」担当の中島正愛PDは、災害や気象状況の発生予測やその影響の正確かつ迅速な予測を行う研究を紹介し、その情報のリアルタイム共有により、東京五輪でも観客や競技者の安全確保、交通機関の安全確保に役立つと語った。

ディスカッションでは、それぞれの課題研究を応用した技術が東京五輪にどう生きるか、また五輪大会関係ばかりでなく広く一般の人が享受できる社会的な利便性や防災・災害対応に関するメリットをどう作り出すかについて議論された。最後に中島PDは「外国人が笑顔で過ごせるようなおもてなし精神が日本人にはある。SIPの成果が少しでもそれに貢献できれば幸いだ」とし、全員がうなづいてディスカッションが締めくくられた。