ムーンショット目標10
2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現
ターゲット
- 2050年までに、様々な場面でフュージョンエネルギーが実装された社会システムを実現する。
- 2035年までに、電気エネルギーに限らない、多様なエネルギー源としての活用を実証する。
- 2035年までに、エネルギー源としての活用に加えて、核融合反応で生成される粒子の利用や要素技術等の多角的利用により、フュージョンエネルギーの応用を実証する。
注:フュージョンエネルギーは、軽い原子核同士(重水素、三重水素)が融合して別の原子核(ヘリウム)に代わる際に放出されるエネルギー。太陽や星を輝かせるエネルギーでもある。
関連するエリアとビジョン
Area :「サイエンスとテクノロジーでフロンティアを開拓する」、
「地球環境を回復させながら都市文明を発展させる」
Vision :「未踏空間の可視化」、「環境中立な都市」、「資源要求の劇的削減」
目標設定の背景
- フュージョンエネルギーとは、軽い原子核同士が融合して別の原子核に変わる際に放出されるエネルギーであり、太陽や星を輝かせるエネルギーでもある。フュージョンエネルギーは、カーボンニュートラル、豊富な燃料、固有の安全性、環境保全性という特徴を有することから、エネルギー問題と地球環境問題を同時に解決する次世代のエネルギーとして期待されている。
- また、フュージョンエネルギーは、我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱されているSociety 5.0を支える基盤となるだけでなく、地球規模で人類の持続可能な発展を可能とし、人類社会に我が国が大きく貢献できる科学技術である。
- フュージョンエネルギー・イノベーション戦略に基づき、「ゲームチェンジャーとなりうる小型化・高度化等をはじめとする独創的な新興技術の支援策を強化」して、フュージョンテクノロジーの幅を持たせるため、現在、建設中の実験炉ITERから原型炉そして実用炉と段階的にフォーキャスト的なアプローチに加え、フュージョンエネルギーが実現した未来社会からのバックキャスト的なアプローチによる挑戦的な研究の支援を強化することが必要である。
ムーンショットが目指す社会
- 資源制約の克服への貢献
海水中に豊富にある資源から地上の太陽1を生み出し、エネルギー資源の偏在性から生じる紛争や飢餓が消失する。 - エネルギー問題の解決への貢献
安定的で豊富なフュージョンエネルギーを活用し、我が国のエネルギー安全保障に貢献する。 - 人類の挑戦への貢献
小型動力源として活用し、宇宙探査・海洋探査等の未知な領域への挑戦を可能とする。 - 脱炭素社会の実現への貢献
安全・安心のフュージョンエネルギーシステムを実現し、幅広い産業や一般家庭の炭素排出量を抜本的に改善する。 - 環境問題の解決への貢献
大気中の二酸化炭素から合成燃料を製造することで、産業革命以来の悪循環を好転させる。 - 技術による課題解決への貢献
我が国から輩出されたスタートアップが、世界の課題解決や技術開発を牽引する。
1 太陽内部で核融合反応により発生している膨大なエネルギー(フュージョンエネルギー)。 同様の反応を、地上で人為的に起こすことを目標に、「地上に太陽を作る技術」としてフュージョンエネルギーが研究されてきた。
研究開発
プロジェクト一覧
PD:吉田 善章(自然科学研究機構 核融合科学研究所 所長)
研究開発プロジェクト | PM | 研究開発概要およびホームページ |
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革新的加速技術による大強度中性子源と先進フュージョンシステムの開発 | 奥野 広樹 理化学研究所 |
プロジェクト一覧(目標10)から、 ご確認お願いします。 |
多様な革新的炉概念を実現する超伝導基盤技術 | 木須 隆暢 九州大学 |
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超次元状態エンジニアリングによる未来予測型デジタルシステム | 星 健夫 自然科学研究機構 |
ムーンショット目標10の詳細
ムーンショット目標10の取り組みについては、下記の研究開発法人のページを参照ください。